大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

他人名義の預金は遺産に含まれるか【Q&A №524】


【質問の要旨】
相続人の1人が生前に多くお金を受け取っている場合の遺産分割

記載内容 名義借り 遺産確認

【ご質問内容】
父と相続について話しました。
父は遺産分割協議書を作って、母、私、妹に財産を分割すればよい、ということでした。
ところが、父は株などで儲けた分をすべて母の口座へ入金しているようなのです
この状態で父と母の全財産をもとに遺産分割が可能なのでしょうか。
以上、ご回答願います。

(HY)


【将来の遺産分割協議の話と理解しています】
質問の時点ではお父さんもお母さんも生きておられるので、将来、お父さんが死亡して、その相続問題が発生したときの遺産分割協議書の問題として回答します。

【銀行では名義を基準とする】
銀行としては、名義を基準として取り扱いをします
名義がお母さんであれば、お母さんの預金であり、お母さんの自由な引き出しを認めます。
お母さん以外の法定相続人が、お父さんの遺産であるからと銀行に申し入れをしたところで、銀行がそれを認めて、お父さんの遺産として扱うことはまずないでしょう。

【判例では名義よりも実体を重視】
預金の名義人であるお母さんが「これは私のお金だ」と言い張り、お父さんの遺産であることを認めなかったときはどうなるのでしょうか。
そのようなケースが裁判で争われたことがあります。
事案の内容によって異なりますが、名義人のものではなく、口座に入金された金銭を出した人の財産と判断するという判決が多いです(末尾に参考判例1件を掲載しおりますのでご参照ください)。
ただ、裁判まで行くのは費用や手間から見て、大変でしょう。
お父さんやお母さんが生きている現時点で、将来のトラブルを防止する方策を考えておくべきでしょう。

【現在、法的に打てる手段は少ない】
現時点では、あなたの取れる法的な手段は少ないです。
あなたはお父さんが死亡した後には相続人になりますが、それは将来の話であり、現時点ではお父さんの財産について何らの権利も持っておられません。
以下に記載したようにお父さんとお母さんを説得するしかないでしょう。

【事前の対策(その1)・・お父さんらを説得する】
現在、お父さんとお母さんが生きているのですから、ご両親に相談してもらって、お父さんから出た分は、お父さん名義の口座に戻すのが、一番良い方策でしょう。
しかし、お父さんがなぜ、自分の名義ではなく、お母さんの名義に入金したのでしょうか。
その点をお父さんに確認する必要があります。
自分が死んだ後のお母さんの生活資金の前渡しというのであれば、それは生前贈与になる可能性もありますし、又、お父さんとしてもお母さん名義から自分名義の預金へ戻すことに賛成しないでしょう。
あるいは、税務対策などで、お母さんの名義を利用しているという可能性もあります。
このような場合には、名義をお父さんに変更した段階で税務調査が入るということにもなりかねませんので、その点も配慮が必要でしょう。

【生前の対策(その2)・・出所はお父さんである証拠を残しておく】
現在すべきことでもう一つ、大切なことがあります。
それは、お母さん名義の預金の出所がお父さんであることの証拠をちゃんと残しておくことです。
将来、訴訟になった場合にも役立ちますが、それよりも、ちゃんとした証拠を残しておれば、その証拠を見せるだけで相手方が納 得することも多く、紛争の防止に役立ちます。

【お父さんが死亡したときの対策】
お父さんが死亡した後、お父さんの遺産であることをお母さんが認めず、その預金を全部引き出しそうな場合には、お母さんが預金を引き出さないようにする手続きを取ることもできます。
仮差押えという手続きになりますが、裁判所に申立をして認めてもらえれば、あなたの法定相続分の限度でお母さんの出金をストップさせることも可能です。
ただ、裏付け証拠などを裁判所に提出しなければならず、又、迅速に手続きをしなければならないので、相続に詳しい弁護士に、早期の段階で相談されることをお勧めします。

【参照判例:東京高裁平成21年4月16日】
被相続人の妻名義の預金について、財産の出捐者や当該財産の管理及び運用の状況、妻名義にすることになった経緯等を考慮して、被相続人の相続財産であると認めた。
詳しくは【相続判例散策】被相続人以外の名義になっている財産を相続財産に含めることはできるのか?をご参照ください。
弁護士コメント:同趣旨の判例は上記以外にも他数ありますが、事案の内容によっては反対の判断をした裁判例もあります。

(弁護士 大澤龍司)

叔母が預金した父名義の預金口座とお金は誰のものか【Q&A №190】


 亡き父名義の通帳

 去年11月14日に私の父が末期癌でなくなりました。医者から余命4ヶ月と言われてから1ヶ月半で亡くなりました。
 父には姉がいて、近くに住んでます。私からして叔母です。父が亡くなってから、叔母から父名義の通帳があるから母と私に印鑑証明と実印を揃えてくれといってきました。その時にはどこの銀行かとか残高とか教えてくれなくて、ただ書類を渡されました。
 後日私が叔母に父名義の通帳は母と私が遺産相続人になると思うので通帳を渡して欲しいとお願いしました。渡された銀行のが父が亡くなる10日前に700万引き出されてました。父は末期癌のため最期は自宅で介護して過ごしてました。なので10日前に銀行に行く体力もなく常に母と私が看てました。
 怪しいと思い叔母に聞くと最初は知らないととぼけられました。そのうち、父名義の通帳は私のお金だ。名義を借りただけだと言ってきました。
 私も納得いかなくて相続の事を調べると亡くなる前の引き出しも遺産相続になると書いてたのを見つけ叔母に話すと700万を渡してくれました。
 それから叔母からの連絡は無かったのに、昨日たまたま母と遭遇した叔母は母に、今書類を揃えてる。あんたら親子を訴えてやるからなって言ったそうなんです。
 700万を渡した時には何も言わなかったのに、なんで今更そんな事を言ってくるのか分かりません。父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのでしょうか?

記載内容  借名預金 名義借り

(いちご)


【預金が実質的に誰のものかの判断基準】
 お金を預けた人物と預金口座の名義人とが異なる場合のことを《借名預金》などといいます。
 昔は本人確認も現在ほど厳しくなかったため、勝手に他人名義で口座を作ることが容易にできました。
 ところで、ある口座について、その名義人ではない人が自分の預金だと主張するときに、本当の口座の預金者を判断するためには次の点などを考慮するといいでしょう。
①その預金の入金は誰がしていたのか。
②その預金の預金証書や取引印やキャッシュカードは誰が保管していたのか。
③その預金の出金は誰がしていたのか。

【本件質問の場合には・・】
 今回の質問では、上記①から③までが記載されていません。
 ただ、お父さんの生前に叔母さんが700万円を引き出したということであれば、前記②の預金証書や印鑑等を叔母さんが持っており、しかも高額の預金を引き出していたということになれば③の点も充たしており、叔母さんの預金の可能性もでてきます。
 これに加えて、①の預金の入金が叔母さんということなら、叔母さんの預金の可能性が高いでしょう。
 しかし、叔母さんが700万円をあなた方に返還したというのですから、その点からいえば、お父さんのものである可能性が高いとも考えられます。
 なお、叔母さんは訴訟の用意をしているというのなら、あなたの立場から言えば、前記①の入金者はお父さんであったことや②の預金証書等が叔母さんに行っていた理由等を調査しておく必要があるでしょう。
 いずれにせよ、今回の質問の記載だけでは、はっきりした回答は困難というしかありません。

【父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのか】
 この点に対する回答は、その預金口座が実質上は誰にものかによって異なります。
 お父さんのものであるとすると、あなたは叔母さんから返還してもらった700万円を返還する必要がないでしょう。
 しかし、実質的に叔母さんの預金であるとすれば、生前の引出分は当然、叔母さんの分になり、あなたがもらった分は返還する必要があるということになります。

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