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大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★息子を相続人でなくす方法【Q&A №258】 0258

【質問の要旨】

約30年父名義の土地建物に同居していた弟夫婦。
父母を虐待していたため、相続人から廃除する母の遺言書あり。
生前、役所などに相談していた内容を開示してもらうことは可能か。
早急にやるべきことはあるか。

【ご質問内容】

30年近く父名義の土地建物に同居する弟(夫婦)からの虐待が原因で平成22年5月父が列車に飛び込んでなくなり、

父なき後ますますエスカレートする虐待のため母も家を出て老人施設で暮らしていましたが度重なる心労から癌を発症し昨年の12月に亡くなりました。

母が家を出てからの2年間弟からは母の安否を尋ねる連絡は一度もなく危篤の知らせにも葬儀にも顔を出さずじまいでした。

倒れた7月から亡くなる12月まで私が横浜から母の住む富山に移って一人で看病をし葬儀も行いました。

父母は生前から弟に家から出て行ってほしいと言っていましたが暴言・暴力・無視を続け今も父母の家に住み続けこのままでは弟の占有権(?)が強くなるのではないか心配です。

分割協議が整うまでの退去の要求とか家賃の請求など、早急にやっておくべきことがあれば教えてください。

母は、全財産を私に相続させ遺言執行人に指名する旨の遺言書と、弟の廃除の遺言書を残しました。

母は生前市役所・警察署・法務局人権相談窓口で虐待について相談しています。

母の廃除の意思・私の執行人の立場から考え、母の相談内容の開示をお願いしたのですができないとの返答でした。

法務省の審査基準を見る限りでは個人を特定できる部分をマスキングすれば開示可能なのではないかと思うのですがどうなのでしょうか。

父母の最晩年の苦しみと悲しさを思うとやり切れません。

(みみょう)

 

【とるべき手続きは2つです】

まず、今後、取るべき手続きとして考えられるのは次の2つです。
① 廃除の申立(弟の遺留分を消すために必要)
② 弟に対する自宅の退去請求(交渉もしくは訴訟)
そして、この①廃除には虐待の証拠収集が必要であり、②退去請求には遺言を使った相続登記が必要です。

弟には遺留分(最低限度の相続分)があるため、上記②の退去請求を行いますと、これに対抗して弟が遺留分に基づき自宅の相続分を含む遺産全体に対する権利を主張してくることが考えられます。
そこで、今回は上記①の廃除の申立を行い、弟の相続人ではないこととし、これを前提として弟が家について相続で全く権利を持たない立場にした上で上記②の退去請求を行う、という手順をたどることがいいでしょう。
以下、廃除の手続やその裏付証拠の集め方(法務局や警察からの情報収集)について詳しく回答していきます。

【まず、廃除の手続きをする必要がある】

被相続人が廃除の遺言書を残しています。
このような場合には《遅延なく》、家裁に廃除の申立てをしなさいという条文になっています。
具体的にいつまでと期限が区切られているわけではないですが、あなたとしては遅延なく、言い換えればできるだけ早く家庭裁判所に廃除の手続きをする必要があります。
廃除の要件である被相続人に対する虐待があることを認定すれば、家裁は廃除の決定をすることになります。
ただ、そのような決定をしてもらうためには虐待の証拠を集め、裁判所に提出する必要があります。 
なお、資料が整わないのであれば、とりあえず、家庭裁判所に廃除の申立をし、裏付け資料を追加して提出するといいでしょう。

【虐待の裏付資料としてどんなものがあるか?】

前記のように廃除の申立には虐待の証拠が必要です。
虐待を受けた際、傷害を負う場合も多く、病院で治療を受けるでしょう。
そのため、母の通院した可能性のある病院が判明すれば、そこからカルテを取り寄せし、虐待を訴える記載がないかどうかを確認するといいでしょう。
また、打撲傷や骨折など、傷害の内容から虐待を裏付けることも可能ですので、カルテの取り寄せは必要不可欠です。
また、母の知人や親族などからも事情聴取をし、報告書にまとめて裁判所に提出することも考えるといいでしょう。
もし、母が虐待を受けているその現場を見た人がいれば、その人の署名のある報告書なども裁判所を強く動かす力を持ちます。
被害を受けた当事者である母が死亡しているケースでは、虐待を証明することの困難が浮き彫りになります。
証明するにはどのような方法を考え出すか、そこが勝負の分かれ目になりますので、知恵と経験が必要なところですので、ここはやはり弁護士への依頼をお考え頂くべきと思います。

【警察や行政からの情報開示について】 

警察は、虐待があったとの通報があった場合には、刑事的な観点から捜査を開始することがあります。
ただ、被害者である被相続人が死亡しているような本件の場合に、警察が力を入れて捜査するということは考えにくいです。
仮に警察が捜査を開始しても、得た情報を相談者の方に教えることはありません。
これは、警察が独自に入手した《捜査情報》であり、捜査上の秘密保持や、プライバシー保護などの観点から非公開が求められるからです。
母が、市役所や法務局人権相談窓口で相談されていたのであれば、あなたが相続人であることや、虐待を記載した遺言書があることを明らかにしたうえで、それらの役所に情報開示請求をされるといいでしょう。
こちらは警察ほど秘密保持が厳しくありませんので、情報開示の除外事由に該当しない限り、情報開示される可能性があります(一部マスキングされる場合もありますが)。

【遺産分割協議までの対処】 

あなたが母の全遺産をもらうという遺言書がありますので、家はあなたが全部相続します。
そのため、あなたとしては、家の所有者として、弟に対して家からの退去を求める権利があります。
ただ、退去の申し出をしても、弟としては父母から無償使用を認められたとして、退去を拒む可能性が高いでしょう。
弟が任意の退去に応じないなら、あなたとしては調停か訴訟をすることになりますが、廃除申立てをしながらであれば円満解決を目指す調停での解決は困難であり、訴訟提起ということになると思われます。
このように訴訟を提起する可能性もある案件ですので、早期の段階で相続案件に詳しい弁護士に相談し、事件を委任することをお勧めします。
冒頭に記載したように家裁への廃除の申立てが必要であり、その証拠収集もあります。
また、虐待の証拠が集まれば、そのような虐待を受けている父母が、弟に家の無償使用させるはずはないという主張も可能になります。
このように、①廃除の手続を進めることで②家の退去請求も認められやすくなる、という関係がありますので、この際、弁護士の知恵を借り、証拠収集から裁判手続きまでを一括して依頼するのがいいように思います。
最後に、家の退去に代えて賃料請求を行う案ですが、それも選択肢としてはあり得ます。
しかし、家賃を請求するということは、賃借権という法律で保護された強い権利(ほぼ永久に出ていかなくてもよい)を弟に与えることになります。
そのため、あまりお勧めできません。
全体の流れの中で他に選択肢がない場合なら、やむを得ないでしょうが、できれば避けた方がよいでしょう。


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