内縁の妻への受取人名義変更【Q&A №422】
私は半年前に亡くなった父の娘なのですが、父は4年前に私の母と離婚してから一人暮らしをしており、その頃から付き合ったり、別れたりを繰り返していた彼女がいたみたいで、喧嘩をすれば私の母(父からすると前妻)のところへ戻ったり、仲直りすれば彼女の元へ行ったりというのを続けていました。そして、父が亡くなる1年前まではまだ私の母が生命保険の受取人だったのですが、亡くなる半年前くらいから急に住所だけを変えたりしていて、亡くなってから生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。私はその彼女が受取っているのではないかと勝手に思っているのですが、それを調べることは出来ないのでしょうか?また、もしも、その彼女が受取人になっていた場合訴えることは出来ないのでしょうか?
葬式代も喪主も私がやりました。父が一人暮らししていた家の片付けも私と私の母がしました。その彼女は父が亡くなってから一切連絡はなく葬式にも参加していないし、お骨にさえ手を合わせておりません。本当に父は一人が嫌な人だったのでいつも彼女の言いなりのような状態でした。そんな彼女に生命保険を渡したくありません。
何か方法はないのでしょうか?
【法定相続人なら生命保険の調査は可能】
あなたは法定相続人ですので、被相続人であるお父さんの契約していた生命保険の調査は可能です。
ただ、あなたの質問には「生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。」「何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。」と記載されています。
電話だから教えてくれないというのかもしれません。
あなたとしては、相続人であることを証明するあなたの戸籍謄本やお父さんの除籍謄本を用意し、文書で申し入れをしたとしても、回答してくれないのかどうかを、保険会社に再度、確認するといいでしょう。
それでも回答してくれないというのなら、保険会社側に開示できない、何らかの事情があると思われますので、弁護士に生命保険の内容を調査するように依頼するといいでしょう。
ある程度、弁護士費用が掛かりますが、弁護士に依頼すれば、お父さんの生命保険があるのかどうか、その受取人がどのように変遷したのか、又、保険会社が無効という内容など、プロである弁護士が保険会社に照会をし、確認をしてくれるでしょう。
【彼女を訴えることができるかはお父さんの意思能力次第】
保険契約の受取人を契約者の意思で変更することは可能です。
変更当時、お父さんが正常な判断能力(意思能力)をもっており、受取人を彼女に変更したのであれば、なんら法的に問題はなく、彼女を訴えることはできません。
逆に、お父さんに正常な判断能力がなかったのであれば、受取人の変更の意思表示は効力がありません。
そのため、変更前の受取人であったお母さんから彼女に対し、受け取った生命保険金の返還請求訴訟ができます。
正常な判断能力があったかどうかについては、お父さんが生前に通っていた病院のカルテや介護施設の記録などを取寄せて判断することになります(相続Q&A №347、「【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)が、訴訟なしで解決するような問題ではないと思いますし、カルテ等の判断にも専門的な知識が必要になります。
相続に詳しい弁護士に調査を依頼し、必要に応じてその後の手続きも依頼するといいでしょう。
遺産分割協議した内容を変更できるか【Q&A №217】
対象物件の交換は?
1,遺産分割完了5年後に対象物件の交換は可能ですか。
(登記所の名義変更はしていない。)
【合意による変更は可能だが、全員の同意が必要】
遺産分割協議も、通常の契約と同様に、当事者が合意すれば内容を変更することが可能です。
ただし、遺産分割は、全相続人による意思表示の合致に基づく一種の約束です。そのため、通常の交換契約とは異なり、相続人が3人いれば3人全員の合意がなければ協議内容を変更することができませんので、この点はご注意ください。
【登記未完了の場合】
今回の質問では、遺産分割が5年も前に完了しているとのことですが、登記が完了していないのであれば、他の相続人全員の同意を得て、不動産についての分割協議をやり直し、その新しい協議書に基づき、登記名義を移転して、交換の目的を達成するといいでしょう。
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