大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

資産家の叔母の公正証書遺言【Q&A №489】


【質問の要旨】
公正証書遺言が有効かどうか

記載内容  相続人 同席 カルテ

【ご質問内容】
都内主要駅から徒歩1分の所に住む叔母が、H25に85歳で亡くなりました。
叔母は後妻に入り(前妻病死 前妻の子とは養子縁組なし 実子なし ご主人も父母も亡くなっています)ご主人と工場を経営し、不動産、預貯金等、多額の財産を残しています。
相続人AとBが財産に目をつけ叔母を奪い合い、Aが入居させた老人ホームからBがさらって行った時は警察を呼び、又Aが叔母の取引銀行へ行ってBが財産を狙っているから、お金を下さないで欲しいと話し、聞きつけたBが叔母を窓口まで連れて行き、そんな事はないと言ってのけた強者と、Aから聞きました。
H22にBに全てを相続させる、H25にAに全てを相続させる(こちらは公正証書)全く内容が違い、自分1人に有利に書かせたと疑う私を、Aの弁護士を通して話せと突っぱねます。
H24には、叔母が気力も体力も無くなったとAが話していて遺言を書く頃は相当弱っていたのではと思って診断書などを取り寄せたいのですが、BがAの悪口を病院に触れ回っていて私も不審がられると思い取得できず大変困っています。
以前の電話でAは、他の相続人に言われたら火が噴いて大変だ!証書を作るとき保佐人が、相続人はA1人だから他に言わなくて良いと言われたとパニックでした。
相続人がその場にいて良いのでしょうか。
この事を息子に相談したメールは証拠になりますか?
よく眠れず、苦しいです。
先生、助けて下さい。よろしくお願いいたします。

(晴れたい子さん)


【同席だけでは無効とはならない】
叔母さんの生前から激しい争いがあり、別々の異なる内容の遺言が作られるなど、根深い紛争がうかがわれる案件です。
お互いが疑心暗鬼となり、相続人Aさんが叔母さんに対して、「自分に遺産を渡す遺言を作れ」などと圧力を加えて有利な遺言を作らせたと疑いたくなるのも理解できます。
しかし、公証人は遺言者である叔母さんの意思を確認しているはずであり、その場で脅迫や詐欺まがいのことが行われたことはまずないと考えていいでしょう。
なお、公正証書遺言を作成の際、通常、公証人は同席する人がいれば誰かを確認し、親族や利害関係人であれば席を外すように指示しますが、これは遺言者の真意を確認するためです。
その場に、Aさんがいたことで、叔母さんが《無言の圧力》を感じたという可能性がないわけではありませんが、それだけでは遺言が無効ということまでは言えないでしょう。
なお、同席の件を相談したメールについても、単に「Aも同席した」というだけのメールであれば、それだけで遺言を無効とする証拠とまでは言えないと思われます。

【代理人を通してカルテ開示を求める】
カルテの取り寄せについては、叔母さんの法定相続人(例えばAさん)なら取り寄せが可能のはずです。
Bが悪口等を言ったことで病院にカルテを請求しにくいというのもおかしいことだとは思いますが、病院が出さないというのであれば、弁護士に事件を委任して、その弁護士から弁護士会照会等の方法で取り寄せの手配をしてもらえば、病院としては拒む理由はありません。
いずれにせよ、本件のような案件は弁護士に依頼せずに解決するのはむずかしい案件ですので、早期に相続事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがいいでしょう
《参考裁判例:こんな判例があります!》
参考までに、(相続人ではありませんが)証人になれない親族が同席して作成された公正証書遺言を有効とした最高裁判所の判例もあります(最高裁判所平成13年3月27日判決)のでご参照ください。

(弁護士 大澤龍司)

遺言無効判決に必要な証拠【Q&A №292】


 現在私は、公正証書遺言を無効とする判決を得たく努力しています。その公正証書遺言は以下のような手順で作成されたようです。90歳を越えたひとり暮らしの母に長男夫婦が自分たちに極めて有利な遺言を書かせるために母を公証役場に連れて行きました。証人2名は母の甥夫婦で安心させ予め権利書で主たる財産である母の土地建物を自分たちに相続させる内容となっています。

 さて本件公正証書遺言の母は要介護3に認定されたばかりで前記夫婦の力をかりなければ立ち上がることも歩くことも出来ない状だったと思います。このような状況で本当に自分の自由意思を以って遺言書を書いたかどうか非常に疑問に思っています。介護3の認定記録の他にどのような物的証拠があれば遺言無効の判決が得られるか教えてください。よろしくお願い致します。

記載内容  長谷川式認知スケール カルテ 看護記録 認知症 介護施設

(キータン)


【要介護3でも遺言できる】
 要介護3の人でも、それが身体的な理由であれば、遺言をすることが可能です。
 遺言で問題となるのは物事を認知し理解して判断を下す能力(意思能力といいます)であり、足腰が弱っていたこととは全く別物だからです。
 例えて言えば、車いすのお年寄りの方でも意識の明確な方は多数いらっしゃるということです。

【カルテの取り寄せを検討する】
 遺言を無効にするには、次の2つのうちのどちらかである場合が多いです。

① 遺言の偽造など、遺言が本人の意思に基づいていない。
② 遺言者に意思能力がなかった。

 今回の質問では公正証書遺言ということですので、②の問題となります。
 この意思能力の判断では、カルテなどが参考になります。
 お母さんが入院していたのなら、そのカルテを取り寄せして、その記載内容を確認しましょう。
 また、通院していたのなら、念のためにそのカルテを取り寄せしましょう。
 カルテにはお医者さんの所見や看護師の病状記録などがあり、当時のやりとりや健康状態を詳しく記載しており、当時の意思能力を知る上で大変重要な資料として裁判所も重視します。

【認知症の検査結果が重要です】
 最大の決め手となるのが認知症の検査結果です。
 この検査にはいくつかの方式があるようですが、著名なところでは長谷川式認知スケールという検査方法(参照:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)があり、この検査を当時行っていればその検査結果が重要な証拠として扱われるでしょう。
 この検査結果は、病院で行われ、カルテなどとともに保存されていることがあります。このほか、介護施設によっては、長谷川式認知スケールを定期的に行っているところもありますし、介護施設への入所の際の参考記録として実施しているところもあります。
 そのため、当時お母さんが入院・通院をしていた医療機関や介護施設などに問い合わせてそのような記録がないか調査してみることをお勧めいたします。

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