大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

被後見人の届出住所を私の自宅とすることの問題点【Q&A №479】


【被後見人の住居の移転】
叔母に法定後見人(司法書士)がついていますが、叔母は重度の精神疾患で居住地には、ほぼ戻れる可能性は低く、誰も居住していない、未相続分(故 祖父の母屋)の住所に住所を置いてます。
後見人(家庭裁判所含む)及び相続人は、該当土地を売却する事で合意出来ていますが、後見人より、私の住所に別世帯で 叔母の住所を移したいと打診がありました(病院を住所にする事は病院に断られた様です)。
①将来私が、私の居住場所を売却等で移転する事が発生した時に家庭裁判所の許可が必要になるのでしょうか?
②一般的に、相談内容と同様の事態が発生した時にはどの様に解決されているのでしょうか?
③叔母の住所を私の住所に移した時のなんらかのリスクは有るのでしょうか?

記載内容  成年被後見人 家庭裁判所 住居 許可

(きーみん)


【被後見人の所有物件でなくても、売却に裁判所の同意が必要な場合がある】
相続人である叔母さんが共同相続した不動産の売却につき、他の相続人も、後見人も裁判所も同意しているというのですから、その売却についてはなんらの問題ありません。
そのため、今回のご質問は、相続について問題になる点はありません
ただ、折角、質問されているのですから、簡単に回答しておきます。
問題は、あなたの自宅に叔母さんの住所を置いた場合、あなたの自宅を売却する際に裁判所の同意が必要となる等、何らかの不利益があるかという点です。
成年後見については、被後見人が《居住の用に供する不動産》を処分(売却等)するには裁判所の許可が必要です(民法859条の3参照)。
この条文は、被後見人の所有を前提としていませんので、被後見人が所有していない物件(あなたの所有物件)でも、例えば叔母さんが《居住の用に供して》いるのなら、この規定の適用で裁判所の許可が必要になると思われます。

【元の住所に戻る場合でないので、結局、許可は必要がない】
《居住の用に供する》という意味についてはいろんな見解があります。
その中には《被相続人が現に居住しておらず、かつ居住の用に供する具体的な予定もあるわけではないが、将来においてなお生活の本拠として居住の用に供する可能性がある不動産》も含むというものまであります。
ただ、この条文は、被後見人をその生活環境から切り離すのは慎重にするべきだ(なぜなら、これまでの生活環境から切り離すのは酷だ、認知症が進む場合もある等)という観点から定められたものといわれています。
そうであれば、(あなたの自宅という)それまで住んだことのない場所に住所を移すというだけでは、《居住の用に供する》ことにはなりませんので、あなたが自宅売却の際、裁判所の許可は不要という結論になります
ただ、念のために、予め、何らかの形でその点を裁判所に確認されるといいでしょう

【住所移転に伴い発生する事態】
叔母さんの住所をあなたの自宅に移転した場合、叔母さん宛の郵便物があなたの自宅に届く、あるいは叔母さんの知人友人や叔母さんが債務を負っておれば、その債権者があなたの家を目指してくるというような事態もありうることも考慮に入れておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★20年以上前の不正出金【Q&A №456】


【質問のまとめ】
17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?

記載内容  不正出金 生前贈与 時効

【ご質問内容】
 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。
 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。
 共同相続人の伯父は7年前に他界。
 母は現在、障害のため出廷不可。
 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。
 残額は247円。
 手紙には、以下の主張が書かれておりました。
1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)
2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)
3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。
 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?
 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?
 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。
 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。
 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。
 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。

(hiro)


【相続回復請求はできない】
 相続回復請求ができないかという点にお答えします。
 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
 例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。
 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません
 ただ、次にのべるような手段が考えられます。

【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】
 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。
 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。
 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。
 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。
 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。
 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。
 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。
 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。

【お祖母さんが生前贈与した場合】
 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。
 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。

【現在、するべき作業は何か】
 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。
 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。
 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。
 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。

【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】
 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。
 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。
 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

認知症の人の遺言【Q&A №451】


【質問のまとめ】
認知症の人の遺言は有効ですか?
毎年遺言書を書いていて複数の遺言書がある場合、どの遺言が有効になりますか?

記載内容  意思能力 認知症 書き換え

【質問詳細】
 母が毎年6月に遺言書をかいているのですが、内容は「私に全財産を相続させる」という遺言書です。
①2013年6月
②2014年6月
③2015年6月
3通かいてます。
ところが、母は去年8月に認知症の診断を受けました。
この場合、遺言書は有効ですか?(③の遺言書)
認知症の診断がでる前の遺言書は有効ですか?(①②遺言書)
後で、兄弟から文句がでそうなので。
認知症の場合は遺言ができないのでしょうか?
遺言書は私が預かってます。
私としては、母が死亡したら、③の遺言書をだして、無効にされるより、①か②の遺言書を家裁へ出して、検認を受けたいとおもっているのですが、可能でしょうか?
③の遺言書が無効にされた場合、①②の遺言書を家裁へだすことは可能でしょうか?

(aso)


【認知症でも程度により遺言が有効となる場合があります】
一口に認知症といっても、現れる症状には、軽い・重いの程度の差があります。
そのため、認知症の方であっても、その症状が軽い方は遺言をすることができます
どの程度の症状が現れると遺言できなくなるか(遺言能力がなくなるか)については、認知症のテストで有名な長谷川式認知スケール(30点満点)でいえば、10点以下であれば遺言能力がないと判断される可能性が高いようです(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください)。

【無効かどうかの判断は・・】
 認知症と診断されたから遺言が無効になるわけではありません
 診断とは関係なく、認知症で意思能力がないから遺言が無効となるのです。
 認知症と診断されたが、意思能力あり
  遺言できる認知症との診断はないが、意思能力なし 
  遺言できない

 意思能力の検査方法としては長谷川式認知スケール以外の方法もありますし、診断書以外の方法(例えば入院の際のカルテに記載された看護師とのやりとりなど)で意思能力の有無が判断されることもあります。

【複数の遺言を検認に持ち込むことも可能です】
 検認手続きとして、裁判所に複数の遺言書を持ち込むことも可能です。
 そのため、古い遺言と新しい遺言の双方を検認に出すことも可能ですし、3通あれば3通とも出すことも可能です。
 遺言は新たに書き換えれば、古い遺言は無効になります(正確に言えば、新しい遺言に矛盾する内容の古い遺言部分は無効になります)。
 そのため、私(大澤)としては、遺言書が複数あるのだったら、すべて同時に検認に出すのが良いと思います。
 しかし、特定の遺言書のみを先に出して、その後に他の遺言書を出すことも法的には可能です。
 ただ、後日、追加で出した場合、他の相続人から《なぜ、先に出さなかったのだ。なぜ、隠していたのだ》という不信感を持たれ、遺産分割がいたずらに紛糾することもあるというマイナス点を考慮に入れておかれるといいでしょう。

相続不動産の時効取得はできるか【Q&A №449】


【質問まとめ】
10年前に父がなくなったとき、父の不動産について
「いらない」と言って相続放棄したはずの姉が「不動産を売って法定相続分の金をよこせ」と言ってきました。
私は、土地建物を時効取得したと主張できるでしょうか

記載内容  長年 時効取得

【質問詳細】
 父が死んで10年たつので、父名義の土地、建物の名義を私名義に変えようと思って、 姉にいうと「家を売って法定相続分の金をよこせ」というのです。
 父が死んだ後、父の貯金を姉と私2人で200万円づつ分けました。
 それで、その時、姉は「他の財産の家や土地はいっさいいらない」といいました。
 土地、建物の取得時効は10年だとおもいますが、姉は父が死亡する30年ぐらい前に結婚して遠方にすんでおり、父死亡後は私1人で、土地、建物を占有していました。
 この場合、土地、建物の取得時効を主張して時効取得時効による登記ができるでしょうか?
 裁判の場合、姉を相手におこすのでしょうか?

 善意は、他に相続人がいない場合ということだと思うのですが、姉は土地、建物の相続を放棄していましたので、私は、他に相続人がいない場合だと思っていました。
 相続人は私と姉2人です、

(hukuda)


【相続放棄ではなく、遺産分割協議の話である】
 相続放棄とは、家庭裁判所に対して、お父さんの遺産は全て相続しませんという申し出をすることです。
 お姉さんが《家や土地は一切いらないとあなたに言った》ということは相続放棄ではありません

 

法定相続はすることを前提として、どのように遺産分割をするのかということであり、それは遺産分割協議の話であるとご理解ください。

【他の財産はいらないという発言の意味】
 遺産分割する場合、通常、法定相続人間で《遺産分割協議書》という合意書を作成し、実印を押捺し、印鑑証明書を添付します
 遺産は多額の財産の分割ですので、分割に同意するという意思に間違いがないこと、分割内容も記載したとおりであるということ等、間違いや誤解を防ぐという配慮から書面化されるのです。

 口頭(会話)等だけで遺産分割協議が絶対に成立しないというわけではありませんが、遺産分割という重大な問題を口頭だけで処理するということが裁判で認められることは極めて可能性が低いということを理解する必要があります。
 裁判になると、遺産がいらないという発言があったことについてあなたの方が証明する必要がありますが言った、言わないの議論になりかねません。
 また、仮にそのような発言があったと認められても《そのような気持ちもあったというだけで、絶対にいらないと言ったわけではない》と反論されることも多く、裁判になれば必ずしも有利な判決が出るとは言えないでしょう。

【取得時効の成立について】
 土地や建物については、占有が長期間続くと時効取得が認められます。
 しかし、相続の場合に取得時効が認められることはむずかしいです。
 その理由は次のとおりです。
 時効取得が成立するには多くの要件がありますが、その一つに自主占有》の開始という要件があります。
 これは取得時効を主張する人が、その家の全部の所有者であるという外形を整えることです。
 質問のようなケースでは、あなたがお父さんの家に住んでいるだけでは不十分です。
 《全部が私の家である》ということが外見的にわかるような状況が必要です。
 説明をしにくいのですが、遺産分割協議が整い、単独登記をし、かつ単独で占有をし始めたが、実は分割協議は無効であったというようなケースがこれにあたります。
 そこまで行かなくても、少なくともあなたがお姉さんに《この家、私が全部の所有者になりますよ》ということを宣言する程度の事実が最低限、必要でしょう。

 また、本件では、期間の点でも時効の成立は難しいです。
 不動産の取得時効は《善意無過失》で10年、それ以外は20年です。
 《善意》とはこの家が自分の《単独の所有》と信じ、そう信じたことがもっともだというような場合ですが、本件の場合には、お姉さんに持ち分があるということは明らかですので、善意にはならず、そのため20年も経過していない現時点で取得時効の要件を満たすことはありません
 結局、取得時が成立する可能性はほとんどないと考えていいでしょう。

【どのようにして解決するか】
 以上に述べたように、法律的にはあなたの主張がとおることは少ないです。

しかし、法律がすべてではありません。
《お父さんの面倒を見たのは私でしょう》と人情と義理をからめて攻め、
《お姉さんはあのときいらないと言ったのに・・》と足元をすくいつつ、最後の落としどころとしては少し譲って 《半分づつではなくて4分の1くらいでどうか》とか、あなたの人間力を総動員してお姉さんを説得していくといいでしょう。

★★不正出金の全額返還を請求できるか【Q&A №423】

【ご質問詳細】
 母親の死後、残された自筆遺言書を原告(長男)、被告ら(弟・妹)立会いの下、検認したところ、原告に、預貯金全額を相続させる旨が確認されました。
 原告は、母親の預貯通帳・カードを母親の近くに住む被告らに厳重保管の覚書を交わし委託しておりましたが(母親の生活費は、年金収入で賄える範囲)、被告らは母親の生前中(預貯金が下されたこの時点では、母親は痴呆も進み寝たきりで、何ら判断能力も無い)、母親が自筆遺言書を作成していたこをを知りながら、無断で、預貯金2千万円を、共謀して、カード限度一杯で、定期的に全額を引き落としておりました(銀行入出金推移表で確認済み)。

 これから、訴訟をスタートしますが、相続分である3分の1ではなく、全額を請求できる戦略・進め方のアドバイスがございましたらご伝授ください。
 なお、原告は代理人無しで、被告らは弁護士を擁立しております。

記載内容  不正出金 全額

(moriken)


【気持ちはわかりますが・・・】
 被相続人であるお母さんが遺産である預貯金全額を長男であるあなたに相続させる内容の自筆の遺言書を作成したのに、お母さんの生前に弟や妹が無断で出金し、使ってしまったという事案です。
 あなたとしては、預貯金の引き出しがされなければ、預貯金全額を相続できたのにという気持ちでしょうし、その気持ちはよくわかります。
 ただ、法律的に考えると以下のとおりとなります。

【まず、3分の1の主張は可能です】
 あなたもわかっておられるようですが、無断で引き出し使用された預貯金額の3分の1の返還は可能です。
 念のために確認しておきましょう。
 お母さんの預貯金を弟らが無断で引き出して使用したのであれば、お母さんは弟らに対して引き出した金を返還せよという請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権)を持つことになります。
 ただ、この請求権は預貯金そのものではありませんので、単なる請求権(債権)として相続され、あなたが相続できるのは法定相続分(3分の1のようですが)だけです。
 あなたとしては、お母さんの有する前記請求権の3分の1を相続で取得したとして、無断引き出しをした弟さんらに請求することは可能です。

【あなたに対する権利侵害として、全額の返還を求めることはできない】
 ただ、あなたとしては、弟さんらが預貯金を引き出さなければ、預貯金全額を相続できるはずであったと無念に思われており、何とか預貯金額全額の請求ができないかという気持ちがあり、それが今回の質問になったものと思います。
 一つの考え方は、無断引き出しがされない場合、あなたとしては預貯金額全額を相続できたはずであるのに、弟さんらがこれを違法に侵害したので、不法行為による損害賠償請求ができないかということがあります。
 あなたが将来、遺言により預貯金全部を相続できるのに、それを侵害したので不法行為が成立するという考え方です。
 しかし、無断引き出しをされたのはお母さんであり、お母さんが権利侵害として不法行為に基づく損害賠償請求ができるのは前記のとおりであり、それとは別に、あなたが独自の権利を有しているとは考えにくいです。
 もちろん、預貯金がそのままあれば、将来あなたが預貯金を相続できるという期待を持たれたでしょうが、それは単なる《期待》にすぎず、権利とまでいえるようなものではありませんので、不法行為が成立しないと考えられます。

【法定相続人の資格を喪失させることも考えられるが・・・】
 全額取得するための方策としては、弟さんらを相続人でなくするという方向もあります。
 民法上には相続人の欠格(末記の条文をご参照ください)という制度があり、これに該当するなら弟さんらは法定相続人の資格を失います。
 しかし、相続人資格を否定するには、被相続人を殺害した、あるいは遺言を偽造したなどの極めて違法性の高い行為が裁判所で認定される必要がありますが、それは現実問題として主張立証が困難でしょう。
 よって、本件ではやはり相続分を超えて不正出金の全額返還請求をすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。

【特別受益などを主張して相続分を増やすしかない】
 結局、あなたの立場としては、弟さんらに特別受益などがあったとして、その相続取り分の減額を主張するしかないという結論になります。
 なお、裁判ですので、あなたの期待を侵害したとして全額返還を請求を(それが認められる可能性は低いにしても)主張することは自由ですし、そのような主張をしていると裁判所が3分の1以上を出さないかと和解で被告を説得するかもしれませんので、存分に自分の気持ちを訴訟に反映させられるといいでしょう。

《参考条文》
相続法 第891条 (相続人の欠格理由)   次に掲げる者は、相続人となることができない。
1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は 至らせようとしたために、刑に処せられた者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又 は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

義理の母も相続するのか【Q&A №337】


 旦那(三男)他界して一年過ぎ、
私67歳・長男息子夫婦・孫中学生2人 で息子夫婦と暮らしております。孫もこれからお金が掛かる年齢ですので質問してみました。宜しく御願い致します。

 義理の母の入院にあたりお世話などに病院に行ってはいるのですが入院費用を折半してと義理の長男夫婦から言われ入院代を兄弟(長男次男(三男私の旦那で他界)) 娘での折半に含まれるべきか??病院でのお世話は継続しますが。私自身、息子夫婦に面倒みてもらってるのもありますし金銭的にギリギリです。

 又、義理の父が亡くなった時は私の旦那は相続してませんし義理の母が亡くなった時、私は相続権はありますか?無いと記憶してますがあるのでしたら放棄しようと思っています。

記載内容  義理の母 養子縁組 扶養義務 相続放棄 代襲相続

(モコモコ)


【義母の相続人にはならない】
 ご主人が先に亡くなり、その後にお義母さんが亡くなった場合、あなたはお義母さんの相続人にはなりません。
 あなたの息子さんが、ご主人の代襲相続人として、お義母さんの相続人になります。

【義母の入院費用の支払い義務はない】
 扶養義務を負うのは、直系血族と兄弟姉妹です。
 あなたのご主人はお義母さんの子供であり、お義母さんを扶養する義務がありましたが、あなたはお義母さんの子供ではありませんので、扶養義務はありません。
 従って、あなたが入院費の支払いを拒否してもなんら違法ではなく、義務違反でもありません。
 参考までにいえば、義理の長男夫婦は、お義母さんの直系血族になり、又、あなたの子供さんも同様に直系血族になりますので、お義母さんを扶養する義務があります。

【あなたの子供さんの相続放棄について】
 あなたの子供さんはお義母さんの遺産についての法定相続人(代償相続人)です。
 従って、子供さんらが相続放棄をしたいのなら、家庭裁判所へ相続放棄の申述手続きをする必要があります。
 相続放棄は相続を知って3ケ月以内にする必要がありますので、期間が過ぎないようにご注意ください。

★生前取り込んだお金を費消されてしまったら【Q&A №228】


 母の遺産を姉が全額浪費した

 母が数年前に認知症になり施設に入所しました。この時点で母の預貯金は約3000万円でした。キャッシュカードと通帳は姉が管理していました。母は施設に入所していましたので、規則により通帳等の持ち込み、一人での外出は禁止されていました。
 昨年母が亡くなり、遺産を調査しましたら、なんと残高3円でした。銀行に依頼し3年ほどさかのぼり入金・出金を調査して頂きました。すると姉が住んでいる地元の支店から毎日30万程度引き出されており3000万円の残高が3円になっておりました。

 弁護士にそうだんし、その数年間の引き出し資料等を証拠として提訴しました。裁判所に受理されて今月下旬に裁判が行われます。
 姉には、既に死亡している父親から相続された土地があります。弁護士に相談した際に、その土地を裁判前に処分されないように仮差押えする方が良いと言われたんですが、その費用の数百万が出せず出来ませんでした。

 もし、裁判前に姉が土地を売却して「払いお金も、財産もありません」証言すれば、姉は一切責任を免れてしまうのでしょうか?

記載内容  横領金の浪費 差押 仮差押 担保金

(巨人命)


【差し押さえるべき財産の有無が重要】
 ご相談のように、相手方が不正に他人の財産を取得しておきながら、追及を受けたときにはその財産を使い切ってしまい「払うお金はありません」と居直ることは、相続に限らずよくあることです。
 もちろん、相手方が「払うお金はありません。」というだけで支払責任が無くなるわけではありません。
 しかし、財産がないというのであれば、判決に勝っても差押等の強制執行ができないのも事実です。

 本件質問について言えば、問題点は次の2点です。
 ① お姉さんに果たして財産がないのかどうか。
 ② 仮に財産があるとした場合、判決で差押えすることができる時期まで、お姉さんがその財産を持っているかどうか。

【可能であれば仮差押が適切なケース】
 現時点では、お姉さんは不動産を持っています。
 あなたが依頼された弁護士が相手方の土地に着目し、仮差押を提案したことは適切なアドバイスです。
 お母さんの預金3000万円をほぼ全額引出して、使ってしまったというお姉さんの態度から言えば、所有している土地を今後、売却し、差押えるべき財産を無くしてしまうような行動に出る可能性も十分に考えられます。
 そのため、本来ならば必要な担保金を用意し、仮差押を是非、するべきでしょう。
 もちろん担保金を用意できないのであれば仮差押はできませんが、その場合には、あなたが勝訴して判決が執行できるまで、お姉さんが土地を売らないことを祈るしかないでしょう。
 なお、お姉さんが土地を売却した場合には、外見上はお姉さんの財産がなくなりますが、その場合には、お姉さんが預金をしていると思われる金融機関を探し出して、差押するしかないでしょう。
 3000万円の浪費はそれほど簡単にできることではありません。
 おそらく、3000万円の大半が、どこかの金融機関にお姉さん名義で預金されているはずですので、頑張って探しだす努力をされるといいでしょう。

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