大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

ご教示ください【Q&A №565】


【質問の要旨】
相続人の一人が不動産を使用していた場合、固定資産税等はどうなるか

記載内容  実家 同居 固定資産税

【ご質問内容】
両親が亡くなって20年以上経ちます。相続人は4名です。
長男が昨年突然調停を申し立ててきました。
両親が寝たきりになった後、死亡までの約10年間で預貯金は同居の長男夫婦で使い果たしていますが、証明が困難であることをいいことに、相続財産は残ったわずかな預貯金と不動産だけであると主張しています。
自宅不動産は土地が母、建物が父の所有でしたが、長男は父母の存命中に父名義の自宅建物の一部に座敷を増築し、その座敷部分の登記が自分名義であることは秘密にしています。

長男はすべての不動産の取得を希望し、そのことに異議はありませんが、父母死亡後に発生した固定資産税の負担を今になって他の相続人たちに求めてきました。
すべての不動産を使用収益しているのは長男一家のみ
です。
長男は、不動産を取得する代償金についても「田舎であるから現実の価格は固定資産評価額8割の値段である。固定資産税を含めた他の公租公課・葬儀費用の未精算分があるので、自分の持分の代償金の現実の支払いはしない」と勝手な主張しています。
今までどんな不当なことも我慢してきましたが、このような一方的な主張が通るものでしょうか?せめて、他の相続人たちから「父母死亡後について、座敷部分の土地の分についてだけでも残りの兄弟が無償で利用させていた代わりに固定資産税等の公租公課は負担しない」とする反論は可能でしょうか?

(デゴイチ)


【遺産分割成立までは無償使用】
まず、長男がお父さん名義の建物に座敷を増築し使用してきた、というお話ですので、おそらく両親と同居されていたものと思われます。
この場合、名義上は両親の名義(土地は母、建物は父)ですので、理屈の上ではご両親が共に死亡された時点で、遺産分割協議が成立するまでの間、長男が無償使用(使用貸借)できる状態になったものと扱われる可能性が高いと思われます。
これは平成8年12月17日の最高裁判決(参考ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52508)による解釈で、同判決によれば、被相続人と同居していた事案において、同居していた相続人と被相続人との間で使用貸借契約(無償使用の契約)があったことが推認されています。
(なお、座敷部分は長男が勝手に増築したということですが、ご両親も座敷部分の使用料を請求しなかったのであれば、座敷の無償使用も承認(黙認)されていた可能性が高く、結果的に自宅の一部として同様の扱いになる可能性が高いと思われます。)

【長男に使用の対価は請求できない】
もちろん、この判例も親と同居していたすべての事案において無償使用扱いにするという判断ではありません。そのため、実際にご相談のケースにも当てはまるかどうかは専門的な判断を要します。
ただ、あなた方が長男に対しこれまでの使用の対価を請求できる可能性は低いと考えておく方が無難でしょう。

【固定資産税はさかのぼって長男の負担】
他方で、固定資産税の扱いについてはこの判例からも明らかではありません。
この点は明確な判例などがなく、私の解釈になりますが、長男が実家を相続するのであれば相続開始時にさかのぼって長男が実家を所有していたことになります。
そのため、一般には所有者に対し課税される固定資産税の負担も、さかのぼって所有者だった(と扱われる)長男が負担するのが公平の見地からは妥当と思われますので、このような内容で遺産分割協議を行うのが一般的だろうと思います(参考までに申し上げますと、早く遺産分割協議を成立させないと、長男の無償使用が続くだけ、という見方もできます)。

【お兄さんが不動産を取得するなら、代償金の支払いを求める】
今回の質問は固定資産税を請求されていますが、上記のようにその支払いの必要はありません。
むしろ、お父さんの遺産である不動産をお兄さんが自分の物にするというのであれば、あなたとしては、その代償となる金銭をお兄さんに請求されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

何かをする時期について【Q&A №554】


【質問の要旨】
母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】
私は姉妹の姉です。
父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました
数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました
こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか
私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、
妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)


【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】
お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。
このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。
ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。
そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。
しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。

【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】
妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。
ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。
そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません

【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】
将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。
その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。
ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。

【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】
また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。
今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます
ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

亡父の家の鍵は返すべきものなのか【Q&A №438】


 3人兄弟です。
 私は末弟です。
 死後、遺産である家のカギ、について質問します。
 親から3人とも、緊急用に親の家のカギを預かっていました。
 分割協議の結果長男が家を相続します。
 長男からカギを返せ、返さなければ被害届を出す、と言われています。
 私の子供は(被相続人からみて孫)祖父っ子であった為、又、私が、当然長男はカギを交換すると勝手に思っていたため、子供に、祖父の思い出としてカギを渡してしまっています。
 カギは、もとは父の所有物なので遺品なのか、であれば私にも1本貰える権利があるのか、或は、カギは家の付属物で、家を相続した長男のものになるのか、教えて頂きたいです。
 分割協議に異論はありません。
 よろしくお願いいたします。

記載内容   カギ 実家

(きんつば)


【鍵は遺産です】
 もともとお父さんから鍵をあなたが緊急用として預かったということですので、鍵の所有権はお父さんにあり、鍵は遺産の一部になります。
 あなたは緊急の場合に家に立ち入るための目的で、所有者であるお父さんから鍵を預かったということになります。

【鍵の返還義務があるか】
 鍵が遺産であるとするとその相続が問題になります。
 遺産分割協議書に鍵をどのように相続するかが記載されているのであれば、その内容に従って、鍵が相続されます。
 しかし、鍵の相続について、特別に記載しているような遺産分割協議書はまずないでしょう。
 次に、鍵も動産ですので、遺産分割協議書に動産に関する条項があれば、そのとおりの扱いになると考える余地がありそうです。
 しかし、私としては家屋を単独取得した人がおれば、その人が鍵の返還を受けることができると考えるべきだと思います。
 鍵は、家の使用に伴う必要不可欠なものであり、家を取得しなかった者が所持し続ける必要性はないでしょう。
 緊急用に預かったようですが、お父さんが死亡している以上、預かった目的は消滅していますので、その点からも返還をするべきものでしょう。
 鍵自体が経済的な価値があるような場合(例えばダイヤモンドをちりばめたようなもの)は別として、鍵自体の経済的は価値はほとんどないのが通常であることを考えれば、やはり家の所有者が返還をうけるべきだという結論になります。

【鍵と形見、被害届について】
 長男さんは鍵を返さなければ被害届を出すと言われているということですが、警察がこのような問題を取り上げるということはないでしょう。
 お孫さんがお祖父さんである被相続人の形見として持っているということも記載されていますが、形見としては他の物を与え、鍵は家の単独所有者である長男さんに返還するのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

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