大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】


【質問の要旨】
相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】
債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている
全て抵当権付きのオーバーローン。
相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。
父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。
その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。
相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。
待っていても競売は無いと思われる。
妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。
馬鹿にしています。
会社も個人も全て売却するのが筋です。
会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)


【事実関係の整理】
質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。
① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。
② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。
③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。
④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる

という話であるとします。

【訴訟を提起されたことについて】
相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります
今回の訴訟はその前提で提起されています。

【会社の財産を探す】
まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。
そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。
もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。

【賃料はどこに行ったのか】
お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。
そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。
賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します
その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。

【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】
次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。
通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。
ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。
仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。
そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。
このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう

【和解で注意するべき点について】
相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。
弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。
①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。
②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。
③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。
不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。
和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

抵当権付きの建物の相続【Q&A №498】


【質問の要旨】
抵当に入っている家に住み続けたい

記載内容  借金 保証 抵当権

【ご質問内容】
父が以前親戚の保証人となり、持ち家が抵当に入っています。(根抵当?)

先日父が亡くなり、母が実家に一人で住むことになります。
父は生前そのほかに多くの借金もしており、母が少しずつわかる範囲の借金を返済しております。
母は高齢でこれからどこかに引っ越しを考えることは難しく、死ぬまで住みたいと考えています。
抵当に入っているということで、遺産相続(借金返済を続ける)するということでしか、そこに住む方法はないのでしょうか。
また母が亡くなった場合、私たち子どもが実家を守る手段は何かあるのでしょうか。
※借金を実際にした本人とは連絡が取れないそうです。

(しま)


【自宅に住み続けるためには保証債務を支払うしかない】
お金を借りた親戚の方(主債務者といいます)と連絡が取れないということであれば、その方はおそらく債務の支払いが滞っているものと思われます。
主債務者が支払いをしない場合、貸主としては、連帯保証人に請求をしますが、そのお父さんがなくなっていますので、保証人の債務は法定相続人がその相続分に応じて支払い義務を負います。
もし、保証人からの支払いがない場合、債権者としては抵当権の実行として、裁判所に競売の申立をします
そのため、自宅に住み続けたいというのであれば、高齢のお母さんには気の毒ですが、貸主の請求に応じて債務の支払いをするという方法があります
なお、主債務が分割支払いであっても、それが支払い遅延した場合、一括支払いをすることになります。
ただ、あなた方が事情を説明し、保証債務は履行するが、分割払いにしてほしいので抵当権の実行はしないようにという申し出をすることは可能ですが、貸主としてはその申し出を受けるという保証はありません。

【住み続けるための方策としての入札】
抵当権を実行させても住み続ける方法として、競売で自宅を買うという方法もあります
この場合の利点は、主債務の未払い債務額より、競売で入札できる額が少額の場合も多いことです。
そして、保証債務より低額の落札金額の支払いで、抵当権も消えた家を獲得できるという点です。
入札しても絶対に落札できるとは限らないという欠点がありますが、自宅を確保する一方法として考えられるといいでしょう。

【入札者に賃借を申し出る】
なお、入札できなかった場合には、入札した人(新しい所有者)に対して賃借させてもらうように頼むことも考えられます
但し、入札者が賃貸をしないというのであれば、やはり自宅を退去せざるを得ないでしょう。

【抵当権が実行されても、すぐに家を出るというものではない】
抵当権等の競売の申立をした場合、競売手続きの込み具合により異なりますが、最近のケースでは、申立から競売が終了するまでに約6ケ月程度がかかります。
そのため、その期間は自宅に居住することは可能ということは覚えておいていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

姉の入院費用の支払い義務【Q&A №359】


 別居の姉が先日亡くなりました。
 入院にあたって、姉は、保証人の欄に自分で私の名前と住所、電話番号を書いていましたので病院から、生前の入院費と今回の入院費の請求をされています。(保証人の欄に押印はありませんでした)払わなければならないのでしょうか?
 姉の入院は亡くなってから知りました。両親も他界し、親族は私だけです。
 相続する預貯金、財産、生命保険等は一切ありません。

記載内容  保証 入院費用 扶養義務 相続放棄 他人の署名・捺印

(ごんちゃん)


【問題点は相続としての債務とあなた自身の債務の2点です】
 今回は、書面上であなたの署名がされた形になっているので、あなた自身が(保証人としての)債務を負うのかどうかという点、次にお姉さんの負っている債務(主債務)についてあなたがお姉さんの相続人として債務を負うかという点の、2点です。

【あなた自身の債務はない】
 まず、あなた自身の保証債務について回答します。
 あなたのお姉さんが、あなたの署名をすることについて、あなたが同意あるいは黙認していたような場合には、保証人としての責任を問われることがあります。
 しかし、そうでないなら、あなたが署名も捺印していないのだから、原則としてあなたが(保証人としての)債務者になることはありません。
 なお、あなたはお姉さんの兄弟姉妹になりますので、扶養義務があります(末記条文を参照ください)が、それは親族内部の関係であり、第三者である病院があなたの署名・捺印もなく、又、同意もしていないのにあなたに保証債務を請求することはできないでしょう。

【相続債務の対策・・相続放棄を考える】
 ただ、お姉さんは、病院に対して支払債務を負います。
 そのお姉さんが死亡したので、その債務は相続人に承継されます。
 その債務を負いたくないというのであれば、死亡を知って3ケ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをするといいでしょう。
 ただし、相続放棄をした場合、あなたは債務を引き継ぐことはなくなりますが、同時にお姉さんから遺産をもらえなくなります。
 従って、相続放棄をする場合には、お姉さんの財産と負債とを比較して、負債が多いというような場合に放棄をすればよいでしょう。
 なお、財産の方が多いということであれば、お姉さんの債務は支払わざるを得ないでしょう、
 具体的な相続放棄の手続きにつきましては、お近くの家庭裁判所に確認されるといいでしょう。親切に教えてくれると思います。

【弁護士に相談することも考える】
 質問では病院からの請求があるようですが、相続放棄をするのなら、その後に相続放棄をしたことを主張すればいいでしょう。
 なお、病院が保証人としての債務を主張してくるのであれば、署名捺印をしていないということを主張すればいいでしょう。
 それでも病院が納得しないのであれば、弁護士に相談して、対策を協議されることをお勧めします。

【参照条文】
《民法第877条(扶養義務者)
1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。》

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