大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

老舗かばん店「一澤帆布」のお家騒動に見る相続問題(第2回)

残された2通の遺言書。偽造されたものかどうか… 大澤photo6【一澤帆布は閉店している】
この正月に知恩院に行ったときに一澤帆布の店の前を通った。
店は閉められており、店の扉には「お知らせ:申し訳ございませんが、当分の間、休業させていただきます」という貼り紙がしてあった。
その閉まっている店から左3軒目には「一澤信三郎帆布」店が営業していた。
ショーウインドウにはあのなつかしい帆布のかばんが飾られている。
寒い日であったにもかかわらず、店の外にも、店の中にもお客さんが入っていた。
一体どういうことになったのだろうか?

【さて、お家騒動の中味は・・】
一澤帆布は個人商店ではなく、「一澤帆布工業株式会社」が正式な名称である。
先代一澤信夫氏の引退後、三男の信三郎氏が社長となって、家業を引き継ぎ、発展させてきたが、長男は銀行に勤めており、店の経営には全く関与していなかったという。
ところで先代は三男らに会社の株式を相続させるという内容の遺言書(最初の遺言という)を書き、弁護士がその遺言書を保管していたようだ。
しかし、先代が死亡した後に、長男が、会社の株式は長男らに相続させるという、全く正反対の遺言書(第2の遺言という)を持ち出した。

第2の遺言が有効であるとすると、それより先に作成された最初の遺言は効力を失うことになる。
株式を相続したものがこの繁盛している店の経営権を握ることになる。
店を実際に切り盛りしてきた三男は当然のことながら第2の遺言に納得しない。
「これは兄貴が勝手に作った、偽造の遺言だ」(と三男は言ったであろう)ということで、長男と三男との間に争いが発生し、当然、2人の間では調整がつかず、裁判沙汰となった。
裁判の主な論点は、「第2の遺言は有効かどうか?」である。
ストレートに言えば、「第2の遺言書は偽造されたものかどうか?」である。
さて、裁判の結果はどのようなものだったか、これについては次回に・・
                                  (2010年1月9日記:R)

【コラム】実例で見る相続問題:老舗かばん店「一澤帆布」のお家騒動

【一澤帆布はこういうお店】
 先日(平成21年12月26日)の朝日新聞に「『一澤帆布』お家騒動」という記事が掲載されました。京都の知恩院の前にあるお店です。

 今から30年ほど前、京都をぶらついていたときに「お、変わったかばん屋がある」と入ったのがこのお店でした。
 いかにも手作りという味わいのあるがっちりした帆布のかばんが気にいり、値段はかなり高かったのですが、ショルダーバッグを購入しました(結局、その後も3個ほどのかばんを買いました)。
 その当時から、このお店は観光客や女性客でかなり繁盛していました。

【さて、お家騒動の中味は・・】
 問題は、先代の会長が死んだ後に、2通の遺言書が発見されところから始まります。
 1通目の遺言書は「この店の株式の大半を三男(新三郎氏)に譲る」という内容でしたが、2通目の遺言書は「株を長男らに譲る」という全くの正反対の内容でした。
 繁盛しているお店ですので、この店の経営権を巡って長男と三男の争いが発生し、当然裁判沙汰となりました。

 最初の訴訟では2通目の遺言書(すなわち、長男有利の分)が有効となって裁判が終了しました。
 しかし、その後、三男の妻が起こした訴訟では2通目の遺言書は無効という裁判が確定したという。こんな判決が出たのでは、長男が黙ってはいません。
 新聞によると、こんどは、長男が2通目の遺言書で譲るとされた株式は自分が保有するのを認めよという訴訟を最近起こしたといいます。

 なんともまぁ、ややこしいお話ですが、このブログ(あるいはもともとの新聞記事)を読んでいる皆様、お分かりになりましたか?
 長男有利の遺言書は本物、偽物、さぁどちらでしょう?

 おそらく何がなんだか、わからないというのが本当のところでしょう。
 決して、私の要約の仕方が悪いのではありません。なにせ、弁護士である私にだって、簡単にわからないのですから。

【さぁ、これから始まるのは「遺言書の落し穴」の講義】
 この裁判の判決を見ていないので、コメントはできません。
 ただ、この一澤帆布のようなケースを参考にして、遺言書の問題点を次回以降に書いていこうと思います。
 題して、サルでわかって、眼からうろこの「遺言書の落とし穴」です。乞うご期待下さい!

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