大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺産総額を疑われています。【Q&A №576】


【質問の要旨】
亡くなった母の預貯金を不正に出金したと疑われているが、どうすればいいか。

記載内容  不正出金 疑われた 犯罪

【ご質問内容】

 初めまして。よろしくお願い致します。
 母が亡くなりました。いわゆる孤独死になってしまい、警察が介入しました。事件も考えられるので、警察から頼まれた親戚が、私の到着前に通帳記帳をしてくれていました。
 その後私が警察で通帳や印鑑等を受け取りました。
 法事の後兄から、親戚から聞いた貯金総額と、私が提示した貯金総額に2000万近くの差がある。不明金なので、銀行に取り引き開示請求をし、それから警察に届ける、と言われました。
 通帳は、警察から受け取ったのは全てあり、兄には記帳済みの通帳も全部見せました。葬儀等の収支、現時点の残金も伝えています。通帳を見れば行方不明金などなく、親戚の見間違いとわかるのに、警察署、届け出と繰り返し言われました。
 私のことを疑う、と言う言葉こそ使いませんが(紛失という表現をします)、私は疑われていると強く感じます(通帳はあるのですから)。
 私の潔白の証明になると考えた通帳を、兄には不明金を確信したと言われました。理解に苦しみます。今は取り引き開示請求の結果待ちのようです。
 説明してもわかってもらえず、精神的に参りました。警察、届け出、と何度も書かれ、疚しいことをしていなくても、強い恐怖をかんじました。
 相続の時はこの程度疑われるのは仕方ないことなのか、兄の言葉は何かの罪に問えるのかご教示願います。
(ランナー)


【お兄さんを罪に問うことは難しい】
 どうやらお兄さんは、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑っており、あなたは濡れ衣を着せられて不愉快な思い(あるいは怖い思い)をされたようです。
 しかし、今回の様な相続のケースでは基本的に警察が介入することはなく、少々の言いすぎなどがあっても名誉毀損や脅迫などで警察が動いたという話は聞いたことがありません。

【あなたも罪に問われることはありません】
 他方で、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑われている点についても、窃盗罪として警察が逮捕や起訴に踏み切ることはまずありません。
 なぜなら、法律上、親子間(直系血族)の窃盗罪は処罰されないことが明記されているからです。
 この点は当ブログNo.389No.291No.466にも同様の記事が掲載されていますのでご参照下さい。

(参考条文 刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、・・・(中略)・・・を犯した者は、その刑を免除する。

 なお、預金の場合は引き出された銀行が被害者という理解も可能ですが、銀行がこのような事案で警察に被害届を出したという話は聞いたことがありませんし、私どもが扱う事案でも警察が動いたケースはありません。

【そもそも証拠がないのでは?】
 また、このような理屈の話を抜きにしても、そもそも不正に出金した形跡がなければ警察は動きようがありません。法治国家である以上、証拠がなければ警察も強制捜査を行うことはできないのです。

【無実の証明は難しい】
 あなたとしては、一刻も早く身の潔白を証明し、お兄さんの疑惑を解消したいというのが正直なところだと思います。
 しかし、あなたが絶対に不正出金をしていないことを立証することはほぼ不可能です(我々弁護士の世界でも、無罪の証明は「悪魔の証明」とも呼ばれるほど、非常に困難なこととされています。)。
 しかも、今回のお兄さんはもはや結論ありきで疑っているようですので、もはや何をしても聞く耳を持たずのようです。このような場合、むしろ身の潔白を証明しようと努力することが疑いを深めてしまうことすらあります。
 ただ、警察が動き出す可能性は極めて低いため、ここは耐えることに徹し、ただ身の潔白を証明する「気持ちがある」ことだけをお兄さんや周りの人に示し続けることがあなたの立場や不安を補うことにつながるでしょう。

(弁護士 北野英彦)

不正出金とされた場合【Q&A №567】


【質問の要旨】
頼まれた出金が不正出金と疑われないか

記載内容  不正出金 証拠

【ご質問内容】
私の祖母は介護が必要で施設でお世話になっています。
去年に祖母の娘(私の叔母)が、「息子が結婚する」と祖母のところへ報告にきたそうです。
祖母は孫に結婚祝いを渡すから10万円を自分の口座からおろして持ってきてほしい母に頼みました。
祖母の子供は長女(叔母)と長男(私の父)ですが(祖父は他界)、叔母はアルコール依存症で私たち家族に暴言を吐くようになり仲が悪くなって祖母以外の私の家族とは音信不通です。
母は言う通りに10万円を祖母の口座からおろし普通の封筒に入れ祖母のところへ持って行き、叔母も後日その10万円を受け取りに来たそうです。
しかしその後も結婚はしていないみたいで、(その話を出すと叔母は言葉を濁すそうで)婚約破棄になったか騙しとった可能性が出てきました
祖母は足が不自由な位で病気もなく頭もハッキリしていますが、もし亡くなって相続の話になった時にこの10万円が不正出金になるのではと心配になりました。
言われた通り口座から引き出したのは私の母ですが、叔母が「そんなお金貰っていない、不正な出金だ」と言われたら証拠がありません。
これは祖母の口座を管理している私の家族の不正出金になるのでしょうか。宜しくお願い致します。

(けり)


【厳密には祖母の同意がありますが】
 今回は、お祖母さんの同意を得て出金したのですから、(外形上はともかく)厳密には不正出金ではありません。そのお金をお母さんが利得したわけでもありませんので、後日責任追及を受ける理由はありません。
 しかし、そのような話はお祖母さんが亡くなった後は誰も分かりませんので、叔母さんが「10万円が消えている。誰かが不正出金した」と騒ぐ可能性もないわけではありません。

【経過を書面化するなど記録しましょう】
 幸いなことに、お祖母さんはまだご存命で判断能力も十分なようです。それであれば、10万円の出金経過(叔母さんの息子さんの結婚祝いのため出金を依頼したこと、叔母さんを通じて息子さんに渡したこと等)を書面化しておき、お祖母さんにこれを承認する旨のサインや印鑑をもらっておけば、不正出金でないことの証拠になります
 (叔母さんが騙したかどうかは別問題として)少なくともこの書面を作成しておくことで、お母さんの不正出金だと言われることは防ぐことができるでしょう。

【出金の証拠は残るが、支払いの証拠は残らない】
 お祖母さんの指示に従い、お母さんがお祖母さん名義の口座から10万円を出金したという事案ですと、払戻伝票はお母さんが書かれていたことになります。
 また、口座名義人ではないお母さんが出金するのですから、金融機関はお祖母さんのお母さんを代理人とするという内容の委任状も取っているはずです。
 金融機関はこれらの出金関係の書類を残しています
 お祖母さんの死亡後であれば、その法定相続人がこれらの出金関係の書類の取り寄せが可能です。
 要するに出金した証拠は残るということです。
 一方で、出金したお金を、お母さんが叔母さんの息子に渡したという点については、結婚祝いで渡したのですから、領収書などは出してもらえないでしょう。
 そのため、出金したお金の使途を裏付ける書類はないということになります。

【死亡後に出金分の使途が問題になると・・】
 お祖母さんがなくなり、叔母さんがこの10万円の出金を問題にすることを想定すると、その際、お母さんは困った立場になります。
 10万円をお母さんが出金したことは金融機関に残っている払戻伝票等の書類で証明できますが、その出金した10万円を叔母さんの息子に支払ったことは証明できないからです。
 叔母さんが10万円を問題にする場合、その息子が自らもらったと言うことも考えにくいでしょう。
 又、結婚祝いとして渡したと言っても、その結婚自体がなかったというのですから、ますますお母さんの立場は不利になります。

【証明方法としては書面を作る、録音をするという方法がある】
 お祖母さんが存命なら、出金の依頼《叔母さんの息子さんが結婚するという話を聞いたので、10万円を出金することをお母さんに依頼し、お祖母さん自身が叔母さんにその10万円を渡したこと》を書いてもらうといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

認知症の母の現金を姉弟に横領された件【Q&A №563】


【質問の要旨】
他の相続人による不正出金を取り戻せるか

記載内容 不正出金 意思能力

【ご質問内容】
母が2月に亡くなりました
母は不動産収入があり、毎月必ず47万ほどの収入が郵便局の口座に振り込まれています。
母は、2013年10月に脳梗塞で倒れて、その後は認知症のため判断能力がなくなり、弟と姉が郵便局の現金口座を管理していました
老人施設に入ったために、毎月20万から22万くらいの費用がかかりました。
その分以外は、母は認知症で使いようがないので、そのまま残っているはずで、毎月毎月、47万から税金分を引いて、32万円。
そこから22万円かかっても、毎月10万円ずつ、2013年11月から2017年1月まで38ヶ月間で、380万円。
プラス年間でで80万円が不動産の管理会社より入金がありますから240万円プラス。
合計で620万ほどは、どう考えても残っていないとおかしい母自体が施設で寝たきりの生活でもちろん現金を使うことはできないのでおかしいはずなのです。
しかし、母が亡くなった後の現金が100万円にも満たないのです。
2013年10月の脳梗塞を起こす前を含めるとプラスで500万ほどは残っているはずで合計で約1000万円の相続になるはずなのです。
以上の件から、明らかに、姉と弟による不正な出金が明らかなことだと思います。
母の状態が脳梗塞で判断能力がなく、ほぼ寝たきりで介護施設での生活でした。
その上で後見人制度も利用せずに3年間いましたから。
今、母の口座のある郵便局に記録を申請していますが、この場合は、この本来あるべきはずの金額は取り戻していくことは可能なのでしょうか?
どういう手順で行うことがベストなのか
知りたいと思い、メールさせていただきました。
よろしくお願い致します。

(ジュン)


【お母さんの意思能力と出金との関係】
質問にあるように、お母さんに判断能力がない場合に預貯金が引き出されているのなら、その預金はお母さんの意思に基づかないものであるということはできます。
にお母さんに判断能力があっても、お母さんの意思とは関係なく出金されたのであれば、その出金は違法なものだといえます。
しかし、仮にそれらのような出金があったとしても、出金された金銭がお母さんのために使用されていたのなら、お母さんに損害はなく、不法行為にも、不当利得にもならず、その出金を返還せよという話にはなりません

【使途不明金があるかないかを確認する】
そのため、まず、お母さんのためではなく、その他の目的でなされた出金があるかどうかを調査する必要があります。
]これを知るためには、お母さんの口座について、どのようなものがあり、どのように入出金されていたかを金融機関に照会することになります。
現在、お母さんの口座のあるゆうちょ銀行に取引履歴の照会をされているようですが、それ以外に利用されていた金融機関があればその履歴の確認も必要でしょう。
入出金履歴の取り寄せができたなら、その内容を詳細に検討する必要があります。
個別に出金を点検して、お母さんのためとは思われない出金があるかどうかを確認していくことが必要です。
《本来あるべきはずの金額》とは、そのような検討の結果で判明するものです。

【使途不明金を誰が引き出し、何の目的で使ったかも確認する】
使途不明金(正確に言えば、お母さんのため以外に使用された金銭)があるのなら、その使途不明金を誰が引き出したかを確認するのが次の作業になります。
お母さんの預貯金通帳や取引印、キャッシュカードを誰が保管していたのか、カードなら出金したATMがどこに設置されたものであるかにより誰が出金したのかを推測できるでしょう。

【損害賠償請求権は相続される】
出金されたお金があり、そのお金がお母さんのために使われていないということなら、お母さんはその引出者に対して不法行為による損害賠償を請求することができます。
お母さんが亡くなった後は、この権利は相続人に相続されます
今回の件で相続人が子供3人であるとすると、あなたはお母さんの持っていた損害賠償請求権の3分の1を相続しますので、出金者に請求をし、話し合いをされるといいでしょう。

【話し合いがつかない場合には調停を考える】
ただ、今回の問題のような不正出金については、円満な話し合いで解決するのはむずかしいことが多いです。
その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を起こすことを考えるといいでしょう。
家裁の遺産分割調停は費用もそれほどかからず、又、調停委員も関与しますので問題が解決することも多々あります。
しかし、あなたの請求どおりになることは少なく、お互いが譲歩を迫られることも多いということも知っておかれるといいでしょう。
どうしても、あなたの考える請求額を全額もらいたいというのであれば、その場合には相続分に応じた不法行為に基づく損害賠償 請求訴訟を起こすしかありません。
この訴訟は素人の方には難しいので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】


【質問の要旨】
不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】
父親が昨年秋に死去しました。
私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました
現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。
父は預貯金や株を所有していました。
父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました
当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました
その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。
この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。
この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。
父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。
兄は、死亡届を金融機関に未提出
父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。
私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。
兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。
夜も眠れません。
兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。
遺言状も存在しないようです。
私はどうすればよいでしょう。
父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?
せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)


【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】
遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。
又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。

【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】
お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります
死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。
利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。

【生前の引き出し分の調査】
前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。
ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります
そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。
ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。

【カルテの取り寄せも考える】
お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう
カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。
お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。

【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】
保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。
又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。

【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】
お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。
お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。
裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。
そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう
お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】


【質問の要旨】
母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】
父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。
弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。
以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。
その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。
嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか
また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)


【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】
お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません
あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。
しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。
そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。
あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。
お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。

【成年後見人をつけることも考える】
現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。
家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。
今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。

【現時点でできることは何か?】
ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。
その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。
そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう
通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。
履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。
現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

★不正出金とその調査【Q&A №537】


【質問の要旨】
交通事故で長年寝たきりだった祖父の遺産は調査できるのか?

記載内容  不正出金 医療費 成年後見人

【ご質問内容】
初めまして。
突然ですが祖父の遺産についてご相談があります。
私の父方の祖父が最近亡くなりました。
父には妹が二人居て三人兄弟です。
祖父が12年ほど前に交通事故で植物人間状態になり、ずっと寝たきりで最近亡くなりました。
祖父が寝たきりの状態の管理は全て次女に任せていたみたいです。
そして遺産整理をしてたところ、年金を二ヶ月で45万円をずっともらっていたはずなのに祖父の口座には預金が全くなかったらしいです。
次女に聞いたところ医療費で消えたと言っていましたが寝たきりの状態なのにそこまで費用がかかったとは自分は思えないのです。
しかも交通事故で寝たきり状態になったので加害者からの保険金が4000万円ほど入ってきてたそうです。

そこで質問なんですが
①本当に医療費で消えたのかを調べられる手立てがあるのか
②調べるとしたら父はどうしたらいいのか
を簡単に教えて頂きたいです。
よろしくお願いします。

(ゼン)


【成年後見人に確かめるのが一番、早い】
お祖父さんが交通事故で植物人間状態になった、損害賠償で4000万円をもらったということですが、もし、その点が間違いないのであれば、お祖父さんには成年後見人がついているはずです。
賠償額が極めて多額ですので、4000万円は保険会社が支払ったものと思われます。
保険会社としては、当然、交通事故の被害者であるお祖父さんの状態―植物状態で意識がなく、判断能力(意思能力)がないことを知っていますので、お祖父さんに成年後見人がついていない限り決して示談はしませんし、また、賠償金も支払うこともありません。
成年後見人の選任される場合には、家庭裁判所は必ず法定相続人であるあなたのお父さんの意向を確認しますので、お父さんに聞いて見られるとご存知だと思います。
成年後見人がついているのであれば、その成年後見人が(少なくとも成年後見人に就任以降の)お祖父さんの財産管理をしていますので、その内容の開示を求めるといいでしょう。
なお、お祖父さんが死亡し、相続が開始したのであれば、成年後見人から法定相続人に対して、通常の場合、財産引継ぎ等に関する連絡が間違いなくあるはずだということも覚えておいていいでしょう。

【成年後見人がつく前の取り込みの可能性があった場合の対処】
成年後見人が就任する前に、お父さんの妹が預貯金を使いこんだ可能性があるのであれば、お祖父さんの金融機関の取引履歴を調べるといいでしょう(調べ方については本ブログの相続問題Q&A№98に詳細に記載しておりますのでご参照ください)。
金融機関がわからない場合には、まず郵便局、そして郊外であれば農協等はかならず調査の対象にする必要があります。
なお、金融機関の調査ではどこの支店かというところまで調べる必要があります(但し、金融機関によっては全国の支店での口座の有無を照会してくれるところがあるが、それはごく一部のみです)。
支店がわからないのであれば、年金を受け取っていたのであれば、その年金の受け入れ口座を社会保険庁に確認することから、被相続人の口座が判明する場合があります。
また、同様に電気やガス等の引落口座を調査することにより、口座が判明することがあります。

【医療費の確認方法】
《本当に医療費で消えたのか》を調べるのなら、お祖父さんの入通院していた医療機関に医療費がどれだけ支払いされていたのかを確認されるといいでしょう。
お父さんは被相続人であるお祖父さんの法定相続人ですので、病院は回答をしてくれます。
ただ、その際、法定相続人であることの証明を要求されますので、予め戸籍や除籍謄本を用意されておくといいでしょう。
なお、死亡時の病院はわかっているが、それ以前の病院がわからないというのであれば、死亡時の病院のカルテも取り寄せが可能ですので、そのカルテの中の病歴等の欄を確認すると、それまでに治療を受けた病院等が記載されていることが多いです。

(弁護士 大澤龍司)

★後見人による着服、不正出金【Q&A №534】


【質問の要旨】
後見人である長男が、母の貯金をおろしていた

記載内容 不正出金 成年後見人 横領

【ご質問内容】
関係者は、最近亡くなった母(被相続人)と4人の子供です。
老人ホームで痴呆状態の母には、3,000万円の貯金資産があった筈(証拠書類あり)ですが、後見人だった長男から、「全て下ろして、貯金は残ってない」と言われ、騒動が続いてます。
過去、長男は母に無断で、キャッシュカードで何回も50万円/日限度に下ろして自分の懐(自分名義口座)に入れてました。気づいた4男が詰問したところ、その事は口頭で白状し、横領行為を認めています。
但しその録音記録はない。
明らかに後見人による業務上横領罪ですが、刑法の規定により、直血の親族、若しくは同居人には、刑罰が免除される、という事で裁判しても勝訴の見込みが立たなく、後見人を除く3人兄弟で困っております。

<質問>
1)裁判において、長男は「お袋に頼まれて、若しくは許可を得て、貯金を下ろした」とウソの弁明で押し通すと思われます。それを崩す方法は何かありますか
2)亡母の生活費、老人ホーム費用は遺族年金で十分に足りており、貯金に手をつける必要は全くない状況でした。
3)亡母の老人ホームでの健康状態、判断能力について、医学的な診断書を準備できれば、(1)の長男の真っ赤なウソを突き崩せるものでしょうか。
4)これから遺産をもらえなかった3人の兄弟が取れる抵抗手段につき、アドバイス下さい。

(庭の千草)


【親族相盗に該当しても、民事裁判で請求が可能である】
成年後見人である長男が成年被後見人である母の預貯金を使ったというケースに関する質問です。
このようなケースでは法律上は刑事と民事の問題の双方から考える必要があります。
民事の問題は、刑事上の問題とは無関係であり、親族相盗例に該当しても民事裁判で損害賠償請求や金銭の返還請求も可能です
参考までに言えば、刑事事件としても、親族が成年後見人の場合には、親族相盗例に該当する場合でも刑罰に問われます
参考判例: 家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項は準用されないと判断した判決として、最高裁平成24年10月9日決定。
コラム【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)もご参照ください。

【成年後見人の使い込みの証明は難しくない】
長男が成年後見人になった後は、母の財産は全て成年後見人の口座に移されます。
そのため、その預貯金を引き出すのは成年後見人以外にはありません
又、施設に入っているということであれば、母のために多額の出費をするということも通常は考えにくいので、成年後見人が引き出した金銭は成年後見人が使ったものと判断されることになります。

【成年後見人になる前の引き出し分について】
成年後見人になる前の引き出し分については、引出者が誰であるのか、又、被相続人のためにつかったのかどうかが問題になります。
使いこんだ長男がウソをつく事態を想定し、予め、これらの点に関する客観的資料(払戻伝票等の文書)を集め、ウソに対処できるようにしておくといいでしょう(当ブログQ&A №362Q&A №317をご参照ください)。

【成年後見人選任前の行為については、母の判断能力が問題となる】
成年後見人がつくということは、母の判断能力(意思能力)がないということです。
長男が、成年後見人がつく前に《母から贈与を受けた》と主張するのなら、その時点での母の判断能力が問題となります。
そのような場合に備えて、母の入通院していた病院や医院のカルテや看護日誌、介護施設の介護記録を取り寄せしておき、母に判断能力がないことが立証できれば、母からの贈与の存在やその効力がなかったことを証明でき、長男に対する反論ができるでしょう。

【長男以外の相続人の対抗手段】
前記のとおり長男が成年後見人になってから以降の引き出し分についての証明はそれほど困難ではありません。
又、成年後見人になる前の預貯金の引き出しに関する対応も前記のとおりです。
問題は、長男が財産を隠すということも想定しておく必要があるということです。
裁判で勝訴し、長男は他の相続人に金銭を支払えという判決が出ても、長男が財産を隠すと、1円も取れない可能性があります。
そのため、長男の銀行口座や不動産等、資産内容をできるだけ早期に確認しておく必要があります。
又、長男が資産隠しをするような気配があれば弁護士に依頼して、仮差押の手続きをしてもらう必要があるということも覚えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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