大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

損害賠償請求権の相続【Q&A №512】


【質問の要旨】
回収できない損害賠償も相続財産となるか

記載内容  損害賠償 盗難 相続税

【ご質問内容】
父の預金通帳が盗難により不正出金され、警察の捜査の結果、犯人は逮捕されました。
裁判の結果、初犯のため執行猶予付の有罪判決が下されましたが、高齢の犯人に財産はなく、ギャンブル等で費消したため被害弁償の支払い能力は全くありません。
判決を前に父は亡くなりましたが、この場合、犯人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が発生し、それが相続財産になると聞きました。
犯人から全く弁償の見込みがないにも関わらず、請求権が相続財産になるのでしょうか。(被害額は数千万円になります)
また、相続財産となる場合、この請求権のみを放棄することは可能でしょうか

(鈴木)


【賠償請求権は相続財産になる】
お父さんの預金通帳が盗難にあったが、その犯人に弁済能力がないというケースでも、法律上はその損害賠償請求権は遺産になります
相続人としては、その債権を相続で取得しているのですから、その法定相続分に応じて、(実益はありませんが)犯人に対して損害賠償を請求することができますし、訴訟をすることもできます。

【一部の遺産だけを相続放棄することはできない】
法律上は相続放棄という制度があり、一定期間内に家庭裁判所に申述書を提出することで、相続財産を相続しない(正確には、相続人にならない)ことができます。
しかし、相続放棄はあくまで《全遺産を相続するか》、又は《全部を放棄するか》の二者一択であり、他の財産(預金や不動産)を相続しながら、賠償請求権だけを相続放棄するというようなことはできません

【相続税の課税対象は別問題】
ただし、上記の回答はあくまで法律の面からのものです。
法律上は相続財産でも、相続税上は相続財産にならないものがありますし、又、逆の場合もあります
例えば、生命保険金は原則として法律上は相続財産になりませんが、相続税の関係では相続財産として申告が必要です。
ところで、損害賠償請求権については、交通事故についてですが、末記のとおり、「被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償請求金は相続税の対象になりません」とする通達があります
税務上の問題として、この通達が本件のような《生前の盗難》という損害賠償にも適用されるのかということが問題になります。

【上記通達に対する弁護士コメント】
税務の問題であるので、最終的には税理士さんに相談されて結論を出されるといいでしょうが、参考として弁護士としてのコメントを付するとすると次のとおりとなります。
相続は、被相続人が《生前に取得した権利》を、相続人に移転させるものです。
これに対して、前記交通事故の場合の損害賠償請求権は、被害者である被相続人が《死亡後》に発生するものであり、生前に取得するものではありません。
そのため、《生前に発生した》盗難による損害賠償請求権については、《死亡後に発生した》前記交通事故の通達は適用されず、盗難の損害賠償請求権は相続財産になるものと考えられます。
ただ、この盗難の債権を全額遺産に入れるかどうかは別の問題です。
相続財産であるが、回収不可能で、実質的に価値がゼロであるとして申告する、そのような申告をどのように税務署に認めさせるのか、税理士の力の試されるところでしょう。
以上の記載はあくまで弁護士の見解です。
法律と税務とは異なりますし、税務署が私と同様な見解をもつかどうかもわかりませんので、より正確な意見を聞きたいのであれば相続に詳しい税理士に相談されるといいでしょう

【参考通達 タックスアンサーNo.4111 交通事故の損害賠償金

(弁護士 大澤龍司)

相続による所有権取得前の不動産の管理責任【Q&A №405】


 調停で遺産相続が確定している土地、建物の管理責任は調停での確定範囲で負うと、考えて宜しいのでしょうか? (登記は死亡した祖父名のままです)

*遺産相続取得以外の建屋(未居住)から、強風で瓦が飛び隣地の家に損害を与えてしまいましたが、該当する 土地建屋を取得した、他の相続人の主張は遺産相続登記が完了していないので、私にも損害賠償を案分して支払え と言ってきています。

ご教示宜しくお願い致します。

記載内容  相続登記 管理責任 損害賠償 所有者責任 占有者責任

(Sunny)


【まず、占有者が責任を負う】
 建物の管理(補修等)に不備があったため、台風などの強風で隣宅に被害を与えた場合、まず、建物占有者が隣宅に対して損害賠償請求をする義務があります。

【次に所有者が責任を負う】
 ただ、占有者がいない場合や占有者が十分な管理をしていたような場合には、建物の所有者が責任を負って損害賠償をすることになります。
 本件では占有者がいないということですので、所有権者が責任を問われることになります。

【調停後の事故の場合】
 ご質問の場合、被害を与えた時期が調停の後であれば、たとえ相続登記が完了していなくとも、調停により所有権を取得した人が、確定的に所有者になりますので、損害賠償責任があります。
 他の相続人は、所有権を全くもっていないのですから、損害賠償をする必要はありません。

【調停前の事故の場合】
 調停成立前に隣家に被害をあたえたというのなら、その時点では遺産分割は完了しておらず、法定相続人間で共有状態になります。
 この場合には、共有者全員が損害賠償責任を負うことになります。
 ただ、その範囲がどこまでかは難しい問題です。
 仮に法定相続人が2名であり、損害賠償額が200万円であるとした場合、100万円ずつ損害賠償をするのか、それとも共有者各人が連帯して200万円(要するに全額)の支払い債務を負うのかという疑問があります。

 私個人としては、持ち分(法定相続分)の限度でしか責任を負わない(先程の例で言えば、100万円の限度での責任になる)ということで理解していますが、この点をはっきり明言した文献や判例を見つかりませんでしたので、あくまで個人的な見解としてご参照ください。

扶養義務と特別受益【Q&A №249】


 相続人Aが、17歳11ヶ月の時にひき逃げ死亡事故を起こし、被相続人から出しもらった約450万円で、弁護士費用・示談金を賄うことができた為、特別受益に該当すると思うのですが、相続人Aは、未成年であったので、親の扶養義務であり特別受益にはあたらないと主張しています。未成年とは言っても、15歳の春で専門学校を辞めており、フリーターのような感じで仕事はしておりました。
 未成年時に受けた贈与が特別受益として認められた判例を探しているのですがなかなか見つかりません。
 相続人Aが言うように、未成年時の贈与は特別受益にあたらないのでしょうか?
 また、そのような判例を探すにはどうしたら良いのでしょうか?
 宜しくお願い致します。

記載内容  扶養義務 損害賠償 交通事故 未成年

(ムーニー)


【損害賠償は本人である子の責任】
 交通事故を起こした本人は約18歳ですので、この年齢なら十分な判断能力(意思能力)があり、したがって事故の損害賠償は両親ではなく、その事故を起こした本人が責任を持って賠償するべき義務があります。

【扶養と特別受益との関係】
 未成年の子に対する贈与が特別受益にあたりうるのは、当該家庭の経済事情などに照らして一般的な扶養を超える部分のみであると考えられています。
 交通事故による賠償責任は、事故を起こした本人独自の責任であり、又、金額も高額で、通常の扶養義務をはみ出るものとして、特別受益に該当する可能性があると思われます。

【損害賠償の肩代わりと「生計の資本」】
 もっとも、特別受益にあたるには、「生計の資本」としての贈与であることが必要です。
 損害賠償金は事業資金や不動産購入資金などとは違い、「生計の資本」と言えないのではないかという疑問があります。
 しかし、相続人間の公平という観点から見れば、損害賠償金であっても持ち戻しを認めるべきという見解も主張可能です。
 参考までに言えば、住宅ローンや事業資金の借入金を親が連帯保証し、後に返済できなくなった子の債務を肩代わりして返済したケースでは特別受益にあたるとされた例もありますので、損害賠償金の肩代わりでも特別受益にあたる可能性があると考えていいでしょう。

【判例検索は裁判所のホームページで】
 最後に、判例の探し方ということですが、一般の方でも裁判所のホームページ(URL:http://www.courts.go.jp/)にアクセスしていただければ、裁判所がキーワード等から裁判例を無料検索できるシステムを設置しています。
 その中で、ご自身の事例とよく似た事例を探し出し、今回の事例でもこれと同様の判断を下すべきだと主張されるとよいでしょう。
 又、大きな図書館なら判例検索システムを備えているかもしれませんので、電話等で確認され、利用されるといいでしょう。

質問する

当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。

事務所での有料相談はこちら

直接、お聞きして、的確に回答します。今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。

最近の相続ブログ

アーカイブ

カテゴリー

大澤龍司法律事務所

〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-25
梅田プラザビル別館7階A703号

お気軽にご相談ください!(電話要予約)
お気軽にご相談ください!(電話要予約)
FAX:06-6361-6043 メールでのお問い合わせはこちら 月〜金曜日(祝日を除く)
    • 大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅
      ...徒歩約7分
    • 大阪メトロ堺筋線・京阪電車「北浜」駅
      ...徒歩約10分
    • 大阪メトロ御堂筋線・京阪電車「淀屋橋」駅
      ...徒歩約15分
事務所ブログ 大原訴訟ホームページ

ページの先頭へ