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遺留分減殺は単独で登記できるか【Q&A №399】


 実父の公正証書遺言により、第三者に遺贈されてしまった遺産のうち不動産に対し、法定相続人が遺留分減殺請求権の行使をし、その帰属範囲内の割合で共有(同?)登記し、それを継続させる事は可能ですか。

 遺言執行者には、遺言作成を依頼された弁護士が指定されており、受遺者は早急に遺産を売却し金員を手に入れようと遺言執行者の助言のもと、その土地建物に出入りし、動産の処分も行っています。

 法定相続人としては、それらの行為や目的にでき得る限り対抗しようと考えています。
 現在のところその土地建物の名義は実父のままで、建物の評価は略無いと思いますが、部屋に私の所有物を長年保管しております(使用借権としても専有面積は帰属範囲内の割合です)。

 審判までは一人で戦うつもりですので、法的知識や権利のある遺言執行者らの対抗にも有効な手立てをご教授ください。

記載内容  遺留分 登記 単独申請 仮差押 原則1年以内 執行者への通知

(金にならない相談者)


【遺留分権利者単独で遺留分の登記はできない】
 日本の登記制度は原則として登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が原則です。
 ただし、例外として、共同相続人のうちの一人が単独で法定相続内容通りの相続登記ができます(末記の条文をご参照ください)が、ご質問の《遺留分減殺を原因とする登記》は《相続登記》ではないため、遺留分権利者が単独ですることはできません。
 そのため、登記をするためには登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が必要であるという結論になります。

【遺留分の登記を実現するための方法】
 あなたが遺留分の登記をするためには、受遺者に対して裁判を起こして判決を得て、その判決に基づいて遺留分だけあなたが移転登記するということになります。
 ただ、判決が出るまでには(事案によって異なりますが)通常、1~2年程度かかります。
 今回のケースでは、受遺者が遺贈の対象となった不動産の売却を急いでいるようですので、判決を待っていられないでしょう。
 そのような場合には、不動産について遺留分があるので売却をしないようにという手続きとして仮差押申し立てをすることも可能です。
 手続きとしては、裁判所に書面を提出し、裁判所と面談して仮差押決定を出してもらう必要がありますので、ぜひ、相続に詳しい弁護士に相談し、仮差押えの手続きを委任されるといいでしょう。

【家への立ち入りはやむを得ない】
 次に、受遺者のお父さんの自宅への立ち入りですが、受遺者は登記を受ける前であっても当該不動産の所有権を有していますので、家への立ち入りを禁じることは難しいでしょう。
 なお、あなたの所有物が無断で処分された場合には、その分は所有権を侵害されたとして損害賠償の対象になることはあり得ます。

【現在、早急にとるべき行動について】
 ご存知だとは思いますが、遺留分減殺請求は、原則として、相続開始から1年以内にする必要があります。
 もし減殺請求をしていないのなら、早急に内容証明郵便で受遺者に対して減殺請求通知を出されるといいでしょう。
 次に、遺言執行者に対しても、遺留分減殺をした遺留分権者の立場で、受遺者に当該対象物件全部の移転をしないように申し入れておくことも考えられます。
 ただ、遺言執行者としては《とりあえずは受遺者に単独登記をするので、あとは受遺者と遺留分権利者とで争ってくれ》という対応をする場合が多く、あまり効果はないかもしれませんが、遺留分権利者としては、そのような申し入れもすることも一方法でしょう。
 いずれにせよ、遺留分にかかわる問題は難しい点が多々ありますので、早期に弁護士に相談されるといいでしょう。

《参照条文》
 不動産登記法63条(判決等による登記等)
   1項 ・・・・(省略)・・・これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続きをすべきことを命じる確定判決による登記は、当該申請を共同でしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
   2項 相続又は法人の合併による権利移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

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