大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★母の預貯金を成年後見人に取り戻してほしい【Q&A №519】


【質問の要旨】
母名義の預金を成年後見人は取り戻してくれるのか

記載内容  成年後見人 不正出金 取り戻す

【ご質問内容】
アルツハイマーの母は実家で一人暮らしをしております。
子供は私と姉の二人姉妹です。
父(認知症)は5年前に他界いたしました。
姉とはこの亡父の遺産(家屋・土地・融資産を姉が相続するという公正証書あり)のことで 私から家裁に申し立てをする関係となり 一応和解はいたしました。
現在母の介護に関することは母とは別居の姉が施設通所の手配等をやっています。
ご相談したいのは 介護が始まってから 姉が母の金融資産すべてを自宅に持ち帰り管理し始めました
これまでそれらの開示を求めましたがそれには応じませんでした。
姉は母から預かるように頼まれたと言います。
実は 亡父の時も 公正証書を作成し 生前中に父名義の預貯金を全額おろしそれを自分名義の口座に移しておりました。
恐らく 母にも同様のことをしている可能性が高いです。
母に成年後見人を申し立てることを考えましたが 述べたように母名義の預貯金は前述のようになっているなら管理するものはもう0、ないという事態も十分考えられます。
また、アルツハイマーの母は自分で判断は出来ません。相手の言いなりに行動します。
父の時と同様 母に姉はすべてを自分に預けることを一筆書かせているでしょう このような状況でも母の預金を母名義に成年後見人で戻すことは可能ですか
アドバイスをよろしくお願いいたします。

(林檎)


【預金の取り返しは難しい】
成年後見人は本人(お母さん)の権限のほぼすべてを代理する権限を持っていますので、理屈上はお母さん名義の預金をお姉さんから取り返す権限もあります。
たとえば借用書も整った相手から貸し金を返してもらう場合や、交通事故の加害者に対して損害賠償請求を行う、というように相手方の責任がはっきりしている場合であれば、後見人が積極的に権利を行使してお金の支払を請求するケースは確かにあります。
しかし、成年後見人があえて親族内での紛争を起こしてまで不正出金の取り返しに動き出すことはごく例外的なことであり、そうそう見ないケースです。
というのは、お母さんが自分の意思で(意思能力を失う前に)お姉さんに預金を預けたのか、それとも無断で不正出金をしているのかは外形的にはわかりにくく、明らかな証拠をつかむのが難しいからです。

【お父さんの話は別問題】
ただ、今回はお姉さんがお父さんの相続について周到な対策を整えて遺産を独り占めした経緯があるようですので、お母さんの預金についても同様の不正出金をしている可能性が高いようです。
しかし、法律上はそれだけで不正出金があると断定できるわけではありません。あくまでお父さんの話とお母さんの問題は別物だ、ということです。
もしお姉さんの不正出金を明らかにしたいのであれば、お姉さんの預金引き出しがお母さんの意思に基づかないものであったことを確証づける証拠が必要です。
ただし、確証があっても、後見人は家庭裁判所の監督の下に動きを取るため、家庭裁判所がどのような判断をするかにより後見人の動きが変わってくる可能性があることはご理解ください。

(弁護士 北野英彦)

遺産分割協議後の使い込み【Q&A №491】


 【質問の要旨】
遺産分割協議書で財産を相続した人が、遺産を生活費につかってしまった

記載内容  遺産分割 約束を破る 取り戻す

【ご質問内容】
家族構成は父、母、子供4人(長男=兄 離婚歴あり現在は独身で別世帯。長女=私次女=妹 二男=弟
2年前父親が亡くなり、財産を母親、子供4人が相続するところですが、母親に家を購入してあげたい希望があり(母も強く希望しておりました)、
高齢である母の代わりに家の購入、父のお墓の購入手続きをしやすくする為に母、子供3人は相続を放棄して長男である兄一人だけに相続することに決め、遺産分割協議書を提出しました。
そして兄が母に家を購入するつもりでいましたが一度契約寸前まで行ったところ、兄と不動産屋担当者との相性が悪く、購入を断念してしまいました。
こうして1年半、母は貸家に住み続けましたが突然家で病死してしまいました(遺言はありませんでした)
遺産を管理していた兄に預金を問いただすと兄はほとんど預金を自分の生活費にしてしまったと言うだけで通帳どころか使い道もハッキリ言いません。
母へ購入してあげるべき家の代金を全額兄は自己消費してしまった上に父母のお墓も買う事が出来なくなりました
私は兄の身勝手な行動が信じられなく許せません。
泣き寝入りしかないのでしょうか

(kanasiineko)


【相続放棄ではなく、遺産分割の問題】
質問には、お兄さん以外の法定相続人が《相続放棄》をしたとあります。
相続放棄は家庭裁判所へ申立をすることが必要ですが、今回はそのような手続きはせず、遺産分割協議で、お兄さんが遺産を一人で取得し、他の相続人は遺産をもらわなかったということだと思われます。
以下の回答は、この前提で記載していきます。

【遺産分割協議書の記載内容はどうだったのか】
遺産分割協議書に《お母さんに家を購入すること》が条件で記載されていた場合には、その条件を充たしていないのですから、お兄さんが遺産を取得できないことになります。
次に、条件というほどではないにしても、《お母さんに家を購入すること》が義務として記載されていた場合には、その義務をお兄さんが履行しなかったことを理由にして、遺産分割協議を解除できるのかという問題があります。
この点については、裁判例があり、遺産分割協議で定められた義務を履行しなかった場合でも、遺産分割協議は解除できないという結論でした。
ただ、この裁判例では、その義務を負った者に対して義務を履行しなかったことを理由として損害賠償を請求できる余地があるとしています。
なお、遺産分割協議書に義務として記載されない場合でも、その義務があったことが証明できるのであれば、損害賠償が請求できると私は思いますが、この点については異論があるかもしれません

【他の相続人として何ができるか】
今回の質問の場合、お兄さんが債務負担者であり、お母さんが債権者になります。
お母さんはお兄さんに損害賠償を請求できる可能性がありました。
お母さんは死亡されたのであれば、あなたをはじめとする法定相続人が、お母さんの損害賠償請求権を法定相続分だけですが、相続します
そのため、あなたがその相続した賠償請求権を行使できる可能性があります。

【専門家に相談されることをお勧めします】
今回のようなケースは相続人の間だけで解決するのは難しいです。
できれば法律の専門家である弁護士に相談され、遺産分割協議書の内容や合意に至る事情、更には不履行に関する事実経過を説明して、弁護士の意見を聞き、今後の取るべき方針を決定されるのがいいでしょう。

参考判例⇒
【相続判例散策】遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議を無効にできるか?(東京高裁 昭和52年8月17日決定)

遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議が無効になるのではなく、債務不履行による損害賠償を請求するべきである。
(最高裁判所:平成元年2月9日判決、東京高裁:昭和52年8月17日決定)

(弁護士 大澤龍司)

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