大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

第三者の寄与と遺言【Q&A №532】

【質問の要旨①】
相続人の配偶者が費用負担すると寄与分になるか?

【ご質問内容①】
被相続人(父)の介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部、不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用などを相続人である子(女)の配偶者(夫)が負担した場合、将来被相続人が逝去時、相続される過程の中で寄与分として認められますか?
(相続人は専業主婦により収入はなく、かかった費用は夫に委ねざるをえない状況による理由から。)

(九州女児)

【質問の要旨②】
特別受益の持ち戻しを遺言書に記載した場合、有効か

【ご質問内容②】
被相続人より住宅資金の援助として生前贈与を受けたという証明を取り付けるのが困難である場合、遺言書に「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。
相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」と記載した際、遺言書として認められますか?

記載内容 介護費用 援助

(博多っ子)


※同一人物と思われる方から2つに分けてご質問いただいていますが、回答は一つにまとめています。ご了解ください。

【寄与分の問題ではなく、相続債務の問題ではないのか?】
被相続人のお父さんの介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部を負担したことについては、被相続人の支払うべき分の立替支払いをしたとして理解することが可能です。
その前提に立てば、寄与分という以前に、被相続人は立替支払いをした人に対して返還債務を負い、この分は相続債務として法定相続人に承継されます。
同様に《不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用など》についても被相続人が立替費用返還債務を負い、これが相続人債務になると理解することが可能ですし、その方が実態に見合うでしょう。

【寄与分としてみた場合の問題点】
もし、上記費用の返還を求めないという前提で出したということであれば、寄与分の問題となります。
寄与分は認められることが少ないですが、例えば、付添看護をしたというような場合には、付添等をした分、ヘルパーの料金の支払いを免れた分程度しか、寄与分は認められません。
ただ、今回の質問のケースは、上記各支払いにより、被相続人の遺産が減少を免れたことが明らかですので、寄与分として認められる可能性はあると思われます。
問題は、寄与分は法定相続人間で認められる制度だという点です。
今回の質問は、法定相続人ではなく、その配偶者(夫)が寄与したという点にあります。
夫婦であり、一体と見て、夫の寄与分も妻の寄与と同視するという考え方が多いようですが、これらの問題点があることを考えれ ば、やはり前項で記載した立替金返還請求債務として処理するのが妥当だと思います。

【特別受益に関する記載の効力】
遺言の効力を考える場合、
① その記載をして、遺言書全体が無効になるのかどうか?
② 遺言書全体としては無効にならないとしても、その記載が有効なのか?
という2つの方向からの検討が必要になります。
まず、最初の①の観点から言えば、「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」という内容は遺言書本体ではなく、遺言者の希望を書いた《付言事項》というものにすぎず、そのため、遺言書全体が無効になるということはありません
次に、上記②の付言事項として効力があるかという点ですが、仮に上記のような記載をしても、住宅資金を援助した事実があることの決定的な証拠にはならず、又、特別受益になるものでもありません。
前者はそのような事実があるかどうかの問題であり、後者はそのような事実があった場合にどのように法的評価するかの問題であり、いずれも遺言者が決定するべき事項ではなく、最終的に裁判所が判断するべき事項です。
もし、200万円を特別受益したから、その分、その受益者の取り分を減らしたいのであれば、その受益者の相続額を減額した配分の内容の遺言書を作成するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】


【質問の要旨】
姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】
要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました
姉の所で世話になっていたのは、5年間です。
月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし た。
差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか
世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。
母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)


【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】
姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません
お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。
仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。
ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。

【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】
お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります
ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。
わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。
仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります
参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。

【570万円の扱い】
この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます
お姉さんが勝手に使った場合
お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。
お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。
お母さんが生前贈与した場合
もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。
お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合
お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。
今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。
もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。
この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。

(弁護士 大澤龍司)

地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか【Q&A №501の再質問】


扶養能力がないのに遺留分と養育費は相殺されるのか?【Q&A №501】に関する再質問

【質問の要旨】
地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】
子供に対して地裁で遺留分(1250万円)を求めて本人訴訟中なるも、子供(義母と同居し現在は社会人)は、大学卒業までの生活費や学費などの養育費(1600万円)との相殺を要求。
私はその当時から現在まで病気で収入がなく、また数千万円の借金があるので扶養能力はなく、子供は充分な遺産(5000万円)
があるので要扶養状態にはない。
和解交渉でこのことを主張するも、裁判官は、(法律的根拠は示さず)遺留分の権利だけを主張して扶養義務は果たさないのはおかしいとして、私が遺留分をもらえば、そこから子どもが立て替えた養育費を払うように強く要請。
私は、父子間の養育費は家裁の専権事項なので、本裁判では遺留分の決定をし、養育費については被告が調停申立をすべきと主張するも、裁判官は被告から相殺の要求が出ているので、地裁で養育費の決定ができると拒否。

そこで質問なのですが、
(1)本当に地裁で養育費を決定できるのか。
あるいは、和解を成立させんがために私へ譲歩を迫るだけであり、判決では養育費については盛り込まれない可能性が高いと思われるか。
(2)判決で養育費と相殺された場合、それを理由に控訴しても却下となる可能性が高いか。
(3)もし家裁で養育費が決定される場合は、養育費が決まった後に地裁で遺留分と相殺して支払われるのか。

または、地裁では遺留分が確定し、家裁で養育費が確定して,相殺ではなく個別解決になるのか。

(オーくん)


当相談では、原則、再度の質問には回答しないことになっています。
ただ、お困りかもしれませんので、簡単にコメントをします。
この程度でご了解ください。

【再質問】
地裁の遺留分減殺事件で(家裁の専権事項である)養育費を決定できるのか?

【回答】
養育費の決定は家裁で決定すべきことです。
そのため、地裁の判決主文中で養育費が決定されることはありません
ただ、判決理由中で、遺留分額を減少する際の事情として未払養育費額を考慮することはできないかという問題がありえます。
しかし、家裁の専権事項である以上、理由中であっても、養育費額の認定はできないというべきでしょう(この点に関する参考裁判例としては、婚姻費用についてですが、同趣旨の判例がありますので末尾に記載しておきます)。
但し、当事者が和解提案する際の事情として未払い養育費を持ち出す、あるいは裁判所が和解案を出す際に未払い養育費を考慮して解決金額を提示するという程度なら特に問題ないでしょう
その点を考慮すると、あなたに譲歩をせまる材料として裁判所は養育費問題に言及しているというところでしょうか。

【再質問】
判決で養育費が考慮された場合、それを理由に控訴することが可能か?

【回答】
本来考慮すべきではない事項を考慮しているのであれば、それは控訴理由になり、原判決の取消事由となると思われます

【再質問】
家裁の養育費と地裁の遺留分との関係

【回答】
地裁としてはいつまでも判決を延期するわけにはいきませんので、養育費は別途解決してくださいとして、遺留分のみについて判決する可能性が高いと思います。

【参考判例】
婚姻費用の分担については、専ら家裁が審判すべきものであって、地裁は抗弁に対する判断としても、婚姻費用の分担を定めることはできない(京都地判昭和32年10月17日)。

(弁護士 大澤龍司)

★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】


 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)

 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容  不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得

(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。

【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。 ※横領についても同様の刑の免除の条文があります。

内縁の夫が遺産を渡してくれない【Q&A №333】


 母の叔母の死後に生じた事柄についてお尋ねします。
 大叔母は先夫が戦死した後、長年内縁関係のパートナーと仲良く暮らしておりましたが、先日90歳余で死去しました。籍は入れておらず、子どもはいません。遺言もなかったようです。
 姪である母によると、パートナーは認知症で入院しており、葬儀などは母やいとこの叔母が取り仕切り、相手側のきょうだいは「内縁関係だから」といった冷淡な態度で文字通り、何もしてくれなかったそうです。お墓に関しても取り付く島がないらしく、お骨は母が預かっています。

 問題なのが、大叔母の生前から財産(遺族年金など)はパートナーが管理しており、現在はあちらのきょうだいが「そんなものはない」「叔母さんの入院代に使った」などと言い、叔母固有の財産のことが全く分からないことです。

 母やいとこの叔母としてはせめて、「お墓を建てたり、供養をしたりするお金を渡してほしい」と考えています。
 私は遠方に住んでおり、話を聞いているだけですが、相手側は、おっしゃるところの内縁関係ゆえにパートナーであっても相続できない遺産を、相続の権利のある母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです。いかがですか。
 大叔母の遺産を調べるには、どのような手立てを取れば良いのでしょうか。大叔父の遺族年金など、少なからず大叔母固有の財産はあると確信しています。

記載内容  内縁 介護費用 不正出金

(きなっしー)


【窃盗にはならないが・・】
 質問には《母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです》とありますので、この点を先に回答します。
 まず、大叔母さんの財産は生前、内縁の夫が管理しておられたようですので、内縁の夫が預かり続けても、大叔母の意思に基づくものであり、窃盗にはなりません。
 次に、現在、預かり品を内縁の夫の親族が所持している場合ですが、内縁の夫から保管を依頼されているのなら、権限ある占有者から預かったということで窃盗にはならないでしょう。
 ただ、内縁の夫の親族の方が預金を使いこんだようなことがあれば、窃盗ではなく、横領罪等の犯罪が成立する余地があります。
 注意するべきことは、仮に横領が成立するような場合であっても、警察に被害届を提出し、又は告訴状を提出しても、警察がすぐに動くことはまずないということも知っておく必要があるでしょう。

【相続人のみが遺産調査をできる】
 相続人であれば、遺産の調査が可能です。
 そのため、相続人が誰であるかが問題となります。
 被相続人である大叔母さんに子供がなく、大叔母さんのご両親も死亡されている場合には、大叔母さんの姉妹であるあなたのお祖母さんが相続人になりますので、お祖母さんが相続調査をすることができます。
 又、もしお祖母さんのほうが大叔母より先になくなっているのであれば、お祖母さんの子であるあなたのお母さんが代襲相続人として相続人となりますので、お母さんが相続調査ができることになります。

【相続調査の方法】
 あなたのお母さんが相続人だとした場合、あなたのお母さんは遺産を調査することができます。
 相続調査については、金融機関及び支店名を特定して預貯金の調査をするのが基本です。
 もし大叔母の取り引きしていた金融機関がわからない場合には、遺族年金を支給していた機関(大叔父は戦死されているようですので、軍人恩給の場合には総務省恩給局などの可能性もあります)に問い合わせをするというのも一つの手段でしょう。
 金融機関及び支店名がわかれば、その金融機関に「照会の手続きをしたいがどのような書類がいるか」と確認された上で、必要な書類を提出して、取引履歴を開示してもらうとよいでしょう。(詳しくは、Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 を参照ください)。
 次に大叔母さんが不動産を所有していなかったかどうかも確認する必要がありますが、この点は市町村に問い合わせをするといいでしょう(相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。

★相続で取得した共有の不動産を単独取得したい場合【Q&A №106】


 父が亡くなり、家を兄弟で相続しました。今は長男の私が自分の家族と実母とその家に同居しています。家を売りたくないので、弟に相続分として現金を払うべきかと悩んでいます。こういった場合、家を査定してもらって現金を支払うならどの程度払えばよいのでしょうか。こちらは親の面倒を見ているので(あまりそういう意識は弟にも母にもないようですが)、査定額の半分を渡すのには抵抗があります。どうすればよいでしょうか。またお金は全額一括でないといけませんか?

記載内容  代償分割 介護費用 価格査定

(ハプキンス)


 【遺産分割協議は終わっているのか?】
 家を弟さんと2人で相続したとありますが、遺産分割協議書を作成するなど、既に相続の手続きは終わっているのでしょうか。
 もし終わっているなら、相続の問題ではなく、相続で共有となった家を単独にするための手続き―共有物分割請求―の問題であり、相続の問題ではありません。
 ただ、今後、兄弟で相続するのだというのであれば相続の問題です。

【解決の方向は2つです】
 もし、遺産分割が終わっていないのなら、問題の解決の方向としては、①あなたが家を単独で相続するというのと、②家は共有にするが、使用についてはお母さんの面倒を見ているので、あなたが相続するという合意をするという、2つの方向があります。
 ただ、②の方向は、いつか将来、弟さんの取得した持分を買い取るということになりますので、現時点で可能な①の方向を検討するといいでしょう。

【まず、お母さんを味方につける】
 まず、相続人は、お母さん《法定相続分2分の1》とあなた《法定相続分4分の1》と弟《法定相続分4分の1》です。
 そのため、まずお母さんを説得して、味方につけ、家をあなたの名義にするのに協力してもらいましょう。
 そうすると、あなたが家を自分の単独名義にする場合、弟さんに支払うべき金額は、弟さんの相続分である4分の1の金額で済みます。

【代償金を低くするためのテクニック】
 相続で家を単独取得する場合、弟さんに見返りとしてお金(代償金)を支払う必要があります。
 この場合、弟さんが相続で代償金を取得しますが、第三者に不動産を譲渡し、売却代金を分割した場合に課税される譲渡益課税(通常、代金額の約20%)の支払いの必要はありませんし、売却を仲介した業者に支払う手数料(代金の約3%)も不要です。
 このように、弟さんにとっては、売却代金の分割より代償金の方が有利になりますので、その点を説明し、査定額から20%程度、減額してもらうように交渉するといいでしょう。

【一括払いかどうかは弟さんとの話し合い次第です】
 代償金の支払い方法は決まっていません。
 しかし、通常は一括支払いをし、その時に同時に登記を移転してもらうことになります。
 ただ、あなたがお母さんの面倒を見るということで、弟さんに分割払いにしてもらうようお願いしてもいいでしょう(但し、了解するかどうかは弟さんの意向次第ですが)。

【お母さんの介護は、今回の相続とは別の問題です】
 お母さんの介護費用や手間の問題があるとしても、それはお父さんの遺産分割とは別個の話です。
 ただ、母親の介護をする義務(扶養義務と言います)は、兄弟全員に平等にありますので、代償金支払いの交渉の際、あなたが介護をする(ということはお弟さんは扶養義務を免れるという利益がある)ということを減額のための説得理由とすることも、交渉テクニックとして考えていいでしょう。

★介護をする代わりにもらったお金は特別受益か?【Q&A №104】


12年前に生前贈与(負担付)父の面倒を見る約束で450万円贈与を受けました、これは特別受益に該当しますか。

記載内容  介護費用

(fox)


【面倒をみるという約束があっても、贈与は特別受益になります】被相続人の方から、住宅資金として多額の援助(贈与)を受けたり、私立大学の医学部に行くための学費を出してもらったりした場合には、特別受益を受けたとして、相続額が減らされます。
今回の相談は、被相続人となるお父様の面倒を見るという負担付きの贈与を受ける場合には、そもそも特別な受益にならないのではないか?という点に関するものです。
しかし、結論から言えば、たとえ負担付きであっても、あなたに贈与されたお金は特別受益になります。

【面倒を見ることに伴う費用は・・】
裁判例では、特別受益があるが、その受益を得るために費用を負担した場合には、その費用を特別受益額から減額することを認めるものがあります。
例えば、足の悪いお父さんと同居するためにエレベーターやリフトを作った場合には、その費用を特別受益額から減額できそうです。
したがって、このような費用に関する領収書があるのなら、是非、残しておかれるといいでしょう。

【親の面倒を見ること自体は特別受益の減額要素として評価されないのか】
親と同居すること自体が評価されないのかという問題があります。
残念ながら、この点はあまり評価されません。
子供が親を見るのは当然であって、親の面倒を見たことによって特別受益が減額されたり、特別寄与として認められたりすることはないと考えていいでしょう。
(参考までに言えば、当事務所の弁護士間で協議したところ、親の面倒を見れば、相続などでそれに見合う経済的利益を与えるべきだという意見が多数でした)

【お父さんに遺言書を書いてもらいましょう】
親の面倒を見るということがどれほど大変なのかは、その経験をした人でないとわからないでしょう。
将来、裁判や新しい法律で、親の面倒を見た子供に有利なように変わっていくかもしれませんが、当面のところは、被相続人であるお父さんに遺言書を書いてもらって、あなたが多くの遺産をもらえるようにするしかないでしょう。

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