大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続不動産の時効取得はできるか【Q&A №449】


【質問まとめ】
10年前に父がなくなったとき、父の不動産について
「いらない」と言って相続放棄したはずの姉が「不動産を売って法定相続分の金をよこせ」と言ってきました。
私は、土地建物を時効取得したと主張できるでしょうか

記載内容  長年 時効取得

【質問詳細】
 父が死んで10年たつので、父名義の土地、建物の名義を私名義に変えようと思って、 姉にいうと「家を売って法定相続分の金をよこせ」というのです。
 父が死んだ後、父の貯金を姉と私2人で200万円づつ分けました。
 それで、その時、姉は「他の財産の家や土地はいっさいいらない」といいました。
 土地、建物の取得時効は10年だとおもいますが、姉は父が死亡する30年ぐらい前に結婚して遠方にすんでおり、父死亡後は私1人で、土地、建物を占有していました。
 この場合、土地、建物の取得時効を主張して時効取得時効による登記ができるでしょうか?
 裁判の場合、姉を相手におこすのでしょうか?

 善意は、他に相続人がいない場合ということだと思うのですが、姉は土地、建物の相続を放棄していましたので、私は、他に相続人がいない場合だと思っていました。
 相続人は私と姉2人です、

(hukuda)


【相続放棄ではなく、遺産分割協議の話である】
 相続放棄とは、家庭裁判所に対して、お父さんの遺産は全て相続しませんという申し出をすることです。
 お姉さんが《家や土地は一切いらないとあなたに言った》ということは相続放棄ではありません

 

法定相続はすることを前提として、どのように遺産分割をするのかということであり、それは遺産分割協議の話であるとご理解ください。

【他の財産はいらないという発言の意味】
 遺産分割する場合、通常、法定相続人間で《遺産分割協議書》という合意書を作成し、実印を押捺し、印鑑証明書を添付します
 遺産は多額の財産の分割ですので、分割に同意するという意思に間違いがないこと、分割内容も記載したとおりであるということ等、間違いや誤解を防ぐという配慮から書面化されるのです。

 口頭(会話)等だけで遺産分割協議が絶対に成立しないというわけではありませんが、遺産分割という重大な問題を口頭だけで処理するということが裁判で認められることは極めて可能性が低いということを理解する必要があります。
 裁判になると、遺産がいらないという発言があったことについてあなたの方が証明する必要がありますが言った、言わないの議論になりかねません。
 また、仮にそのような発言があったと認められても《そのような気持ちもあったというだけで、絶対にいらないと言ったわけではない》と反論されることも多く、裁判になれば必ずしも有利な判決が出るとは言えないでしょう。

【取得時効の成立について】
 土地や建物については、占有が長期間続くと時効取得が認められます。
 しかし、相続の場合に取得時効が認められることはむずかしいです。
 その理由は次のとおりです。
 時効取得が成立するには多くの要件がありますが、その一つに自主占有》の開始という要件があります。
 これは取得時効を主張する人が、その家の全部の所有者であるという外形を整えることです。
 質問のようなケースでは、あなたがお父さんの家に住んでいるだけでは不十分です。
 《全部が私の家である》ということが外見的にわかるような状況が必要です。
 説明をしにくいのですが、遺産分割協議が整い、単独登記をし、かつ単独で占有をし始めたが、実は分割協議は無効であったというようなケースがこれにあたります。
 そこまで行かなくても、少なくともあなたがお姉さんに《この家、私が全部の所有者になりますよ》ということを宣言する程度の事実が最低限、必要でしょう。

 また、本件では、期間の点でも時効の成立は難しいです。
 不動産の取得時効は《善意無過失》で10年、それ以外は20年です。
 《善意》とはこの家が自分の《単独の所有》と信じ、そう信じたことがもっともだというような場合ですが、本件の場合には、お姉さんに持ち分があるということは明らかですので、善意にはならず、そのため20年も経過していない現時点で取得時効の要件を満たすことはありません
 結局、取得時が成立する可能性はほとんどないと考えていいでしょう。

【どのようにして解決するか】
 以上に述べたように、法律的にはあなたの主張がとおることは少ないです。

しかし、法律がすべてではありません。
《お父さんの面倒を見たのは私でしょう》と人情と義理をからめて攻め、
《お姉さんはあのときいらないと言ったのに・・》と足元をすくいつつ、最後の落としどころとしては少し譲って 《半分づつではなくて4分の1くらいでどうか》とか、あなたの人間力を総動員してお姉さんを説得していくといいでしょう。

★遺産土地は時効取得されることがあるのか。【Q&A №231】


 相続・遺産分割と時効

 母の土地を姉妹弟五人で相続しました。母の遺言で、土地は姉妹弟五人で等分に分け合うことになりました。
 土地には、現在弟が家族とともに住み、土地全体の固定資産税を払っており、他の四人に持ち分の放棄を迫りました。私と上の姉は婚家の他県に住んでいることもあり、放棄に応じてもいいですが、その場合は持ち分相当額の金銭と引き替えであることが条件で、これは姉も一緒です。そして、そのことを弟に伝えましたが、いっこうに応じません。
 母が亡くなったのが平成6年です。遺産分割の場合も、弟が私たちの持ち分の土地の上に住み続けていれば、私たちの持ち分も弟が時効取得することはあるでしょうか。先ずは、このままなにもしないでいることで、私たちの持ち分が無くなってしまわないか、それが心配です。
 また金額の話し合いに応じない弟に対してどのような意思表示をすればいいでしょうか。内容証明等を送って、金銭の支払いを求めればいいのでしょうか。恐れ入りますが、ご回答を願います。

記載内容  時効取得 固定資産税 代償金

 

(かずひろ)


【時効取得の可能性もあります】
 弟さんが土地を占有使用し、固定資産税も一手に支払っていたのであれば、弟さんが時効取得を主張する可能性があります。この場合の時効期間は、自分のために全部の土地の占有を開始してから、20年になります。
 ただ、今回の質問の場合、遺産土地は遺言で他のご兄弟の持ち分が認められていますので、その旨の相続登記がなされておれば、時効取得はよほどのことがないと認められないでしょう。

【あなたが所有者であることをはっきりとさせておく必要がある】
 あなたたちが権利をもっているのに、弟さんが単独で使用し、かつ固定資産税を支払っているという状態が続けば、弟さんが自分の所有物として使用しているような状態が継続して続いている状態になり、裁判所としては、時効取得を認めやすくなります。
 そのため、このような状態を破るためには、弟さんとの権利関係をはっきりさせる必要があります。
 具体的に言えば、弟さんとの関係で、問題の土地の使用に関する合意書を作成し、その中であなたの権利(共有持ち分)があることを明記するといいでしょう。
 持ち分相当の賃料を請求するのが望ましいでしょうが、たとえ無償使用を続けるとしてもあなたが権利者であるということを認めさせることで、時効期間の進行をリセットすることができます。
 もし、合意に応じないようであれば、調停等の手続きを利用することも考えてもいいでしょう。

★50年前に無断で登記された土地は取り返せるか【Q&A №134】


 50年ぐらい前のことなんですが、祖父が他人から土地を購入し、自分の弟に登記変更の登録を頼んだところ、弟は勝手に自分の名前で登録をし、登記簿を見せるように言うが、「なくした」といい、見せてくれなかったと話していました。その祖父も他界し、今は弟の息子がそこに家を建てています。

 この場合、土地は返してもらえるのですか?
この話は身内みんなが知っています。

記載内容  請求権の相続 時効取得 土地の占有 

(かんなみ)


【お祖父さんの持っている権利は相続される】
 お祖父さんが土地を買ったのに、その弟さんが勝手に自分の名義にしていたのであれば、お祖父さんはその弟さんに土地名義の返還を求めることができます。
 お祖父さんが死んだ場合、この土地の名義の返還を求める権利は、お祖父さんの相続で承継され、その相続人が返還請求することができます。

【問題は証明できるかどうか・・】
 しかし、お祖父さんはどうして、50年間も弟さんの名義にしていたのだろうかという疑問があります。
 登記簿を見せるように言っても、弟さんが見せなかったというのですが、登記簿は法務局に行けば誰でも見ることができるものですので、登記名義が弟さんというのを知らなかったという主張を続けることも難しい話でしょう。
 したがって、お祖父さんが本当に売買したのだという点をしっかりと証明する証拠が必要でしょう。

【時効の主張が出てくる可能性がある】
 仮にお祖父さんが売買をしたのであり、その弟さんが勝手に名義移転をしたのだということが証明できても、弟さんから《時効で土地を取得したのだ》という主張が出てくる可能性があります。
 名義が弟さんであり、土地の使用を50年も続けた、おそらく土地の固定資産税も弟さん側が払っていたというのであれば、占有を初めて20年もなれば時効で取得することが可能です。

【今すぐに弁護士に相談をしましょう】
 相手方は家まで建てているのですから、話し合いで円満に名義を返してくれることは考えにくいでしょう。
 名義を勝手に変えたという話は、《身内のみんなが知っています」ということですので、早い段階でその人たちに事情を聞き、また、裏付け証拠も集めておく必要があるでしょう。
 さらに、時効を主張させないためにどのような証拠が必要なのかも、考えておく必要もあります。
 今後、どのように対処するのか、お近くの弁護士に相談されるといいでしょう。

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