大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】


【質問の要旨】
保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】
相続人兄と私のみ
遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)
死亡保険金1450万円(受取人私)あり。
家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。
何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。
少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。
2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。
その1年後父が他界。
葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)
今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。
家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)
生命保険は私が受取る。
父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す ると。
兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。
生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。
兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。
実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?
兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。
分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。
今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)


【遺産内容について】
まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります
これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります

【保険金は遺産ではありません】
あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。

【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】
家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。
土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。
特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。
ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。
そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。
又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。
なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。

【債務の扱い】
お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。
賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。
その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。
次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。
以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

独身女性の相続対策【Q&A №533】


【質問の要旨】
独身で子もいないが、兄には相続させたくない

関連記事 独身 保険金 養子

【ご質問内容】
独身女性、子供はおりません。
昔大怪我を負わされた兄(子供あり)が唯一の兄弟です。
そんな訳で兄とは疎遠、一切関わり合いたくありません。
公正証書遺言で財産を元夫Aさんに遺贈し、その後の後処理をお願いすると記しました。
1/入院の際の保証人は兄以外には認められないでしょうか。
2/万が一の際の保険金受け取りが保険会社の規定で法定相続人とされてるのですが、兄に渡さない方法はないでしょうか。
3/万が一の際は兄に連絡が行って、死亡届は身内である兄が出さないとならないでしょうか。
阻止する方法はないでしょうか。
なくなった事を教えたくありません。
4/以上の事の解決策として、将来理解者を養子か養女、あるいは理解者との結婚(Aさんも含め)も考えています。
よろしくお願いします。

(悩めるA子)


【入院保証人については病院に聞く】
入院の際の保証人を誰にするかはその病院が決めることであり、法律にはなんらの定めもありません。
そのため、入院予定の病院にお聞きになられるといいでしょう
なお、通常は、親族でなくとも、知人などでもいいと思いますが、病院に聞けば簡単に教えてもらえることですので、電話等で確認されるといいでしょう。

【保険金受取人についても保険会社に確認する】
誰が保険金の受取人にするかはあなたが指定することができます。
ただ、保険会社との契約書(正確にいうと約款)では特に指定しない限りは、保険金の受取人は法定相続人とされ、又、受取人を指定する場合も「3親等以内の親族」と限定されているのが実情です(これは、被保険者を殺害する保険金詐欺等を警戒しているためです)。
そのため、今のままの状態でお兄さん以外の方(例えば前夫の方など)を保険金の受取人とするのは難しいでしょう。
どうしてもお兄さん以外の方を受取人にしたいというのであれば、あなたのおっしゃるように、養子縁組や再婚を検討される必要があるでしょう。

【死亡届は他人でもできる】
死亡届は親族でなくとも提出できます。
同居者、家主や地主、家屋管理人から成年後見人なども手続きができます(外部リンク:法務省「死亡届」)ので、お兄さんに手続きをしていただく必要はありません。

【養子縁組をすると兄には遺産はいかない】
養子縁組をした場合、その養子が法定相続人になりますので、法律的にはお兄さんには一切、あなたの遺産は行きません。
ただ、お兄さんはあなたの遺産が来るものと思っておられることも考えると、養子とお兄さんとの間で事実上のトラブルが発生することもあり得ます。
現在、遺言書を作成されているようですが、もし、その中に遺言執行者の指定をしていないなら、弁護士を執行者に指定しておき、あなたの遺産問題についてはその弁護士にトラブル解決をしてもらうことで、養子にいやな思いをさせないという配慮が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

長年別居の妻の相続権【Q&A №284】


 相続

 妻が別居6年家裁で家族調停が決まり夕食を作る家族の平和を守るの決定が出た。
 無視して家出以後交流なしでしたが夫が癌で余命1年と宣告されたら突然夜買のごとく家に入り1週間目です。夫の名義預金2000万と死亡保険金が目当てです。妻の住所が6年住民票付表を取るまでわからなかったが籍が入っているから預金は妻のものでしょうか?
 夫は少し判断力がないが後見制度は難しいかもしれない位考えは支離滅裂ですが長い時間一緒でないと医者は判断できないと思います。あくどい財産狙い。どうしたら宜しいでしょうか?
 私は夫の家族です

記載内容  別居 保険金 遺言

(犬)


【別居していても、戸籍上の妻が相続人になる】
 たとえ長期にわたり別居していたとしても、結果として離婚をしていないのであれば、妻は第1位の相続人であり、預金の相続権を有します。
 妻が家に戻る方向での調停が成立していたにも関わらず、これを無視して同居せず家出をしていた点をみれば、感情的には許しがたいという気持ちもわかります。
 しかし、相続は戸籍を基準にして相続人を判断するので、離婚していない以上、戸籍に記載された妻が相続分2分の1を取得するのはやむをえないという結論になります。

【保険金は受取人の指定による】
 死亡保険金は、原則として遺産ではありません。
 そのため、相続とは関係なく、保険契約で指定された受取人が保険金を取得します。

【遺言書を作ってもいいかもしれない】
 お父さんは《少し判断力がないが後見制度は難しいかもしれない位》とあります。
 長谷川式認知スケールなどで検査をし、その点数が15点前後であれば、遺言をする能力があったと判断される可能性もありますので、思い切って遺言書を作成するといいでしょう(長谷川式認知スケールと意思能力関係については、当事務所作成の相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介を参照ください)。

 なお、遺言書を作成する場合には、遺言書をできるだけ簡単な内容にしておく必要があります。
 将来、妻側が遺言書の効力を争った場合、遺言書の内容が簡単なら、お父さんでも理解できた(遺言能力があった)とされる可能性が高くなるからです。
 また、遺言書については、公証人が関与する公正証書遺言をお勧めしますが、そのような時間がないなら自筆の遺言書でも残しておくといいでしょう。

★受取人が死亡した生命保険金は誰のものか【Q&A №191】


 受取保険金は誰のもの?

 弟が死亡しました。弟には、妻はおりますが子供はいません。
 その弟が被保険者、保険金受取人は母(母は十数年前に他界しておりますが、受取人の変更はしてませんでした。)のS社生命保険があり、ただ、母の相続時に兄弟(相続人は兄弟4名でした。)で話し合い、遺産は兄弟中の1人がすべて相続することで、話がまとまっていました。
 この場合、この保険金は弟の妻のものなのでしょうか、それとも母の財産を相続をした二男のものなのでしょうか。

記載内容  保険金 受取人の死亡 被保険者

(はじめ)


【受取人は誰になるのか】
 受取人が被保険者より先に死亡した場合に、誰が保険金を受け取るのかという質問です。
 この問題については、古くは商法にこれに関する条文がありました。
 しかし、現在では、平成20年に制定された《保険法》により、《受取人の相続人の全員》が保険の受取人となります。
 ただ、法律と異なる契約をすることも可能ですので、念のために保険約款(やっかん)を確認する必要があります。
 この保険約款とは、生命保険に入ったときに、保険会社から交付された細かな字で書かれた小冊子に記載されているものです。
 もし、約款に、前記条文と異なることが記載されているのであれば、原則として、約款の方が優先します。

【今回の場合では、お母さんの相続人が生命保険金を受け取るはずだが・・】
 今回の質問では、お母さんが相続人として指定されていたのですから、本来はお母さんの相続人が生命保険の受取人になるはずです。
 ただ、質問の中に「(保険契約者である)弟の妻が弟の死後、その保険金を受取ました」という記載があり、前記法律と異なる結果になっています。
 約款に法律と異なる記載があった可能性がありますので、念のために保険会社に確認されるといいでしょう(その際、受取人の相続人という立場を明らかにする必要があります)。

【保険会社が間違って支払っていた場合】
 保険会社が間違って支払っていた場合には、保険会社に保険金を請求する方法と弟さんの奥さんに返還請求する方法がありますが、いずれにせよ大変ややこしい問題ですので、法律の専門家 である弁護士と相談されるといいでしょう。
   埼玉弁護士会 URL:http://www.saiben.or.jp/

【遺産分割合意との関係】
 お母さんの相続人が保険金を受け取ることができるという前提が正しいとした場合、「すべての相続財産は二男が相続すると決めて」いるという合意との関係が問題になります。
 生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の見解です。
 そのため、相続人間の遺産に関する合意とは関係なしに、お母さんの相続人全員が相続することになります。

長男に名義変更された生命保険は遺産か【Q&A №150】


 相続財産

前提:相続人は4人で母、長女(私)、次女、長男です。長男が亡父、母と同居。父は先月亡くなりました。
 質問:昨年、父が具合が悪くなった際に、貯蓄型の生命保険(加入時一括払い)の契約者名義を父から長男に、長男の勧めに従い、兄弟の同意なく変更している事が父の死後、父の手帳の写しにより判明しました。
 この名義変更は法的に有効なのでしょうか。逆に相続財産に生命保険の保険金を含めるためにはどういう方法が考えられるでしょうか。ご教示願います。

記載内容  生命保険 保険金 名義変更

(ようこ)


【生命保険の名義変更は有効か?】
 お父さんが契約された生命保険の名義を長男さんにすることは、お父さんだけでできることであり、他の兄弟の同意は必要ありません。
 なお、その名義変更の手続きがお父さんの意思に基づく限り、その名義変更は有効であり、保険契約の契約者は長男さんになり、その時点でお父さんの財産ではなくなります。

【特別受益になる可能性があります】
 死亡保険金はもともと遺産ではなく、相続とは別に受取人が取得する財産になりますので、遺産分割の対象にはなりません。
 しかし、お父さんが生前に保険契約者の地位を長男さん名義にした場合、その契約者の変更に伴い、解約返戻金や保険金をもらえる権利が長男さんに移転します。
 この点をとらえて、長男さんが特別受益を受けているという主張が可能です。
 これは生活費や住宅購入資金など生計の資本として贈与を受けた場合に、贈与財産は遺産の前渡しという意味合いをもちますので、これを遺産の中に組み入れて遺産分割しようというものであり、他の相続人との公平を図る制度です。
 なお、この場合、保険金額ではなく、一括払いされた保険料総額(または、これを前提とする解約返戻金額)相当額が遺産に組み入れられる可能性が高いでしょう。

 

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