大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★古い取引履歴を請求したい【Q&A №531】


【質問の要旨】
古い取引履歴の開示請求をしたが、拒否された

記載内容 取引履歴 不正出金 拒否

【ご質問内容】
金融機関に相続人(本人)は、取引履歴の開示請求を、平成21年2月16日に求めたが、時効と言われ拒否された
長男夫婦共犯者の窃盗です兄弟姉の3人は、相続してません。
なお、長女は、精神障害者で生活保護にされ…母親契約で受取人は長女、また年金も38年掛けていた。
経歴(被相続人名義の経歴の開示を見れば、一目瞭然です。
被相続人死亡は昭和57年4月17日 相続手続きせず、昭和60年3月23日まで動きあり
残高、76円です。と三井住友銀行が言った…平成21年1月22日の最高裁判決に矛盾を感じています。

(囲碁ばか)


【平成21年の最高裁判例の理解について】
今回の質問に記載されている平成21年1月22日の最高裁判決は、共同相続人の一人でも単独で取引履歴の開示を請求できることを認めたものであり、相続に関する極めて重要な判例です(詳細はコラム【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要参照)。
ただ、この判例は、何十年前の履歴であってもすべて開示せよと命じた判例ではなく、被相続人が無くなった直後(2ヶ月後)に開示を請求したものであり、請求した期間も死亡直前の6ヶ月程度にとどまるものです。
参考までに言えば、過去どこまで遡って照会に応じなければならないかという照会期間についての最高裁判例は当事務所の利用している判例検索で調べても見つけることができませんでした。

【一般には、履歴照会の回答は5年から10年以内の範囲である】
金融機関が履歴の照会に応じるのは、原則として申請日から5年ほどさかのぼった分であることが多く、特段の事情があるということであれば10年ほどはさかのぼるという扱いをする場合が多いです。
今回のあなたの請求では、昭和60年ころの取引履歴を平成21年になってから請求されたということであれば、すでに約25年が経過しており、金融機関としては関係資料及び取引履歴は廃棄済という対応をしています。
弁護士が、弁護士会を通じて金融機関に取引履歴の照会を出すことがありますが、その場合でも10年以上前の履歴が出ることは極めて少ないです(但し、この点は金融機関の扱いが一律ではなく、これまでの経験から言えば、三井住友銀行などは10年を超えて遡った分を提出してきたことがありました)。
あなたとしては、履歴がなければ長男の窃盗(不正出金)を暴くこともできず、納得しがたいところかもしれませんが、以上が取引履歴照会に関する実情です。

【なぜ銀行は古い取引履歴を出さないのか・・私の推測】
金融機関としては、最近はコンピューターで取引履歴を管理していますが、それとともに出金伝票などの文書を保管していますが、その情報あるいは文書の量は膨大なものになります。
そのため、一定の期間が経過した分については順次、削除あるいは廃棄している可能性があります。
金融機関がどの段階で削除しているのかは必ずしも明らかではありませんが、商法上の請求権は5年間、又、民法では10年間が消滅時効期間ですので、この長い方の10年間をめどに抹消及び廃棄している可能性があります
ただ、以下は私の推測ですが、不法行為の損害賠償請求権は最長、行為時点から20年間は消滅せず、金融機関としてはその間は請求されるリスクがあります。
そのため、金融機関は20年間は資料を保存している可能性があります(ただ、出金伝票などは電子ファイル化して保存している可能性が高いと思われます)。
ただ、10年を超える古いデータまで開示するという扱いをした場合、これに応じる金融機関の手間がかかりすぎるために、開示はあくまで10年を限度としているのではないかと思われます。
繰り返しますが、これはあくまで私の推測ですが、参考になれば幸いです。

(弁護士 大澤龍司)

過去処分した不動産の売却代金調査と特別受益【Q&A №482】


【ご質問の要旨】
1 被相続人が事実婚時代に贈与等を行った場合、婚姻後に特別受益と扱われるか 2 被相続人が過去に売却した不動産の代金についての調査

記載内容 特別受益 不動産売却 取引履歴

【ご質問の内容】
被相続人は、結婚せずに20年以上同じ異性と暮らし、二人で家を購入し(名義がどうなっていたかは不明)共働きででローンの返済をしていましたが、異性が年金受給できる年齢に達する数年前に家を売り、ローン返済後の所得を持ち、異性の故郷のある土地へ二人で引越したのを機に結婚しました。
以来二人は働いていません。
私は被相続人の兄弟で、法定相続人です。
婚姻前の不動産所得は被相続人と配偶者の共用財産ですが、被相続人の財産分もあると思います。
こういった場合、調停か審判になった時、被相続人の不動産所得分として、配偶者の特別受益と見なされますか?
不動産所得額や財産分与があったのかなど、具体的には配偶者以外、誰もしらない状況です。
宜しくお願い致します。

(もっち)


【財産分与は相続の対象にならない】
ご質問の中に、「財産分与」という言葉が出てきます。
財産分与というのは、法律的には、離婚の際に、財産をその夫婦間で分ける手続です。
この財産分与が遺産で問題になることは少ないといえます。
なぜなら、財産分与は、離婚した妻(場合によれば夫)に対する支払いであり、その内容は婚姻後に夫婦で形成した財産の分割なので、仮に妻が財産分与を受けてもそれは実質的に自分の財産を戻してもらったということであり、その分は遺産にはならないからです。
また、そもそも離婚しているのですから、復縁しない限り、その妻が相続人となることもありません。
ご質問の被相続人は、離婚しているわけではなさそうなので、財産分与の有無を考える必要はないといえます。

【生前の財産譲渡は特別受益になる可能性がある】
今回のご質問で財産分与という趣旨は、おそらく、生前に配偶者が財産をもらっているのではないか、その分は遺産計算上、どうなるのかということでしょう。
そのように生前に財産をもらっているのであれば、それは特別受益として、遺産の分割時に遺産に含めて計算されることになります。

【今するべきことは、なによりも調査です】
被相続人の財産が、その生前、残された配偶者に移されているかどうかについては調査が必要です。
なぜなら、調停にせよ、裁判にせよ、被相続人の財産が配偶者に移されていることを認めてもらうためには、裏付となる証拠を集めなければならないからです。
そのため、早急に遺産調査を始める必要があるでしょう。
   《不動産の調査》
まず、かなり前に不動産を売ったようですが、その辺から調査を開始しましょう。
① 売却後に故郷に居を移したということですので、自宅を売却した可能性が高いと思われます。そこで、住所の移動状況を探るために、被相続人の戸籍附票を取寄せましょう。ご質問内容からは、売却した不動産は、故郷に移る前の住所地であることがうかがわれます。
② さらに、その不動産のある市町村から名寄帳を取寄せ (【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)、当該不動産の登記上の所在地や、そのほかの不動産所有の有無等を調査しましょう。
③ 不動産の所有状況が判明した場合は、法務局でその不動産の登記を調べることで、被相続人がいつ、誰に売却したのかが分かります。

《金銭の動き・・取引履歴の調査》
前記不動産の調査によって不動産の売却時期が判明した場合には、続いて、金融機関の取引履歴を調べることが必要です。
どこの金融機関を調べるかは、支店名まで特定する必要があるので難しいところですが、不動産の登記に住宅ローンの抵当権などがついていた場合、その抵当権者である金融機関(あるいはその関連会社)から支店名を探り出し、その支店に対して取引履歴の照会を行うとよいでしょう。
そして、その取引履歴のうち、不動産売却当時の大きな入金があれば、それが売買代金の可能性が高いといえます。
その代金額が配偶者の共有持ち分と大きく異なる、あるいはその後引き出されているなどという事実があれば、その時点で財産が贈与等されていると理解して、その後の対応を考える必要があるでしょう。

【弁護士に相談してもいいでしょう】
ご質問からは、被相続人の遺産については、現在、ほとんど判明していないように見受けられます。
そこで、前記のような調査が必要不可欠となるわけですが、一方で、処分された不動産や金融機関の支店が判明するとは限りません
ただ、質問のケースに応じてどのような調査方法が最適なのか、調査の結果によりどのように対応するなかなどについて、相続に詳しいお近くの弁護士に相談することを考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

遺産調査の弁護士費用【Q&A №385】


 祖母がなくなりました。

 私は相続人のうちの一人なのですが、別の相続人が財産を管理していたため、遺産の額が把握できないでいます。
 かなりの額の財産があったはずなのですが、管理していた者は遺産はほとんどないと言っています。
 祖母の現時点の遺産額の把握と、口座の過去の入出金記録を調べて資産の推移を確認したいです。
 ただし、どこの金融機関と取引があったのか、私の方では分からないです。
 弁護士さんに調査していただく場合の費用を知りたいです。
 現時点では裁判は考えておらず、調査だけお願いしたいとおもっています。
 それから、調査していただいた結果は、今後裁判になった場合、証拠として採用してもらえるのでしょうか?

記載内容  弁護士費用 預金 取引履歴

(孫)


【調査に関する弁護士費用について】
 弁護士で相続調査だけを受任するケースは多くはありません。
 当事務所では、以前は遺産調査だけを受任することもありましたが、現在は、遺産調査及びその後の事件の受任をワンセットにして50万円(税別)で事件を受任しています。
 他の事務所でも調査だけを受任しているケースは少ないと思います。いずれにせよ費用は事務所により異なりますので、もし、具体的な料金を知りたいというのであれば、各事務所のホームページを調べたり、直接電話で確認されたりするといいでしょう。
 なお、参考までに申し上げれば、現在の弁護士費用の基準としてよく用いられる(旧)大阪弁護士会の報酬規程では《調査案件》については着手金や報酬を記載していませんでした。
 弁護士は調査をするのではなく、事件を解決する役割だという理解からでしょう。

【弁護士の調査はどこが違うのか】
 弁護士でなくとも、法定相続人であれば、遺産の調査は可能です。
 ただ、どのような調査をしたらいいのか、そのためにどのような手続きをするのかについては弁護士の方が詳しいでしょう。
 又、出てきたデータからどのような結論がでるのか、それを法律的にどのように請求していくのかという場面では弁護士でしかわからない点が多数あります。
 現在は裁判までお考えではないということですが、もし、相手方の法定相続人等が遺産の内容を明らかにしてくれないのであれば、そのような案件は話し合いで解決することは困難な場合が大半です。
 早期の段階で、相続に詳しいお近くの弁護士に依頼し、調査と事件の受任もしてもらうのが望ましいでしょう。

【調査結果は当然、証拠となる】
 裁判や遺産分割調停になった場合、調査した資料は証拠として提出することが可能ですし、場合によれば決定的な証拠になることもあります。
 今回の質問の場合、取引のあった金融機関(正確に言うと支店)を発見できるかどうかが重要なポイントですので、その点に重点を注がれるといいでしょう。

★存命中の母の取引履歴を調査する方法【Q&A №370】


 夫の転勤の関係からずっと母親と妹夫婦が母親の家で同居して暮らしていました。
 5年ほど前から母親が認知症になり、私も働いていたことから面倒を妹夫婦にお願いしていました。
 先日、急に妹が癌でなくなり妹の夫から母親名義のわずかな預金通帳を渡されました。
(後から聞いたのですが1年ほど前から癌の宣告受け、余命1年と医者から言われていたそうです。)
 もともと郵便局に1000万以上の預金があり、母は、借家・駐車場や年金・父の戦争の恩給などもあったことからある程度収入もあり、通っていた介護施設等も安価であったことから明らかに預金の残高が少なくなっているようです。
 母の死亡保険の受取人も勝手に自分の娘に書き換えたりしていたことから、余命が短いので母の預金や財産を自分の娘に残そうとしたようです。
 まだ認知症の母がおり私が面倒を見る必要があるので、可能であれば母の口座履歴と妹家族の口座履歴から不正引き出し等がやり取りなどがなかったかを確認 したいのですが可能でしょうか。

記載内容  生存中 被相続人 預金調査 取引履歴 代理人

(ピトニオ)

【生存中の母の口座は他人の口座なので、調査はできない】
 まず、お母さんが存命であるという前提であれば、お母さんとあなたは親子でも別人です。
 そのため、金融機関や保険会社(以下、金融機関等といいます)としては、あなたの照会に対して、別人であるお母さんの口座の内容を開示することを拒否しますので、調査はできません。
 これは、あなたが弁護士に依頼しても同様で、お母さんの口座の調査はできないという結論になります。

【通常は代理人としての調査も考えられるが、本件では・・】

 ただ、金融機関によっては、お母さんの委任状があれば、あなたをお母さんの代理人であるとして、預貯金口座の取引履歴などを回答をしてくれる場合があります(ただ、全ての金融機関等が同じ扱いとはかぎりません。又、代理人からの照会に応じるとしても、必要書類としてどのような書類がいるかも金融機関により異なるので、事前に電話等で確認する必要があります)。
 しかし、本件ではお母さんは認知症であるとすると、あなたに委任するだけの意思能力はないという結論になり、結局、委任状による照会もできないという結論になります。

【後見人として調査するということも考えられるが・・】

 お母さんの認知症であれば、後見人になり、調査をするということも可能です。
 しかし、あなたが、お母さんの後見人選任申立をしても、あなたが後見人になることは難しいでしょう。
 その理由は、あなたが後見人予定者として裁判所に申し立てをしても、他の法定相続人が同意しない限り、裁判所はあなたを後見人に選任せず、第三者(司法書士や弁護士等)を選任する可能性が極めて高いからです。
 後見人は、お母さんのための財産管理をする役割ですので、仮にお母さんの金融機関の取り引き履歴を調べても、他人であるあなたに知らせることはできないからです。

【今、するべきことは・・】
 以上に説明したように、結局、現時点では金融機関に対して、お母さんの口座を調べる方法はありません。
 ただ、お母さんではない人が、預貯金を引き出しているというのであれば、該当金融機関等に《お母さんではない他人の行為での、預貯金の出金や解約に応じないよう申し入れをする》しかないでしょう。
 参考までにいえば、このような申入れは内容証明という形で証拠を残しておかれるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★預金の取引履歴を調査する方法【Q&A №362】


被相続人の預金が生前に勝手に引き出された可能性があります。
預金の取引履歴を調べたいです。
解約済みの定期預金等含めて、調べることができますか?

ご質問詳細
 父方の姉が亡くなり、子供おらず旦那も先になくなっている為、父方の兄弟で相続することになりました。
 ただ、亡くなった姉は生前入院していたので、兄弟がお金の管理もしていたようです。
 いざ、遺産整理をするとなったのですが、管理をしていた兄弟から通帳の開示もなく、簡単に記入した紙切れ一枚に遺産の内容が書かれていただけでした。
 どうやら途中で引き出してる可能性が多々ありそうなので、正しい銀行の履歴を調べたいのです。
 特にすでに生前に解約済みのゆうちょの定期預金の取引履歴?残高を調べたいのですが、できますでしょうか。
 調べ方を教えて下さい。
 また、取引履歴とは入出金振替などすべて開示していただけるのでしょうか。
 よろしくお願いします。
 なかなか、郵便局での開示請求に手こずっております。

記載内容  不正出金 預金 取引履歴 ゆうちょ銀行 最高裁判決 全員の同意

(りき)


【調査は可能です】  かなり以前には相続人単独での開示請求を認めない金融機関も多かったのですが、平成21年に相続人単独による開示請求が最高裁判決により認められました。
(最高裁判決については「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」 参照)。

 そのため、現在では、法定相続人であることを裏付ける戸籍や除籍謄本を提出することにより、被相続人名義の預貯金の取引履歴を調査することが可能です。
 《ゆうちょ銀行》についても、同様に開示をしてもらえます。
 相続人本人が請求する場合でも、又、代理人として当事務所が請求する場合でも、ゆうちょ銀行が回答をしなかったことは一度もありません。

【開示される内容は・・】  なお、取引履歴には、入出金だけではなく、振替も記載されており貯金の動きがすべて記載されています

【手続きは・・】  取り引き履歴の開示に必要な書類としては、法定相続人であることを証明する被相続人の除籍謄本やあなたの戸籍謄本免許証などの本人証明書類は、まずどこの金融機関でも必要でしょう。

 そのほかに実印や印鑑証明書等がいるかどうかは、金融機関に異なる場合もありますので、必要書類を問合せておくとよいでしょう。
(なお、手続については(Q&A №205Q&A №98ほか参考カテゴリ:「遺産調査」に詳しく記載しているのでご参照ください)

 ただ、弁護士なら回答するが、相続人が照会する場合には相続人の全員の同意をもらってきて欲しい、という金融機関も中には存在します(Q&A №342ほか)。

 このような場合には、いかなる理由で当該金融機関が開示を拒んでいるのかといった理由を聞いた上で、相続に強い弁護士に相談し、そのアドバイスを受けて対応されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★預貯金の調査・・・金融期間の書類の開示について【Q&A №348】


 銀行に預金取引履歴書を取り寄せてたところ、父が亡くなる前、使途不明金1000万円があることが判明しました。
 そこで相続人(5名)のうち誰が窓口で預金を引き出したのかを知るために銀行に預金払戻請求書、委任状、本人確認書の提出を書面で請求しました。

 銀行に手紙(書面)送付後、1週間経過して銀行の担当者から次のような電話連絡がありました。

 その内容は、
・父(死亡前)の預金払戻請求書、委任状については相続人全員の同意がないと提出できない。
・預金取引履歴書は開示書類であるが預金払戻請求書などは開示書類ではない。
などといって、依頼書類を出そうとはしません。

 時期が来れば弁護士を通じて銀行に再度依頼交渉することも考えていますがそれ以外に、銀行に対して預金払戻請求書などの依頼書類を提出させる方法があれば教えて下さい。

 また、相続人全員からの依頼ではなくて、相続人の一人から依頼請求しても銀行はそれに応じなければいけないと思いますが、どう思われますか。
 宜しくお願いします。

記載内容  取引履歴 払戻請求書 預金

(山ちゃん)


【最高裁判例は開示履歴に関するものである】
 今回の質問者の方としては、《預金払戻請求書》が誰によって作成されたのか、その筆跡等を確認し、被相続人以外の人が作成したものだという証明をしたかったのでしょう。
 質問者の方もご存じでしょうが、被相続人の貯金の履歴照会については、共同相続人全員の同意は不要であり、共同相続人の一人から照会でも、金融機関は開示しなければならないという最高裁判例(平成21年1月22日判決)が出ています(「【相続判例散策】平成21年1月22日 最高裁判例」参照)。

【最高裁判例は《預金払戻請求書の開示》についてはなんら言及していない】
 ただ、そこで争われたのは、《取引履歴の開示》であり、《預金払戻請求書》の開示にはなんら触れられていません。
 上記判例は、金融機関の処理事項としては「預金の返還だけではなく、振込入金の受入れ、・・・・定期預金の自動継続処理等、委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている」とし、金融機関としては「預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに、金融機関の事務処理の適正さについて判断するに必要不可欠」な取引履歴を相続人に開示する義務があると述べています。
 この趣旨からいえば、金融機関としては、預金の減額の原因となる《預金払戻請求書》についてもそのコピーを開示するべきだと思います。
 あなたとしては、この判例の趣旨を説明し、金融機関を説得するしかないでしょう。

【弁護士に依頼して、弁護士会照会を利用するのも一方法】
 金融機関が非開示を続けるのであれば、弁護士に依頼して、弁護士会から照会をかけるという制度があります。
 弁護士会という公的機関を通じて照会するのですから、回答されるかもしれません。
 それでも非開示というのであれば次の手段をとるしかないでしょう。
①金融機関相手に情報開示を求める裁判をする。
②取り込んだと思われる人を相手に不当利得返還訴訟をし、その訴訟の中で裁判所を通じて《預金払戻請求書》の取り寄せをする。

【履歴開示に関する判例の動向】
 前記判例後、平成23年に履歴開示についての東京高裁の判例が出ています。
 開示に否定的な内容ですが、この点については別途「【相続判例散策】平成23年8月3日 東京高裁」に記事を掲載しますので参考例としてご覧ください。

被相続人の遺産の範囲の調査【Q&A №208】


 特別受益に該当しますか

 前提:弟が死亡し、相続が発生しました。弟には妻(入籍したのは約5年前)はいますが、子供はおりません。相続人は、弟の妻、私たち兄弟の計3名です。
弟は生前、退職金で妻の弟の借金(何百万円単位)を肩代わりしたり、土地を購入し、妻名義で土地の登記をしています。これらは、相続財産に該当しますか。
また、それを証明するため、銀行口座の取引履歴を入手したいと考えています。その際、弟と兄弟の関係を示す戸籍謄本が必要とのことですが、具体的にはどの戸籍謄本を入手すればよろしいのでしょうか。
(父母:死亡、弟:この度死亡、兄弟、それぞれ違う県に本籍があります。)

記載内容  借金 肩代わり 取引履歴 他人名義の不動産 相続証明

(わたる)


【返済資金提供は贈与?貸金?】
 奥さんの弟さん(以下、義理の弟さんといいます)の借金返済について、弟さんが資金を提供した場合には、その資金を贈与したのか、貸しただけなのかということが、まず問題になります。
 資金提供の際にどのような話や事情があったのかを調査しましょう。
 借用証書が作成されたのかどうか、弟さんが返還請求した事実があるかどうか、少額でもあれ義理の弟さんによる返済の事実がないのかどうかなどを確認して、贈与か貸金かを判断しましょう。
 貸したのであれば、貸金債権として遺産に含まれ、相続人は返還請求ができます。
 しかし、贈与なら、原則として遺産に含まれません。

【妻名義での土地の購入】
 奥さん名義の土地についても、その資金を誰が出したのかが問題となります。
 もし、弟さんがその資金を全部出したというのであれば実質的には弟さんのものであり、名義だけを奥さんから借りたにすぎないとして、弟さんの遺産と主張することも可能になります。
 当事務所が担当している事件には、そのような主張をする場合もよくあります。
 資金以外にも、固定資産税の支払いや弟さん夫婦間の収入の比較などの調査をし、弟さんの遺産であることを証明する資料を収集する必要があるでしょう。
 又、支払い資金の動きを確認するためにも、弟さんの銀行口座の取引履歴を取寄せることも必要不可欠です。

【兄弟が相続人であることの証明するための戸籍は・・】
 金融機関としては、あなたが相続人であれば、取引履歴の照会に回答します。
 兄弟が相続人になるためには、被相続人である弟さんに子供や孫がいないこと、お父さんお母さんがおらず、お祖父さんやお祖母さんもいないことが前提になります。
 そのため、弟さんとあなたが兄弟であることを証明する戸籍や除籍謄本だけではなく、被相続人である弟さんの出生からの戸籍等も必要ですし、両親もすでに死亡していることを証明する戸籍も必要になります。
 なお、本籍地が他府県に分かれているとのことですが、郵送でも取寄せが可能のはず(弁護士の場合には郵送で取寄せします)ですが、念のためにその本籍地の役所に問い合わせされるといいでしょう。

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