大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺言書検認手続で提出する戸籍等【Q&A №496】

【質問の要旨】
相続人が5歳で死亡しているとき、戸籍等はすべて必要か?

記載内容 戸籍謄本 出生 死亡

【ご質問内容】
遺言書検認申立に必要な戸籍謄本等について
相続人が「配偶者と子(第一順位)」または「子(第一順位)のみ」の場合
第一順位の相続人のうち死亡者がいる場合は、死亡者の出生時から死亡時まで 継続した戸籍、除籍、改製原戸籍謄本となっているのですが、死亡者は5歳のとき死亡しているのですが、それでも、死亡者の出生時から死亡時まで 継続した戸籍、除籍、改製原戸籍謄本は必要ですか?
戸籍の有効期限はありますか?

(wwe)


【遺産や遺言関係で裁判所に提出する書類】
家庭裁判所に遺産分割調停を申立するような場合には、被相続人の相続関係を明らかにするために、出生後から死亡までの間の戸籍(除籍、改製原戸籍を含む)が必要です。
これは死亡された被相続人の法定相続人としてどのような人がいるのか(第1順位の子や配偶者がいるのかどうか)の確認のために必要だからです。
次に、相続人については現在の戸籍の提出も必要です。
これは法定相続人が生存しているのかどうか、死亡している場合に相続あるいは代襲相続が発生し、配偶者や子が法定相続人になりますので、その点を確認するためです
遺言書の検認の場合も法定相続人に検認日を通知しますので、分割調停申立と同様の書類が必要です。

【5歳の時に死亡した相続人については】
今回は、遺言検認をするに際して、5歳で死亡した相続人についても出生から死亡までの戸籍が必要なのかという質問です。
5歳であれば婚姻年齢以下であり、婚姻できず、配偶者がいることはありえませんし、生殖能力も発達しておらず、子がいることもありえません。
ただ、戸籍にも誤記や脱落等がある場合も考えられますので、裁判所としてはやはり出生から死亡までの戸籍の提出を求めるのはやむをえないと思います

【戸籍の有効期限】
次に、戸籍謄本の有効期限ですが、相続人が「現在も生存していること」を立証する戸籍謄本(現在戸籍)は、原則として3か月以内の分を提出する必要があります
それ以外の相続関係(家族関係)は、父母の氏名や兄弟姉妹が「存在した」、あるいは過去に「死亡した」という事実の裏付けとして提出するものであり、このような事実は何十年経過しても変わることがないため、特に有効期限はないことになり、1年前に取り寄せした戸籍等でも提出できます

(弁護士 大澤龍司)

受取人が死亡した生命保険は誰のものか【Q&A №453】


受取人がすでに死亡している場合、生命保険は誰のものか?

【ご質問内容】
 質問いたします。
 先日亡くなった母の生命保険の受取人が父になっていました。
 父は、33年前に亡くなっています。
 基本契約の保険料払い込み期間(10年)が昭和58年5月17日で終了しました。
 父が亡くなったのは、その三か月後でした。
 以降、終身特約の保険料は平成27年4月分までの33年間、長男である私の銀行預金から支払ってきました。
 特約の保険料は年額11,550円で、支払い合計381,150円です。
 配当金は死亡保険金25万円を加えて2,139,645円です。
 この保険金は他の法定相続人と分割する対象になるのでしょうか。
 分割する場合、2,139,645円―381,150円=1,758,495円÷法定相続人数でいいのでしょうか。
 よろしくお願いいたします。

記載内容  生命保険 受取人 死亡

(ズボラマン)

【契約条項の確認が必要です】
 生命保険は保険会社と保険加入者との契約です。
 そのため、保険の受取人の方が被保険者より先に死亡し、受取人が変更されないままに被保険者が亡くなったような場合に、誰に保険金を渡すかについては、契約で決まることです。
 保険契約をした場合、小冊子を渡されますが、これは約款(やっかん)といい、この中に保険契約の内容が記載されています。
 この約款の中に今回の質問のような場合について、保険金を受け取る権利が誰にあるかということが記載されていますので、確認されるといいでしょう。
 なお、ほとんどの場合、死亡した受取人の法定相続人それぞれが《平等の割合》で取得すると定められているはずです。
 もし、その約款がないというのであれば、保険会社に事情を説明して、約款をもらわれるといいでしょう。

【原則は法定相続人が同じ割合で取得する】
万一、約款で決まっていない場合には、法律で決定することになります。
保険金請求権については最高裁の裁判例で遺産ではないとされています(【Q&A №298】生命保険が遺産に含まれる場合とは)ので、民法で定められた法定相続分に従って相続するということにはなりません。
保険法第46条には「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる」と定めています。
この条文では相続人にどのような割合で相続されるのかは記載されていませんが、最高裁の判決では各相続人が平等の割合で取得するものと判断しています(最高裁:平成5年9月7日判決。なお、この裁判例は旧法である商法676条2項に関するものですが、現在の保険法にも適用されます)ので、約款に何らの記載がない場合には、各法定相続人が平等の割合で取得するという結論になります。

【あなたが支払った分の扱い・・立替金返還請求】
あなたは33年間で計38万円を支払っています。
この支払いは、本来、保険契約者であるお母さんが支払うべき分です。
それをあなたが支払ったのであれば、お母さんの保険料を立替支払いしたということになりますので、お母さんに請求する権利があると主張され、他の相続人の同意を得て、保険金から相殺されることに同意してもらうといいでしょう。
ただ、このような請求権は10年で消滅しますので、他の人がこの点を知っておれば、法律的には10年分しか相殺できないことになります。
なお、特別寄与で請求できるのではないかという可能性もあります。
特別寄与なら時効は関係ありませんが、ただ、保険金は遺産ではありませんので、そもそも特別寄与制度が利用できるのかという大きな問題点があります。
いずれにせよ、あなたが掛け金を支払い続けていたことにより、保険金が出たということは事実ですので、相続人にその点を了解してもらい、その分を保険金からもらわれた後、残額を法定相続人で平等分配するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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