大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

母名義の共有持ち分でも父の遺産となるのか【Q&A №295】


 母の再婚相手が亡くなり、その相手の子供と母とで、遺産分割協議の最中です。

 夫婦で暮らしていたマンションがあり、2分の1ずつの共有名義になっていますが、実際には母は出資していません。
 この場合、このマンションは「財産の持ち戻し」になってしまうのでしょうか。
 さかのぼって、贈与税(相続税)を支払うことで、半分の名義が改めて得られる(認められる)のでしょうか。

 母が資金を出さずに、どのような経緯で登記簿上2分の1ずつの共有名義になっていたのか不明ですが、現実として登記簿上そのようになっている権利というのは、どれぐらいの効力があるものなのでしょうか。

 相手方の子供側からは、確かに2分の1の資金を支払ったという証拠の提示を求められています。
 遺産分割協議には直接関係がないこと、と主張することは出来るでしょうか。

記載内容  共有持分 贈与 特別受益 借名名義 購入資金

(クルンテープ)


【登記名義があるという意味について】
 《現実として登記簿上そのようになっている権利というのは、どれぐらいの効力があるものなのでしょうか》という質問については、一応、お母さんがその持分をもっている(所有権がある)らしいという推定が働くという程度の力しかありません、という回答になります。
 相手方が、お母さんが資金を出していないということを明らかにすれば、登記名義があってもお母さんの持分は認められないということになります。

【登記がなぜ共有になったのか】
 お金を出していないのに、マンションの2分の1がお母さん名義になっている理由としては、

① 再婚相手がお母さんに贈与した。
② 再婚相手がお母さんの名義を借りていた(実質は全部が再婚相手の所有である)。

という2つが考えられます。
 本来はこの①か②かのどちらかを判断して、遺産分割に応じるべきものです。
遺産分割では、お母さんの持分が本当にお母さんのものか、それとも実質上は再婚相手のものであるかは、その財産が遺産に入るのかどうかという点で大事ですので、《遺産分割協議には関係ないことだ》ということはできないでしょう。
 ただ、現時点では再婚相手が死亡しているので、上記①②のどちらの趣旨であったかを明らかにすることは困難のように思います。

【どちらが有利かという観点から考える】
 観点を変えて、どちらの方が有利かという視点から考えてみましょう。
 上記①の贈与とした方が有利そうに見えますが、そうではありません。
 贈与とした場合、まず、贈与税の支払いをする必要があるのでは、という問題があります(過去の贈与について、税の支払いが必要かという点は税理士さんにお聞きください)。
 また、贈与であっても、お母さんが贈与を受けた2分の1の持分が遺産分けと全く関係のないものとされるわけではありません。
 贈与の場合、特別受益として、遺産計算では遺産に持ち戻されて、遺産分割で考慮されます。
 結局、贈与税を支払っても、お母さんの持分が遺産の中に入るので、わざわざ贈与とするメリットはないと考えるべきでしょう。

特別受益か否か【Q&A №157】


 ①昭和51年3月に店舗付き住宅(土地78.09㎡)を父が3/5、私が2/5を共有所有し購入しました。
 また、隣の中古店舗付き住宅(土地78.38㎡)が売りに出て、②昭和62年7月に父が1/2、私が1/2を共有所有し購入しました。
 その後、平成2年12月に①の所有権3/5を移転してもらいましたが、②については、父の1/2の所有はそのままです。

 兄弟の言い分として、
 当然②の1/2は父の相続財産であり、①の3/5は特別授与に当たる。
 また、父の所有していた部分について無償で使っていたのだから、土地と建物の使用料が特別受益に当たると言われ困っています。
 ①の無償使用期間が昭和51年3月から平成2年12月の179ヶ月間(108ヵ月分)
 ②の無償試用期間が昭和62年7月から平成24年1月の294ヶ月間(147ヵ月分)
 ①と②の賃貸分として特別受益に当たると言われています。

 仮に特別授与になるのでしたら、毎月の使用料はいくらぐらいが妥当でしょうか?

記載内容  特別受益 共有持分 使用貸借

(すえっこ)


【贈与であれば特別受益】
 まず、①の店舗付き住宅の5分の3の所有権移転が贈与であれば、特別受益に該当すると考えられます。
 民法の条文では、「生計の資本としての贈与」を特別受益としていますが、実務では相続人に対して多額の財産を移転すると、特別受益とされると考えていいでしょう。

【無償使用の権利は特別受益になります】
 あなたが②の店舗付き住宅のお父さんの持分2分の1を無償で使っているのは、共有者間の合意に基づくものであり、使用借権のようなものです。
 この無償で使用する権利は、死亡後も続くものと考えられますので、使用借権と同様に特別受益に該当すると思われます。
 したがって、その無償使用を設定してもらったことで発生した権利は特別受益として扱われ、相続発生時点でその権利の価額が遺産に算入されます。

【死亡までの無償使用分は特別受益に該当しない】
 前項で記載したように、お父さんの土地建物の持分の無償使用権は特別受益に該当し、遺産に算入されます。
 しかし、特別受益は、受益の原因となる行為の効力を奪うものではありません。
 相続人間の公平を考慮して、特別受益として権利の価額を遺産に組み入れようとするものです。
 合意後の無償使用分は、前項で記載した権利の内容を実現するものです。
 その権利自体が特別受益として遺産に算入されている以上、この権利内容を実現する現実の無償使用は特別受益にはなりません。
 なお、この点については、判例をQ&A №109に記載しているので、その部分を再掲します。
 「使用期間中の使用による利益は、使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当で」あり、使用料を加算することには疑問がある。

★相続分譲渡と預金解約【Q&A №113】


第三者に相続分譲渡をした場合、不動産は名義変更の登記が可能みたいですが、銀行口座の解約引出しは、銀行がやってくれないとの記事を見かけましたが、本当でしょうか?それでは全く意味がないと思います。

記載内容  相続分の譲渡 共有持分 銀行預金

(サバ)


【相続分の譲渡】
 相続人が持っている相続分を他の人に譲り渡すことを相続分の譲渡といいます。
 相続分の譲渡については、他の相続人に譲渡することはあるのですが、これを第三者に譲渡するようなケースは、当事務所としては扱った経験がありません。
 今回の質問はこの珍しい例に関するものです。

【遺産である預金の解約・払い戻しについての銀行の基本姿勢】
 遺産である預金の解約ですが、銀行としては、相続人全員の同意がないと遺産である預金額の解約には応じず、又、相続人がその相続分に該当する預金額だけでも払い戻せと言っても、応じないのが多数の銀行の対応です。
そのため、相続人全員の同意がない場合には、裁判で判決をもらって、銀行に支払ってもらうというのが実情です。

【第三者への相続分譲渡の場合】
 相続人でも単独では預金を解約できず、又、法定相続分相当額の払戻もできないのですから、その相続分が第三者に移っても銀行の対応は同じでしょう。
 その譲受人が単独では解約できず、又、相続分に相当する預金額の払戻しにも銀行は応じないでしょう。
 なお、銀行としては、第三者に本当に相続分が譲渡されたのか、その譲渡に問題はないのかという、相続とは別の新しい問題点があるため、相続人の払戻請求以上に慎重になる可能性があることも考慮しておく必要があります。

【結論としては・・】
 結局、「銀行口座の解約引出しは、銀行がやってくれないとの記事を見かけましたが、本当でしょうか?」という点については、そのとおりというのが回答になります。

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