大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続トラブル【Q&A №584】


【質問の要旨】
不正出金をした兄弟の告訴は可能か?

記載内容  預金 使い込み 告訴 

【ご質問内容】
 パチンコ依存症兄弟が、亡き母の預金勝手におろし800万円あったのが、わずかしか残ってない!  今度は、認知症4の父の大金使い込み!後見人弁護士調査中ですが、ずるい兄弟を告訴して処罰して必ずしてもらうには、どうすればいいのでしょうか?お願いします。疲れ果てております。

(和無)


【(犯罪は成立するが・・)告訴をしても警察は捜査をしない】
 兄弟の方が、無断でお母さん、お父さんの預金を引き出したというのであれば、詐欺罪や有印私文書偽造、同行使等の犯罪に該当する可能性があります
 どのような方法で使い込みをしたのかは明らかではありませんが、ご両親がするべき委任状の署名欄に兄弟の方が無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してご両親の預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したということで、窃盗罪になり得ます。

【告訴をしても警察は捜査をしない】
 以上のように刑法に規定された各種の犯罪が成立しますが、刑法には《親族相盗例》という条文があります。
 その内容は、親族間で上記のような詐欺や窃盗があっても、処罰はしないというものです(刑法251条、同244条準用)。
 このような規定が定められたのは、親族間で窃盗などは警察などの公権力は立ち入らない、そのような問題は親族間で解決しなさいという考え方があるからです。
 そのため、詐欺や窃盗で刑事告訴しても、処罰をすることができないので、警察が捜査を開始することはほぼないと考えた方がよいでしょう。

【民事上の争いで解決するしかない】
 刑事告訴をして処罰されることはないので、使い込んだ人の責任追及をするためには、民事上で解決するしかありません。

①お父さんの口座からの出金は後見人が返還請求
 お父さんには、成年後見人がついており、現在、調査をしているとのことですので、取り込んでいることがわかれば、家庭裁判所と協議の上で、後見人が返還を求めることもありえます。
 ただ、後見人によっては、選任された以降の財産管理をしっかりとするものの、選任前の預貯金の引き出しには積極的に動かない方もおられるようです。
 なお、お父さんが生きておられる段階ではあなたとしては、たとえお父さんの口座から不正出金があったとしても、なんらの請求もできないことも記憶されておくといいでしょう。

②お母さんの口座からの不正出金の返還請求
 お母さんの生前に、無断で預貯金を引き出し、使用した人がいるのであれば、お母さんはその人に対して返還請求をする権利があります。
 お母さんの死亡により、相続人であるあなたは法定相続分の限度で、使い込んだ人に返還請求をすることが可能です。
 ただ、無断出金された方がパチンコ等でお金を使い果たてしまえば、返済の資力がないということで、返還を受けられない可能性があります。
 いずれにせよ、民事上の請求をするのであれば、不正出金の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。

(弁護士 岡井理紗)

不正出金と特別受益について【Q&A №573】


【質問の要旨】
母の預金を使いこんだ弟から遺産を取り戻せるか?

記載内容  使い込み 住宅ローン 贈与

【ご質問内容】

 先日、妻の母が亡くなりました。(父は既に他界)
 妻は兄と弟の3人兄弟で、母は13年程前から弟と同居していました(住宅購入)。
 母の遺産は定期預金など(推定6000万円程)で2年ほど前から弟が通帳管理し死亡前にはすべて弟の口座に移されていました。 贈与か不正出金か不明。
 弟は遺産総額を開示もしません。
 信託で契約を結び(金額不明)、死後、弟にお金が入るようにもしていました。
 信託会社に詳細を聞いたところ、財産と遺留分対象とのこと。
 住宅資金推定5000万円(弟名義)を、母が頭金援助(推定2000万円)、去年あたり母が(推定2000万円)を出してローン完済させたようです。
 弟はギャンブル好きで他にも不正出金が多々あると推測し、まだ現金2000万円程は隠していると思われます。
 お聞きしたいのですが、住宅資金援助は母の通帳開示請求から追及できるでしょうか
 また弟のローン支払いの通帳も開示請求して照合できるのでしょうか
 遺言書はないようですので、法定相続分の3分の1で請求した場合妻の相続分はどれくらいになるのでしょうか?
 また、兄は相続争いに参加したくないとの事で、妻への譲渡証明書を書いてもらうつもりですが、その場合、不正出金の返還請求も、特別受益があった場合も兄の分と2人分の請求ができるのでしょうか
 どうぞご教授よろしくお願いいたします。

(papepon)


【住宅資金援助の追及・・まず登記簿謄本と取引履歴の双方を確認する】
弟さんが購入した住宅の資金援助とローン返済をお母さんが行ったかどうかの追及ですが、次のような方法でされるといいでしょう。
まず、弟さんの不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せし、不動産購入時期及びローン完済時期を調べます
購入時期は所有権移転登記の時期、又、ローン完済時期は抵当権抹消時期で推測(判断)できます。
次に、被相続人であるお母さんの金融機関の取引履歴を確認し、購入時期及びローン完済時期に、お母さんの口座から多額の出金があるかどうかを確認するといいでしょう。
もし、双方の時期に合致した出金があれば、それが頭金等の購入資金として、あるいはローン完済の資金として使われた可能性があるといえるでしょう。

【購入資金あるいはローンとして使われたものかのどうかの証明が必要】
前項の登記変更時期と取引履歴の出金が合致したというだけでは、あくまで可能性があるという程度の話であり、裁判で必要とされる証明としては不十分なことが多いです。
お母さんの口座からの出金が弟さんのための資金として使われたことを証明する必要があります。
ところで、お母さんの出金額がそれぞれ約2000万円ということであれば、現金で出金されていることは少なく、おそらく送金されているものと思います。
そのため、上記金銭が送金されたかどうかを通帳の備考欄などで確認し、送金されたということであれば、出金した金融機関に対して、誰の口座に送金されたかを確認されるといいでしょう。
弟さんの口座に送金されているとすれば、追及することが可能になります。
なお、お母さんの預金については相続人であれば確認できますが、弟さんの預貯金口座の確認は、兄弟でも他人ですので、弟さんの同意がない限り、金融機関はプライバシー侵害を理由に応じないでしょう。

【奥さんの相続分・・お母さんが贈与していた場合】
遺産としては、弟さんがお母さんの口座から出金した預貯金6000万円と住宅資金の関係の出金である4000万円が質問に記載されていますので、この1億円が財産であるとして説明します。
まず、住宅関係で4000万円がお母さんから弟さんに生前贈与され、6000万円は弟さんが無断で出金したという前提で考えた場合、
① 生前贈与分4000万円は特別受益として遺産に加算されます。
② 無断引き出し分の6000万円は、お母さんの弟さんに対する不法行為や不当利得に基づく賠償・返還請求権となります。

この場合、遺産総額は、(特別受益:4000万円)+(不法行為等の返還請求権:6000万円)=1億円になり、子ども3名の相続分は各3分の1の3333万円強になります。
ただ、弟さんの生前贈与による取得額が4000万円で、法定相続分の3333万円を超えています。
そのため、弟は4000万円を返還する必要はありません(特別受益制度は返還までさせる制度ではありませんQ&A №406をご参照ください。)が、残りの6000万円からは1円ももらうことはできません。
あなたの奥さんとしてはお兄さんと共に生前贈与分を除外した残額である6000万円を2人で分けて、各3000万円を相続でもらえることになります

【奥さんの相続分・・お母さんに無断で引き出していた場合】
なお、もし、住宅関係の4000万円もお母さんに無断で出金されたというのであれば、お母さんは弟さんに対して合計1億円の不法行為による損害賠償請求権を有することになります。
子供らは各3分の1ずつを相続することになりますので、あなたやお兄さんは弟さんに3333万円ずつの返還を請求することになります。

【相続分譲渡の場合は譲渡者の分を含め、請求する】
 奥さんはお兄さんから「譲渡証明書」をもらっているということですが、これが相続分の譲渡であれば、不正出金の返還請求も、特別受益の場合にも、あなたの奥さんはお兄さんの分を含めて、2人分を請求することができるようになります。

【こんな点にも注意しましょう】
注意点も付け加えておきます。
弟さんが他にも現金で2000万円ほど持っているとしても、それを発見することはなかなか困難です。「ない」と断言されれば、どうしようもないということも考えておくべきでしょう。
次に奥さん側が遺産問題で動き出したのを気づいた場合、弟さんは財産を隠す可能性があります。
もし、弟さんが不動産をもっていたり、あるいは預貯金口座にお金をもっているらしいということがわかるのであれば、その財産を動かせないようするために裁判所に仮差押等という手続きをしておく必要があります。
ただ、その手続きをするのであれば、相続に詳しい弁護士と依頼されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★亡父からお金を詐取した姉への請求【Q&A №550】


【質問の要旨】
姉が「寄付」と言って父からお金を引き出していた

記載内容 使い込み 数次相続

【ご質問内容】
父が亡くなり相続となりました。
障害を持った弟がおり母が亡くなった後施設にお世話になっています。
父の生前、姉が弟の施設に寄付をしないといられなくなると父からお金を摂取しました。
父から確認の電話があり嘘だから返してもらうよう伝えましたが再び電話があり返してもらえないと。
私から姉に電話して父に返すよう話しましたが、制裁だといい返金しませんでした。
それから数ヵ月し確認したら弟の保険に入ったといい證券見せてと言っても連絡がつかなくなりました。
相続になりそれは特別利益になるのではと話しましたが返したと嘘をつき始めました。
父の相続人は姉、私、弟(成年後見人弁護士/姉でしたが使い込みをし外されました)でしたが、話し合いの途中(今年夏)弟が亡くなったため二人で進めることになります
どう進めてたら良いか、また父から寄付と言って引き出したお金を相続に含ませる事はできないか方法があればご教授頂きたい。

(なつ)


【お姉さんの詐取したお金の返還請求権は遺産になる】
お姉さんがお父さんに嘘をついてお金をだましとったということなら、お父さんはお姉さんに対して不法行為による損害賠償請求権を持つことになります。
お父さんが死亡したときには、この請求権は遺産に含まれます。
弟さんが死亡されたので、現時点ではあなたとお姉さんだけが相続人です。
そのため、あなたはこの金額の半額を請求する権利を相続していますので、他の遺産に加えて、詐欺による不法行為に基づく返還請求権として、詐取された金額の半額を請求されるといいでしょう。

【遺産分割の話の進め方】
質問から見る限り、お姉さんが誠意をもって遺産分割の話をすすめるようには到底思われません。
そのため、第三者の手を借りる必要がありそうです。
まず、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることができます。
調停は申立費用も安く、調停委員も解決に尽力をしてくれます。
弁護士がつかなくても手続きができますので、ご利用を考えられるといいでしょう。
手続きについては家裁でお聞きになればていねいに教えてくれます。
弁護士を依頼するのも解決のために必要かもしれません。
調停はあくまで、お姉さんが解決しようという気にならないと成立しません。
話し合いの余地がない可能性も高いケースですので、当初から相続に詳しい弁護士に依頼することも選択肢です。
なお、調停を含め、今後、どのような対応をした方がいいのか、相続に詳しい弁護士のアドバイスをもらうことも考えられるといいでしょう。
市町村の相談では時間が短いために納得のいく説明を得られにくいので、お金がかかっても(1時間あたり1万円が相談料の相場です)、弁護士事務所で法律相談をされるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★亡母の賃貸物件の地代の入金口座を探したい【Q&A №515】


【質問の要旨】
地代の受取口座を調べることはできるか

記載内容  使い込み 不正出金 相続人の口座

【ご質問内容】
母の口座を探しても地代の受取口座が見当たらない
どうやら預金管理の姉がほかにプールしている口座があるらしい。
弁護士にお願いすれば、疑わしい姉名義か同族会社名義の口座(3つぐらい銀行支店名推定)を調査いただけるか
口座の有無、死亡日の残高や過去10年の取引履歴など。

参考ー土地母所有50坪。上物貸ビル7F建(同族会社所有運営)母の地代 年3百万円、H14~計45百万円
H14 父の死と母のひとり暮らし
H17 母要介護中度
H20 脳梗塞入院 意思疎通困難
H28 母死亡89歳

(神原哲)


【他人の口座は確認できない】
金融機関は他人の名義の口座を開示してくれません
兄弟姉妹であってもお姉さんは他人です。
そのため、他人であるお姉さんの口座をあなたが確認することはできません。
(参考までに言えば、相続の場合には被相続人の口座を相続人が調べることができます。これは相続人は、法律上は被相続人と同一人とされているからです。)
調停や裁判になって、相手方に弁護士がついたような場合、弁護士間の交渉で相手方から同意を取り付けて預貯金の履歴を取り寄せしたり、あるいは裁判所から相手方を説得してもらい、相手方が取り寄せした預貯金の履歴を裁判で出させるという方法も考えられます
しかし、これらはあくまで相手方が任意ですることであり、こちらから請求しても相手方や裁判所がそのとおりするとは限らず、むしろ取り寄せに協力しないことの方が多いです。

【私ならこんなやり方でする】
いま、問題となっているのが、賃料が誰の口座に入っているのかという点であれば、私なら次のようなやり方をするでしょう。
① まず、お母さんの持っていた不動産を調査します。
これは市町村に問い合わせをすると回答してくれます(当ブログQ&A №482及び【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)。
② 判明した不動産を現地調査し、建物の場合には居住者を、又、土地の場合には土地の賃借人を探し出します。
③ その後、その建物や土地の賃借人に賃借条件や支払方法、口座等を確認します。

【その後の手続きは・・・】
賃料の振込先がお姉さんの口座であると判明した場合、次にどのような手続きを取るかですが、この点については、専門家である相続に詳しい弁護士と相談し、仮差押え等の法的手続きを先行するのかどうかを含めて検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★親の財産使い込みは罪になるか? 【コラム】

後見人になった子による親の財産使い込みは罪になるか?

記載内容  使い込み 意思能力 横領

【子の使い込み】
 相続事件では、認知症の親の介護をしていた子が、親の生前に親の財産を使い込んでしまっていたという事例が数多くあります。
 このような使い込みをした子が罪に問われることはあるのでしょうか。

【同居親族の財産犯は刑が免除されるという原則】
 お父さんが認知症になったことから、子(例えば長男)がお父さんの財産を管理しているケースを考えてみましょう。
 後見人である長男が、被後見人であるお父さんの財産を使いこんだ場合、業務上横領罪が成立します。
 しかし、刑法は直系血族及び同居の親族らとの間で窃盗・詐欺・横領に当たる犯罪が行われたとしても刑は免除すると定めています(244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。
 刑法は「法は家庭に入らず」ということで、家庭内の問題は家庭内での解決しなさいという趣旨で定められています。
 そのため、このような関係にある場合には、警察に訴えても捜査が開始されることはないのが普通です。

【後見人は例外になる】
 しかし、最近、後見人になった親族の使い込みについては業務上横領罪の成立を認めて刑は免除しないという裁判が相次いでいます(最判平成20年2月18日、最判平成24年10月9日、東京高判平成25年10月18日など)。
 2つの最高裁の判例はいずれも、成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているから、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族 関係があっても、刑法上の処罰を免除もできないと明言しています。
 つまり、後見人という公的な責任を負った以上、その責任の方が優先され、親族だからといって刑が免除されることはないということです。
 現在のところ、業務上横領についての裁判例のみですが、同様の考えをすれば、後見人が被後見人の財産を窃盗したり、詐取した場合にも適用されそうです。
 最近、後見人の財産取込が問題となっています。
 遠からず、後見人が窃盗をし、あるいは詐欺を行うという具体的なケースが起訴されることになり、親族であっても刑罰に処せられるという裁判例が積み重なっていくことになると思われます。

(弁護士 大澤龍司)

認知症の父の口座からの不正出金【Q&A №435】


要介護5で全く意思疎通ができない父の預金から兄が、過去8年にわたり年に2~3回、1回の金額は100万円程度を母に頼まれたという理由で引き出していることが最近になってわかりました。
キャッシュカードはなく、すべて伝票に署名捺印で下しています。
不公平感が否めなく、生前贈与を認めさせ、私の相続分を取り戻したいと思っています。
父がまだ生存中なのでどうするのがベストなのかお聞きしたいです。
ちなみに、現在、父の成年後見制度申請中です。

記載内容  使い込み 認知症 要介護

(てる)


【相続開始前にはあなたには法的にはなんらの権利もない】
 お父さんに意思能力がないのであれば、お父さんはその預金を引き出すことができませんし、又、お母さんやお兄さんに引き出しを依頼することもできません。
 又、その預金はお父さんの財産ですので、お母さんが同意しても、その引き出しが正当になるようなものでもありませんので、お兄さんの預金引き出し行為は無断引き出しとなります。
 そのため、お父さんはお兄さんに対して不法行為や不当利得を理由として、その引出額相当の損害賠償請求権あるいは返還請求権を持つことになります。
 これらの権利は、将来、お父さんが死亡した場合には、法定相続分に応じてあなたが相続することになりますので、相続開始後であれば、あなたからお兄さんに損害賠償あるいは返還請求ができることになります。
 ただ、現時点では、お父さんが生存しておられますので相続は開始しておりません。
 あなたは、将来、相続人となる立場(推定相続人といいます)ですが、現時点では、法律的にはあなたには何らの権利もありません。
 お父さんの財産がなくなるような事態が発生しても、又、お父さんが前記のような権利を取得していても、残念ながら、あなたとしてはなんらの法的手段も取ることはできません。

【成年後見人の選任とお兄さんへの返還請求について】
 現在、お父さんの成年後見人を選任する手配をされているようです。
 たしかに、現時点である財産を減少させないということでは成年後見人の選任は極めて有効な手段です。
 ただ、後見人が、既に無断で払い戻しされている金銭を取り戻すというところまで積極的に動くことはまずありません。

【現時点でとるべき手段は資料や情報の入手です】
 将来、お父さんが亡くなられた場合、あなたは法定相続人として、お父さんが有している損害賠償(不当利得)請求権を法定相続分で相続することになります。
 その時点で、あなたとしてはお兄さんにその請求権に基づき金銭の返還請求をすることが可能です。
 そのための資料として、どこの金融機関のどの支店からいくら引き出されたのかという資料や情報が必要になりますので、現時点で入手できるものは、できるだけ入手しておくといいでしょう。
 なお、将来、あなたが請求されてもお兄さんが簡単に引き出した金銭を返還するとは思われません。
 お父さんが死亡された場合には、早期の段階で弁護士と相談され、お兄さんに対する素早い対応が可能かどうかを検討されるといいでしょう。

★★生前の預金の使い込みは、隠した者勝ちなのか?【Q&A №395】


  昨年母が亡くなりました。

 父は10年前に亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。
 母の相続に際し、同居していた弟が母の預貯金を勝手に引出していたことが預金履歴の調査で判明しました。
 母は10年前から介護老人保健施設に通入所しており、亡くなる4年ほど前には胃瘻を施し、痴呆も進んでおりました。
 元々生活が質素だったこともあり、施設の費用を含め、生活費は年金で充分賄えていたはずですが、10年間で預金が1500万目減りしていました。
 銀行の取引履歴は全て入手しており、預金の引出しはATMではなく窓口で行われているので、銀行に照会すれば弟またはその嫁が引き出したことは明らかになります。
 調停や訴訟は不可避と考え弁護士に相談していますが、弁護士からは、「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね、、」と言われ落胆しました。
 引出伝票などで弟が預金の引出しをしたことが明らかになっても、使い込みの充分な証拠にはならないのでしょうか?
 ご教示ください。

記載内容  不正出金 使い込み 隠す

(なお)


【そんな弁護士いるんですね・・】
 相談した弁護士が「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね」と言われたとのこと。
 あなたががっかりと落胆する気持ち、よくわかります。
 難しい面があるのは事実ですが、そこを何とかするのが弁護士なのに・・というのが私の率直な気持ちです。

【出金伝票を確認する】
 まず、《誰が引き出したのか》という点が問題になります。
 カードではなく、窓口で引き出したようですので、金融機関に払い戻し伝票のコピーをもらうといいでしょう。
 過去10年間という長い期間にわたる預金の引き出しの場合、私が経験したケースでは、当初はお母さんが引き出していたが、途中から弟さんが代理人として、その後、弟さんがお母さんの署名を偽造して引き出していました。
 もし、伝票の筆跡が弟さんであれば、弟さんが引き出したことになり、その分を不当利得あるいは不法行為を理由として、返還請求損害賠償請求するといいでしょう(当事務所の扱った事件で返還を認めさせたケースは多数あります)。

 次に、弟さんが代理人として引き出した場合にも、お母さんに渡したことが立証できない限り、弟さんが使いこんだという前提で対応するといいでしょう。
 ただ、お母さんの筆跡であるとすると、その分は、お母さんが引き出したということになり、弟さんがお母さんから生前贈与してもらったというような証拠を探す必要があります。
 なお、お母さんが多額の金銭を必要としないような場合、その引き出した金銭は手元現金として残っているはずです。
 その点も訴訟になった場合の争点になります。
 いずれにせよ、まず、出金伝票を取り寄せ、その内容を検討することが第一の作業です。

【使途は何かを確認する】
 次に、《出金したお金を何に使ったのか》という点が問題になります。
 既に死亡しているお母さんから使途を聞くことはできませんので、何に使ったかは弟さんから聞くことになります。
 お母さんが多額の出金をして、弟さんに生前贈与されている場合も多いでしょう。
 もし、生前贈与ならその分を遺産に持ち戻して、遺産分割計算されることになります。
 ただ、同居している弟さんの生活費に使われたというのなら、親子間の扶養義務の履行として、その生活費として支出された分は生前贈与とみなされない可能性があります。

【財産が残っているのかどうかも要確認事項です】
 いずれにせよ、この種の案件は訴訟まで行くことも想定しておいた方がいいでしょう。
 なお、最初から《弱気で逃げを打つ》ようであれば、弁護士を替えることも考えるといいでしょう。
 なお、遺産がほとんどのこっておらず、また、弟さんも財産を持っていないような場合、裁判に勝っても、結局は回収できない場合もあります。
 回収の可能性があるのかどうか、この点も弁護士と相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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