大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

法的に正しい遺産分割とは【Q&A №289】


 母が亡くなり 法定相続人は姉(既婚)・私(独身・母と同居)2人です。  母の遺産は土地・建物(アパート)・預貯金です。
 そのアパートは数年前、母の実妹(独身・親・子無)私達には叔母が急死(孤独死)をし、遺言書はありませんでしたが、生前 私には今の家が残るが、姉は持家が無いので叔母所有の土地・建物(アバート)をあげると言ってたとの親戚の一言で、母が相続しました。

 母の正式な遺言書になるか不明ですが、そのアパートは姉に相続させる旨の一筆が見つかりました。その他預貯金に対しては何も書いてありませんでした。

 そこで、姉と法定通り相続するにあたり、その土地・建物(アパート)は姉が相続するとして残りの預貯金を姉と私と均等に相続するのか。
 または、土地・建物・預貯金総合し、姉はアパート+アパートの評価額を引いた預貯金 私は預貯金(当然アパート評価額相当分がプラスされる)
 法律的には、どちらが正しいのでしょうか?

 ご回答の程よろしくお願い申し上げます。

記載内容  代償分割 均等

(しいたげられた妹)


【遺言がなければ法定相続分は均等】
 まず、お母さんの書かれた《一筆》(書面)が法律上の遺言にあたらない場合についての回答です。
 遺言がないのであれば、あなたとお姉さんの法定相続分は2分の1で均等です。
 そのため、土地建物も預金もすべての遺産を総合したものを、お姉さんとあなたの2人が2分の1ずつ分け合うということになります。
 ただ、遺産分割に際しては、お母さんの《一筆》を尊重して、アパートはお姉さんが取得することを前提とした場合、2人の具体的相続分は次のとおりとなります。

・お姉さんの相続分=アパート+預貯金の一部=遺産の2分の1
・あなたの相続分=預貯金の一部=遺産の2分の1
 結局、あなたは全遺産の2分の1に相当する預貯金をもらい、その他の遺産はお姉さんが全部取得するということになります。
 その意味では、あなたの考え方のうち、すべての財産を総合して分け合う後者の考え方が法律には沿った解決といえるでしょう。

【《一筆》が遺言として有効な場合】
 もしお母さんの一筆が遺言として認められる有効なもの(遺言書の有効要件については、 Q&A №50Q&A №69参照)であれば、土地建物は遺言どおりにお姉さんが相続し、預貯金は遺言に記載がないのでお姉さんとあなたとが2分の1ずつで分け合うことになります。
 ただ、このように分けた時に、もしあなたの取り分が少なく、全遺産の4分の1を割るという場合には、あなたとしては遺留分を侵害されますので、遺留分減殺の意思表示をすることになるでしょう(遺留分減殺については、 相続コラム:「遺留分とは」 を参照)。

 ただ、法定相続分というのはあくまで権利ですので、必ずしも法定相続分どおり分けなければいけないわけではありません。極端な話をすれば、相続権は放棄することもできますし、放棄をしなくとも、遺産を引き継ぐべき人物はお姉さんであるとあなたがお考えであれば、土地建物はお姉さんが相続し、残りの預金だけを2分の1ずつ相続するという形にしても法的には全く問題ありません。
 法律上は、遺産分割協議という全相続人間の話し合いによって決めることを第一としており、遺産の分け方は相続人の意思(合意)が全面的に尊重されることになっています。
 その意味では、法的に正しい遺産分割というのは存在しないとも言えるでしょう。
 あくまで法定相続分とは、話し合いがまとまらない場合に裁判所が用いる判断基準にすぎないと言えるでしょう。

代償分割における不動産の評価【Q&A №127】


 父が亡くなり(母も他界)現在兄妹で遺産分割中です。
 建物は、三階建てで、一階は父(他界)、二階は、二軒となっていて一軒は妹、もう一軒は賃貸です。そして三階は、兄(相談者)になっています。
 分割方法としては、土地建物は、兄。金融資産は、妹の方向で進んでいますが、不動産に関して、双方の査定額に1千万以上の開きがあります。(今後は、アパート三軒を運営予定です。)こちらとしては、代償金は、安い方が良いのですが、どのように不動産額を決めたらいいですか?又、相手をどのように説得したらいいですか?
 一階は妹も住んでいたことがあり、現在は二階に住んでいます。ですから一階は、個人宅なので、賃貸にするには、リフォームも必須で四百万はかかります。その分を妹に考慮してもらうことは考えていますが?

記載内容  代償分割 価格査定 価格評価

(クウーチャン)


【査定額の差を埋める方法は?】
 不動産の査定額に1000万円以上の開きがあるということですが、このような査定が出るのは、双方が別々に査定したためです。
 この差を埋める方法としては、双方が信頼できる不動産業者あるいは不動産鑑定士に依頼し、その結論を前提として、遺産分割の話をするという方法があります。

【建物価額の評価が正しいかを確認する】
 次に評価に差がでる原因の一つとして、建物の評価が異なる場合があります。
 建築価額に減価償却率をかけて評価額を出して建物の評価をしているのをみかけることがあります。
 しかし、遺産分割調停では、ある程度の年数を経た建物では、建築価格ではなく、評価証明価額で建物価額を算定することが普通です(ただ、その評価額があまりに低い場合には、評価額にある程度の倍率をかけて修正する場合もあります)。

【不動産価額を下げさせる方法】
 仮に不動産の時価が5000万円だとした場合、それを換価(売却)した場合、不動産の取得価額がわからなければ、売却額の約20%である1000万円程度(取得金額がわかる場合は、売却額から取得金額を差し引いた金額の約20%)を税金として納める必要がありますし、これとは別に仲介手数料として156万円(売却額の3%+6万円)も必要です。
 売却は手間も時間もかかりますし、売り急げば、不動産価額は当然低くなるでしょう。
 このような点を考え、時価より20%から25%を減価して、代償金額を決定してもいいでしょう。
 これらの点を説明して、不動産価額の原価を交渉するといいでしょう。

【それでも減価を納得してくれない場合には調停で第三者の意見を聞く】
 不動産の評価額がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、その調停手続の中で調停委員の意見を聞く、あるいは鑑定を行って不動産価額を決定するといいでしょう。
 裁判所の調停委員や裁判所の依頼する鑑定人という中立の第三者が評価するため、双方ともに納得せざるをえないという点で解決がしやすいですので、ご検討ください。

【リフォーム費用がかかる費用は評価に反映させにくい】
 遺産の評価は、現状のままでの評価です。
 賃貸にするためのリフォーム費用については、将来の不動産の使い方に関するものであり、現在の評価に反映させることは難しいでしょう。

★相続で取得した共有の不動産を単独取得したい場合【Q&A №106】


 父が亡くなり、家を兄弟で相続しました。今は長男の私が自分の家族と実母とその家に同居しています。家を売りたくないので、弟に相続分として現金を払うべきかと悩んでいます。こういった場合、家を査定してもらって現金を支払うならどの程度払えばよいのでしょうか。こちらは親の面倒を見ているので(あまりそういう意識は弟にも母にもないようですが)、査定額の半分を渡すのには抵抗があります。どうすればよいでしょうか。またお金は全額一括でないといけませんか?

記載内容  代償分割 介護費用 価格査定

(ハプキンス)


 【遺産分割協議は終わっているのか?】
 家を弟さんと2人で相続したとありますが、遺産分割協議書を作成するなど、既に相続の手続きは終わっているのでしょうか。
 もし終わっているなら、相続の問題ではなく、相続で共有となった家を単独にするための手続き―共有物分割請求―の問題であり、相続の問題ではありません。
 ただ、今後、兄弟で相続するのだというのであれば相続の問題です。

【解決の方向は2つです】
 もし、遺産分割が終わっていないのなら、問題の解決の方向としては、①あなたが家を単独で相続するというのと、②家は共有にするが、使用についてはお母さんの面倒を見ているので、あなたが相続するという合意をするという、2つの方向があります。
 ただ、②の方向は、いつか将来、弟さんの取得した持分を買い取るということになりますので、現時点で可能な①の方向を検討するといいでしょう。

【まず、お母さんを味方につける】
 まず、相続人は、お母さん《法定相続分2分の1》とあなた《法定相続分4分の1》と弟《法定相続分4分の1》です。
 そのため、まずお母さんを説得して、味方につけ、家をあなたの名義にするのに協力してもらいましょう。
 そうすると、あなたが家を自分の単独名義にする場合、弟さんに支払うべき金額は、弟さんの相続分である4分の1の金額で済みます。

【代償金を低くするためのテクニック】
 相続で家を単独取得する場合、弟さんに見返りとしてお金(代償金)を支払う必要があります。
 この場合、弟さんが相続で代償金を取得しますが、第三者に不動産を譲渡し、売却代金を分割した場合に課税される譲渡益課税(通常、代金額の約20%)の支払いの必要はありませんし、売却を仲介した業者に支払う手数料(代金の約3%)も不要です。
 このように、弟さんにとっては、売却代金の分割より代償金の方が有利になりますので、その点を説明し、査定額から20%程度、減額してもらうように交渉するといいでしょう。

【一括払いかどうかは弟さんとの話し合い次第です】
 代償金の支払い方法は決まっていません。
 しかし、通常は一括支払いをし、その時に同時に登記を移転してもらうことになります。
 ただ、あなたがお母さんの面倒を見るということで、弟さんに分割払いにしてもらうようお願いしてもいいでしょう(但し、了解するかどうかは弟さんの意向次第ですが)。

【お母さんの介護は、今回の相続とは別の問題です】
 お母さんの介護費用や手間の問題があるとしても、それはお父さんの遺産分割とは別個の話です。
 ただ、母親の介護をする義務(扶養義務と言います)は、兄弟全員に平等にありますので、代償金支払いの交渉の際、あなたが介護をする(ということはお弟さんは扶養義務を免れるという利益がある)ということを減額のための説得理由とすることも、交渉テクニックとして考えていいでしょう。

親の土地に家を建てた兄弟との遺産分割【Q&A №75】


 金銭の相続は分かりますが、土地の相続で疑問点が・・・  親の土地に相続人(4人)の一人が家を建てて住んでいる状態の時に相続が発生しましたら、どのように考えるのでしょうかぁ?
 金銭に換算する方法以外に考えられる事が有りましたら教えていただけますでしょうかぁ?

記載内容  遺産分割 代償分割 使用貸借

(ママ)


【建物、土地利用権はどうなるか】
 親(以下、被相続人といいます)の土地の上に相続人の一人(以下、Aさんといいます)が建物が建て、居住している場合です。
 相続の対象となる土地の上に立っているAさんの建物を撤去しなければならないのか、土地利用権は何か、土地価額がどうなるか、が問題になります。
 Aさんが被相続人に賃料を支払っていたのであれば、借地権となります。この場合には、Aさんが自分の土地の底地を引き続き使用することができ、遺産としては借地権付の土地が相続の対象となります。
 賃料を支払わずにAさんが使用していた場合には、被相続人とAさんとの間で使用貸借契約が成立していたことになります。
 この使用貸借は、法律では賃貸人が死亡した場合には消滅するとされており、被相続人が死亡した場合にはAさんは建物を撤去しなければならないのが原則ですが、現実には建物の存続を前提として解決することが多いです。
 本件のようにAさんが居住している場合には、被相続人としても、自分が死後にもその建物を使用させるという前提で建築を認めたと思われますので、最終的には、建物を存続させた上での解決をさぐるということになります。

【適切な遺産の分割方法は】
 遺言があればそれに従いますが、ない場合には遺産分割の協議をすることになります。
 本件では、土地をAさんに取得してもらい、他の相続人は、土地に対する相続分に見合う金銭(代償金)をもらうというのが一番良い解決方法でしょう。
 その場合、借地権であれば、土地の値段は更地価格から60%程度減少して評価されることになります。(ただ、この減価分はAさんの特別受益ではないかという問題もあります。)
 使用貸借であれば、その土地の使用分に見合う金額を減価しての遺産分割をすることになります(が、特別受益の問題が生じる可能性があるのは借地権と同じです)。
 Aさんが代償金を支払うお金がない場合には、他の相続財産があれば、その分をAさん以外の相続人で取得するという方法もあります。
 ただ、遺産が土地だけで、Aさんにお金がないというのであれば、土地は相続人の共有にして、Aさんから土地の賃料を払ってもらうこともできます。
 相続人間で、話がまとまらないときは、土地を売却して、その代金を分割するという方法も考えられますが、本件のような他人の建物がある土地については、購入する人も少なく、売却金額も著しく低額になるため、この方法はできるだけ避け、互譲の精神で円満な解決を目指されることをお勧めします。

父の家を単独で相続するには?【Q&A №19】


祖父が亡くなって遺産分割協議がされないまま、父がなくなりました。
祖父には5人の子供がいます。そのうち父と父の兄 計2名が死亡し、現在兄弟は3名となり、父の葬儀後相続人間で遺産分割協議が行われました。
父は生前、自宅で自営業をしながら祖父と同居し介護をしていました。父が祖父と同居していた建物の名義は祖父の所有、土地は借地です。
祖父の生前に、一筆だった祖父名義の借地権を、父と父の弟で分けて、建物も2つに分けて生活しており、祖父の面倒は父が見ていました。現在も建物の登記は祖父名義のまま。父が死亡した後に父の弟が、父の居住していた建物は父の所有ではないから5分割すると主張してきました。
法的な根拠があれば父の建物を娘の私が単独で相続することを主張したいと考えています。ご教示下さい。

記載内容  相続人の範囲 遺産分割協議 代償分割

(ひよこ)


【相続人の確定が必要です】
 遺言書が作られていない限り、法律上はお祖父さんの死亡の際、お父さんのご兄弟5名がいたということであれば、これらの5名が相続します。
 なお、お祖父さんの死亡時点で、既に兄弟が死亡しており、かつその方に子供がない場合には、その人には相続がなくなり、他の兄弟の取り分がそれだけ増加します。
 また、お父さんの死亡時に、あなた以外に他の相続人(あなたの兄弟やお母さん)がいる場合、お父さんの財産(お祖父さんの相続分も含む)はこれらの方との間で共同相続することになります。

【単独取得のための方策としては】

1.まず、お祖父さんの相続の前に、あなた以外にお父さんの相続人がおれば、その人たちから、あなたがお父さんの 相続分を全部取得することの同意を取り付ける必要があります。
お父さんの相続人から同意がもらえるのであれば、遺産分割協議書を作成しておきましょう。

2.次に、お祖父さんの相続人と遺産分割協議を行いましょう。
 他にお祖父さんの遺産があるのであれば、他の遺産は他の相続人に渡し、あなたはお父さんの住んでいた不動産をもらうということも可能です。また、他の相続人の方に代償金を支払って、単独取得するということも考えられます。
 但し、この代償金額については、話合いで決めることになりますが、不動産価額について争いになる場合がよくあります。

☆ワンポイントアドバイス☆
 代償金の支払が必要な場合は、お父さんが祖父の面倒を見ていたことを「寄与分」であると主張することにより、他の相続人の相続分を減少させ、支払額を減らすことが可能です。
但し、実際の話合いでは、「寄与分」をいくらと算定するかについては紛争になりやすく、認められない場合もあります。

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