大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

土地の売買【№622】

【質問の要旨】

売却した実家不動産の代金は誰が受け取るか

記載内容   実家 不動産 

【ご質問内容】

先日父が亡くなり、亡くなる前に不動産屋さんと、土地の売買を進めていました。 これは、母も兄姉も承知していたことで、父が亡くなり手続きが一時ストップしてきましたが、兄が不動産屋さんに相手が家を建てたいので手続きを進めて欲しいとの事に。

そこも問題ないのですが、売却のお金を、兄は自分の口座を新しく作ってそこに取り敢えず入金して貰い、後で皆に分割すると言ってます。

遺産相続の一環で行うから問題ないと言いますが、この場合、兄はそのお金を相続した扱いになり、分割したら兄からの贈与になる気がします。

この場合、その売却金はどのように扱うのが正確ですか?

土地売却は進めてあげたいのですが…

 

(ハル)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【相続した財産の売却方法】

相続した財産を売却して、経費を差し引いた代金を相続人に分割することは、よくある話です。

その際、売買の方法として、次の2つの方法が考えられます。

それぞれについて、税金面と代金の支払い確保の面からプラスとマイナスを記載しておきますので、ご参照ください。

【お兄さんの単独名義にする方法】

相続人が多数いる場合、売買手続きを簡単にするために、お兄さんの単独名義にすることがあります。

この場合は、遺産分割協議書で兄が売買物件を単独で相続取得すると記載する必要があります。

兄が単独取得したことから、他の相続人は不動産からの取り分がなくなるので、その兄に単独取得させた代償として、金銭をもらうということをはっきりと記載しておく必要があります。

これをしないで、兄の単独名義にして、その後、売買代金の一部をもらった場合、税務署から贈与ではないかという疑惑を持たれかねません。

是非、《代償金》としてもらうのだという点を明記しておくことを忘れないようにしてください。

なお、この兄単独名義にする点は、売り主が兄一人になりますので、売買の手続きがスムーズにいくという利点があります。

しかし、兄が売買代金全額を受け取りますので、もし、兄がサラ金の借金がある、あるいは他に信頼できないような点があれば、お金が兄のところで消えてしまい、あなたにはまわらないというリスクがあります。

【3人が売り主になって、売却する方法】

代金の支払いの確保という点から言えば、相続人全員が売り主になるという方法もあります。

この場合、契約書には相続人全員が署名・捺印をし、また売買代金受領の場合には原則として、全員が立ち会うことになります。

私(弁護士大澤)が父からの遺産の不動産を売買した場合には、手続きは姉に売買の交渉をしてもらいましたが、決済のときには相続人全員が立ち会い、その場で経費を除いた売買代金全額を受け取りました。

別に姉を疑っていたわけではありませんが、皆がそれを希望したので、そのような形にしました。

売却代金の支払い確保にはこれが一番良いやり方ですが、反面、全員が売買の当事者になるので、手続きが面倒になるという欠点があります。

【どちらを選ぶかは兄が信頼できる人かどうかで決める】

結局、兄が信頼できるのであれば、兄の単独名義にし、兄から代償金として売却代金の一部をもらうというのが、手続きがスムーズでよい方法でしょう。

支払いで、若干でも不安があるのなら、法定相続人全員で売却するという、手続き的には煩雑な方法を採用するということになります。

相続放棄後の分譲マンションの管理費【№620】

【質問の要旨】

相続放棄したマンションの管理費も支払義務があるか

記載内容   不動産 相続財産管理人  管理責任

【ご質問内容】

夫が死亡し、親族全員相続放棄しました。

マンションの管理会社が弁護士を通じて 夫の死後から現在までの マンション管理 費、修繕費(150万ほど)を支払って欲しいと連絡がありました。

応じない場合は 訴訟を起こすとのことです。

この場合、私たちは支払わなければいけないのでしょうか?

相続財産管理人は私たちが申立てするのでしょうか?

(きらり)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【全員が相続放棄した場合は最後の相続人が責任を負う】

 相続人は不動産などの相続財産の管理責任を負いますが、法定の申述手続を行い相続放棄した場合、次順位の相続人が管理を開始した段階で管理責任を引き継ぎ、前順位の相続人は責任を免れます。

もっとも、最後に相続放棄した相続人は、相続放棄後も責任を免れることができません

(民法940条)

1.相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。(後略)

 

相続放棄すれば全ての責任を免れると思っておられる方は多いのですが、不動産など管理を要する財産をお持ちの場合、相続放棄後も管理責任が続きますので要注意です。

※注:本件のような全員が相続放棄をした場合に、管理責任を負うのは最後の相続人であるかどうかについては、当事務所内で異なる意見があります。

 

【管理責任を免れるには管理人選任の必要がある】

では、最後に相続放棄をした相続人はどうすれば管理責任を免れるのでしょうか。

実際には、家庭裁判所に相続財産管理人を選任する申立をすることで、管理責任を免れることができますので、この方針を弁護士など専門家に相談することが必要となります。

しかし、大阪の場合であれば裁判所に90万円~100万円程度の費用を申立時に予納する必要がある(弁護士費用は別途必要)ため、非常にコストがかかります。

また、遺産である預金などからこの予納金や弁護士費用を安易に支出したりすると、遺産を処分したということで相続放棄が認められなくなる(民法921条1号 法定単純承認)可能性もあるため、あまりお勧めできません。

(民法921条1号)

第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

 

【今回はマンション管理組合と調整すべき】

では、相続放棄をしたあなたとして取るべき方針は何でしょうか?

少し見方を変えれば、あなたと同様に困っているのはむしろマンションの管理費を請求する管理組合側です。管理組合の側も、不動産を換価処分して費用を回収するため相続財産管理人選任の準備を進めている可能性があります。そのため、費用のかかる管理人の選任手続については管理組合と相談し、費用負担などについて調整してから検討されてもよいでしょう。

この点も専門的な知見を元にした方針の立案と交渉が必要ですので、相続案件や相続放棄に詳しい弁護士などに相談されるのがよいでしょう。

特別受益の件!【№621】

【質問の要旨】

息子の消費者金融への支払いは特別受益になるか

記載内容   消費者金融 特別受益  贈与

【ご質問内容】

大沢先生宜しくお願い申し上げます。

もう20年以上前になりますが、息子が消費者金融で問題をおこし、当時の弁護士さんに200万円以上の費用をお支払して問題を解決して頂きました。

勿論息子に私への返済はさせておりません。

したがって遺留分の計算などで、この場合特別受益として認めてもらえる可能性はありますでしょうか。

大沢先生お忙しいところ大変恐縮ですが宜しくお願い申しあげます。

(トラちゃん)

 

 ※敬称略とさせていただきます

20年前に息子の消費者金融の支払いをしたということであれば、特別受益になる可能性があります。

このようなケースで何が問題になるかを整理してみました。

【支払った人の相続でのみ特別受益になる】

まず、息子の消費者金融の借金を支払ったということですが、そのお金を誰が支払ったのかを確認しておく必要があります。

もし、《あなたが支払った》のであれば、《あなたの遺産分割の際》に特別受益として扱われます。

しかし、あなたの配偶者の相続の場合にはなんら特別受益にはなりません。

あくまで支払った人が死亡した場合、その人の相続でのみ、特別受益になるだけですので、ご注意ください。

【特別受益は贈与の場合で、貸金なら別途の扱いとなる】

特別受益は生前に《贈与》したという場合の問題です。 そのため、息子から《返還を予定していない》ということが前提になります。

もし、返還してもらう気持ちで、何回も請求した、あるいは借用書を差し入れてもらったというのなら、それは《貸金》になります。

貸金であれば、その返還請求権は原則10年で消滅時効にかかり、消滅します。

特別受益の場合は、20年や30年前であろうと、消滅時効にはかからず、特別受益として扱われます。

【贈与を証明できる必要がある】

質問のような20年も前の特別受益の場合、一番大きな問題点は、贈与したことが、果たして証明できるのかという点です。

支払った人がまだ生きている時には、息子は《支払ってもらったことはない》とまで主張することはないでしょう。

しかし、特別受益が問題となるのは、支払った人が死亡したときです。

そのとき《支払ってもらったという事実はない。もし、あるというなら証明してくれ》と言い出す可能性が高いです。

そのため、弁護士費用としていくら支払ったのか、また、消費者金融にどれだけ送金したのかを証明する書類があれば、大事に保存しておく必要があります。

また、仮に弁護士費用の領収書などがあったとしても、それは弁護士費用などが支払いされたという事実を証明するだけで、それをあなたが出したということを証明するものではありません。

なぜなら、弁護士の領収書は依頼者は息子ですので、息子宛に出しますし、送金も息子名義で送金されている可能性が高いはずです。

そのため、将来、特別受益が問題になった際、息子は《私が弁護士費用を支払った、私が送金したのだ》という可能性が高いです。

【今、できることとしては・・】

そのため、あなたがそのお金を出したというのであれば、その事実をあなたが元気なうちにはっきりさせておく必要があります。

息子に贈与を受けましたという書面を書かせることができればいいでしょうが、今更、そういうことも難しいかもしれません。

弁護士費用や送金の領収書などがあるなら整理して、特別受益を主張しようとする人に、生前に渡しておく必要があります。

次に息子との話の中で、消費者金融の債務整理をあなたのお金で支払いされたということを認める発言をさせるように持っていき、その会話などをICレコーダーやビデオ等で残しておき、これも特別受益を主張したい人に渡しておく必要があるでしょう。

父の収入で母が子名義で貯金。これは誰からの特別受益?【Q&A №619】

【質問の要旨】

名義預金は誰のものか

記載内容   名義預金 特別受益  保険金

【ご質問内容】

母が10年前に亡くなった際、父から子ども達に母の遺産分割を見送ってほしいとの話しがあり皆、承諾しました。

その父が2年前に亡くなり現在遺産分割調停中です。

母が亡くなった際、父から相続放棄(言葉が正しいかわかりませんが…)を促され兄弟は皆承諾しましたが子ども達名義の通帳のみ父が各自にくれました。

入金額はそれぞれ違いました。

専業主婦だった母が亡くなった父からの収入の中から貯金してくれたものと思われます。

そして今、兄弟の一人がそれは父からの特別受益だといい始めました。

兄弟の一人の主張は、そもそもの収入源は父、また貯金をしてくれた母が亡くなった際、母の遺産を放棄したのだからその通帳も全て父のものとなった、母の死後父から通帳を手渡された、よってこれは父からの特別受益であるという主張です。

ちなみにその兄弟は入金額が少なかったためとても不満に思っていますが母が保険金の受取人に指定していたため最終的な金額誤差はほとんどありません。

特別受益を主張した際は通帳額の少なかった兄弟の一人が有利に働くと想像します。

また兄弟の一人は固有財産だと主張しています。 このような場合、誰からの特別受益にあたるのでしょうか?

 

(きぬ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【名義預金は名義人の遺産ではなく、父または母の遺産になる】

母が子供たちの名義で貯金することを「名義預金」といいます。

その預金が誰の財産であるかは、その名義には関係なく、そのお金が誰から出ていたか等のいろいろな事情を考慮して決定されます。

父が母に渡したお金から預金したという前提の場合、もし、その金銭が母への贈与の趣旨であれば母の預金になります。

しかし、今回の質問では、贈与の趣旨ではなく、父が給料全部あるいは生活費等として母に金銭を渡しており、その余りを子供名義で預金をしたようなケースですので、父の財産と考えていいでしょう。  

なお、名義人の独自の財産という主張は成り立たないと思われます。

なぜなら、その金銭の出所が父であり、かつ預貯金証書や取引印を父(またはその財産管理をしていた母)がもっていたというケ-スのようであり、子としては名義を使われたにすぎず、贈与とする根拠がありません。

【保険金は遺産に入らない】  

母が保険契約をし、母の死亡によりその保険金を子が取得したということですが、死亡保険金は原則、遺産には入りません。

ただ、その保険金の額が大きく、遺産総額の6割を超えるような特段の事情がある場合には遺産に入れるという裁判例もあります(Q&A №298)。

今回の質問では、預金及び保険金の各人の合計については、兄弟間の「最終的な金額誤差はほとんどありません」とあることから、保険金額が保険金が遺産の6割を超えていないようであるため、原則通り、保険金は遺産に入らないということになります。

【兄弟間で差がでるのはやむをえない】

結論から言えば、

① 保険金で受け取った分は特別受益にならず、遺産に持ち戻さない。

② 名義預金は父からの生前贈与であり、名義人独自の財産にはならない。

③ 名義預金は父からの生前贈与であるから、父の遺産分割の際、特別受益として遺産に持ち戻される。

④ 保険金をもらったものが得をするが、最高裁の判例が変更されない限りは、このような結論はやむを得ない。

【持戻し免除の意思があったとして公平を図ることもありうるかも・・】

 子供たち各自名義の名義預金と、母の生命保険とで兄弟間の金額のバランスをとって、相続人らの公平を図ろうとしていたのが父母の意思であったとも考えられます。

そのため、それが通るかどうかは別として、名義預金の贈与については、遺産に持ち戻さないという父の黙示の意思表示があったと主張されるといいでしょう。

もし、その主張が認められると保険金及び名義預金の全部が遺産に持ち戻されず、その余の遺産について分割協議をすることになり、兄弟間の公平が図られることになります。

父親の相続対策について【Q&A №618】

【質問の要旨】

遺言を使用した場合の相続税対策および遺留分

記載内容  遺言 不動産 相続税

【ご質問内容】

 標記内容についてですが、父は現在老人ホームに入所し、1年になります。

脳梗塞 が原因での入所になりましたが、最近覇気が無く、認知症も発症してきている状況です。

家族構成は、父親、母親(自宅で1人暮し)、同じ敷地内に私(長男家族)、近所に 父親との共有名義で次男、三男が、その土地にそれぞれ自宅を建てています。

敷地内 には、4所帯の2階建てのアパートがあります。

この様な状況での質問です。

①遺言書(自筆)を使用すべきか。

遺言書の存在は、私と母親のみ知っていますが、内容には、長男に母屋、アパート、 預貯金等を相続させ、次男、三男はそれぞれの土地を相続との内容です。

ここで心配 な点は、母親の取り分が記載されていない(私に高額な相続税がかかる)ことです。 仮に遺言書を使用かつ、母親にのみ相続法定分の2分1を申請させることは可能でしょ うか。

この様な場合、次男、三男にも6分1づつになるのでしょうか。

また、現在次 男、三男の土地が遺留分を満たしているかの確認や遺産分割協議は、次男、三男が申 し出ない限り、する必要はないのでしょうか。

②現在の相続税(概算)と次男、三男の遺留分の確認

②に関しては、どちらで確認できるのでしょうか。 よろしくお願いいたします。

 
(キンカン)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【遺言書を使用した場合、虚偽の申告になる】

遺言書とは異なる内容の申告(遺言書では財産をもらわないはずの母が相続税の申告では2分の1を取得する)というようなことが可能かという質問です。

母は配偶者ですので相続制上、優遇されており、その相続した財産が遺産の2分の1以下であれば、原則、相続税の課税はありません。

あなたとしては、不動産は遺言書のとおりにもらって、相続税の申告では母の優遇税制を使用するという形で、あなたの相続税をなしにあるいは軽減することはできないかという考えをお持ちのようです。

ただ、結論から先にいいますと、そのような手法で相続税を軽減することはできません。

なぜなら、父の不動産をあなた名義に移転登記をした場合、その登記がなされたことは法務局で国税庁に通知されます(不動産の移転登記は全て税務署に通知されることになっています)。

そのため、あなたが遺言書に基づき、不動産の移転登記をした場合、その登記については国税庁は把握していることになります。

そのため、登記とは全く異なる内容の、母が2分の1を取得したということを前提とした相続税の申告書が出てきた場合、税務署は必ず、税務調査を開始します。

結局は、あなたは真実の権利関係と異なる申告をして、虚偽の申告をしたことになり、不申告加算税や延滞税を課される可能性が極めて高いです。

【遺産分割協議をする必要はあるか?】

相続人全員の同意がある場合、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは可能です。

但し、一旦、遺言書に基づいてあなたの名義に移転登記した場合には、税務署は遺産分割は既に終了していると扱うことが多いです。

そのため、その後に法定相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成しても、税務署としては、それは、遺産分割協議に基づくものではなく、新たな不動産の移転として譲渡税課税をしてくる可能性がありますので、ご注意ください。

【遺留分減殺請求を満たしているかどうかの確認について】

二男及び三男の取り分が、遺留分を満たしているかどうかについては、遺産全体と二男及び三男の取り分とを比較して、各遺留分である12分の1に達しているかどうかで判断します。

ただ、生前の特別受益があれば、その分が遺産に持ち戻され、遺留分算定の基礎になることがありますので、その点も注意されるといいでしょう。

【相続税対策について】

父に認知症が出てきたということですが、認知症が軽度であれば遺言書の作成が可能です。

現時点で父の判断能力を確認したうえで、能力があるというのであれば、相続税節減の方策を税の専門家である税理士に確認された後、遺言書を書き換えを考えられるといいでしょう。

相続放棄後、故人の所有していた車について【Q&A №617】

【質問の要旨】

相続放棄後の遺産の処分

記載内容  相続放棄 車の処分 財産管理人

【ご質問内容】

名古屋で20数年行方不明の兄が病死したという連絡が入りました。

部屋はゴミ屋敷 状態で、負債の全容もわからず、相続放棄しかないと判断して、裁判所に申述書を提 出中です。

兄は民間のアパート(駐車場代込み)に住んでおり、アパートの管理会社 からは、部屋の回復や、車の処分を迫られています。我々は長野におり、出向くこと もできません。

どうしようもないとき車を処分し(80万ほどらしい)現金として保 存することは認められるのでしょうか。財産の管理人を選定するには予納金も高額と 聞いており、悩んでおります。

(ひろ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【相続放棄の効果】

現在、家裁に相続放棄の申し立てをしているということであり、それが受理されると、あなたは相続放棄したことになり、兄の相続人ではなくなります。

その結果、仮に、死んだ兄に借金などがあり、その債権者がいても、あなたは相続人ではなくなるので、請求を拒むことができます。 相続放棄とは、遺産はもらわないということですが、借金も支払わないということでもあります。

【車を売却すると相続放棄を主張できない】

しかし、相続放棄をしながら、兄の自動車を処分するというのは、矛盾した行為です。

兄の自動車を売却するとすれば、あなたは兄の相続人の立場で、その車を売却することになります。

(業者に対する書類にはあなたは《兄の相続人》と記載されますし、かつ、相続関係を明らかにする戸籍謄本等を提出する必要があり、これらがないと車を売却できません)

相続人でないのに遺産を処分すると、法律で、その処分者は遺産の相続をしたものとして扱われます。

《参照条文:民法921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。 一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。》

【債権者が車の処分を知ったら、借金の支払いを拒めない】

兄の債権者から支払い請求があった場合、あなたとしては、家裁の相続放棄の受理証明書を提出すると、ほとんどの債権者は、《相続放棄されたんですか、それなら請求をあきらめましょう》という対応をします。

しかし、万一、その債権者が、あなたが兄の自動車を売ったことを知った場合、あなたは相続放棄の効果がなくなるのですから、支払いを請求することができ、あなたは債務の支払いをせざるをえないことになります。

【本当はどうすべきだったのか?】

家裁に放棄の書類を出す前に、兄の遺産について、どの程度遺産があるのか、また、借金はどの程度あるのかを調査するべきでした(リンク:遺産の調査・発見)。

その調査に時間がかかるというのであれば、家裁に放棄期間(相続開始を知って3ケ月)の伸長願いを出せば、3ケ月程度、延長してくれますので、その間、鋭意、調査したほうがよかったでしょう。

【あなたとしてはどう対処するべきか】

現在、相続放棄の手配をしているのであれば、あなたとしては、その前提で動くといいでしょう。

具体的には、アパートの管理会社に対し、相続放棄したことを、受理証明書を示して明らかにし、請求をはねのけるというのが、あなたの取るべき対応です。 アパートの管理会社なら、相続放棄していたら、被相続人である兄の債務の請求ができないということを知っているはずです。

【相続財産管理人を選任するのは管理会社である】

相続放棄などで、相続人がなくなった場合には、管理会社としては兄に対して債権を有していても、請求する相手がいません。

そのため、同社としては相続財産管理人の選任の申し立てをし、その管理人を被告として裁判をするしかありません。

兄の車を撤去するためには訴訟をせざるを得ませんが、被告となるのは債務を引き継いだ相続人ですが、それがいないのなら、家裁に遺産を管理する相続財産管理人選任の申し立てをするしかありません。

ご指摘のように相続財産管理人の選任は家裁に納める予納金が高いです。

しかし、この選任申し立ては債権者である管理会社(駐車場から出ていけ、駐車料金を支払えとの請求権を有している)がすることであり、相続人ではないあなたの関知することではないことです。

親族相盗例における相続放棄【Q&A №616】

【質問の要旨】

横領した父の相続放棄

記載内容  横領 法人 損害賠償

【ご質問内容】

先日、叔父が経営する企業(株式会社)で働く父が、会社のお金を横領した後、お金を使わずにそのまま病気で亡くなりました。

生前の父の行いを考慮し、私は相続放棄をする予定です。

父は過去に離婚しており、相続人候補は叔父のみですが、その叔父も相続放棄をしようと考えている所です。

このようなケースにおいて、叔父は横領分のお金を父の銀行口座から取り戻すことができるのでしょうか。

一見すると、叔父が相続放棄を選んだ時点で、父の横領分のお金も放棄しなければならないように思いますが、そのお金を本来受け取る権利を有するのは叔父の会社ですので、叔父にとってあまりにも酷ではないかと思い、実際どのように考えるべきなのかをご教示頂きたく質問させて頂きました。

(マサムネ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【損害賠償請求権は会社が有する権利】  

まず、お話を整理しますと、あなたの父は会社(法人)のお金を横領したまま死亡されたということですので、あなたの父に対して損害賠償請求を行い、横領されたお金を取り戻す権利を有しているのは会社(法人)です。

叔父(個人)ではありません。  

ここは区別が難しいのですが、被害者は会社(法人)であることをまずご認識下さい。

【横領の責任は現在、叔父が引き継いでいる】

他方で、本来なら横領の損害賠償責任は相続人であるあなたが相続します。  

ただ、今回はあなたが相続放棄をされるようですので、その場合、残された唯一の相続人である叔父があなたの父を相続します。  

その結果、叔父(個人)が会社(法人)に対する損害賠償責任も相続する、という状態になります。

元々叔父(個人)は被害者の立場ですので少し変な状況になりますが、法律上はこのような状態になります。

【叔父は相続人として預金の払い戻しができる】  

この状況下であれば、叔父(個人)はあなたの父の相続人として、銀行に対し預金の解約・払戻などの相続手続を取ることができます。

もちろん、あなたの父の横領の責任として、会社(法人)にお金を返すこともできます。  

元々は被害者の立場であった会社の代表者である叔父が責任を取る、というのは非常におかしな話ですが、実際上、横領されたお金を取り戻すにはこれがもっとも簡易な方法と思われます。

(厳密には、あなたの父がほかの借金をしていた可能性も考えられますので、ほかに負債がないことを確認ができるまで預金に手を付けない方がよいでしょう。)

【叔父も相続放棄した場合は相続財産管理人の選任】  

他方で、この状況から叔父も相続放棄した場合、相続人は不在の状況になります。  その場合、誰もあなたの父の相続預金を解約することができないため、叔父の会社(法人)は、横領されたお金の回収ができません。  

この状況であなたの父から横領のお金を返してもらうには、会社から家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てをし、選任された相続財産管理人に対する交渉や裁判を行っていく必要が出てきます。

ところが、これには裁判を行う手間はもちろん、一般に90万円前後の予納金を裁判所に納めて選任申し立てをすることになるため、非常に負担が大きく、あまりお勧めできません。  

そのため、(ほかの負債の有無にもよりますが)叔父が相続放棄するべきかどうかは慎重な判断が必要でしょう。

(弁護士北野英彦)

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