大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

参加していない遺産分割協議の効力【Q&A №557】


【質問の要旨】
自分が未成年のころに父の相続財産を母が受け取っていた分を返してほしい

記載内容 未成年 特別代理人 利害が相反

【ご質問内容】
亡母の遺品の整理中に20年前に他界した父の遺産協議書が出てきました。
当時私は18才で相続協議には参加出来ず、相続物は(今回の売地とは別の)家族共有名義の土地があるとだけ聞いていました。
しかし協議書には「○○の土地を売却し、母兄私で分配する」とあります。
さらに土地売買の受領書もあり私分のお金は母が受け取り、署名欄には「親権者として」と記載があります。兄の分は、兄本人が受け取っていました。
以上のことから母の遺産相続を行う前に、私の未受け取り分を受け取りたいことを主張しましたが兄は拒否。
分配してほしければ母から受け取っていない証拠として、母の全ての金融機関の20年分の入出金履歴を出せと言います。
私は銀行に開示を求めましたが履歴は10年しか出せないと言われ、兄の要求は最初から現実不可能です。
説明責任を果たさずにおいて、履歴が出せない状態になってから、それを用意してみろ等と酷い話です。
分割協議書にはおかしい部分もあります。
私が見たことも聞いたことも無かった分割協議書の相続人署名欄に私の署名がしてあるのです。
『未成年の為、母親が代理人として署名』と書いてあるのですが、相続では利益の相反する間柄では親であっても代理人にない筈です
金融機関に過去の履歴を出してもらう手段とか、よい手だてはありませんでしょうか。

(DD)


【特別代理人が必要でした】
質問にも記載されているように、お父さんの遺産分割では、お母さんと子であるあなたとは利害が対立(お母さんが遺産を多くもらえば、その分あなたの取り分が減る)します。
お母さんには未成年であるあなたの親権者として法定代理権がありますが、このような利益相反がある場合、お母さんはあなたを代理できず、家庭裁判所が選任した特別代理人があなたに変わって遺産分割協議に署名捺印をする必要があります。
そのため、この遺産分割協議書は効力がありません

【母の受け取った土地代金はどうなるか?】
遺産であった土地は既に売却され、お母さんがあなたの代理人として受領していたのなら、あなたはお母さんに分配金返還請求権を持つことになります。
お母さんの負うこの返還債務は、お母さんの死亡による相続で、その相続人であるお兄さんとあなたが2分の1の割合で負担しますので、あなたはお兄さんに分配金の半額を請求できることになります。

【分配金返還請求は消滅時効の問題がある】
ところが、この分配金請求権は、法律的に正確に言うと、お母さんが権限もなく、又、遺産分割もできていないのに、あなたの法定相続分を勝手に売買したという不法行為に基づく損害賠償請求権ということになります。
この不法行為の請求権は、その不法行為が生じた時点から最長で20年間、これを行使しないと時効で消滅します。
今回は約20年前の遺産分割協議であるため間に合うか微妙なところですが、早急に内容証明郵便でお兄さんに分配金を請求し、請求を行った確たる証拠を残しておき、早急に、弁護士に訴訟等の手配をすることも考えるといいでしょう。

【もらっていないことを証明する必要はありません】
お母さんが土地を売却し、その売買代金を受け取っていることがお母さんの受領書で証明できるのであれば、今度はお母さん(その債務の半分を受け継いだお兄さん)側でその代金をあなたに支払ったことを証明する責任があります
いずれにせよ、時効の期間の問題もありますので、早期に弁護士と相談され、どのような措置を取るべきかどうかを検討されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

養育費は遺留分から控除できるか【Q&A №314】


主人は再婚です、子供一人いて離婚し、私と結婚しました。
 私たち夫婦には、子供はいません。
 別れた子供が、高校卒業後、専門学校へ行く学費を2年間 毎月6万送金しました。
 この度、遺言書を作成しました。
 遺留分で、その分差し引いて貰えますか。

記載内容  養育費 学費 未成年 特別受益 専門学校

(あさちゃん)


【扶養義務の履行は特別受益に当たらない】
 父親は子に対して養育義務がありますので、養育費として相当な金額の支払いは、特別受益にはなりません。
 養育費としてどの程度が相当かは、家庭裁判所で用いる次のような養育費算定表がありますので、ご主人の収入を前提にこの表で判断されるといいでしょう。(養育費・婚姻費用算定表
 本件で問題となる専門学校の学費は、養育費としての送金だと思われます。
 そうすると、未成年者に対する父親としての扶養義務の範囲内での送金として扱われる可能性が高く、扶養を超える特別受益となることは少ないです。

【遺留分でも考慮されない】
 養育費が特別受益になった場合には、遺留分の算定の際にその受益分が遺産に持ち戻され、遺留分として受け取ったという扱いになります。
 しかし、前記のとおり、毎月送金した金額を特別受益とするのは難しいので、子どもの遺留分を減らすことはできないでしょう。
 参考までにいえば、学費で特別受益に該当するには、私立の医科大学・医学部のように多額の入学金や高額な学費を支払った場合などのかなり特別な事情が必要でしょう。

扶養義務と特別受益【Q&A №249】


 相続人Aが、17歳11ヶ月の時にひき逃げ死亡事故を起こし、被相続人から出しもらった約450万円で、弁護士費用・示談金を賄うことができた為、特別受益に該当すると思うのですが、相続人Aは、未成年であったので、親の扶養義務であり特別受益にはあたらないと主張しています。未成年とは言っても、15歳の春で専門学校を辞めており、フリーターのような感じで仕事はしておりました。
 未成年時に受けた贈与が特別受益として認められた判例を探しているのですがなかなか見つかりません。
 相続人Aが言うように、未成年時の贈与は特別受益にあたらないのでしょうか?
 また、そのような判例を探すにはどうしたら良いのでしょうか?
 宜しくお願い致します。

記載内容  扶養義務 損害賠償 交通事故 未成年

(ムーニー)


【損害賠償は本人である子の責任】
 交通事故を起こした本人は約18歳ですので、この年齢なら十分な判断能力(意思能力)があり、したがって事故の損害賠償は両親ではなく、その事故を起こした本人が責任を持って賠償するべき義務があります。

【扶養と特別受益との関係】
 未成年の子に対する贈与が特別受益にあたりうるのは、当該家庭の経済事情などに照らして一般的な扶養を超える部分のみであると考えられています。
 交通事故による賠償責任は、事故を起こした本人独自の責任であり、又、金額も高額で、通常の扶養義務をはみ出るものとして、特別受益に該当する可能性があると思われます。

【損害賠償の肩代わりと「生計の資本」】
 もっとも、特別受益にあたるには、「生計の資本」としての贈与であることが必要です。
 損害賠償金は事業資金や不動産購入資金などとは違い、「生計の資本」と言えないのではないかという疑問があります。
 しかし、相続人間の公平という観点から見れば、損害賠償金であっても持ち戻しを認めるべきという見解も主張可能です。
 参考までに言えば、住宅ローンや事業資金の借入金を親が連帯保証し、後に返済できなくなった子の債務を肩代わりして返済したケースでは特別受益にあたるとされた例もありますので、損害賠償金の肩代わりでも特別受益にあたる可能性があると考えていいでしょう。

【判例検索は裁判所のホームページで】
 最後に、判例の探し方ということですが、一般の方でも裁判所のホームページ(URL:http://www.courts.go.jp/)にアクセスしていただければ、裁判所がキーワード等から裁判例を無料検索できるシステムを設置しています。
 その中で、ご自身の事例とよく似た事例を探し出し、今回の事例でもこれと同様の判断を下すべきだと主張されるとよいでしょう。
 又、大きな図書館なら判例検索システムを備えているかもしれませんので、電話等で確認され、利用されるといいでしょう。

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