s
大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★名義貸し預金の調査はできるか【Q&A №548】 0548


【質問の要旨】

母が子や孫名義で定額貯金をしていたが、満期が来たので名義人が勝手に払い戻した。
母の預金の履歴を調べる方法はあるか。

【ご質問内容】

母が子や孫の名前で定額貯金をし、満期が来たのでそれぞれの名義の者が勝手に払い戻してしまいました。
母は名義を借りていただけだとメモで残していたので、母の死後、相続人同士で話し合って等分に分けることになったのですが金額もバラバラのようだし、ウヤムヤにしたいようです。
母の預金の履歴を調べる方法はあるのでしょうか
やっぱりもう無理なのでしょうか。
名義貸しとか税金の払い方とかのこともよくわからず要領をえない質問ですみません。
よろしくお願いします。

(あきらめかけてる相続人1)

【名義人にしか開示しないのが原則】

本件のように、別人の名義で預金をする(例えば親が子供の名義で預金する)ことが、昔は多く行われており、「名義貸し預金」「借名預金」などと呼ばれていました。
このような名義貸し預金は、預金をした(=お金を出した)人物と口座の名義人が一致しないため、取引履歴の開示請求を受ける金融機関も慎重な対応をします。
実際には名義人である子自身が履歴照会を求めれば、(金融機関は、実際には誰がお金を銀行に持参したのか把握していないため)特に問題なく名義人の照会に応じるでしょう。
反面、お母さんが自らのお金を預けたとしても、名義が他人であれば、お母さん(その相続人であるあなた)が請求しても、他人名義であるというそれだけの理由で金融機関は取引履歴を開示しない可能性が高いです。
なお、本件のような名義貸し預金(借名預金)の払戻手続や一般論については当ブログQ&A №300に記載しておりますのでご参照ください。

【名義人の承諾をとることが必要】

もっとも、名義人(子ら)自身の了解があれば、金融機関も履歴を開示するでしょう。
今回はみなさんが(少なくとも一度は)預金を等分に分け合うことに同意していたわけですから、このことを活用し、配分額をきちんと確認するため、残高証明書の確認とともに履歴の取り寄せにも同意するよう申し入れをする、という方法が考えられるでしょう。
なお、同意を確認する手続き(同意書や委任状の書式など)は金融機関により異なるため、予め金融機関に必要書類等を確認されるといいでしょう。

【名義貸しと贈与された預金を区別する方法】

履歴の取り寄せについては以上ですが、このように被相続人が他人名義で預金を作っていたことが問題となるケースでは、相手方(通帳の名義人)から「この預金口座は被相続人から贈与されたものだ」と主張される傾向があります。
そこで、名義貸し預金について、名義貸し預金と贈与された預金は次のように区別します。

【判断基準】

被相続人が通帳や印鑑を
①口座名義人に渡していたのなら、贈与の可能性が高い
②被相続人の手元にあれば贈与ではなく、名義を借りただけ
(もちろん、裁判になれば他の情報の照合も必要)

【通帳が手渡されていた場合】

もし、通帳も印鑑も子(口座名義人)に(母の意思に基づき)渡していたというのであれば、それは母から子への生前贈与だった可能性があり、特別受益として、遺産に持ち戻すべきか否かが問題とされます。
今回は名義人の皆さんが満期を受けて払い戻しを受けたケースですので、おそらく通帳や印鑑は各名義人のみなさんの手元にあったものと思われます。
そうすると、当該預金口座は名義貸しであったものの、口座を贈与された可能性が高いと考えらます。
これに対し、贈与を否定し、母の遺産であることを主張するには母のメモだけでは証拠として心許ないところがあります。そこで、母のメモに加え、各名義貸し預金に預け入れられた金銭の元手は、実は母の口座から出金されたお金であったことを母の預金取引履歴から調べ上げて主張することが必要でしょう。

【母の手元に通帳が残っていた場合】

他方で、母が単に子の名義を借りただけの口座(いわゆる名義貸し)であれば、(満期がきて解約される時点まで)預金通帳や印鑑は母の手元に残っていたはずです。そのため、解約時点で通帳や印鑑がどこにあったのかを確認することが重要です。
もし母の手元に通帳が残っていた場合、名義貸し預金は生前贈与ではなく遺産の一部になり、相続の対象になることが多いでしょう。
(もちろん、通帳が口座名義人の手元にあった場合でも、名義人が勝手に持ち出した可能性がありますのでここは注意が必要です)

なお、あなたが遺産分割協議を提案しても話し合いが進まないような場合には、早めに弁護士に法律相談され、遺産であるとして証拠を残す方法や、解約された預貯金を取り返すため財産の仮差し押さえ措置の要否など、今後の取るべき方策等も弁護士にお聞きになるといいでしょう。

相続法改正の影響
今般の相続法改正で、遺留分請求についても各種改正があり、令和元年7月1日以降に発生した相続については、特別受益は、相続前10年間になされたものに限り遺留分計算の基礎に入れることになりました。
相続法改正についての詳細は、「相続法改正9 遺留分制度に関する見直し」をご参照ください。


借名預金は遺産になるか【Q&A №483】 0483


【ご質問の要旨】
父の死後、遺産分割協議がされたが、その後、父が貯金していたと思われる義母名義の口座が見つかった。
この口座のお金を、父の遺産として相続することができるか。

記載内容  借名預金 名義貸し 意思能力

【ご質問の内容】
父が平成24年1月に亡くなりました。
私は、外国に住んでいるので、弁護士とやりとりして、情報が金庫から見つからない状態で、父の銀行口座などを昔家で見かけた銀行や郵便局からのタオルやカレンダーを元に銀行の変遷を加味して、幾つかの口座を見つけて、其れを義母と等分しました。
義母は、介護2で気が定かでは有りません。
義母は、老人ホームに入居して、父の会社の年金と国の年金と生命保険で暮らしています。
その後、今年の春、私が日本に行き、家の掃除やごみ捨てや片付けを2ヶ月程している時に、父の思いや毎年口座のお金のバランスや判子や銀行手帳、保険手帳、金庫を開ける数字などが出てきました。
その中に父が最後迄管理していた父の口座と義母名義の銀行口座が出て来ました。
義母は働いていません。
この口座は父のお金だと思うのですが 半分貰う権利が私にあるのでしょうか
残された家族は私と義母の2人だけです。

(yspads)


【原則は名義を基準に判断】
今回のような家族の名義を借りた預金を一般に「名義預金」や「借名預金」などといい、一昔前はよく見られました。
このような預金であっても、外形上は名義人から判断され、特に誰も指摘をしなければ銀行は義母の預金であるとして各種手続を進めると思われます。

【預金を行った人物を実質的に判断】
ただ、中身の金銭を積み立てた実質的な預金者が別に存在することが判明した場合、話が変わってきます。
すなわち、預金の中身は、実際に預金を行ったお父さんの財産(遺産)であると判断される場合もあるということです。
この場合、あなたにも法定相続分を相続する権利があることになります。
そのため、この点が裁判で争われた場合に、生前の生活状況や収入状況などを当時の資産(たとえば給与口座の取引履歴など)から判断し、名義預金であったことが認められるケースもあります。
但し、義母のものではなく、お父さんのものであるという点の証明はあなたの方でする必要がありますから、裁判所がお父さんのものであることを十分に納得するような証拠を出す必要があります。
もしお父さんが預金したことに間違いなさそうでしたら、他の預金口座の取引履歴などと照らし合わせ、お父さんの口座からその義母の口座に積み立て(送金など)されていることなどの事情を確認されると良いでしょう。

【意思能力の問題が予想される】
ただ、実際の手続は厄介なものになる可能性があります。
今回は(少なくとも形式上は義母名義のため)義母にもお父さんの遺産であることを認めてもらい、その旨の書類に署名押印をしてもらって銀行に提出する必要があると思われます。
しかし、義母が気が定かでない状態であれば、義母が意思能力を欠いて署名押印ができない(あるいは、署名があっても無効になる)可能性があります
この場合、義母に成年後見人を付ける申し立てが必要となるなど、面倒な手続が必要となりますので、ご注意ください。
また、成年後見が必要なケースであるとすると、以前にした遺産分割協議も無効になる可能性もあることに注意が必要です。

(弁護士 大澤龍司)


亡父のみが生活費を負担した場合の母の貯金は遺産か【Q&A №358】 0358


 共働きで 家のローン・生活費は 全て父が出し 母の収入は全て母名義で預金されていた場合・・・相続の対象にはなりませんか。

記載内容  借名預金 名義 預金 特別受益 生活費の負担

(千)


【生活費を分担していた夫婦と比べれば】
 お父さんの収入が生活費に充てられ、お母さんは自分の収入を預金として貯めておくことができたというケースです。
 ご相談の趣旨は、お母さん名義の預金は、結局、お父さんの負担によりできた預金ではないか、その分をお父さんの遺産ということで対処できないかということです。

【母の財産であり、父の遺産にはならない】
 この点、お父さんが自分の収入を、お母さん名義で預金していたというのであれば、実質的にはお父さんの遺産であったといえる可能性があります。
 今は銀行の扱いが厳しくなりましたが、昔は家族名義を借用した預金(借名預金などと呼ばれていました)が多く見られた時代がありました。
 その場合、実質的にそのお金を入金した元手は誰のお金だったのか(≒誰の収入だったのか)を主張立証することで、お母さん名義の預金だがお父さんの遺産であると扱うことができる余地がありました。
 しかし、本件では、お母さんが自分の収入を自分名義の預金口座に預け入れたということですので、お母さんの財産であり、お父さんの遺産になる可能性はないでしょう。

【特別受益にもならない】
 お父さんが生活費を負担したため、お母さんが自分の収入を全て預金に回すことができたということであれば、お母さんに特別受益があり、その経費負担分を遺産に持ち戻せないかという疑問が出てきます。
 しかし、夫婦の一方が生活費を出した場合でも、その金額が特別に多額ではない場合―たとえば月額10数万円程度―であれば、夫婦の扶助義務の実行であるとして特別受益にはならないと思われます。


叔母が預金した父名義の預金口座とお金は誰のものか【Q&A №190】 0190


 亡き父名義の通帳

 去年11月14日に私の父が末期癌でなくなりました。医者から余命4ヶ月と言われてから1ヶ月半で亡くなりました。
 父には姉がいて、近くに住んでます。私からして叔母です。父が亡くなってから、叔母から父名義の通帳があるから母と私に印鑑証明と実印を揃えてくれといってきました。その時にはどこの銀行かとか残高とか教えてくれなくて、ただ書類を渡されました。
 後日私が叔母に父名義の通帳は母と私が遺産相続人になると思うので通帳を渡して欲しいとお願いしました。渡された銀行のが父が亡くなる10日前に700万引き出されてました。父は末期癌のため最期は自宅で介護して過ごしてました。なので10日前に銀行に行く体力もなく常に母と私が看てました。
 怪しいと思い叔母に聞くと最初は知らないととぼけられました。そのうち、父名義の通帳は私のお金だ。名義を借りただけだと言ってきました。
 私も納得いかなくて相続の事を調べると亡くなる前の引き出しも遺産相続になると書いてたのを見つけ叔母に話すと700万を渡してくれました。
 それから叔母からの連絡は無かったのに、昨日たまたま母と遭遇した叔母は母に、今書類を揃えてる。あんたら親子を訴えてやるからなって言ったそうなんです。
 700万を渡した時には何も言わなかったのに、なんで今更そんな事を言ってくるのか分かりません。父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのでしょうか?

記載内容  借名預金 名義借り

(いちご)


【預金が実質的に誰のものかの判断基準】
 お金を預けた人物と預金口座の名義人とが異なる場合のことを《借名預金》などといいます。
 昔は本人確認も現在ほど厳しくなかったため、勝手に他人名義で口座を作ることが容易にできました。
 ところで、ある口座について、その名義人ではない人が自分の預金だと主張するときに、本当の口座の預金者を判断するためには次の点などを考慮するといいでしょう。
①その預金の入金は誰がしていたのか。
②その預金の預金証書や取引印やキャッシュカードは誰が保管していたのか。
③その預金の出金は誰がしていたのか。

【本件質問の場合には・・】
 今回の質問では、上記①から③までが記載されていません。
 ただ、お父さんの生前に叔母さんが700万円を引き出したということであれば、前記②の預金証書や印鑑等を叔母さんが持っており、しかも高額の預金を引き出していたということになれば③の点も充たしており、叔母さんの預金の可能性もでてきます。
 これに加えて、①の預金の入金が叔母さんということなら、叔母さんの預金の可能性が高いでしょう。
 しかし、叔母さんが700万円をあなた方に返還したというのですから、その点からいえば、お父さんのものである可能性が高いとも考えられます。
 なお、叔母さんは訴訟の用意をしているというのなら、あなたの立場から言えば、前記①の入金者はお父さんであったことや②の預金証書等が叔母さんに行っていた理由等を調査しておく必要があるでしょう。
 いずれにせよ、今回の質問の記載だけでは、はっきりした回答は困難というしかありません。

【父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのか】
 この点に対する回答は、その預金口座が実質上は誰にものかによって異なります。
 お父さんのものであるとすると、あなたは叔母さんから返還してもらった700万円を返還する必要がないでしょう。
 しかし、実質的に叔母さんの預金であるとすれば、生前の引出分は当然、叔母さんの分になり、あなたがもらった分は返還する必要があるということになります。


あなたは

番目の来場者です

質問する

当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。

事務所での有料相談はこちら

直接、お聞きして、的確に回答します。今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。

最近の相続ブログ

アーカイブ

カテゴリー

大澤龍司法律事務所

〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-25
梅田プラザビル別館7階A703号

お気軽にご相談ください!(電話要予約)
お気軽にご相談ください!(電話要予約)
FAX:06-6361-6043 メールでのお問い合わせはこちら 月〜金曜日(祝日を除く)
    • 大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅
      ...徒歩約7分
    • 大阪メトロ堺筋線・京阪電車「北浜」駅
      ...徒歩約10分
    • 大阪メトロ御堂筋線・京阪電車「淀屋橋」駅
      ...徒歩約15分
事務所ブログ 大原訴訟ホームページ

ページの先頭へ