大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★書類を偽造した姉は相続できるのか?【Q&A №461】


【ご質問のまとめ】
子5人のうち長男が亡くなり、続いて、父、母の順で亡くなりました。
長女に有利な内容で遺産分割がされました。
残りの兄弟は、よくわからないままサインしました。
数年後、長男の財産について、長女が偽造で名義を書き換えていたことがわかりました。
長男の財産を分けるにあたって、長女を外すことはできませんか?
残りの兄弟たちが長女に主張できることはないですか?

記載内容  偽造 欠格 遺産分割協議

【ご質問内容】
両親と兄と四人姉妹です。
兄は独身で両親より早くに亡くなりました。子供はいませんでした。
亡くなる1年前に兄の不動産は姉名義に変えられており、両親が相続する財産はありませんでした。
その2年後に父が亡くなり、さらに4か月後に母が亡くなりました。
両親を続けて亡くして平常心では無い中、長女が知り合いの税理士と一緒になって遺産分割協議を主導しました。
父は公正証書で母と兄そして長女に不動産を遺贈していました。
母は遺言書を書いてはいません。
父の遺言書の執行と母の遺産分割を同時に行いました。
法律のことをよく理解していなかった妹3人は、遺産分割協議書にサインしてしまい、その協議書の控えを貰えることも知らず、とても不公平な分割を了承していることに後で気づきました。
どうすることもできずに7年が過ぎたころ、長女名義に変えられた兄の不動産は、長女が書類を偽造して勝手に名義変更していた事が分かり、裁判で兄の名義に戻しました。
しかし、その兄名義の不動産を姉妹で相続するにあたり長女は法定での分割を主張して譲りません。
長女に遺産を渡さない方法はないでしょうか。
私達が長女に対して法的に主張出来ることはありますか。
父から遺贈された不動産は特別受益として、今回の遺産に含めることは可能でしょうか。
7年前にもどって遺産分割協議を最初からやり直したい気持ちです。
宜しくおねがいします。

(イーサン)


【お兄さんの遺産分割について】
 お兄さんには配偶者(妻)も子もないのですから、お兄さんの遺産は直系尊属であるお父さんとお母さんが相続することになり、その法定相続分は2分の1ずつです。

※ 本来の相続の流れ
         お兄さん
             
お父さん(1/2) お母さん(1/2)
            
 子  お母さん    
      
      

【お兄さんの遺産でお父さんが相続した分について】
 お父さんはお兄さんとお母さん、妹さんに不動産を遺贈しているのですから、この遺贈分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。
 ただ、既にお父さんの遺産について分割協議が行われているのであれば、その対象となったお父さんの遺産については特別受益分も含んで解決したと考えるのが通常でしょう。
 遺産分割協議後に(お兄さんの分をお父さんが相続した)新たな遺産が判明した場合には、残念ですが、長女の主張するように法定相続分は渡さざるをえないことになります。

【欠格事由にも該当しない】
 相続人から除外する制度としては欠格制度があります(民法891条:末記条文を参照ください)。
 この制度は被相続人を殺したり、遺言書を偽造したような場合には相続させないという制度です。
 しかし、今回の質問では遺言書ではなく、登記関係書類の偽造ですので、この欠格事由にもなりません。

【遺産分割協議に取消、無効事由はないかを考える】
 結局、既に遺産分割協議をしているというのが一番のネックです。
 事情がわからなかったのならその時点で弁護士等に相談されるべきでした。
 現在、取りうる手段としては、遺産分割協議を何らかの理由で無効にすることです。
 遺産分割協議について、騙されたようなことや思い違い(錯誤)をしているような場合には詐欺で協議を取り消しし、あるいは錯誤で無効とすることもできなくはありません。
 遅きに失した感がなくはありませんが、相続に詳しい弁護士に分割協議時点の具体的な話をしたうえで、協議を無効や取り消しになるような方策がないかどうかを相談されるといいでしょう。
 また、仮にお兄さんの不動産を長女名義にしていた際、長女がその不動産を他人に賃貸しておれば、その賃料を法定相続分に応じて返還請求することも可能でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

【参考条文】
民法

(相続人の欠格事由)
第891条
 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

夫に遺留分を渡さない方法【Q&A №381】


 勤務地の関係で、結婚してから夫とは同居をしておらず、養ってももらっていません。お互い一人暮らしのような状態です。
 このような場合でも、別居中に私が先に亡くなった場合、夫に遺留分を主張する権利や受け取る権利があるのでしょうか。
 夫は主張してこないとは思っていますが、私自身は「夫にお金が渡る=夫の死後は夫の家族に渡る」ということで、夫の家族や夫には1円も渡したくないのが本音です。
 自分の親、兄弟(その子供)のために役に立てたいのです。

 遺言書には「自分の血縁関係のある者に相続させたい」「共有財産がない」「婚姻期間が短い(2年)」ということは書いていますが、遺留分については受取人次第という部分もあるようで、裁判まではしないと思いますが、遺留分を夫に渡さない方法はないものでしょうか。

記載内容  廃除 欠格

(アクア)


【別居していても夫には遺産が行くし、遺留分も請求できる】
 《勤務地の関係で、結婚してから夫とは同居をしておらず、養ってももらっていません。お互い一人暮らしのような状態です》ということであっても、戸籍上、夫であれば、あなたの遺産を夫は取得します。
 又、あなたが遺言書でご主人以外の人に遺産を相続あるいは遺贈した場合、ご主人としては、遺留分請求(主張)をすることは法的には可能ですし、あなたの遺産を受け取る権利もあります。

【遺留分請求をさせない方策としては遺留分放棄の審判申立をする】
 ご主人に遺留分放棄をさせない一番確実な方法は、生前の《遺留分》の放棄をさせることです(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあり、ご主人が死亡すればあなたがご主人の遺産を受け取ることにもなります。
 ご主人としても、あなたに遺産を渡してたくないというのであれば、互いに遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。

① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
 裁判所に申し立てをした場合、大阪家庭裁判所の扱いとしては、まず放棄する人に対して書面で、放棄の意思があるかどうかを確認し、場合によっては、裁判所に出頭を求め、遺留分放棄する人から事情を聞くこともあります。
 あなたの場合には夫婦関係を説明し、互いに遺留分放棄をするのだという回答であれば、書面審査で放棄が認められる可能性があるでしょう。

② 又、裁判所が認めるのは、《遺留分》の放棄であり、《相続分》の放棄ではありません。
 そのため、あなたが遺言書を書かない、あるいはあなたの遺言書が無効になると、ご主人は法定相続することになります。
 そのため、間違いのない遺言書をつくる必要があります。
 若干の費用がかかっても、公証役場で公正証書遺言をお作りになることをおすすめします。

【ご主人に遺産を与えないためのその他の方策について】
 当ブログQ&A №379が今回の質問とよく似ています。
 その中で、《ご主人に遺産を与えないためのその他の方策について》説明しています。
 ご参照ください。

参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

★【コラム】相続人になれない人

相続権を奪われることもあります

【相続権を失う場合】
遺言がない場合、民法に規定された順序にしたがって、配偶者(夫又は妻)、子供、親(尊属)、兄妹、孫などの親戚に遺産が相続されます(法定相続)。
しかし、被相続人(なくなられた方)にとって非道いことをした人には財産を与える理由はありません。
民法では、一定の行動を取った人に当然に相続権を認めない「欠格」、関係者からの申立を受けて相続権を失わせる「廃除」の2つの規定を設けています。

【相続人の「欠格」について】
以下の行為を行った人については法律上当然に相続権がなくなります。
・被相続人や相続について先順位もしくは同順位にある人を故意に殺した人、あるいは殺そうとした人(殺人・殺人未遂罪)で、刑に処せられた人 ・詐欺又は強迫で遺言書を書かせようとしたり、遺言書を捨てる、隠す、書換え等した人 ・遺言書の作成を妨害した人

【相続人の「廃除」について】
相続人となるべき人に、被相続人に対する虐待、被相続人への重大な侮辱行為、著しい非行などがあった場合、家庭裁判所は、被相続人の請求を受けて当該事実を判断し、相続人となるべき人の相続権を「廃除」によって奪うことが出来ます。
また、遺言によっても奪うことが出来ますが、この場合には遺言執行者が家庭裁判所に排除の申し立てを行うことになります。
ただ、当然ながら、被相続人が亡くなった後に請求することは出来ません。

【欠格・廃除の子供たちは相続できる?】
被相続人の死亡時に、本来相続人となるべき人が既に死亡しており、その子供が生存している場合、その子供は、本来相続人となるべき人に代わって相続ができます。これを代襲相続と言います。
欠格・廃除によって、本来相続人となるべき人が相続権を失っても、その子らは代襲相続することが出来ます。

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