大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

実家に居座り続ける兄に家賃請求はできるのか?【Q&A №593】


【質問の要旨】
父の死後、実家に住む兄から賃料をとることはできるか?

記載内容  賃料 無償 使用貸借

【ご質問内容】
父が亡くなり2年になります。
母は10年前に亡くなりました。
現在遺産分割で調停中です。
兄弟は3人です。
母が亡くなった後、兄夫婦が実家で父と同居を始めました。
父は兄夫婦と賃貸契約を毎月家賃を徴収していました。
父が亡くなった後も兄は住み続けています。
兄は土地家屋、預貯金1/3を主張していますが私と弟は土地家屋も1/3を主張しています。
兄に父との賃貸契約時の1/3の金額を遺産分割終了まで求めることはできますか?
また父は生前兄夫婦には土地家屋は渡さないと言っていました。
そのため賃貸契約をして住まわせていました。
毎月の領収証も帳簿で残っています。
父は遺言を作るため、色々とメモに思いを起こしていた最中に亡くなったため遺言はありませんが自筆メモで意志が残されています。
実家はこのまま住み続ける兄のものになってしまうのでしょうか?
また土地家屋の分割はどうなるのでしょうか?

(める)

 (「兄弟3人」とのことですので、回答文中は「兄」「あなた」以外のもう一人の兄弟を「弟」と表記します。)
(敬称略で記載しています。ご了承ください。)

【死亡後の賃貸借は継続し、相続人3人が家主になる】
一般には親子間で賃料を払ったり、賃貸借契約書を締結するケースは少ないのですが、今回の質問は、父と兄が契約を締結し、賃料の支払いもされていたケースですので、親子間で法的な賃貸借契約が成立しています。
そのため、家主である父が死亡したとしても契約は終了しません。
現状では父の相続人である兄弟3人が賃貸人(家主)の地位を引き継ぎます。
法律的に言えば、《賃貸人の地位が3人に準共有される》ということになります。
その結果、あなたの兄弟がそれぞれ3分の1の賃料を請求する権利があります。
兄としては、自らも3分の1の限度で賃貸人ですので、その分の賃料の支払いは不要ですが、残りの賃料の3分の2については、あなたと弟にそれぞれ3分の1の賃料を支払う必要があります。

【兄は賃借人として居住を続けることができる】
前項で述べたように、父の死亡後も賃貸借契約は存続しますので、相続が開始しても、兄は賃借人の地位を失うことはありません。
そのため、兄の居住する不動産を兄以外が取得した場合でも、賃借権がある限り、兄は居住不動産から退去する必要はありません。

【父のメモの効力】
父は兄に土地建物を相続させないというメモ書きを残されていたようですが、法律的に言えばそのようなメモは遺言書ではなく、その内容が法的効力を持つことはありません。
ただ、父の考えがそのようなものであったとして、あなたと弟の方が不動産を取得したいと申し出することは当然、可能です。

【兄以外の者の不動産取得と退去の関係】
しかし、あなたあるいは弟が不動産の単独の所有権を取得したとしても、兄は賃借権を持っているのですから、そこに居住を続ける法的な権利があります。
所有権を取得したとしても、その取得したあなたあるいは弟としては、兄を追い出すことはできないことはご承知ください。

【土地家屋の分割について】
遺産分割調停などでは、兄が居住している場合には、調停委員はその不動産の所有権を、居住者である兄に取得させることが多いでしょう。
その場合は、その不動産を取得した分、兄の取り分が減少することになります。
もし、兄がこの不動産を取得することによって、法定相続分でもらえるはずである金額以上を取得するということであれば、兄があなたと弟に対して代償金を支払う必要があるということになります。

(弁護士 大澤龍司)

使用借権の価額と特別受益【Q&A №511】


※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】
使用貸借の価額と空き地について

【ご質問内容】
父親名義の土地に兄が家を建てています。両親とは同居していません。
両親への仕送りも無く、固定資産税も払っていません。
両親を訪問する事も年に数回です。
父がが亡くなりましたので、この場合使用貸借は、その土地の実勢価格のどの位が妥当でしょうか
また、兄の家の土地の横に空き地があり、実質兄が使用していたのですが、その土地も使用貸借に入れるのでしょうか(そこには特に建物は建ってはいません)

【質問の要旨②】
使用貸借とは?

【ご質問内容】
基本的な質問で申し訳ありませんが、使用貸借で計算された金額は、全体の遺産金額に含め、相続計算をするのか、使用貸借をしている相続人だけで分割するのでしょうか?
遺産金額に含めて計算するのか、その他の相続人(特に配偶者)で計算するのでしょうか?
遺産金額に含めた場合、使用貸借者に贈与が発生しているみたいに、思えるので

記載内容  使用貸借 無償 土地

(ブブブブ)


【土地の無償使用と特別受益について】
亡くなられたお父さん名義の土地の上にお兄さんが建物を建築し、賃料の支払いもしない場合には、お父さんとお兄さんとの間で使用貸借契約が成立したものと考えていいでしょう。
特別受益との関係で言えば、お兄さんはお父さんから使用借権を与えられたのであり、この権利の設定により受ける利益を「贈与」されたことになります

【空き地の使用について】
お兄さんはお父さんの空き地を使用していますが、これもその空き地を独占的に使用している(他の人が使えないような)状態であれば使用貸借が成立する可能性があります
お父さんがお兄さんの使用を知っていたのであれば、それは暗黙の同意があったとして、使用借権が成立したとされる場合が多いです。
この場合も、この空き地の使用借権の贈与が特別受益になります。

【使用借権の価額】
土地を、賃料を支払って利用する場合には借地権とされ、国税庁の発表している路線価図でもその価額が明らかにされています(通常は更地価額の40~60%の範囲内であり、60%とされるケースが最も多いです)
しかし、使用借権については裁判例などで更地価額の10~30%程度とされることが多いです(当ブログQ&A №321参照)。
これは使用借権が、借地権ほど強い権利ではない(土地が第三者に売却されれば、土地使用が認められないこともある)こと、又、存続期間等が契約内容や使用の実情等に応じて種々様々であり、裁判所としては、ケースバイケースで判断せざるを得ないからです。
ただ、これまでの相続案件での私の経験から言えば10%~15%程度で考える場合が多かったように思います(使用借権を更地価格の15%に相当すると判断した裁判例として、東京地判平成15年11月17日があります)。

【特別受益があるときの処理】
特別受益がある場合には、特別受益を遺産に持ち戻します。
今回の質問の場合であれば、借地権価額を遺産に加えます
その後、遺産全体を法定相続分に応じて分割することになりますが、特別受益を受けた人はその使用借権分を先にもらったことになり、その分だけ、遺産からの取り分が減少します
例えば、子が2人のケースで遺産総額が預貯金1000万円、特別受益が500万円とすれば、特別受益をもらった人は《特別受益:500万円+預貯金250万円》を、又、もう一人の子は《預貯金750万円)を取得することになります。

(弁護士 大澤龍司)

★相続した共有持分に応じた賃料をもらえないか【Q&A No.475】


マンション1棟につき3分の1の持分を有しています。
マンションの賃貸をしています。
賃貸借契約の名義は母(持分3分の2)、管理は私(持分3分の1)です。
持分の分の家賃を母に請求できないでしょうか?

【ご質問内容詳細】
 「Q&A №265 夫が受け取っていた賃料の相続」(2013/4/8)の回答のについて質問です。

【お義母さんが単独で貸家契約をしていた場合、賃借人に請求できない】
もっとも、家屋が共有であったとしても、賃貸人名義は共有者のうちの1名になる場合が多く、本件の場合も、賃料の支払いをお義母さんが受けているようですので、お義母さん単独で賃貸している可能性が高いと思われます。
 この場合、賃借人に対して賃料を請求できるのも受け取ることができるのも、お義母さん一人です。」

と回答されていますが、
 私の場合、 賃貸マンション一棟の建物と土地が父と母の共有名義で、17年前父が無くなり、土地とマンション建物の30%ぐらい私(長男)名義になりましたが、 賃貸契約書は全て母名義ですが不動産のやり取りは私がおこなっていました。
 マンションの管理作業も私がしています。
 私の持分の割合にで確定申告しておりますので、持分の税金等は私がはらっております。
 このマンションの家賃の持分を母に請求でいないのでしょうか(過去17年間と今後の家賃)。

建物の建築費は、私は負担しておりません。
 父と母が建てました。

記載内容 共有と賃料 使用貸借 共有持分の相続

(まさ)


【遺産不動産が賃貸中の場合の賃料の扱い】
 遺産の中に不動産があり、それが賃貸に出されている場合、賃料がをだれがどのように取得するのか問題になります。
 №265はこのような場合の質問です。
 まず、この場合に、最初に賃貸人は誰かということを考える必要があります。
 今回の質問では賃貸人はお母さんだということですので、賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人であるお母さんしかありません。
 賃貸人ではない他の人が賃料を賃借人に請求できる余地はありません

【法律的には共有者が賃料を請求できないのか?】
 賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人のみです。
 しかし、その不動産が共有なら、賃貸人はもらった賃料を他の共有者に分配する必要はないのかというのが今回の質問の趣旨のようです。
 この点を回答するには、お母さんと他の共有者であったお父さんとの間にどのような合意があったかを確認する必要があります。
 共有者であるお父さんが共有持ち分を無償使用することをお母さんに認めていた場合には、使用貸借の合意があったとして、お父さんからの賃料請求はできません。
 あなたは現在、30%の持ち分をお持ちのようですが、その持ち分がお父さんからの相続であるとすると、お父さんのしていた使用貸借上の権利義務を引き継ぎますので、お母さんはあなたに対して使用借権を主張することが可能であり、賃料を支払う必要はありません

 また、あなたはに不動産の管理をしているということですが、それは法律的に見れば、管理をしているに過ぎないものの、その管理費をお母さんが死亡した時の遺産分割の際に特別寄与として請求できる可能性はありますし、現時点でも管理費としてお母さんに請求することも考えてもいいかもしれません。
 次に、あなたは賃料総額のうち、持ち分の限度で税金の申告もしているようですが、これはあくまで税務の問題であり、申告したからといって、賃料の分配が認められるわけではありません。

【あなたのとるべき態度としては・・】
 以上に述べたことはあくまで法律的な判断です。
 あなたとしては、お母さんと話をされ、自分が共有持ち分30%を持っているのだから、その分に相当する賃料分配額を払ってもらえないかと相談されるといいでしょう
 その際、税金でも30%相当額を支払っているということも告げ、かつ管理もしているではないかということも併せお母さんに説明し、説得材料に使われるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★親の土地に家を建てて住んでいた長男【Q&A №396】


 かなり前に現金を父からマンション購入の頭金として贈与を受けました。勉強不足で税金免除があるの知らず贈与税を支払ってしまい悔んでいます。
 兄弟全員、父が亡くなり遺産の中にそれを入れて計算せよと言っています。が、それを強く言う一人は40年近く親の土地に無償で家をたてさせてもらい、しかも新築資金も入手しています。
 この場合の私の贈与金額と比較できるような計算方法があったら教えてください。又その居住年数は関係ないのでしょうか。
 宜しくお願いします。

記載内容  特別受益 使用貸借

(yashian)


【マンションの購入資金や建築資金をもらえば特別受益になる】
 あなたがお父さんからもらったマンション購入の頭金は、その該当金銭が生前贈与として特別受益になり、遺産の計算の際、遺産に持ち戻すことになります。
 なお、税金を控除した額ではなく、もらった金銭全額が持ち戻しの対象になります。
 また、兄弟のうちの一人が、《40年近く親の土地に無償で家を建てさせてもらい、しかも新築資金も入手している》とのことですが、このうち、新築資金が生前贈与になり、遺産に持ち戻すことになります。

【親の土地を無償で使用している場合は特別受益になるか】
 次に、親の土地を、自分の敷地として無償で使用している点については、使用貸借権という権利を設定してもらったことが特別受益になる可能性があります。
 ただ、お父さんの意思として、このような遺産への持ち戻しを前提にしていない場合(いわゆる《持ち戻し免除》の意思表示がある場合)には、持ち戻しは認められません。

【持ち戻しされる価額】
 特別受益としては、使用借権の価額が遺産に持ち戻されます。
 使用借権の価額としてはその底地の更地価額の10~30%という程度で評価されることが多いですが、木造家屋の場合には約10%前後になることが多いです。
 ただ、特別受益として持ち戻しが認められる場合でも、遺産分割で、その使用借権者が底地を取得する場合には、使用借権額の持ち戻しをせずに、底地を更地価額で評価して取得させるという処理を行っている裁判所もあります。

【使用借権と無償利用の利益との関係】
 無償で使用した期間分の賃料相当額を特別受益にするべきではないかという見解もありえます。

 しかし、裁判などでは使用借権の設定したことを経済的に評価し、遺産への持ち戻しをしている以上、使用借権者は使用借権の効果として無償使用することができるのであって、それ以上に使用料を支払う必要がないという見解です。
 この前提に立てば、使用期間にかかわらず、使用借権者は使用料を一切支払う必要はないということになるでしょう。

同居すれば自宅を相続できるという兄の主張【Q&A №391】


 数ヶ月前に父が亡くなり、その遺産相続で兄と揉めております。
 母は既に無く、兄弟は兄と私の2人です。

 兄は結婚しておらず、亡父と同居していました。私は既婚で独立しています。家と土地は父の名義、定期預金、普通預金があります。

兄と次のように主張しています。
1)自分には使用借権があるのだから、土地家屋の3分の1は自分の物である
2)15年ほど前に、父に500万円貸したので、遺産から、差し引いて欲しい
3)1と2を差し引いた残りを、2分の1ずつ分ける

 調停、裁判などになった場合、兄の主張は通るのでしょうか?
 実際は父に依存していた生活も、父の面倒を見ていたと主張すると思いますし、家の恥を宣伝することもないので、世間では、親孝行な息子で通っています。
 父は急死したので、病床の面倒は2人ともみていません。

 兄は一種のギャンブル依存症で、働いてはいますが、給料ののうちのほんの一部を家にいれるだけで、実際は、父の年金で生活していたようなものです。が、証明はできません。
 ですから、父の預金はないと言っても良い金額で、葬式費用と同額程度です。

記載内容  使用貸借 同居

(困っている妹)


【使用借権と所有権とは無関係】
 お兄さんが無償でお父さん名義の不動産を使用していても、お兄さんがその不動産の所有権を取得するわけではありません。
 無償で使用する権利である「使用借権」を取得するだけです。
 又、今回のケースは、お父さん名義の家を無償で使用しているだけですので、正確な表現をすると「お兄さんはお父さんから、家を無償で使用する権利(使用借権という債権)を与えられていた」ということになります。
 「土地家屋の3分の1は自分の物」というお兄さんの主張は間違いです。

【使用借権の価額】
 家が使用貸借の対象となっている場合、その家の価額が減価されます。
 家の使用借権の場合、ケースによって異なるでしょうが、底地の更地価額の10%程度の減価はやむをえないでしょう。

【使用借権は特別受益である】
 お兄さんは、お父さんから無償で、家に居住する権利をもらいました。
 そうすると、その使用借権は生前贈与になる可能性が高いです。
 結局、お兄さんとしては使用借権を主張して、それが認められても、その反面、その使用借権が特別受益とされ、プラスとマイナスの面があるということになります。

【貸金の返還について】
 お兄さんがお父さんに対して500万円を貸していたという点が証明できるのであれば、その債務は相続債務であり、あなたは法定相続分の2分の1ですので、金250万円の返還義務を負います。
 しかし、15年も前の債務というのであれば、消滅時効にかかり、返還が不要だという反論もできます。

【特別寄与にはならないか】
 なお、ややこしいことを言いますが、仮に消滅時効としても、その分特別寄与をしているのだというお兄さん側の反論も出てきそうです。
 消滅時効になった場合、その分を特別寄与という形で請求できるか、議論のあるところですが、そのような問題点が持ち上がる可能性も考えておくといいでしょう。

【今後の対策について】
 とりあえずは、今回の回答を参考にお兄さんと協議されるといいでしょう。
 なお、円満な協議ができないのであれば、家庭裁判所で遺産分割の調停をし、第三者である調停委員の意見を参考に解決の道を探るといいでしょう。
 なお、協議がまとまらないのであれば、早期に相続に詳しいお近くの弁護士に相談され、場合により事件を依頼することも考えていいでしょう。

遺産土地に住み続けるには【Q&A №297】


  •  母が亡くなり、1年が経過しようとしています。
     その間、遺産分割協議を月に一度のペースで開催しているのですが、折り合いがつきそうにありません。私は母と同居しており、亡くなる前の数年間は母は入院状態でした。
     その間に母の名義の土地に家を建てたのですが、分割協議がまとまらずこの土地からの立ち退きを迫られております。1年以内にどかなければ、暴力団に金を払ってでも住めなくしてやると言われました。どの様に対処したらよいでしょうか?お知恵をお借りしたく分割協議の際、毎回ここに住めなくなるぞ的な発言を先方がされます。

記載内容  暴力団 脅迫 使用貸借

(たし)


【お母さんの同意があったかどうかで結論が分かれる】
 遺産である土地上に建物を建築することについて、お母さんの了解を得ていたのかどうかが問題になります。
 お母さんの了解を得ていたのであれば、お母さんはあなたにその土地を使用させる義務があり、相続人はその義務を引き継ぎますので、あなたが建物を撤去する必要はないでしょう。

 しかし、もしお母さんの同意がない場合には、無断で建築をしたことになり、お母さんとしてはあなたに対して、家屋を撤去して土地を明け渡せという権利があります。
 相続人はその権利を引き継ぎますので、あなたは建物を撤去せざるを得ないでしょう(なお参考までにいえば、この場合の明け渡しは、相続人の一人でも請求ができます)。
 あなたとしては、建物を建築することについて、お母さんが同意をしていたのだという証拠を集めておくといいでしょう。

【脅迫に対する対処】
 相手の方は暴力団に依頼して追い出すということを話しているようですが、これは立派な脅迫行為に当たりうる言動です。
 このことは、たとえあなたが法的に立ち退きを迫られる立場であったとしても変わりません。
 とはいえ、警察に相談しても、親族間の遺産に関するもめ事ではそう簡単には動いてくれません。
 一度お近くの弁護士に相談し、必要に応じて交渉を依頼することをお勧めします。

借地上にあった父の家の使用料【Q&A №285】


 30年前に父が亡くなりましたが、兄妹の間で遺産(家、借地権)分割の手続きをせずに放置してきました。
 約10年前に地主の希望で家を壊し、その場所にマンションを建て、借地権と交換に1フロアを与えられました。
 そのマンションはどういう理由か兄の名義になっていて、兄夫婦は10年間住み続けています。
 私は別居で何の利益も得ていません。
 近々、遺産分割の協議を予定していますが、仮にそのマンションを兄妹で50%ずつ共有名義に変更できた場合、過去にさかのぼって、兄夫婦から、過去10年間住み続けた費用に相当する金額をもらう権利があるでしょうか。
 よろしくお願い申し上げます。

記載内容  借地 使用貸借

(nob)


【自分の家に住んでいるので、賃料相当分の請求はむずかしい】
 お兄さんの住んでいるマンションの1フロアは、遺産そのものではありません。
 お兄さんが、家主からマンションの1フロアをもらって、自分の単独所有名義にしているのですから、お兄さんとしては自分の家に居住していることになり、そこに居住することでは、なんらあなたの権利を侵害しているわけではありません。
 従って、お兄さんがマンションの1フロアをもらった後の過去10年間の賃料に相当する分をお兄さんに請求することはむずかしいでしょう。

【借地権を消滅させられたことの損害請求は可能】
 問題は、お兄さんがマンションの1フロアをもらうときに、あなたの借地権を消滅させたことです。
 お父さんが死亡した時点では借地権とその上の家はあったのですから、あなたも法定相続分に応じて、その借地権及びその上の家を相続しています。
 それなのに、お兄さんは、地主の希望で家を壊して借地権を消滅させました。
 この借地権等を消滅させることについては、共同相続人であるあなたの了解が必要です。
 あなたの意向を聞き、借地権についてのあなたの相続分を尊重するべきでした。
 それをせずに、借地権を消滅させ、マンションの1フロアをもらったという点で、お兄さんの行動はあなたの権利(相続分に応じた借地権及び家の持分)を侵害しており、権利侵害行為ということができます。
 あなたとしては、お兄さんに対して、あなたが相続した限度での借地権等を侵害されたとして、その損害(金銭請求)を主張することができます。

【金銭賠償が原則だが、交渉であるので・・】
 マンションの1フロアの半分をもらうことをお考えのようです。
 あなたの相続した借地権等を消滅させられたことによる損害は、本来は金銭で賠償されるべきものです。
 ただ交渉ごとですので、あなたとしては、その金銭賠償の価額がマンションのワンフロアの2分の1に相当すると理解して、1フロアの2分の1の所有権移転を請求することも可能ですし、もちろん、損害賠償請求として金銭で請求することも可能です。
 相手方の出方に応じて、どちらかの方法を選択するといいでしょう。

 あとはお兄さんとの人間関係にもよるでしょうが、前記のような話をお兄さんと交渉しつつ、本来ならお父さんの家(とそれに代わるマンション)の利用権について交渉されるのがよいでしょう。
 また、ご質問からは明らかではありませんが、マンションのフロアを地主さんからもらうまで、お父さんの建物は誰が住んでいたのでしょうか?
 もし、お父さんの生前からお兄さんが住んでいて、その流れのままお兄さんが住み続けていたということであれば、お父さんとお兄さんの間には、無料で住み続けることができることの合意(=使用貸借契約と言います)が成立していた可能性があります。
 このような使用貸借契約が成立していた場合には、お父さんが亡くなった後も、遺産分割協議が成立するまではお兄さんが引き続き無償で使用することができるというのが裁判所の扱いです。
 あとは、お兄さんのほうから、「使用利益を請求するなら固定資産税も半分負担するように」との反論が返ってくるでしょうが、使用利益に比べればそれほど高いものではないでしょう。

質問する

当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。

事務所での有料相談はこちら

直接、お聞きして、的確に回答します。今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。

最近の相続ブログ

アーカイブ

カテゴリー

大澤龍司法律事務所

〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-25
梅田プラザビル別館7階A703号

お気軽にご相談ください!(電話要予約)
お気軽にご相談ください!(電話要予約)
FAX:06-6361-6043 メールでのお問い合わせはこちら 月〜金曜日(祝日を除く)
    • 大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅
      ...徒歩約7分
    • 大阪メトロ堺筋線・京阪電車「北浜」駅
      ...徒歩約10分
    • 大阪メトロ御堂筋線・京阪電車「淀屋橋」駅
      ...徒歩約15分
事務所ブログ 大原訴訟ホームページ

ページの先頭へ