大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

組み戻されない特別受益【Q&A №311】


 他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で、住宅資金贈与を生前に受けた場合ですが、贈与契約書なりに、特別受益の免除をするとの記載があれば、相続時に組み入れられることはないのでしょうか?

記載内容  特別受益 持ち戻し免除 意思表示 無効確認

(ワン)


【特別受益持ち戻し免除の意思表示】
 特別受益は原則として相続財産に持ち戻され、遺産分割協議における相続分に組み入れることができます。
 しかし、ご相談にありますとおり、被相続人が生前にこの持ち戻しを免除し、特別受益として扱わない旨の意思表示をしていた場合には、法律上、相続財産の持ち戻しがなされません。

【遺言や契約書・さらには黙示の場合も】
 この持ち戻し免除の意思表示の具体例としては、ご相談にありますような贈与契約書に「持ち戻しを免除する」旨の記述が含まれていることが典型例ですが、そのほか、遺言などで持ち戻し免除の意思表示がなされることもあります。
 さらには、明確な書面上の意思表示がなくとも、贈与がなされた動機や背景事情などに鑑みて持ち戻し免除する意思があったことが推認されるケースもあります。

【意思表示自体が無効の場合には要注意】
 贈与契約書や遺言など明確な形式で持ち戻し免除の意思表示がなされていた場合、相続財産に組み入れられることはまずないでしょう。
 ただし、例外的に、当該意思表示自体が無効の場合には持ち戻し免除の意思表示も無効であり、持ち戻しが可能となります。
 具体的には、贈与契約あるいは遺言作成時に被相続人が重度の認知症のため意思能力を欠いていた場合などが考えられます。
 このような事情がなかったかどうかについては一度ご確認されるとよいでしょう。

持ち戻し免除に該当するか【Q&A №304】


 相続人は兄、私、妹の3人です。生前兄が家を購入する際父親から300万円の援助をしてもらっています。
 今回父が亡くなり自筆遺言書が出てきました。
 内容は「私の所有する全財産を兄に3割、私に4割を、妹に3割相続させる。私へは生活面で世話になったので多少多くした」と言う内容ものでした。
 財産は預金、年金で2400万円ほどと1000万ほどのマンションです。
 このような遺言書がある場合には持ち戻し免除の意思表示と解釈し特別受益を考慮できないのでしょうか?
 その他にも今回は葬儀などにも出ず墓守もしないという兄に墓守費用として死亡受取人兄指定の200万の保険も墓守もしないのに受け取られ、墓守をしなければならなくなった私も自分の取り分から今後の費用を捻出しなければならずとっても不公平感を感じています。
 出来ればせめてこの分を特別受益とし今後の費用に充てたいと思っています。
 解答よろしくお願いします。

記載内容  生命保険 持ち戻し免除 特別受益

(nekonosippo)


【特別受益とした場合】
 まず、お兄さんが住宅購入費を親に支出してもらったなどの特別受益がある場合、いわば相続分を前渡し済みかのように扱い、受益者であるお兄さんの相続分を減らすように扱うことを、相続財産への持ち戻しと呼びます。
 生前にお兄さんがもらった金300万円の援助(贈与)は特別受益の可能性があります。
 特別受益とすれば、その金額を遺産の中に組み入れて(見做し相続財産といいます)、遺産分割の計算をしますので、お兄さんの相続額は少なくなります。

 参考までに特別受益に該当する場合の遺産の配分は次のようになります。
 見做し遺産額=2400万(預金等)+1000万円(マンション)+300万円(特別受益)=3700万円
 これを遺言どおりに分割し、お兄さん特別受益分を控除することになりますから、お兄さんの取り分は次のとおりとなります。
 お兄さんの具体的な相続分=3700万円÷10×3-300万円=810万円

【持ち戻し免除をすれば、あなたの不利になる】
 この持ち戻しを免除し、生前の受益を特別受益として持ち戻しを行わないのが持ち戻し免除の意思表示です。
 ところで、お兄さんの特別受益分が持ち戻し免除になると、300万円が遺産に持ち戻す必要がなくなりますので、お兄さんの遺産からの取り分が増えます。

 念のために計算しておきましょう。
 遺産額=2400万(預金等)+1000万円(マンション)=3400万円
 お兄さんの具体的な相続分=3400万円÷10×3=1020万円

 結局、持ち戻し免除がある場合には、お兄さんの取り分が増え、あなたの取り分が減少します。
 あなたとしては持ち戻し免除がない方が有利になります。

【もち戻し免除が認められる場合】
 参考までにいえば、持ち戻し免除の意思表示の典型例としては、遺言で「兄の住宅購入資金300万円については特別受益の持ち戻しを免除する」などと記載されている場合があります。
 もっとも、ここまで明確な意思表示がなくとも、障害のある子に親が生活資金を贈与した場合など、持ち戻しを認めることが受益者である子にとって酷であるという事情等がある場合には、持ち戻し免除の黙示の意思表示が存在したとして、持ち戻しを免除した裁判例もあります。
 もし、仮にあなたに特別受益がある場合を例にすると、今回遺言のような「生活面で世話になったので多くした」という内容であれば、お父さんとしては持ち戻しを前提にせずに遺言していることになります。
この点について、当事務所内での弁護士の意見が分かれており、持ち戻し免除を認められる可能性があるかどうか、微妙な案件であるということになります。

【保険金は原則として特別受益とはならない】
 生命保険金は原則として特別受益にはなりません。
 この点は当ブログQ&A №298Q&A №299などに類似の記事がありますのでご参照ください。
 他の事情にもよりますが、今回のケースでも、遺産が預金2400万円に加えて1000万円ほどのマンションということですので、保険金200万円程度であれば保険金が特別受益扱いされる可能性は低いと考えられます。

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