大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

過去処分した不動産の売却代金調査と特別受益【Q&A №482】


【ご質問の要旨】
1 被相続人が事実婚時代に贈与等を行った場合、婚姻後に特別受益と扱われるか 2 被相続人が過去に売却した不動産の代金についての調査

記載内容 特別受益 不動産売却 取引履歴

【ご質問の内容】
被相続人は、結婚せずに20年以上同じ異性と暮らし、二人で家を購入し(名義がどうなっていたかは不明)共働きででローンの返済をしていましたが、異性が年金受給できる年齢に達する数年前に家を売り、ローン返済後の所得を持ち、異性の故郷のある土地へ二人で引越したのを機に結婚しました。
以来二人は働いていません。
私は被相続人の兄弟で、法定相続人です。
婚姻前の不動産所得は被相続人と配偶者の共用財産ですが、被相続人の財産分もあると思います。
こういった場合、調停か審判になった時、被相続人の不動産所得分として、配偶者の特別受益と見なされますか?
不動産所得額や財産分与があったのかなど、具体的には配偶者以外、誰もしらない状況です。
宜しくお願い致します。

(もっち)


【財産分与は相続の対象にならない】
ご質問の中に、「財産分与」という言葉が出てきます。
財産分与というのは、法律的には、離婚の際に、財産をその夫婦間で分ける手続です。
この財産分与が遺産で問題になることは少ないといえます。
なぜなら、財産分与は、離婚した妻(場合によれば夫)に対する支払いであり、その内容は婚姻後に夫婦で形成した財産の分割なので、仮に妻が財産分与を受けてもそれは実質的に自分の財産を戻してもらったということであり、その分は遺産にはならないからです。
また、そもそも離婚しているのですから、復縁しない限り、その妻が相続人となることもありません。
ご質問の被相続人は、離婚しているわけではなさそうなので、財産分与の有無を考える必要はないといえます。

【生前の財産譲渡は特別受益になる可能性がある】
今回のご質問で財産分与という趣旨は、おそらく、生前に配偶者が財産をもらっているのではないか、その分は遺産計算上、どうなるのかということでしょう。
そのように生前に財産をもらっているのであれば、それは特別受益として、遺産の分割時に遺産に含めて計算されることになります。

【今するべきことは、なによりも調査です】
被相続人の財産が、その生前、残された配偶者に移されているかどうかについては調査が必要です。
なぜなら、調停にせよ、裁判にせよ、被相続人の財産が配偶者に移されていることを認めてもらうためには、裏付となる証拠を集めなければならないからです。
そのため、早急に遺産調査を始める必要があるでしょう。
   《不動産の調査》
まず、かなり前に不動産を売ったようですが、その辺から調査を開始しましょう。
① 売却後に故郷に居を移したということですので、自宅を売却した可能性が高いと思われます。そこで、住所の移動状況を探るために、被相続人の戸籍附票を取寄せましょう。ご質問内容からは、売却した不動産は、故郷に移る前の住所地であることがうかがわれます。
② さらに、その不動産のある市町村から名寄帳を取寄せ (【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)、当該不動産の登記上の所在地や、そのほかの不動産所有の有無等を調査しましょう。
③ 不動産の所有状況が判明した場合は、法務局でその不動産の登記を調べることで、被相続人がいつ、誰に売却したのかが分かります。

《金銭の動き・・取引履歴の調査》
前記不動産の調査によって不動産の売却時期が判明した場合には、続いて、金融機関の取引履歴を調べることが必要です。
どこの金融機関を調べるかは、支店名まで特定する必要があるので難しいところですが、不動産の登記に住宅ローンの抵当権などがついていた場合、その抵当権者である金融機関(あるいはその関連会社)から支店名を探り出し、その支店に対して取引履歴の照会を行うとよいでしょう。
そして、その取引履歴のうち、不動産売却当時の大きな入金があれば、それが売買代金の可能性が高いといえます。
その代金額が配偶者の共有持ち分と大きく異なる、あるいはその後引き出されているなどという事実があれば、その時点で財産が贈与等されていると理解して、その後の対応を考える必要があるでしょう。

【弁護士に相談してもいいでしょう】
ご質問からは、被相続人の遺産については、現在、ほとんど判明していないように見受けられます。
そこで、前記のような調査が必要不可欠となるわけですが、一方で、処分された不動産や金融機関の支店が判明するとは限りません
ただ、質問のケースに応じてどのような調査方法が最適なのか、調査の結果によりどのように対応するなかなどについて、相続に詳しいお近くの弁護士に相談することを考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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