大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

委任状で許される出金 【Q&A №460】


【質問のまとめ】
父は長男に全財産の現金を預けて、その管理処分について長男に委任しています。
長男が勝手に使ってしまうことが心配です。
相続が開始した後に、法定相続分を主張することができますか?

記載内容  委任状 処分 財産管理

【ご質問内容】
 三人兄弟です。
 15年前に母は他界し、その直後に父が長男に委任状を手渡した上で、全財産の現金を預けています。
 委任状は全て父の直筆で書かれ、預けた金銭の管理と処分の一切の権限を長男に委任する旨と、委任状の効力は父の死亡を以て終了とする旨が記載され、作成年月日と氏名、拇印と実印が押印され、印鑑証明書も添付されています。
 預けている金額は三千万円ですが、委任状の文面に金銭の「管理」のみならず「処分」まで書かれている場合、処分と題して、長男が勝手に消費してしまい、父の相続が開始された時点でその金額が目減りしていたとしても、その目減り分を長男に請求することはできないのでしょうか?
 要するに、「預けたお金はお前(長男)の自由に使って良いよ」と父が言っているような気がしてなりません。
 父に問い質しても、「長男に全て一任してあるから、口を挟むな」と言われる始末です。
 父は昔から長男を頼り、溺愛していたことから、その一切の権限を委ねたものかと想像しますが、あくまでも委任状であり、遺言書でない以上、遺留分等に縛られることなく、堂々と法定相続分を主張することはできますか?
 委任状の役割や効力の範囲がいまいちよく分からないため、処分の権限まで与えられたからと言って、兄が勝手に処分(消費)していた場合の対応が気になり心配です。

(カマちゃん)


【弁護士により回答が異なる可能性があります】
 今回の質問は弁護士により回答が異なる可能性があります。
 あくまで私(弁護士大澤)の見解ということで理解ください。
 まず、今回の質問ではお父さんが長男さんに「委任」したという前提になっています。
 ただ、委任内容が明らかではありません。
 具体的に言えば、何について委任したかが明らかではありまえん。
 例えば使途についていえば、お父さんの病院費や生活費についての出金の管理を依頼したのか、それ以外の事項も依頼したのかが明らかではありません。
 次に処分まで認めたということですが、現金の処分というのはどういうものでしょうか。
 預かり現金からの支払いを認めたというのか、それ以上に長男さんの個人的の使途に使ってもいいというのでしょうか。
 これらの点についてはより深く事情をお聞きした中で判断するべきことです。
 ただ、現在の質問で記載された限度で次項のとおり回答をします。

【委任であるという点を重視した場合の回答】
 今回は「委任」ということが前提になっていますので、その前提で考えます。
 委任であれば、長男さんとしてはお父さんのために預かり現金を利用するという制限があるので、自由勝手に処分した場合には委任の趣旨に反するということになります。
 ただ長男さんが自由勝手に処分することを認めるのなら、委任という言葉を選択することはないでしょう。
 預り金を私的に使用することを認めるのなら、それは委任ではなく、その分については「贈与」というべきものになります。
 委任という言葉にこだわる限りでは、お父さんのために必要な使途にのみ使うべきであり、それ以外に長男さんが自由勝手に使うことを認めるという趣旨ではないと理解せざるを得ません。
 なお、委任契約はお父さんの死亡した場合にはその効力を失うという内容になっています。
 法律(民法)の委任契約の条文では、委任者が死亡した場合には委任契約は終了することになっています。
 ただ、今回の委任契約では、そのような条文があるにも関わらず、わざわざ、お父さんが死亡すれば委任が終了するとされているのなら、その理由はやはり《私のために使ってほしい》とお父さんが考えたことによると推測できるのではないでしょうか。

【長男さんが勝手に使った場合の対応】
 長男さんが自分の私的目的に預金を使ったということであれば、お父さんは長男さんに対して、委任契約で指定した目的に反して金銭を支出したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求権を持つことになります。
 お父さんが死亡されたが遺言書がなかった場合、各相続人はその相続分に応じて上記請求権を相続することになります。
 あなたとしては相続したこの権利を行使し、相続分に応じた金額を長男さんに請求するといいでしょう。

【贈与の趣旨も含んでいるとした場合】
 仮に委任契約が、長男さんが私的に使うことも認めていると理解できるのであれば、贈与的な部分も含んでいるということになります。
 この場合、長男さんが私的に使った部分は贈与と同視していいでしょう。
 そのため、その長男さんの私的使用分は生前贈与になり、遺産に持ち戻して、遺産分割することになります。
 また、遺言書があり、遺留分を計算する場合には、遺留分の計算の基礎にその贈与金額を算入することもできるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

委任状を渡してしまった後の対処方法【Q&A №312】


 父は遠く前に他界しており祖母は重度認知症(現在は他界)、そして祖父が亡くなったため、私、兄、叔父の相続になりました。

 すると叔父が「(祖父の)口座が凍結されるから、急いで印鑑証明をとってこい」と言ってきました。
 当時私は多忙で、引退して暇があり祖父と同居の叔父なら書類も揃えやすいと思ったため、ろくに説明も無いまま委任状を書いてしまいました。

 いつまでたっても説明が無い中、母が「少しくらい子供に分けては…」と聞くと、「若者が大金を持つべきじゃない」と完全に自分のものと思っているようで、挙句、何千万もする老人ホームに入りたいと言い出しました。

 また、祖父には妹やその子供がいるのですが、叔父が亡くなる時に私と兄以外に相続人が出ないか確証があるか尋ねると、「知らないが多分大丈夫だろう」などといい加減な返事をされ、心底呆れ果ててしまいました。

 私は、叔父の元の財産額も、祖父の遺産額も、今どこに預けているのかすら知りません。黙って使われても「元からこの額だ」と言われればそれまでです。

 委任状を書いてしまった自分が悪いのですが、今から自分のために出来ることは何か無いのでしょうか?

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大事な情報を忘れていたので付け加えます。
・叔父は独身で婚暦などもありません。
・祖父の家(父の実家)も遺産になるとは思いますが、現在、そのまま叔父ひとりで住んでいます。
宜しくお願いいたします

記載内容  委任状 印鑑証明

(百合根饅頭)


【委任状は手続きの代理を依頼すること】
 委任状は手続を任せるということです。
 遺産である預金であれば解約の手続きを、遺産である不動産であればその相続登記を叔父さんに任せるというものです。
 従って、その解約により得た現金をどうするのか、不動産を誰の名義にするのかという問題は委任とは別個の問題です。

【無前提で委任状を渡すと・・・】
 ただ、遺産に関する委任状を渡したとすると、その段階で、委任した内容についても「すべて叔父さんに一任したので、あとは叔父さんの好きなようにして構わない」という意思表示をしたと理解される可能性があります。
 しかも本件では印鑑証明書まで渡していたということですので、事態はさらに深刻です。
 おそらく叔父さんとしては、《叔父さんの好きなようにして構わないという前提で委任状をもらった》という主張をする可能性が高いですし、これに反論するのはかなり困難な面があります。

【早期に弁護士に相談する】
 叔父さんは、現在、預金などを(あなた方からもらった委任状や印鑑証明を使って)解約して現金を手にしているはずです。叔父さんはそのお金を自分が全部もらったものとして、老人ホームに入る算段をしているようです。
 現実に叔父さんが老人ホームに入居してしまえば、現金は返還されない可能性があります。
 あなたが叔父さんに全部の遺産をあげるという意思でないというのはなかったというのであれば、早期に弁護士に相談して、対策を講じるべきでしょう。
 弁護士と相談する際、引き出した預金の返還を求める訴訟や調停を出すというだけではなく、お父さんの持っているお金を老人ホームに出させないように、預金等の仮差押えをする必要についても相談されるといいでしょう。

母が勝手に書いた委任状【Q&A №256】


 父方の祖母が他界した時に、叔父(私の父(他界)の兄。)が家へ来て、「母(私から見ると祖母)の預金を下ろしたいから、委任状を書いてくれ」という説明で、私が不在だったため、私の母が、代筆で委任状を2通書きました。
 8年ほど経ち、祖母の土地の相続はどうなっているのか、疑問に思った私の母が、登記簿を調べたところ、その土地は、叔父の物となっておりました。
 どのような手順で相続したのか、書類の提出を求めたところ、一通の委任状のコピーが届きました。それは、この土地は叔父が相続するという内容の物でした。
 当時、土地相続の相続放棄についての話など一切なく、委任状を書かされたわけですが、その内容は全く見ておらず(半分折りになっており、相続内容が書かれた左面とは逆の右面に署名捺印しており、意図的に、内容を見られないようにしていたのかも?)この委任状が有効なのか疑わしい限りです。
 しかし、8年前の事で記憶もあいまいで、こちらが書類をきちんと確認しなかった事に、悔しい思いです。虚偽の説明で、委任状を書かせた叔父が許せません。
 この委任状は、私の許可なく、母が代筆していますが、それでも有効になるのでしょうか?
 本人が書いてない委任状と、虚偽の説明で書かされたという点から、この書類を無効にすることは、できないものでしょうか?

記載内容  委任状 偽造 勘違い 詐欺

(makomu)


【本人の意思に基づかない委任状は無効】
 まず、当然のことですが、本人の意思に基づかない委任状は無効です。
 ただ、代筆であっても、障害で字が書けない人を代筆することもありますし、横で指示して書かせる方式でも直ちに無効というわけではありません。
 問題は、本人が書いたかどうかではなく、本人の意思に基づくものといえるかどうかです。

【黙示の承認ないし追認の可能性はないのか・・】
 お母さんが委任状を書いたとき、あなたがその作成のことを知らず、又、その後もお母さんの代筆を承認しておらず、同意もしていないというのなら、委任状は無効です。
 その無効な委任状に基づきなされた叔父さんへの相続登記も無効になります。
 しかし、もしあなたがお母さんの代筆を知って放置していたとか、お母さんの委任状作成を暗に認めていた(あるいは、母の代筆がもめ事になるのを避けようと思い仕方なく黙認した)というような場合には、裁判で委任が有効と認定される可能性があります。
 なお、叔父さんが相続登記をするには、あなたの委任状だけではなく、その他にあなたの実印を押捺し、かつあなたの印鑑証明書を添付して登記申請をする必要があります。
 叔父さんへの相続登記が完了していたというのなら、誰があなたの実印の押捺をし、又、誰があなたの印鑑証明書を叔父さんに渡したのかという疑問も出てきます。
 登記を無効と主張するには、これらの点も勝手にされたのだということを証明する必要があります。

【詐欺について】
 不動産登記のための委任状であることをはっきりと説明せずに、あるいは虚偽の説明をしたというのであれば詐欺により、委任を取り消しすることも考えられます。
 ただ、8年も前のことであり、記憶がはっきりしないということであれば、この点の証明が可能かどうかという疑問があります。
 又、詐欺で騙されたのはあなたではなく、お母さんということになりますが、その前提で考えるならあえて詐欺という必要もなく、あなたが関与しておらず、あなたの意思に基づく委任状ではないということで十分です。
 結局、登記の無効を主張するのであれば、あなたの意思に基づかないという点を根拠にするのがいいでしょう。

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