大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

ゆうちょ銀行は詐欺罪で告訴しますか?【Q&A №579】


【質問の要旨】
母の貯金を不正に出金した兄夫婦を詐欺罪で告訴できるか?

記載内容  詐欺罪 偽造 銀行 

【ご質問内容】
 昨年5月に母が亡くなりました。
 相続人は兄と弟の私、2人です。
 母は生前、約13年前に公正遺言証書(私には内緒で、おそらく兄に誘導されて)を作成していました。
 内容は母の死後、初めて、私は知ったのですが、土地、家屋(時価6千万円ぐらい)は全て兄に、預貯金は全て私に、という内容でした。

 その行為が許せなく、弁護士を通じて、立証できた金額1900万円あまりを返却してもらいました。
 つまり、民事的には一応解決となっています。
 然しながら、未だに、兄夫婦の今までの行為が許せなく、刑事的に何か罰則を与えることは、出来ないかと思っています。

 そこで、質問なのですが、兄の妻が、平成23年12月6日に、ゆうちょ銀行の窓口で母の定額預金70万円を解約しています。
 それは、母の委任状(母の偽署名をしたもの)を作成して解約しています。
 その70万円はゆうちょ銀行の母の普通預金口座に一旦入金されていますが、1か月ぐらいで、2~3回に分けてキャッシュカードで全額引き出されています。
 その時、母は介護施設に入所していて、外出することは出来ない状態でした。
 また、介護日誌では、認知による奇怪な行動が解約日の前後に見られます。
 また、認知度の長谷川式テストでも解約の意思表示など出来る意思判断は不可能な状態でした。

 この内容で、詐欺罪は成立しますか?
 ご回答お願いします。

(ultimora)


【犯罪ではあるが処罰されない】
 まず詐欺罪が成立するかどうかですが、お母さんの署名を装ってお兄さんが委任状に無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してお母さんの預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 また、キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したという見方も可能です。
 しかし、これらの罪については、法律上は親族相盗例という制度が適用され、親子間の詐欺罪や窃盗は処罰されません(刑法251条、同244条準用)。

 親族相盗例とは、親子間や同居の親族間の窃盗や詐欺について処罰しないという規定であり、家庭内のもめ事は家族間で話し合って解決するべきであり、警察のような国家権力が介入するべきではない、という考え方から導入された制度です。
 そのため、詐欺罪や窃盗罪で刑事告訴しても、警察が捜査を開始することはまずありません

【銀行は告訴しません】
 次に、有印私文書偽造罪については親族相盗例が適用されないため、銀行などが告訴すれば警察が動き出す余地が一応残っています。
 しかし、銀行は大量の預金事務を処理しているため、告訴による警察の事情聴取の負担などで争いに巻き込まれる事による負担を回避したいでしょうから、銀行が相続人などを警察に告訴することはまずないと考えられるといいでしょう。 

【民事上の争いをするほかない】
 今回の様な不正出金は民事上で争うほかないのが実際のところです。そのため、弁護士を通じて民事上は一応の解決をしているのであれば、立証できた1900万円を返還すれば、これ以上請求できないことになっている可能性が高いと思います。
 おそらくは、民事裁判で不正出金を取り返すことができたのも長谷川式認知テストなどをきちんと踏まえられたからだと思いますし、それ自体は正しい方法と思われます。
 民事上も一応の解決を経ているのであれば、本件ではこれ以上の責任追及を行うことは諦めざるを得ないでしょう。

★土地の売買と認知症について【Q&A №522】


【質問の要旨】
認知症の父の土地売買契約書を偽造

記載内容  認知症 告訴 偽造

【ご質問内容】
私は、父の相続人です。
父が生前土地を売る契約をしていました。
父は当時認知症で、土地の売買契約書は父の妹が偽造して作成していました。
この契約を解除できないかのご相談です。
その土地は、現状地目とも田で、買い主がマンションを建てる目的で購入しました。
契約当時認知機能検査MMSEは10でした。
又、父の妹を有印私文書偽造罪で告発は出来ないでしょうか。
よろしくお願い致します。

(choco)


【無効を主張できる可能性があります】
ご指摘の通り、妹さんがお父さんの署名押印(さらには印鑑証明書も無断取得している)を偽造したのであれば、その契約は無効です。
実際の立証は簡単ではありませんが、もし偽造やお父さんが意思能力を欠いていたことを立証することができれば契約が無効であることを主張できるでしょう。

【立証のポイント】
今回の契約無効を立証するに当たっては、お父さんの意思能力の程度が重要となってきます。
具体的には、お父さんの認知症の進行程度や判断能力の状況を病院や介護施設から取り寄せた記録(カルテや看護記録)で分析し、売買契約当時、お父さんが契約の意味を理解したり、印鑑証明書を自身の判断で取り寄せたり(あるいは妹さんに依頼したり)することができたかどうかを確認していくことになります。
そのほか、おそらく司法書士の先生が登記手続に関与しておられるでしょうから、本人確認や契約立ち会い時のお父さんの状況、さらには当時お父さんが署名押印した(とされる)書類の筆跡なども確認し、お父さんがこの契約にどのような関与をしたのかを確認していくことが必要と思われます。

【告訴と代金の返還について】
本件では有印私文書偽造罪のほか、買主の方に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。
ただ、警察はこういった親族間での問題になかなか立ち入らず、実際に立件する可能性は極めて低いのが現状であることはご理解ください(買主の方が詐欺だとして告訴すれば話は違ってきますが。)。
他方で、契約無効を主張した場合、土地は相続財産として戻ってきますので、その後に遺産分割を行うことは可能です。
ただ、契約が無効であれば(当然ですが)お父さん(あるいは妹さん)が受け取った売買代金を買主の方に返還しなければなりません。
この点にはご注意ください。

(弁護士 北野英彦)

★認知症の母に代わり遺産分割協議書を代筆したい【Q&A No.472】


父を亡くし、相続人は私と認知症の母二人です。
母に後見人を立てずに、代筆で遺産分割を行うことはできるででしょうか?

記載内容  認知症 遺産分割協議書 偽造

【ご質問内容】
 父が亡くなりました。
 相続人は、息子の私と、認知症の母の二人です。
 私と母は、相続上、争う関係にあるので、後見人をたてなければならないといわれました。
 しかし、息子は私1人なので、母の財産もいずれは息子が引き継ぐことになるし、ましてや母に不利なことは一切する気もありません。
 できれば後見人ナシで(代筆で)1次相続、2次相続合計で最も相続税が少なくなるような相続分割をしたいと考えています。
 これは、犯罪になるのでしょうか。
 誰も、損害を受けないので、見逃されるのでしょうか。
 証券会社からの通報で、訴えられるのではないか心配です。
 母は、ただいま、病院の療養病棟にて入院中。
 身体を動かすこと、意思表示はもちろん、飲み込むことも出来ず、点滴のみにて栄養を得ている状態が半年続いています。
 話を理解しているかも不明です。
 成年後見人が決まる前に、亡くなってしまう心配もあり、できれば、後見人ナシで相続を済ませたいと考えています。

(くんくん)


【成年後見人の選任が必要です】
 認知症にも程度がありますが、お母さんが意思表示できないというのであれば、お母さんは遺産分割協議することができません
 本件ご質問のような場合、代筆して作成された遺産分割協議書には、効力はありません。
 あなたとしてはお母さんの成年後見人選任の申立をし、家庭裁判所が選任した成年後見人との間で遺産分割協議をする必要があります。

【節税目的でも犯罪が成立してしまう】
 本件ご質問のような場合に、あなたがお母さんの署名捺印を代行することは認められません。
 もし、お母さんの代筆をした場合、有印私文書偽造等の犯罪末尾記載の刑法第159条、161条参照)になる場合もありえます。
 なお、節税という理由があっても犯罪が成立することに違いはありません。
 節税をはかる必要があるのなら、成年後見人の選任申立をし、その後見人との間で遺産分割協議し、その際、節税の必要性を説明して、成年後見人の了解を取りつける必要があります

【特別代理人が選任される場合】
 被後見人がお母さんの場合、息子さんが成年後見人になることもあります。
 しかし、今回のように遺産問題があり、利害対立するような場合には、裁判所は遺産とは関係のない第三者を後見人に選任することが多いです。
 もし、仮にあなたが後見人に選任された場合でも、遺産分割に関する限り、あなたはお母さんと利害が対立しますので、裁判所に特別代理人を選任申立をする必要があります
 この場合、あなたは裁判所が選任した特別代理人との間で遺産分割協議をすることになります

(弁護士 大澤龍司)

〔参照条文〕
刑法
159条1項(有印私文書偽造罪)
 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
161条1項(偽造私文書行使罪)
 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

★書類を偽造した姉は相続できるのか?【Q&A №461】


【ご質問のまとめ】
子5人のうち長男が亡くなり、続いて、父、母の順で亡くなりました。
長女に有利な内容で遺産分割がされました。
残りの兄弟は、よくわからないままサインしました。
数年後、長男の財産について、長女が偽造で名義を書き換えていたことがわかりました。
長男の財産を分けるにあたって、長女を外すことはできませんか?
残りの兄弟たちが長女に主張できることはないですか?

記載内容  偽造 欠格 遺産分割協議

【ご質問内容】
両親と兄と四人姉妹です。
兄は独身で両親より早くに亡くなりました。子供はいませんでした。
亡くなる1年前に兄の不動産は姉名義に変えられており、両親が相続する財産はありませんでした。
その2年後に父が亡くなり、さらに4か月後に母が亡くなりました。
両親を続けて亡くして平常心では無い中、長女が知り合いの税理士と一緒になって遺産分割協議を主導しました。
父は公正証書で母と兄そして長女に不動産を遺贈していました。
母は遺言書を書いてはいません。
父の遺言書の執行と母の遺産分割を同時に行いました。
法律のことをよく理解していなかった妹3人は、遺産分割協議書にサインしてしまい、その協議書の控えを貰えることも知らず、とても不公平な分割を了承していることに後で気づきました。
どうすることもできずに7年が過ぎたころ、長女名義に変えられた兄の不動産は、長女が書類を偽造して勝手に名義変更していた事が分かり、裁判で兄の名義に戻しました。
しかし、その兄名義の不動産を姉妹で相続するにあたり長女は法定での分割を主張して譲りません。
長女に遺産を渡さない方法はないでしょうか。
私達が長女に対して法的に主張出来ることはありますか。
父から遺贈された不動産は特別受益として、今回の遺産に含めることは可能でしょうか。
7年前にもどって遺産分割協議を最初からやり直したい気持ちです。
宜しくおねがいします。

(イーサン)


【お兄さんの遺産分割について】
 お兄さんには配偶者(妻)も子もないのですから、お兄さんの遺産は直系尊属であるお父さんとお母さんが相続することになり、その法定相続分は2分の1ずつです。

※ 本来の相続の流れ
         お兄さん
             
お父さん(1/2) お母さん(1/2)
            
 子  お母さん    
      
      

【お兄さんの遺産でお父さんが相続した分について】
 お父さんはお兄さんとお母さん、妹さんに不動産を遺贈しているのですから、この遺贈分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。
 ただ、既にお父さんの遺産について分割協議が行われているのであれば、その対象となったお父さんの遺産については特別受益分も含んで解決したと考えるのが通常でしょう。
 遺産分割協議後に(お兄さんの分をお父さんが相続した)新たな遺産が判明した場合には、残念ですが、長女の主張するように法定相続分は渡さざるをえないことになります。

【欠格事由にも該当しない】
 相続人から除外する制度としては欠格制度があります(民法891条:末記条文を参照ください)。
 この制度は被相続人を殺したり、遺言書を偽造したような場合には相続させないという制度です。
 しかし、今回の質問では遺言書ではなく、登記関係書類の偽造ですので、この欠格事由にもなりません。

【遺産分割協議に取消、無効事由はないかを考える】
 結局、既に遺産分割協議をしているというのが一番のネックです。
 事情がわからなかったのならその時点で弁護士等に相談されるべきでした。
 現在、取りうる手段としては、遺産分割協議を何らかの理由で無効にすることです。
 遺産分割協議について、騙されたようなことや思い違い(錯誤)をしているような場合には詐欺で協議を取り消しし、あるいは錯誤で無効とすることもできなくはありません。
 遅きに失した感がなくはありませんが、相続に詳しい弁護士に分割協議時点の具体的な話をしたうえで、協議を無効や取り消しになるような方策がないかどうかを相談されるといいでしょう。
 また、仮にお兄さんの不動産を長女名義にしていた際、長女がその不動産を他人に賃貸しておれば、その賃料を法定相続分に応じて返還請求することも可能でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

【参考条文】
民法

(相続人の欠格事由)
第891条
 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

紛失した父の実印は有効か【Q&A №372】


 父親が死亡後、あるべき場所から実印が紛失しています。
 数ヶ月後、遺産相続を確認した上で実印を押した偽造借用書などで債務を負わされるのではないかと心配です。
 トラブル回避の方法はないでしょうか。

記載内容  実印 印鑑証明 偽造 悪用 紛失

(わたなべ)


【死ねば実印は無効であるとはいうものの・・・】
 被相続人の死亡後には、《お父さんは死んで、書面作成はできない》から、実印はあってもなくてもどちらでもよいというふうに考えられがちです。
 しかし、誰か、悪意の人が実印を入手したとなると、問題が発生する可能性があります。
 質問にもあるとおり、悪意の人が日付を遡らしたお父さんの借用書を作成することも考えられるからです。
 又、生前、お父さんの不動産の名義を動かしている可能性さえ考えられます。

【対策としては・・・】
 対策としては、警察に盗難の被害届を出すことも考えられます。
 しかし、果たして盗難にあったかどうかが明らかではなく、又、警察が現実に動いてくれることも期待薄でしょう。
 お父さん名義の実印を押した借用書が出てきたときの対策としては次のようにされるといいでしょう。
 まず、印鑑証明書があるのかどうかを確認しましょう。
 実印をつく場合には印鑑証明書の提出を求めることが多いです。もし、その借用書に印鑑証明書が添付されていないのであれば、死後に作成された可能性があります。
 次に、署名がお父さんの筆跡であるのか、又、現実に借用したとされる金銭がお父さんに手渡されていたのかどうかも確認し、その借用書が真実のものかどうかを判断しましょう。

 次に、実印をついたお父さんの生前贈与の書面が出てくる可能性もあります。
 この場合にも、印鑑証明書の有無、筆跡等を確認して、その書面が偽造されたものか否かを判断されるといいでしょう。

 いずれにせよ、実印を押捺した文書が出てきた場合には、紛争になる可能性が高いのですから、早期に相続関係に詳しい弁護士に相談し、そのアドバイスを受け、必要に応じて事件を委任をすることも考えましょう。

【最悪の場合には相続放棄も】
 もしそのような偽造借用書を突きつけられ、裁判でもその借用書を覆す証拠がない場合、あなたは相続人として、その法定相続分に応じた債務の支払いをする必要があります。
 遺産が少なく債務のほうが多い場合には、相続放棄という手段も考慮に入れておく必要があります。
 ただ、相続放棄はお父さんの死亡を知った後3ヶ月以内に手続をする必要があります。
 そのため、借金が判明した場合には、必要なら相続放棄期間の延長(伸長)願いを家庭裁判所に出す等の方法で放棄期間の延長をし、その借金の支払いの要否を早期に判断しなければなりませんが、そのためにも弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

印鑑を無断盗用した遺産分割協議書【Q&A №340】


 

①遺産相続協議書の見せられたのは母親死亡後の相続の件時で訪問した平成22年6月29日に初めて知った。弟Aは(平成21年7月死亡)は昭和51年5月1日に遺産相続協議書を作成して所有権移転登記は昭和51年5月30日完了していた。 勝手に弟の配偶者(B)に署名させて印鑑を押印後に印鑑登録を要請、印鑑署名書は代理人申請で取得していた 印鑑登録は昭和51年5月15日です。署名の事実もなく正本も渡されていない。 母親(平成22年5月11日死亡)と父親(昭和37年7月30日死亡)の相続調停で相手方4名は弟Aの相続人配偶者とその子3人 申立人2名は私Cと妹は弁護士に相談して立川裁判所に調停を平成22年7月申請した。調停で父親の相続は訴訟で争うとの回答書に対して申立人弁護士は「父親の相続は経費が掛かる、時効が成立しているから・・
 経費対成果を考えると母親の調停で進めましょう」との事で母親の所有権のある建物の20分の9を相手側が支払うことで調停平成23年5月27日に成立しました。

②配偶者(B)とその子Dは敷地内に弟Aが不正な方法で土地所有権を得た敷地364,52㎡の一部を121,58㎡土地文筆登記平成14年6月14日して家を新築した。 当時弟Aに確認したら借地代として税金分は貰っていると話をしていたのである。調停前平成22年6月17日に配偶者とその子D.E2人持ち分242,94㎡を3/1づつ移転登記され、且配偶者(B)はその子Fは文筆登記された121,58㎡土地移転登記していた。

記載内容  実印 印鑑登録 偽造

(知世子)


【時効制度について損害賠償請求にも時効がある】
 ご相談内容に質問部分が記載されておりませんでしたので、当方で問題点を推測し、回答します。
 まず、お父さんの遺産分割について、あなた(さらには妹さんの)印鑑が勝手に印鑑登録され、その実印が使用されて、遺産分割協議書が作成されたとすれば、それはあなた方の意思に基づかない違法かつ無効な遺産分割協議であり、その協議書を使ってお父さんの遺産である土地等の不動産登記もされたのであれば、その登記も効力がありません。
 ただ、法律では、無効な権利関係といえども、権利者としての外形が長く続くのであれば、その外形を権利として認めようということで、取得時効という制度を設けています。
 又、権利を長く行使しないのであれば、その権利の行使を認めなくする消滅時効という制度も認めています。

【弟さんの行為については不法行為基づく損害賠償請求が可能だったが・・】
 弟さんのした行為はあなた方の遺産を取得することを妨害したもので、あなた方としては不法行為による損害賠償請求ができることになります。
 しかし、不法行為はその行為を知ったときは、知ってから3年間、知らない場合にも不法行為時から20年で時効に消滅します。
 今回のケースでは、その行為があった昭和51年から約40年近くが経過しています。
 あなたの委任された弁護士が時効というのは、その消滅時効のことを言っているのでしょう。
 また、仮に本件が私文書偽造罪などにあたるとしても、やはり公訴時効という制度があり、警察が捜査し裁判にかけることができる期間も制限されています。

【登記の無効を争うことは可能かもしれないが・・】
 ただ、弟さんのした相続登記が無効というのなら、現在もその点を指摘して、登記無効の訴訟を提起することも可能です。
 しかし、この裁判ではあなた方が、弟さんが不法行為を行ったことを証明する必要があり、それができなければ敗訴することになります。
 あなた方の依頼された弁護士としては、あまりにも過去のことであるので、その点の立証も難しいと考え、お母さんの相続だけに限定したものと思います。

 又、弟さんが登記してから約40年間、弟さん及びその家族はその不動産を自分の名義で使用し、かつ、固定資産税等の税金を支払っており、所有者としての外形を維持してきましたので、取得時効が完成している可能性が極めて高いです。
その判断が正しかったのかどうかは、詳しい事情を知らないためなんとも判断できませんが、約40年近く前の事実を証明するのはかなり困難なことであると思います。
又、取得時効も完成しているものと思われるので、あなた側の弁護士の判断もやむをえないものではないでしょうか。

父の遺産を使い込んだ姉【Q&A №269】


 父、母、私名義1/3づづの土地が有りました。父が死亡して遺産相続手続きはしていませんでした。5年後母が悪徳不動産に借金をしその後、母は破産し、返済できない分を競売にかけられた、土地の母の所有分1/3を悪徳不動産とられ(共有財産となり)、残りの父の所有分1/3を、唯一の姉妹である、姉が、私の同意もなく、法廷相続分の権利申告をし、自分の物としていました。姉1千万円ほどと母はその他全て、父の遺産現金部分ををすでに自分たちの生活の処理(姉は離婚裁判費用など、母は自分の借金くめんなど)に使い果たしていました。
 このような行為は法的に許されるのでしょうか?私が弁護士などを通して訴えれば、父の最後の遺産を私が全て処分する権利は得られるのでしょうか?
 因に、土地の権利書は姉が勝手に隠し持っていて、自分の弁護士に渡して処理をお願いしているからと返してくれません。私にはなにもするてだてはないのでしょうか?

記載内容  不正出金 使い込み 偽造

(こもも)


【相続分の確認】
 お父さんの共有持ち分3分の1は、遺言などがなければ、お母さんの法定相続分が2分の1ですので、お父さんの持分3分の1の半分である6分の1を、お母さんが相続することになります。
 お姉さんとあなたは法定相続分がそれぞれ4分の1ですので、お父さんの持分3分の1の4分の1である12分の1を、それぞれ相続することになります。

【あなたの相続分をなぜ取得できたのか】
 今回の質問では「父の所有分1/3を、唯一の姉妹である、姉が、私の同意もなく、法廷相続分の権利申告をし、自分の物としていました」と記載されています。
 しかし、なぜお姉さんはあなたの相続分(12分の1)を取得できたのでしょうか。
 お姉さんが、お父さんの持分を全部相続する遺言があったのであればともかく、そうでなければ、あなた及びお母さんの同意(さらには印鑑登録証明書も)が必要です。
 あなた達がもし、お姉さんに騙されて印鑑証明書を渡したというのであれば、詐欺などが成立する可能性があります。
 また、お姉さんがこれらの書類をあなたの知らないうちに偽造したということであれば、有印公文書偽造(さらには私文書偽造)等の刑法上の犯罪に該当しますし、相続登記が無効であるとして移転登記の抹消請求をすることができます。

【現金について】
 お父さんの遺産のうち、現金部分についても、前記のとおり、お母さんが2分の1、お姉さんとあなたがそれぞれ4分の1を相続で取得することになります。
 従って、あなたとしては、お姉さんやお母さんに対して、あなたの相続分に相当する現金の引き渡しを求めることができます。
 遺産である現金をお姉さんやお母さんが勝手に使ってしまったとしても、残念ながら親族間の問題として処罰されることはありません。
 返還請求をすることは法的には可能ですが、お母さんが借金を重ねた結果破産したというのであれば、お母さんに返還請求しても返金されることはないでしょう。
 結局、お姉さんに対して、あなたの相続分に相当する金額の返還を求めるしかないでしょうが、お姉さんが返金してくれる可能性も質問を見る限り少なそうです。

【遺産からの返還が現実的である】
 お父さんの遺産として預金などが残っているのであれば、そこから返還を受けるのが最も現実的な解決です。
 ただ、注意するべきことは、あなたが弁護士に依頼しても、お父さんの残された財産が、当然に全てあなたのものになるわけではありません。
 遺産分割調停や訴訟をして、使った分に相当する預金分などを引き渡せという手続きをした場合、その解決方法として、預金など、残された遺産があなたに相続されるようになることをお姉さんなどが認めることがあるというだけです。

【登記の移転を防ぐためには仮処分をする】
 お姉さんが、お父さんの持分3分の1を勝手に自分名義にしたということですので、お姉さんがその持分を第三者に譲渡する可能性がないわけではありません。
 それを防止するためには、弁護士に依頼して《不動産持分の移転を禁止する仮処分の手続》をしてもらうといいでしょう。
 この手続きで、お姉さん名義になったあなたの相続分(お父さんの共有持分の4分の1)について、売却処分などの権利移転を防止することができます。
 質問の事実関係でわかりにくい点もありますし、法律的に整理をする必要もありますので、いずれにせよ、早めにお近くの弁護士に相談されることをお勧めいたします。

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