大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

預貯金を祭祀の費用として相続人に託したい【Q&A №510】


【質問の要旨】
祭祀の費用として預貯金を託したい

記載内容  信託 葬儀 

【ご質問内容】
預貯金を相続させるのではなく、葬儀や供養とお墓の存続にかかる費用として、名前を継ぐ者に託したいと思っています。
どの様に遺言書を作成したら良いかお教え下さい。
2名の子供がおりますが。金銭感覚がしっかりし、供養をしている者に預けたいと思っています。

(まさこ)


【遺言で祭祀の承継者を定める】
葬儀・供養及びお墓の存続を託すということですが、そのような役割は法律上、《祭祀の承継者》ということになります。
さて、遺言で《祭祀の承継者》を定めることはできます
但し、当然のことですが、《金銭感覚がしっかりし、供養をしている者》というようなことを遺言書に記載しても効力はなく、具体的な氏名の記載が必要です。

【祭祀の費用のために使用を実現させるには・・負担付遺贈では難しい】
考えられるのは、
 ① 遺言で負担付遺贈をする。
 ② 遺言信託をする。
のいずれかの方法です。

まず、①の方法の場合、遺言で祭祀の承継者に預貯金は相続させる(遺贈する)としたうえで、これらの預貯金は祭祀の実行に使わなければならないという負担も記載しておくことになります。
ただ、質問にあるように預貯金を相続させたくないというのであれば、この方法はとれません。
また、このような負担付遺贈をしても、本当にそのような目的に実行されるのかが疑問です。
さらに、仮に負担が実行されない場合には、法律上は負担付遺贈の遺言の取消を裁判所に請求することも可能です(民法1027条)が、現実問題としてそこまでするような例は少ないでしょう。
そのため、①の負担付遺贈はお勧めできません

【遺言信託の方がお勧め】
信託法は遺言信託という制度を定めています(同法3条2号:末記をご参照ください)。
遺言で財産(預貯金等)を委ねる人(受託者)を定め、その受託者に祭祀の費用として《祭祀の承継者》に金銭を渡すことを委託するのです。
信頼できる受託者に金融資産を託して祭祀のための費用を管理してもらい、《祭祀の承継者》の要請に応じて費用を支払ってもらうのです。
このような定めをしておくことによって、受託者に信頼できる人を選べば、その人がきちんと《祭祀の承継者》に必要な金銭を渡してくれるでしょうし、もし祭祀に使われないのであれば、そのようなお金を支払わないということになります。
次に、遺言では細かなことは定めることは少ないので、生前に受託者との関係で細かなルールを決めておく必要があります。
また、受託者は監督という面がありますので、相続人でない方が望ましいです。
ただ、相続人が遺産分割をする前に速やかに受託者に遺産を移動させる必要がありますので、遺言書は検認という時間のかかる手続きが不要で、速やかに実行が可能な公正証書遺言でするのが望ましいです。
いずれにせよ、遺言信託についての知識がある弁護士と相談され、あなたの希望がかなえられるような方策を考えられるといいでしょう。

【信託法3条2号】
第三条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

(弁護士 大澤龍司)

★子のいない叔父の葬儀、墓をどうするか【Q&A №508】


【質問の要旨】
遺体の引き取り手がいない、葬式費用を立て替える人もいない、入る墓もない

記載内容  後見人  

【ご質問内容】
叔父(独身、精神病院長期入院)に法定後見人(弁護士)が付いていますが、叔父の死亡時に当然ですが後見人は職務終了になると思われますが、各問題が浮上しますので、対応策をご教示頂ければ助かります。
兄弟は4名(叔父含めて他は没)姪、甥が現在5名
叔父の資産は推定数千万円。姪、甥は叔父の事で仲が悪くなった。
1、叔父の死亡時には誰も対応せず、遺体引き取りが出来ない。
2、葬式をするにも、戒名等代等 誰も立替える意思が無い。
  (立替えた費用が他の相続人の事後合意が取れなさそう)
3、本家の墓には入れそうにも無いので、墓の問題が発生。

(福田)


【相続人に遺体の引き取り義務があると定めた法律はない】
相続人に遺体の引き取り義務があると定めた法律はありません。
そのため、法定相続人である甥姪全員が遺体の引き取りを拒否した場合、最終的には死亡した場所の自治体が火葬することになります。
参照条文:墓地、埋葬等に関する法律第9条:〔市町村長の埋葬又は火葬の義務〕 「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」
ただ、成年後見人(弁護士)としては、遺体の引取りや葬儀を主宰するように甥や姪の方々に働きかけることと思いますが、これも強制ではなく、断られてしまえば自治体に連絡して、火葬することになります。

【葬式費用の立て替えについて】
葬儀費用は相続債務ではありません。
そのため、喪主となった法定相続人が立て替え支払いをして、後日、遺産分割時に返済をしてもらうようなことが多いです。
しかし、厳密にいえば、葬儀費用は相続債務ではなく、支出したからといって、必ずしも遺産から優先弁済を受ける費用とは言えないため、相続人間で遺産争いがあると、後見人も安易に喪主に葬儀費用分を返還するわけにはいきません。
そのため、あなたがもし葬儀を執り行ってあげたいというお気持ちであれば、このようなリスクを覚悟の上で行うか、あまり費用をかけずに行うか、どちらかの方法で処理するしかないでしょう。

【墓地の費用について】
最後に、入るべき墓がないという問題ですが、法定相続人が墓を建立しなければならないという法律はありません。
最終的には、喪主となるべき人が決定することでありますが、その喪主も決まりそうもなく、又、費用負担するべき人はいないというのであれば、もはやどうしようもありません。
そのため、もしあなたが墓地を建立してあげたいというお気持ちがおありでしたら、ご自身の費用で立て替え支出した上、他の相続人(ほかの甥姪)に墓地を建立するための見積書等を提示した上、遺産分割協議を行う際に一定額を控除してもらうよう要求していくほかないように思います。

【遺産は遺産、葬儀や墓は別問題】
叔父さんの遺体を引き取りもしないような状況の中で、遺産分割について争いを続けるということが果たしていいのかどうか、法律問題ではありませんが、検討される必要があるように思います。
遺産問題全体の解決がすぐにはできなとしても、被相続人の遺体の引取りや葬儀の手配については法定相続人間で協議され、何らかの合意をすることはできないのでしょうか。
経費の最低限にしてでも必要な手配を行われることをお勧めします。

(弁護士 北野英彦)

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