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司法書士が遺産分割協議書を無効と判断する権限【Q&A №315】


 遺産分割協議書を作成した司法書士が、それに署名した父の自筆の署名の有効性につき疑問視してます。司法書士は書類作成・手続きの業務を代行するだけで、署名の有効性を判断する法的権限はあるのですか? 父は今老人施設に入居してますが、署名するのに問題はありません。
 当該法務局はちゃんと本人が署名されたのであれば問題ないとの見解です。司法書士一個人の主観的な判断で無効だとかいう判断する法的根拠はあるのでしょうか?

記載内容  司法書士 意思能力 確認義務 署名の有効無効

(Valenzuela)


【法的な判断権限は裁判所にある】
 ある遺産分割協議書が有効か、さらにはある相続人の署名押印が有効か否かを判断する権限は、最終的には裁判所が判決で判断するものです。
 司法書士や弁護士が「お父さんの署名押印は無効だ」と判断したとしても、それで法的に無効と決定されるわけではありません。

【司法書士の確認義務】
 司法書士としては、登記手続の依頼を受けた場合には、その依頼者が確かに本人であるのか、またその人に意思能力があるのかどうかを確認する責任があります。
 遺産分割協議に基づく登記の場合には、遺産分割協議書が有効に作成されたものであるかどうかを確認し、その署名押印する人の意思能力に問題があると判断した場合、途中で登記手続をやめ、辞任することもあります。
 これは、司法書士が登記をしたが、後日、その依頼者に意思能力がないと判明した場合、司法書士が確認を怠ったとして損害賠償を請求されることがあるからです(当事務所も、このような案件に巻き込まれた司法書士から相談を受けることがあります)。

【検査の上で、その検査結果を示して手続きを進める】
 今回、依頼された司法書士も、おそらくお父さんの意思能力になんらかの疑問を感じているのでしょう。
 万が一、後日遺産分割協議が無効とされるような事態があっては、司法書士自身の責任問題にも発展しかねないので、手続きをこのまま進めることを躊躇しておられるものと思われます。
 もし、このまま遺産分割協議を進めたいというのであれば、お父さんの意思能力に関する検査(たとえば長谷川式認知スケールテスト:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)を行い、意思能力には問題ないとの検査結果を司法書士に示して、手続きを進めてもらうといいでしょう。

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