大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。
また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません。
よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか?

(やまおやじ)


当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。
ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。
そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。
※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》
ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。
死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース
私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。
但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。
かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)
現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には
1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。
2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。
3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。
このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。
この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。
なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。
1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。
2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。

② 他の相続人に確認をするケース
一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。
ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース
裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。
金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです
代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です
なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。
もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。
本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。
また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。

《再質問:2》
共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》
法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です
住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。

《再質問:3》
よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》
以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。
ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)

★亡弟の預金を母が法事の費用に使ってしまった【Q&A No.466】


【ご質問内容】
 私の母のことで相談させていただきます。
 13年前に亡くなった弟の預金、約50万円を銀行で相続手続きをしないまま、弟の法事や、弟の友人の冠婚葬祭の費用に充てる為に引き出していたことが分かりました。
 約10万円を使い、残金は40万円の様です。
 このような場合、今後どのような手続きをすれば良いのか。
 また、母に対し罰則等はないのか心配しております。
 ご教示の程宜しくお願い致します。

記載内容  不正出金 法定相続分 親族相盗例

(ななこ)


【息子の死後にその預金を引き出した母は処罰されない】
 被相続人である息子(弟さん)の死亡した後に、そのお母さんが遺産である預貯金を引き出した場合、窃盗等の犯罪が成立しますが、刑法で親族間の窃盗は処罰しないと定められていますので、お母さんが処罰されることはないでしょう(この点については過去のブログ【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するかに詳しく記載していますのでご確認下さい)。

【今後、遺産分割協議をする】
 今回の質問では、相続関係が不明です。
 お弟さんに配偶者(妻)がいるのかどうか、また、子がいるのかどうかが明らかではありません。
 もし配偶者や子がおれば法定相続人になりますので、その人らの間で遺産分割協議をすることになります。
 法事の費用は相続費用ではありませんので、お母さんが相続人でないとした場合、他の相続人はお母さんが引き出した50万円の返還を求めることができます。
 ただ、そのうち、10万円は弟さんの法事費用ということであれば、その分を除外して残額を返還してもらうという解決もあり得ますが、この点も含め、法定相続人間で遺産分割協議で解決するべき事項でしょう。
 お母さんが法事費用に支出したということのようですので、弟さんには配偶者も子もいないということかもしれません。
 その場合には、お母さんが直系尊属として法定相続人になりますし、お父さんが生きておられるのであれば、お母さんとお父さんの間で遺産分割の協議をすることになります。

(弁護士 大澤龍司)

ご参考までに、私の経験からすると下のような解決がよくあるところのように思います。

【どのような方向での遺産分割にすればよいのか】
 お母さんが相続人ではない場合には、他の相続人はお母さんに対して、それぞれの法定相続分に応じて引き出したお金(50万円)の返還請求ができます。
 ただ、法事に使った分については厳密にいえば相続債務ではありませんが、弟さん関連のための費用として大目に見て、返還請求をせず、残額の40万円の返還を求めるのが妥当なところではないでしょうか。
 また、仮にお母さんが相続人であった場合には、遺産総額にお母さんの相続分を掛けて算出した額が50万円を超すのなら、その50万円を超過する分だけをお母さんに渡し、他の相続人で残りの遺産を分割することで足りるでしょう。

後妻からの遺留分減殺請求【Q&A №369】


 去年10月末に主人が亡くなりました私は後妻で先妻との間に50代の息子二人おります遺産相続で法定相続分侵害されています預金四分の一しか戴けないので遺留分を請求したいと思っています。
 平成23年8月に公正証書で土地は主人名義 建物は私の名前で建築しました。
 土地使用賃貸契約書を結びました。
 存続期間は平成22年から私が死亡するまでとなっています。
 私の公正証書には私が死亡したら長男に寄贈するとなっています登記はしていません。
 建物の税金は私が払っています。
 家の建築費用1800万の内1千万は私のお金で800万は主人のお金です。
 遺留分請求の時、主人が出してくれたお金は私の相続財産に含まれるのでしょうか?
 入籍したのは去年の1月で公正証書作成したときは旧姓になっています。贈与にもなるのでしょうか心配しています宜しくお願いします

記載内容  遺留分 法定相続分 建築資金 特別受益 借地権 遺留分算定の基礎遺産

(ピーコママ)


【あなたの遺留分は4分の1】
 遺言で、本来の法定相続分よりはるかに少ない財産しか相続できない場合には、遺留分の問題が発生します。
 あなたは、配偶者ですので法定相続分は2分の1です。
 配偶者の場合、遺留分は法定相続分の半分の4分の1になります。

【遺留分を侵害されているかどうかを判断する】
 遺留分を侵害された場合には遺留分減殺請求をすることができます。
 この場合、あなたのもらえる具体的な遺産額が、ご主人の全遺産の4分の1に達しないのなら、あなたの遺留分は侵害されていることになります。
 そのため、全遺産額がいくらになるのかが重要なポイントになります。
 遺留分を計算する前提となる遺産には、ご主人の死亡当時の遺産だけではなく、生前に受けた特別受益も加算されます。

【かなりの特別受益が遺産に加算される可能性がある】
① あなたの場合、生前にあなた名義の建物建築費として、ご主人が800万円を出したというのであれば、その800万円が生前贈与になり、特別受益として、遺産に加算される可能性が高いです。
② 又、ご主人の土地上にあなたの建物が建築され、その建築の際、土地使用契約が締結されたというのであれば、あなたに借地権が発生しますので、借地権がご主人からあなたに与えられたとして、その借地権相当額が、特別受益として遺産に加算される可能性が高いです。
③ そうすると、
  遺留分算定の前提とされる遺産額=
    死亡当時の遺産額+
    借地権の設定後の土地価額(更地価額の約40%)+
    前記①の800万円+
    借地権価額(借地権が設定されている土地の更地価額の約60%)
です。

 この4分の1があなたの《遺留分額》です。
 この《遺留分額》とあなたが遺産からもらえる分(全預貯金の4分の1+前記①の800万円+借地権価額の合計額)を比較し、《遺留分額》の方が多い場合には、遺留分減殺をすることができ、不足分をもらうことができます。
 しかし、そうでない場合には遺留分減殺請求ができないことになります。

預金だけでは納得しない妹【Q&A №151】


 相続の問題で悩んでいます。
 父が亡くなり母、長男(質問者)、長女間の相続でもめています。

 相続対象財産としては、

○路面価評価額が約7000万円の土地家屋(母と長男である私が住んでいます。)
 祖父の代からの家屋で80年くらいは代々住み続けています。

○預貯金が約2800万円になります。

 私と母は現在の家にしか住む所がなく、また家業の事務所としても使用しているために預貯金を姉に渡して土地家屋を私と母で相続するよう申しいれてあるのですが、姉の法的取り分の25%を超える現金を相続遺産として受け取る事を嫌がり土地・家屋に自分の権利をとつけたいと主張するだけで、そうでなければ裁判をするといきまいています。

 母は父からの相続分に該当する50%分を私に譲渡してでも土地・家屋を代々の資産として長男の私に残すと言ってくれています。
 私と母の法定相続分75%で土地・家屋の相続はできるはずですが、こういうケースの判例はどうなりますでしょうか。
 例えば最悪姉の25%分の土地・家屋の権利を裁判所が認めたとしても、長年住んでいる母と私には居住権があるわけですし、商売もしているわけなので立ち退きや売却の裁判所命令は出せないと考えています。
宜しくお願いをいたします。

記載内容  法定相続分 調停 審判

(中村)


【話し合いができないなら遺産分割調停をする】
 お父さんの遺言書がないようですので、法定相続分としては、お母さんが2分の1、あなたと長女の方が各4分の1になります。
 お姉さんとしては、不動産の共有持分の4分の1を取得しても、実際上、売却もできず、後に述べるようにあなたやお母さんを追いだすこともできません。
 そのため、本件のような質問の場合、お姉さんとしては、不動産より現金を希望することが多いです。
 もし、話合いがつかないようなら早期に遺産分割調停の申立をするといいでしょう。調停委員がお姉さんを説得してくれる可能性が高いです。

【審判で長女が4分の1を取得する可能性はきわめて少ない】
 調停は合意がないと成立しません。合意ができない場合、裁判所が判断する審判になります。
 その場合、長女の方が不動産の4分の1の相続取得を希望されたとしても、お母さんとあなたとで4分の3の持分をもっていること、これまでにその不動産をあなたとお母さんが使用されていたこと、その土地で家業を継いできたことなどを考えると、あなたやお母さんに不動産を全部取得させ、長女の方には預貯金を相続させるとの内容の審判が出されるものと思われます。

【長女が4分の1を相続しても、不動産からの退去を命じられる可能性はない】
 明確に該当する判例となると難しいのですが、争いがあるケースでは、法定相続分の割合で不動産を取得させようという方針で判断する裁判所もあるとの話もあります(当事務所では例がありませんが)。
 仮に長女が不動産の4分の1を相続で取得しても、既に記載した共有持分割合や使用実績等から、裁判所があなた方に退去を命じる可能性はないと言っていいでしょう。

【第三者や専門家の意見を聞く機会を設ける】
 長女の方が不動産にこだわる理由は明らかではありません。
 思い込みや感情的な対立があったというのなら、あなたやお母さんの意見にも耳を貸さないでしょう。
 お姉さんを説得する役割を、中立の立場の調停委員(調停の場合)や、裁判官(審判の場合)にお願いするという方法もありますし、又、長女の方が弁護士に相談して、その弁護士が現金を取得することを勧めるということもあります。
 いずれにせよ、法律の専門家にお姉さんの説得役を任せるということを考えてはどうでしょうか。

★預金を払い戻す書類が届いたときの対応【Q&A №92】


 3人兄弟の真ん中です。 まだ遺産分割協議書を作成していませんが、兄が法事費用の不足を理由に銀行口座の全額を、払い戻して自分の口座に入れたいから書類に実印を押して送り返せと言ってきています。
 十万ほどの法事費用に多額のお金を下ろすのは納得がいきません。書類には金額も書いていません。これを送ってしまったら、自分の相続分を受け取れない気がします。
どうすればいいんでしょうか? よろしくお願いします。

記載内容  遺産分割 預金 法定相続分

(ミツカメ)


【10万円のお金がないのでしょうか?】
 法事費用は、今回の法事(祭祀)を主宰するお兄さんが出すべきものであって、遺産から出すものではありません。
 お兄さんは10万円のお金も出ないほど生活に困っているのでしょうか。もし、本当に法事費用も出せないほど生活に困っているのであれば、払い戻しすると、預金全部をお兄さんが生活費に使ってしまう可能性があります。 逆に、嘘を言っているのだとすれば、お兄さんが預金全部を独り占めするおそれがあります。
 いずれにせよ、お兄さんが預金を払い戻す書類に印鑑を押せば、お兄さんが預金を全額取得する可能性があります。

【どうすればいいのか?】
 預金が他にもある場合は、それぞれの預金を法定相続の割合になるように分けるということが考えられます。たとえば、A銀行の定期預金は長男、同行の普通預金は三男、B銀行の定期預金はあなたが、という分け方が考えられます。
 あるいは、遺産が今回解約を求められた口座しかない場合には、兄弟それぞれに対し均等に払い戻しできないか、と銀行に相談してみてもいいでしょう。

【銀行は相続人全員の同意を求める傾向にあります】
 相続預金の払い戻しについては、本来、相続人が一人でその相続分について払い戻しをすることができるべきものです。しかし、残念ながら銀行は、相続人全員の同意がないと一切払い戻しに応じないことが多いです。
 ただ、《相続人の全員の同意があれば》、兄弟それぞれが自分の相続分だけ預金を払い戻しすることも可能かもしれません。もし銀行がそのような扱いに応じてくれるのであれば、均等割合での払い戻しにできるような書類を作成してもらうよう、お兄さん協力してもらうといいでしょう。
 ただ、ご相談の内容からすると、どのような持ちかけ方をしてももめ事になる可能性はあると思われますので、そのときは弁護士に相談されることをお勧めします。

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