大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

特別受益について【Q&A №586】


【質問の要旨】
母の所有地の賃料を弟が受け取っていたが、母を弟の自宅に住まわせていた。
賃料は特別受益になるか?

記載内容  リフォーム 固定資産税

【ご質問内容】

弟が、父より家を相続し、そこに母が長年住んでいました
弟は、若くしてその家を出てしまいましたので、母は一人暮らしでした。
弟がその固定資産税を支払っていましたが、母の土地を人に貸していて、その賃貸料は母の名前の契約ですが、弟の口座に入っていました
この度、母が亡くなり、弟は、その賃貸料一千万円ほどをその家のリフォームやエアコンなどの備品の購入にあてたので、特別受益ではないと言っています。
弟も時々帰ってきて使っていて、今も自分の家なのですが、特別受益といえるのでしょうか。

追加です。

母の土地は母が固定資産税を払っていました。母は、弟が人に貸したことで、貸す前より、固定資産税や保険料、施設の利用料などが一年で100万円増えました。
不動産所得の関係です。
母が住んでいる弟の家の光熱水費、新聞代、屋根を治すなどの修繕は母が出していました。
弟の家は、父が亡くなった後、土地区画整理が入り、家が道にかかりましたので、補償金の一部で弟が立て替えたものです。

 

(コスモス)

※ご質問は2つに分かれていましたが、1つにまとめて回答しています。

【事案の整理】 今回のご相談は、①母の所有地から発生した賃料と、②弟が支出したリフォーム費の2つが同時に問題となっており、弟の主張をまとめると「賃料は特別受益かもしれないが、母を自宅に住ませ、リフォーム費も出したので特別受益にはならない」というもののようです。
このような場面は、まず①賃料と②リフォーム費の2つを分けて別々に整理することが理解のコツです。

【貸地の賃料は母のものであり、弟が取得した分は特別受益として遺産に持ち戻される】
1)母がその所有する土地を自分が賃貸人になって第三者に貸しているのですから、その賃料は母の収入になります。
2)母が、弟の口座に賃料が入ること及びそれを弟が使用するのを認めているのなら、毎月発生する賃料を母が弟に生前贈与したと考えていいでしょう。
生前贈与についてはその合計額が特別受益となり、遺産分割に際しては遺産に持ち戻されます

【自宅のリフォームやエアコン購入の扱い】
自宅のリフォーム費用は自宅の価値を増加させますが、自宅は弟名義ですので、弟の有する不動産の額が増加するだけです。
同様にエアコンについても、弟が購入したもののようですので、弟の財産が増えたということにすぎません。
いずれも弟の財産が増えるのであり、母の財産が増えるものではないということになります。

【弟名義の自宅を母が無償使用している点をどう考えるか】
ただ、自宅は弟名義であるのに、母に無償で使用させている点については問題がありそうです。

1)弟の特別寄与の主張
弟名義の自宅を、賃料を払わずに母が無償で使用している
⇒母としては自宅の賃料相当分の支払いを免除されている
支払いを免れた賃料相当分だけ、母は経済的利益を受けている
⇒その分、弟が特別寄与と主張して、遺産からの支払いを求める可能性もあります。

2)自宅の賃料分として、母名義の地代をもらっているとの弟の主張
また、母親が貸している土地の賃料をもらっているのは、自宅の使用分としてもらっているのだという主張をすることも考えられます。

3)こんな反論が可能
これに対しては、弟が父の遺産分割のとき、母にその自宅を無償使用させるという話があったことから多くの遺産をもらったではないか、というような反論も可能です。
また、子が母の面倒を見るのは子としての扶養義務であり、今になって、賃料を無償にしたからそれを考慮せよなどというような主張はできないという反論も用意しておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

ご教示ください【Q&A №565】


【質問の要旨】
相続人の一人が不動産を使用していた場合、固定資産税等はどうなるか

記載内容  実家 同居 固定資産税

【ご質問内容】
両親が亡くなって20年以上経ちます。相続人は4名です。
長男が昨年突然調停を申し立ててきました。
両親が寝たきりになった後、死亡までの約10年間で預貯金は同居の長男夫婦で使い果たしていますが、証明が困難であることをいいことに、相続財産は残ったわずかな預貯金と不動産だけであると主張しています。
自宅不動産は土地が母、建物が父の所有でしたが、長男は父母の存命中に父名義の自宅建物の一部に座敷を増築し、その座敷部分の登記が自分名義であることは秘密にしています。

長男はすべての不動産の取得を希望し、そのことに異議はありませんが、父母死亡後に発生した固定資産税の負担を今になって他の相続人たちに求めてきました。
すべての不動産を使用収益しているのは長男一家のみ
です。
長男は、不動産を取得する代償金についても「田舎であるから現実の価格は固定資産評価額8割の値段である。固定資産税を含めた他の公租公課・葬儀費用の未精算分があるので、自分の持分の代償金の現実の支払いはしない」と勝手な主張しています。
今までどんな不当なことも我慢してきましたが、このような一方的な主張が通るものでしょうか?せめて、他の相続人たちから「父母死亡後について、座敷部分の土地の分についてだけでも残りの兄弟が無償で利用させていた代わりに固定資産税等の公租公課は負担しない」とする反論は可能でしょうか?

(デゴイチ)


【遺産分割成立までは無償使用】
まず、長男がお父さん名義の建物に座敷を増築し使用してきた、というお話ですので、おそらく両親と同居されていたものと思われます。
この場合、名義上は両親の名義(土地は母、建物は父)ですので、理屈の上ではご両親が共に死亡された時点で、遺産分割協議が成立するまでの間、長男が無償使用(使用貸借)できる状態になったものと扱われる可能性が高いと思われます。
これは平成8年12月17日の最高裁判決(参考ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52508)による解釈で、同判決によれば、被相続人と同居していた事案において、同居していた相続人と被相続人との間で使用貸借契約(無償使用の契約)があったことが推認されています。
(なお、座敷部分は長男が勝手に増築したということですが、ご両親も座敷部分の使用料を請求しなかったのであれば、座敷の無償使用も承認(黙認)されていた可能性が高く、結果的に自宅の一部として同様の扱いになる可能性が高いと思われます。)

【長男に使用の対価は請求できない】
もちろん、この判例も親と同居していたすべての事案において無償使用扱いにするという判断ではありません。そのため、実際にご相談のケースにも当てはまるかどうかは専門的な判断を要します。
ただ、あなた方が長男に対しこれまでの使用の対価を請求できる可能性は低いと考えておく方が無難でしょう。

【固定資産税はさかのぼって長男の負担】
他方で、固定資産税の扱いについてはこの判例からも明らかではありません。
この点は明確な判例などがなく、私の解釈になりますが、長男が実家を相続するのであれば相続開始時にさかのぼって長男が実家を所有していたことになります。
そのため、一般には所有者に対し課税される固定資産税の負担も、さかのぼって所有者だった(と扱われる)長男が負担するのが公平の見地からは妥当と思われますので、このような内容で遺産分割協議を行うのが一般的だろうと思います(参考までに申し上げますと、早く遺産分割協議を成立させないと、長男の無償使用が続くだけ、という見方もできます)。

【お兄さんが不動産を取得するなら、代償金の支払いを求める】
今回の質問は固定資産税を請求されていますが、上記のようにその支払いの必要はありません。
むしろ、お父さんの遺産である不動産をお兄さんが自分の物にするというのであれば、あなたとしては、その代償となる金銭をお兄さんに請求されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

口頭での分割協議と数次相続【Q&A №544】


【質問の要旨】
口頭では遺産分割協議がすんでいるが、登記はしていない不動産について

記載内容 数次相続 未登記 固定資産税

【ご質問内容】
父親が10年前に死んだのですが、そのとき 相続人が母、姉2人の私だったのですが、貯金1000万円は母に相続し、不動産は私が相続、口頭でも相続協議分割は成立するので、その時に相続協議分割は成立したと思ってました
そこで、その時以来、父名義の不動産はすべて私所有になったと思ったのですが、私の名義変更はしませんでした
それで、固定資産税は、母あてに送ってきて、母がなくなる前1年間ぐらいは私が母名義の、固定資産税を払ってました。母が死んだのですが、相続税のお尋ねと申告書が一緒に送られてきました。

1.この場合、相続税のお尋ねの欄の母の相続財産は、父名義の不動産を書くのでしょうか?
母の相続財産の欄の不動産名義の先代名義の欄に私の父名義になっているのですが、私所有なのでかかなくてもいいのですか?
2.税務署は、固定資産税の支払いが母になっていたので、すべての不動産が母所有だとして、相続税をかけてくるのでしょうか?
市役所から送られてくる固定資産税には、母現所有と書かれてました。このことは、相続税がかかる場合に影響をあたえるのでしょうか?
3.母が死んだので、この際、父名義から私名義に不動産を変えようと思って姉2人ににいったら、今度は法廷相続分の3分の1よこせ、応じなければ変更に同意しない、といいだしました。
このことは、相続税のお尋ねに記入する場合、影響を与えますか?

(gjghjkghk)


【法律問題についてのみ回答します】
今回の質問は税務署からの《相続のお尋ね》にからむ税金の問題と遺産分割協議の成立に関する法律の問題との2つの側面があります。
当ブログは法律面での相談を扱っておりますので、遺産分割協議について回答します
なお、税金については税理士等、税務の専門家に相談されることをお勧めします。

【お父さんの遺産分割協議が成立の証明がむずかしい】
10年前に死んだお父さんの遺産分割については、あなたは《相続分割協議》は成立したと判断されているようです。
しかし、相続分割協議(遺産分割協議)は口頭でも成立しないわけではありませんが、遺産という通常は多額な財産の分配問題であることや不動産の登記手続きを伴いますので、書面化するのが通常です。
しかも、単に書面化するだけではなく、法定相続人全員が署名して実印を押し、かつ印鑑証明書も添付して、誰が見ても間違いなく合意されたことが証明できるような形にして残します。
今回の質問の場合、あなたが口頭で成立したと理解していても、該当する不動産が10年間も未登記であることや、現時点ではありますが、他の2人のお姉さんが法定相続分を主張していることを考えると、遺産分割協議が成立し、あなたが不動産を単独で取得することを証明することはむずかしいと思われます。

【お父さんの遺産分割協議がない場合のお母さんの遺産】
仮にお父さんの遺産分割協議ができていないとした場合、お父さんの不動産のうち、その2分の1がお母さん、残りは姉妹3人で各6分の1ずつを共有することになります。
なお、遺産の分割は分割協議や家裁の審判で決定されることです。
協議合意等が存在しない以上、市役所からの書類に「母所有」との記載があっても、又、固定資産税の関係で誰が支払っていたとしても、お母さんの単独所有にならず、お母さんの遺産にあるのは、お父さんの不動産の2分の1でしかありません。

【今後、お父さんとお母さんの双方についての遺産分割協議をする】
前記のようにお父さんの遺産分割協議はされていないということになると、お父さんとお母さんとの双方について遺産分割協議をする必要があります。
もし、その遺産分割の合意ができればその旨を、又、合意できなければできないでとりあえずは法定相続分で分割したとの想定で税理士さんと相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

母の名義を借りていた建物【Q&A №464】


【ご質問のまとめ】
20数年前に賃貸用建物を建て、母名義の登記をしました。
以来、賃貸の回収、ローンの返済、固定資産税すべて私が行ってきました。
数年前に母が亡くなり、兄と父がこの建物を渡せと言ってきます。
時効の主張はできますか?

記載内容  名義貸し 固定資産税 時効

【ご質問内容】
20数年前に賃貸用に建物を数軒建てました。
名義は母で土地名義は祖父です。
収入は私、返済も私、その他の不動産の固定資産税も私で父と兄はノータッチでした。
10数年前に祖父、数年前には母も他界しているのですが、最近父と兄がその賃貸用の建物を渡せと圧力をかけてきます。
私は母には名義を借りただけと思い、建築当初から自分のものだから返済も遅れずにしてきました。
時効を使うことは難しいでしょうか。
返済中でもうすぐ終わります。

(kamemonn)


【不動産は誰のものか】
 まず、質問の賃貸物件が誰の所有ということから確認しておきましょう。
 今回の物件がお母さん名義だとしても実質上は質問者の所有という場合もあり得ます。
 ただ、そのようなことが認められるためには、その物件を建てたのは実質的には質問者だということ及びその代金も質問者が支払った、ただ、登記だけ名義を借りたというような事情が必要です。
 本件でそのような事情があるのなら、取得時効ではなく、そもそもその物件は自分の所有ということを主張されるといいでしょう。
 なお、賃料は誰の名義で回収していたのか、支払っていたローンは誰の名義であったのかという事情の検討する必要があります。
 これらの名義がお母さんだとすれば、その不動産があなたの所有だという主張は通りにくいでしょう。

【時効取得の可能性について】
 所有者でなくとも、時効で不動産の所有権を取得できる場合があります。
 自分の所有物だと思っていた場合なら10年間、他人の物であることを知っていた場合なら20年間、不動産を占有することで時効で土地を取得することが可能です。
 ただ、質問者の方が自分の所有物として占有しているという要件が必要です(このような占有を自主占有といいます)。
 取得時効の要件である自主占有とは、質問者の方が《自分で所有者と思っていた》だけではだめで、他の人から見て所有者と見られるような外形(外観)が必要だということです。

  周りからみて、自分の所有物として占有している
×  自分の所有物だと思って占有している

 今回の場合、賃料は誰の名義で回収していたいのか、支払っていたローンは誰の名義であったのか固定資産税はあなたに課税されていたのかという各点が問題になります。
 これらの点が全てお母さんということであれば、あなたはお母さんに替わって賃貸物件の管理をしていただけにすぎないということになります。
 また、あなたが他の相続人らに対して自分の所有物だということを主張し、それが認められていたというような事情があればそれは有利な事情になります。
 結局、あなたとしては所有者として占有していたという気持ちがあったとしても、裁判所や世間一般の常識的な判断として、所有者と見られるような外形が存在していないかぎり、時効での取得を主張するのは困難でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

いらない山林を放棄できないか【Q&A №462】


【ご質問のまとめ】
いらない山林の固定資産税を払わないで済むようにする方法はありますか?

記載内容  山林 固定資産税 放棄

【ご質問内容】
親父が出身地の山林の一部の共有者の一人となっています。
親父は十数年前に亡くなっていますが、母親に固定資産税の請求がわずかな金額ですが毎年あります。
なにも所有メリットもないのでこの権利を放棄したいのですが、どのような手続きをとれば良いのかまた仮に弁護士事務所に依頼した場合費用はどれくらいかかるのか教えて下さい。

(よっちゃん)


【所有権の放棄はできない】
 私は多くの相続案件を扱ってきましたので、今回の質問と同様のケースで悩んだことがあります。
 所有権を放棄できたらいいのですが、そのようなことはできません(ブログ【Q&A №273】もご参照ください)。
 所有権放棄をする場合、他の相続人(共有者)の持ち分が広がります。
 そのため、放棄の登記をするには他の相続人の同意が必要です。
 しかし、放棄したいような不動産は他の所有者ももらいたくない場合が多く、放棄登記に協力できないというのが実情です。
 昔と異なり、山林や農地は買い手がほとんどありません。
 特に相続人が故郷を出たのち、故郷にある土地が遺産分割の対象になった場合、どの法定相続人も田舎の土地がいらないということで引き取り手がいなくて困るケースがあります。

【解決方法として考えられるのは・・】
 他の共有者がいるのであれば、その人に不動産を買ってもらう方法があります。
 場合によりば無償(要するに贈与)で譲り受けてもらう場合もあります(譲受人から登記費用も出してくれといわれたケースさえあります)。
 他の共有者がいらないというのであれば、地元の人に無償あるいはそれに近い値段で不動産を売却する方法があります。

【弁護士費用について】
 法律的には、共有物については共有物分割調停という手続きがあります。
 これは共有状態を解消してほしいということを裁判所に求めるものです。
 他の共有者を相手に訴訟をしますが、他の共有者が土地を取得する意向を示さないのであれば、結局は《共有物を競売して、その代金が持ち分に応じて分割する》という判決が出ます。
 しかし、競売の手続きをするためには90万円から100万円の予納金(競売手続費用)を裁判所に納める必要があります。
 次に競売手続きが開始しても、(おそらく)買受申し出はないことがほとんどでしょう。
 そのため、このような訴訟を受任する際、値段が決めにくいですが、私なら着手金25~30万円程度でしょうか。
 むしろ、私なら、競売されても競落される見込みがないようなら事件を受任しないということになるでしょう。
 もし受任するという弁護士がいるのであれば、着手金をできるだけ少なくしてもらい、売却できたら報酬を多額にするという契約で対処されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

息子名義で購入した不動産と特別受益【Q&A №263】


 先日祖母が亡くなり、現在父と叔父(父の弟)の間で遺産分割について協議中です。

 30数年前に祖母がアパートを建てたのですが、その際建物の名義は祖母、土地の名義は父にしていました。長男に家を継がせるという考えが強く、先々のことを考えてのことだったようです。
 アパートの家賃収入などは全て祖母で、父はこのアパートに関する事には一切ノータッチでした。固定資産税はずっと父が払ってきました。

 叔父の主張は、この土地は生前贈与に当たるから法律上それも遺産に加えた上できっちり半分ずつにするのが当然だというものです。

特別受益に当たるのでしょうか?

記載内容  名義 生前贈与 遺産 固定資産税

(おタル)


【特別受益にあたる可能性もありますが・・】
 土地がお父さん名義ということですが、どのような原因でお父さん名義になったのでしょうか。
 登記原因により、特別受益の問題になったり、名義貸しの問題になったりしますので、場合分けをして回答します。

①まず、問題の土地が元々はお祖母さん名義であったのを、お父さん名義にしたというのであれば、登記の原因としては贈与になる可能性が高く、この場合には土地の価額が特別受益なります。
②次に、第三者(他人)から土地を購入した際に、お父さん名義にしたというのであれば、その購入代金が誰の名義で支払いされたかが問題となります。
 お祖母さんが土地代金を出したが、登記名義はお父さんにしたというのであれば、 その土地の実質的な所有者はお祖母さんという主張が出てくる可能性があります。
 この場合には、特別受益の問題は発生せず、土地の名義上はお父さんであっても、  実質的にはお祖母さんのものであり、その遺産であるという扱いになります。
③お父さんが土地代金を出したが、その代金はお祖母さんからもらったものであるとすると、お祖母さんからもらった土地代金相当額が贈与になり、この代金額が特別受益の内容になります。

 このように、お父さん名義の土地でも、登記に至る事情により回答が異なってきますので、登記簿謄本を確認して登記原因を調査し、かつ、購入した土地ということであれば売買の実情を調査する必要があるでしょう。

【固定資産税の支払いは考慮される可能性がある】
《土地が実質上、お父さんのものである場合》
 お父さんがアパート(土地及び建物)の固定資産税を支払ってきたということですが、土地がお父さんの所有物とされる場合(前項①③の場合)には、当然お父さんが土地の固定資産税の支払いをする必要があり、この分をお祖母さんの遺産分割で返還を求めることはできません。
 但し、お父さんとしては、自分の土地の上にお祖母さんの建物があり、土地を無償使用されていることになります。お祖母さんとしては、土地の賃料の支払いを免れているわけですから、過去の賃料相当額を特別寄与として、遺産分割の際に請求することも考えていいでしょう。
 あるいは、無償使用させたこと自体(使用借権)により、お祖母さんが利益を受けているのですから、その無償使用できた利益自体を特別寄与として請求することも可能です。

《お父さんの土地所有権が認められず、お祖母さんの遺産になる場合》
 前項の②の場合であれば、土地はお祖母さんの遺産になります。
 その時には、お父さんは、本来の土地所有者であるお祖母さんの固定資産税を支払ってきたわけですから、お祖母さんの遺産が減少することを防いだとして、固定資産税の支払い分をお祖母さんの遺産に対する特別寄与として請求することが可能でしょう。

★遺産土地は時効取得されることがあるのか。【Q&A №231】


 相続・遺産分割と時効

 母の土地を姉妹弟五人で相続しました。母の遺言で、土地は姉妹弟五人で等分に分け合うことになりました。
 土地には、現在弟が家族とともに住み、土地全体の固定資産税を払っており、他の四人に持ち分の放棄を迫りました。私と上の姉は婚家の他県に住んでいることもあり、放棄に応じてもいいですが、その場合は持ち分相当額の金銭と引き替えであることが条件で、これは姉も一緒です。そして、そのことを弟に伝えましたが、いっこうに応じません。
 母が亡くなったのが平成6年です。遺産分割の場合も、弟が私たちの持ち分の土地の上に住み続けていれば、私たちの持ち分も弟が時効取得することはあるでしょうか。先ずは、このままなにもしないでいることで、私たちの持ち分が無くなってしまわないか、それが心配です。
 また金額の話し合いに応じない弟に対してどのような意思表示をすればいいでしょうか。内容証明等を送って、金銭の支払いを求めればいいのでしょうか。恐れ入りますが、ご回答を願います。

記載内容  時効取得 固定資産税 代償金

 

(かずひろ)


【時効取得の可能性もあります】
 弟さんが土地を占有使用し、固定資産税も一手に支払っていたのであれば、弟さんが時効取得を主張する可能性があります。この場合の時効期間は、自分のために全部の土地の占有を開始してから、20年になります。
 ただ、今回の質問の場合、遺産土地は遺言で他のご兄弟の持ち分が認められていますので、その旨の相続登記がなされておれば、時効取得はよほどのことがないと認められないでしょう。

【あなたが所有者であることをはっきりとさせておく必要がある】
 あなたたちが権利をもっているのに、弟さんが単独で使用し、かつ固定資産税を支払っているという状態が続けば、弟さんが自分の所有物として使用しているような状態が継続して続いている状態になり、裁判所としては、時効取得を認めやすくなります。
 そのため、このような状態を破るためには、弟さんとの権利関係をはっきりさせる必要があります。
 具体的に言えば、弟さんとの関係で、問題の土地の使用に関する合意書を作成し、その中であなたの権利(共有持ち分)があることを明記するといいでしょう。
 持ち分相当の賃料を請求するのが望ましいでしょうが、たとえ無償使用を続けるとしてもあなたが権利者であるということを認めさせることで、時効期間の進行をリセットすることができます。
 もし、合意に応じないようであれば、調停等の手続きを利用することも考えてもいいでしょう。

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