大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

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本年の業務は12月28日(金)の午前まで、
新年の業務は平成31年1月8日(火)から
とさせていただきます。

そのため、上記期間中に頂いたお電話・FAXまたはメールについては、1月8日(火)以降に順次返信させていただきますので、予めご了解くださいますようよろしくお願い申し上げます。

また、上記期間中は「相続問題Q&A」の回答期間が伸長しますことを、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。

相続後の不動産の遺産分配について【Q&A №633】

 

【質問の要旨】

登記完了後の代償金請求

記載内容  遺産相続 登記 現金で要求 

【ご質問内容】

父はすでに他界しており、母が今年死亡しました。

相続人は私(長男)と姉(長女)です。 母の住んでいた実家の土地、家屋の遺産相続は長男の私の相続として、すでに登記が終了しております。

その時点では姉も納得していたのですが、今になって価値の半分を現金で要求されています。

法律的にこの要求は正当でしょうか?

尚、預金等は折半しています。

(ブラウン)

 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産分割協議書を作成しているか】

相続が発生すると、その相続人らは協議をし、遺産をどのように分けるか話し合います。

話し合いの結果、分け方が決まれば、その内容を「遺産分割協議書」という書面にし、相続人全員が署名及び実印での捺印をして印鑑証明書を添付します。

各相続人らは、この遺産分割協議書をもって、銀行手続や登記手続きを行うということになります。

今回、あなたはすでに、実家の土地建物について、登記を済ませたとのことですので、おそらく遺産分割協議書を作成しているのだと思われます。

【遺産分割協議書を作成していれば、その内容通りの分割になる】

お姉さんとしては、遺産分割協議の際に、「あなたに不動産は渡すけど、価値の半分を代償金として支払ってくれ」という主張をすることはできましたし、その主張はもっともなものといえます。

ただ、代償金をもらわない前提の遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしたとなると、その内容を理解し、納得していたとみなされますので、それに反した主張をすることは難しいです。

そのため、あなたとしては、遺産分割協議書ですでに合意しているのだから、それ以外の請求には応じることはできない、とお姉さんに伝えるとよいでしょう 。

(弁護士 岡井理紗)

遺留分請求には相続放棄で良いのでしょうか?【Q&A №632】

 

【質問の要旨】

遺留分減殺請求と相続放棄

記載内容  遺留分 相続放棄 特別受益 

【ご質問内容】

いつもこちらのブログを拝見し、相続について色々と学ばせて頂いております。
その中で遺留分というのは、法律で保証された最低限の取り分であるという認識でいるのですが、私の中で「遺留分でさえも相続放棄には敵わない」のではないかという気がしてなりません。

例えば、被相続人の財産(プラスの財産、マイナスの財産どちらも)がほとんど無い一方で、それまでに相続人の一人が何千万もの生前贈与を受けていたとします。
そうすると、何千万もの生前贈与が特別受益となり、この相続人は他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性がでてくるかと思います。
そこで、この相続人は、被相続人の「ほとんど無い遺産」を相続するより、いっそのこと相続放棄を行い、はじめから相続人でなくなれば、他の相続人から遺留分減殺請求を受けずに済むのではないかと思うのです。

私の安易な考えですが、もしこれが可能なら先に述べた「遺留分さえも相続放棄に敵わない」が現実になってしまい、法律が保証する意味がなくなってしまうのではないかと思っています。
実際は、相続放棄を行う事で遺留分減殺請求を免れることは可能なのでしょうか?

632
(テルオ)

 ※敬称略とさせていただきます。

【遺留分算定の基礎となる財産】
遺留分算定の際には、相続開始時に被相続人が有したプラスの財産に、被相続人が贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して算定します(民法1029条)。
このとき加算される贈与の範囲は、次のとおりです。
① 相続開始前の1年間になされた贈与(民法1030条前段)
② 遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与(民法1030条後段)
③ 不相当な対価でなされた有償処分(民法1039条)
④ 特別受益としての贈与(最高裁裁判例 リンク:【相続判例散策】特別受益分はどこまで遺留分減殺の対象になるのか?

【特別受益というのは、相続人に対する贈与】
上記のうち、特別受益というのは、相続人に対して、被相続人から生前になされた贈与又は相続開始後になされた遺贈のことを言います。
民法の条文には、特に記載はないのですが、相続人に対してなされた贈与については、相続開始1年前か否かを問わず、また、損害を加えることの認識の有無を問わず、すべて遺留分減殺の計算の際の基礎財産に加算されます。

【相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされる】
ただ、相続放棄をすると、その効果として、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
そのため、生前に多額の贈与を受けた上で相続放棄をされてしまうと、その方への贈与は、上記④特別受益として遺留分算定の基礎に加算することはできません。
その結果、上記①相続開始前の1年間の間になされた贈与又は②遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与として遺留分の基礎に入れられないかを考えるしかありません。
したがって、あなたが考えておられるように、相続放棄をすることによって遺留分減殺請求を免れるということは、やりようによっては可能ということになってしまいます。
ただ、上に述べたような結論には当事務所の弁護士間で異論があります。
今回のようなケースで、遺産が1000万円しかなく、その全部をAが生前贈与を受けた後、相続放棄をすると、あなた方はAに遺留分減殺請求は一切できないことになります。
しかし、もともと、特別受益分を持ち戻すというのは条文にはないのに、最高裁が《公平の観点》から認めた制度です。
上記のケースでAが相続放棄したので、遺留分請求はできないというと、多額あるいは全部の遺産の生前贈与を受けた人にも遺留分請求できないという結論になります。
しかし、これはあまりに公平を害します。
遺言書などである人が全部の遺産を相続できると記載されていても、最低限度の遺産を他の法定相続人に取得させるというのが遺留分制度です。
この点を考慮すると、相続放棄しても、その人の生前贈与分は遺留分減殺の基礎財産になるというのが公平な結論であり、裁判にでもなればそのような結果になるということも考えておく必要がありそうです。

(岡井理紗、大澤龍司)

【相続判例散策】特別受益分はどこまで遺留分減殺の対象になるのか?最高裁平成10年3月24日(平成9年(オ)第2117号)

  1. 特別受益分はどこまで遺留分減殺の対象になるのか?

最高裁平成10年3月24日(平成9年(オ)第2117号)

 

【ケース】

亡Aの相続人であり遺留分権利者であるBらが、Aからその生前に土地の贈与を受けたCらに対し、遺留分減殺請求権を行使し、Cらに帰属した土地の持ち分についての移転登記手続を求めた事案。

原審ではAの財産が減少するおそれはなく、遺留分権利者であるBらに損害を加えることを知ってされた贈与ではないとして、遺留分減殺の対象にならないとの判決であった。

 

【裁判所の判断】

民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。

けだし、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法1030条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。

【ケース】

亡Aの相続人であり遺留分権利者であるBらが、Aからその生前に土地の贈与を受けたCらに対し、遺留分減殺請求権を行使し、Cらに帰属した土地の持ち分についての移転登記手続を求めた事案。
原審ではAの財産が減少するおそれはなく、遺留分権利者であるBらに損害を加えることを知ってされた贈与ではないとして、遺留分減殺の対象にならないとの判決であった。

【裁判所の判断】

民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である
けだし、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法1030条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。

【弁護士のコメント】

被相続人が遺言で相続人の一人に多くの財産を遺贈した場合に、財産を相続できなかった相続人は、遺留分減殺請求権を行使し、一定の財産を受け取ることができます。
それと同様に、遺言でなく生前であっても、被相続人が特定の人物に多額の贈与をし、相続時には財産がなかったというようなケースでも、財産を相続できなかった相続人は、遺留分減請求が可能な場合があります。
遺留分減殺の際には、相続開始時に被相続人が有したプラスの財産に、被相続人が贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して、対象財産を算定します(民法1029条)。
このとき加算される贈与の範囲は、条文上は、次のとおりです。
① 相続開始前の1年間になされた贈与(民法1030条前段)
② 遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与(民法1030条後段)
③ 不相当な対価でなされた有償処分(民法1039条)
この判例では、相続人の一人に対する贈与である特別受益の場合には、相続開始1年前か否かを問わず、また、損害を加えることの認識の有無を問わず、すべての贈与分が遺留分減殺の計算の際の基礎財産に加算されるという判断がなされました。
これは、相続制度が遺族の生活保障という機能を有していることに鑑み、相続人の公平と保護を図ろうとの趣旨で遺留分減殺請求権が認められていることから、特別受益を期間や内容で限定してしまうと、遺留分制度の趣旨を没却するという理由でなされた判断です
特別受益制度と遺留分制度の性質を考慮した判断で、妥当なものであるといえます。

このケースで遺留分の請求はできますか?【Q&A №631】

2018/11/13

【質問の要旨】

遺留分減殺請求の可否

記載内容  遺留分 贈与 遺言書 

【ご質問内容】

父が亡くなり、これから父の遺産相続について話し合いを行うのですが、相続人は兄と私(弟)の2人です。
父は6年間、兄と同居していました。その後亡くなる迄の4年間は私が引き取りました。
父が認知症となり、兄が面倒を見ることを放棄したからです。
引き取って、父の残高が少な過ぎることに気づき兄に聞いたら「贈与された」と言って父の自筆で書かれた覚書のようなものを提示してきました。
それには「〇(父)は〇(兄)に500万円贈与します。」と書かれていました。
父の自筆で書かれていたので、モヤモヤした気持ちでしたが反論できませんでした。
実際に兄の口座に送金されていました。
それから、何とか頑張ってみたのですが、父の入院などもあり、亡くなった時の残高は50万円しかありませんでした。
先日、遺言書が見つかり、そこには「残った遺産は〇(私)に全部あげる。」と書いてありました。
すると兄が「遺留分」ということを言い出し「12万5千円は俺に権利がある」と言うのです。
調べたところ「法定相続分の2分の1」との事でしたので、兄の言う事もあながち間違いではないのかと思います。
その一方で「兄さんは7年前に500万も贈与してもらっているのに。」という気持ちもあります。

そこで教えて頂きたいのですが、やはり兄は遺留分を受け取る事が出来てしまうのでしょうか?
そして、遺留分という制度は、前述の500万の贈与を考慮してはくれないのでしょうか?

631
(コウキ)

 ※敬称略とさせていただきます。

【兄の遺留分の問題ではなく、逆にあなたが遺留分を請求するケース】
すべての遺産をあなたに相続させるという内容の遺言書があったのに対して、他の相続人である兄が遺留分を請求してきたということですが、今回の案件では兄は遺留分を請求することはできません。
むしろ、あなたが遺留分の請求をすることができます。

【遺留分計算のしかた】
他の相続人が兄だけですので、あなたの遺留分は4分の1です。
問題は、遺留分を計算するときの前提となる遺産の範囲です。
死亡時に残っていた遺産(本件では50万円)だけではなく、生前の贈与も遺産に加算して、遺留分計算します。
今回の質問の場合、
死亡時の遺産:50万円+生前の兄への贈与:500万円=550万円
が、遺留分計算の基礎財産になります。
額は550万円であり、兄の遺留分は、その4分の1の137万5000円となります。
ただ、兄はすでに生前に500万円をもらっていますので、遺留分額を超えた財産をもらっており、兄は遺留分を請求できません。

【むしろあなたが遺留分減殺請求をすべき】
あなたも遺留分は4分の1の137万5000円です。
しかし、あなたは50万円の遺贈を受けただけですので、遺留分に達する金額をもらっていないということになります。
そのため、あなたは。遺産の50万円を全部もらう意外に、兄からさらに87万5000円を請求することが可能です。
法律では生前贈与を遺留分計算に算入するためには、相続開始前の1年間の贈与か、あるいは遺留分侵害を知って贈与された場合に限定されています。

(参考:民法第1030条)
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

しかし、これまでの裁判所の判例(外部リンク:最三小判H10.3.24(民集52巻2号433P))で、法定相続人が生前贈与を受けるなど、特別受益がある場合には、当然に遺産に持ち戻して、遺留分計算をすることになっています。

【遺留分の請求は原則、相続開始から1年以内】
遺留分減殺請求は、原則として、相続の開始の日から1年以内にすることが必要です。
そのため、あなたが兄に遺留分請求をしたいのなら、この1年の期間が経過しないうちに、早急に請求をしたという証拠が残る内容証明郵便で、遺留分請求をされるといいでしょう。

【生前に不審な出金はないか、念のために調査する必要がある】
なお、今回の事案では、あなたがお父さんを引き取った際に、預金残高が少ないと感じられたとのことであり、500万円の贈与の他にも、兄が出金した金員がある可能性もあります。
お父さんの預貯金の取引履歴を取得し、使途不明な出金がないかどうかは、念のため調査された方がよいでしょう。

相続放棄と非上場株式【Q&A №630】

 

【質問の要旨】

株主の過半数が相続放棄した株式

記載内容  株式 取締役 任期 

【ご質問内容】

父が他界しましたが、多くの債務及び債務保証があり相続人全員が相続放棄をしました。
父は生前、父が代表取締役を務める非上場会社の株式を60%所有していました。
現在長女である私が父に代わって経営を続けておりますが、父の死亡後私及びその他の取締役3名の任期は切れています。
私が代表取締役に就任し経営を続けていきたいと考えていますが、私たち3名の取締役の重任及び私の代表取締役選任のためにどのような手続きを行えばよろしいでしょうか。

630
(あい)

 ※敬称略とさせていただきます。

【相続放棄した場合の会社株式の保有者は誰か?】
まず、法定相続人全員が相続放棄をした場合、会社の株式は誰のものになるのかを説明します。
父が持っていた株式は誰にも属さないという状態になります。
このままでは誰も株式を保有しておらず、株主としての権利を行使できません。

【会社の経営は誰がするのか?】
これまでは、父が会社の社長(代表取締役。以下、社長といいます)だったのでしょうが、その死亡で社長がいなくなります。
このままでは社長不在となり、会社経営に支障が出ます。
そのため、早急に社長を選任する必要があります。
また、取締役の任期も満了しているということですので、新たに取締役を選任する必要もあります。

【取締役、社長の選任の原則】
ご存知だと思いますが、取締役は株主総会で選任されます。
また、社長は新たに選任された取締役で構成される取締役会で選任することが必要です。

【今回の場合、総会は開催できません】
ところで、現状の株主構成では取締役を選任する株主総会は開催できません。
なぜなら、総会を開催する場合には株式の過半数を保有する株主の出席が必要です(定足数といいます)が、父の60%の株式は相続放棄で宙に浮いた状態になっており、権利行使できません。
そのため、残りの40%では総会は開催できないということになります。

【やむを得ない暫定的な措置として取りうる手段】
取締役の任期が満了したが、新たに取締役を選任されない場合には従来の取締役が、引き続き取締役としての任務を果たすことになります。

(参考条文)
会社法 第346条(役員等に欠員を生じた場合の措置)
1.役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。(後略)

社長の選任は、取締役会ですることになるので、(既に任期が満了した)取締役で取締役会を開催し、社長を選任することになります。
あなたが取締役であったのなら、そのような手続きで社長になる方法があります。
しかし、あなたが取締役ではなかったとすれば、あなたが社長になることはできないので、ご注意ください。

【遺産株式の処理は相続財産管理人がする】
今後、法律的に問題のないように会社を運営するには、父の株式をあなたあるいはその他の会社関係者が取得する必要があります。
取得のためには、家庭裁判所に相続財産管理の選任の申請をし、その選任された財産管理人から株式を買い受けることになります。
相続財産管理人の選任のためには約90万円の予納金(裁判所に納める金銭)が必要であり、また、株式の取得のための買い取り価額(財産管理人との交渉になる)の支払いが必要であることにご注意ください。

使途不明金問題の被告の反論について【Q&A №629】

【質問の要旨】

使途不明金の主張立証責任

記載内容   使途不明金 引き出し  返還

【ご質問内容】

亡くなった母の相続の際に、母と長年同居していた兄が通帳の開示を拒んでいました。

怪しいと思い、取引履歴を取り寄せたら予想通り多額の使途不明金の存在がありました。

その総額は、母が亡くなる5年前からで4000万にもなります。

引き出しは一度に20万~50万で、引き出し額の合計が100万になる月もありました。

ATMを使えない母でしたので、引き出し行為を行ったのは兄があっさりと認めました。

一方で、「母から頼まれて引き出した。引き出したお金は全部母に渡している。

その後、母が何に使ったのかは知らない。」と言っています。

先日、役所で開催された法律相談で弁護士に相談したら「兄が母親に渡したと言うのであれば、母親が受け取っていない事をこちらが立証しないと無理です。従って裁判では返還を求めるのは無理に近い。ほとんどの裁判で、被相続人に渡したと言って逃げることができてしまっている。」と言われました。

今回、初めて相続に強い弁護士さんの質問コーナーを発見し、ご質問させて頂きました。

 

(フルホビ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【訴訟で争われる典型的なケースです】

今回の質問のケースは、同居の法定相続人が被相続人の財産をカード出金していたということで、世間でよくあるケースです。

実は、当事務所が扱うケースのほとんどが、このような案件です。

【証明する責任は誰にあるのか?】

死んだ母の口座から生前に出金されていた場合、その出金を兄が取り込んでいたという事案では、取り込んだという点の証明はあなたがする必要があります。

具体的には次の2点の証明が必要です。

① 母の口座から出金があること。

② その金を兄が取り込んだということ。

上記の①は取引履歴を取れば簡単に証明できます。 問題となるのは②の証明ですが、今回の質問では、兄がカード出金をしたことを認めています。

役所で相談された弁護士が、証明責任はあなたにある言ったことは正しいです。

しかし、兄が自分がカード出金をしたことを認め、しかも母の口座に、カード出金した金銭の入金がないというのであれば、兄が勝手にその金銭を使ったのではないかと考えるのが妥当な結論です。

そこまで行けば、兄が取り込んだという証明、100%ではないにしても、かなりの程度できていると思われます。

このようなときには、今度は兄が、出金額は母に渡した、あるいは母のために使用したということを証明する必要があります。

【証明責任は天秤のようなもの】

裁判における主張や証明責任は上皿天秤のようなもので、ある程度、あなたが証明し、それが事実らしいということになると、今度は兄の方が反証(あるいは反論)することが必要になります。

兄は母に渡したというのであれば、その点の証明は原則として兄がする必要があります。

あなたの方が、母が受け取っていない事実まで証明する必要はありません。

【カード出金をした理由はどうしてか?】

観点を変えて説明します。

兄は母に依頼されてカード出金をしたのなら、母から委任を受けて出金をしたのであり、母にその出金額を返還する義務があります。

その義務を履行したかどうかは、当然、義務者の兄がするべきものであり、証明責任はあなたではなく、兄が負うという結論になります。

【裁判の見通しについて】

役所で相談した弁護士は、裁判での返還は無理に近い、ほとんどの裁判で被相続人に渡したといって逃げることができるという判断ということですが、私とは見解が異なります。

冒頭に述べたように、当事務所が中心に扱う相続案件は、このような生前の取り込み分がある場合がほとんどです。

被害者の立場で、どんどん訴訟を起こしていますし、依頼者の人にそれなりに満足のいく成果を上げています。

もちろん、裁判になれば、兄の方からは、いろんな隠された事実を言い出し、また、新しい主張をしてくるでしょう。

裁判のことですので、絶対に勝訴するというような断言はできませんが、最悪の場合でも和解という解決方法で取り込んだ金銭の一部でも返還させることも可能の場合が多いです。

【弁護士に相談することをお勧めします】

この相談はあくまで質問者の方がお書きになった事実の限度で、回答をしています。

弁護士としてはより詳しい事実を知り、正確な判断をしたい案件です。

何が問題で、今後、どのような対応をしていいのか、その回答を得るために、是非、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

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