大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続放棄されたマンションの管理費回収方法【Q&A №465】


マンションの区分所有者が亡くなり、相続人がいません。滞納管理費を回収する手段はありますか?

【ご質問内容】
分譲マンションで独居老人が1年前に亡くなりました。
その後の管理費(年間約35万円)が滞納中です。
当該不動産に抵当権等の権利設定は全くありません。
相続人調査は未だ行っていませんが、息子さんの話では相続放棄する(した)とのこと。
管理組合として債権保全を行い滞納管理費を回収するにはどう処置したらよいでしょうか。
例えば、当該不動産に仮差押をすることは可能でしょうか。可能としたら、どのような手続きが必要になりますか。
宜しくお願い致します。

記載内容  マンション 管理費 滞納

(管理組合理事A)


【まず、他に相続人がいないかどうかを調査する必要がある】
 すでに息子さんが相続放棄されているようですが、他に相続人はいないのでしょうか。
 相続には順位があり、配偶者と子(または孫)がまず第一順位に相続人になります。
 今回の質問では息子さんが相続放棄されたということですので、第2順位の直系尊属である独居老人のお父さんやお母さんが生存しているのか、万一、生存しているとしたらその方が相続放棄をしているのかどうかを確認する必要があります。
 その後、兄弟姉妹も第3順位の相続人になりますので、これらの方が存在するのかどうか、存在するなら相続放棄をしているのかを確認する必要があります。
 もし、相続放棄をされていない法定相続人がおられれば、その方が債務を引き継ぎますので、その方に請求して、必要な手続きを進められるといいでしょう。

【相続財産管理人を選任することになるが・・】
 相続放棄の結果、相続人がいない場合には、債務を引き継ぐ人もいなくなり、滞納された管理費はもはや誰にも請求できません
 ただ、マンション(の一部屋)という財産があるケースですので、その財産を競売等で換価して、延滞賃料の支払いに充てるということも考えられます。
 しかし、訴訟等の法的手続きをするには相手方が必要ですが、相続人不在では債務者がいないために手続をすることができません
 このような場合、債務者の立場になる相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立することができ、申立があれば、裁判所は相続財産管理人となる弁護士を選任します。
 管理組合としては、この相続財産管理人を債務者として手続きを進めることになります。
 ただ、相続財産管理人の選任申立するには、裁判所に約90万円程度の予納金を納める必要があります。
 この予納金は原則として返還されません

【回収までの手続き】
 財産管理人は独居老人の方の遺産を調査されますので、もし預貯金があれば、財産管理人に債権申し出をする手続きがありますので、延滞管理費の弁済を受けることができる可能性があります。
 もし、預貯金がない場合にも、財産管理人が独居老人のマンションを売却し、その代金で延滞金を支払ってくれる可能性もあります。
 ただ、延滞額である約30万円を回収するために、相続財産管理人申立のための予納金90万円を出すのかということになり、管理組合としてはどちらを選択するかということになります

【管理組合として考えるべきことは・・】
 財産管理人の選任の方針を選択すれば、管理組合として90万円もの費用負担が必要になります。
 しかし、反面、このまま放置しておくと、その独居老人の部屋からの管理費は未来永劫に回収されなくなります。
 また、その部屋をこのまま放置しておくことが、近隣の住民(所有者)やマンション全体にとって悪影響を与える可能性も考えられます。
 多額の金銭がかかっても相続財産管理人を選任するのか、このまま放置するのか、管理組合や他の所有者で協議、検討のうえ、今後の方針を固められる必要があるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №431】


 音信不通だった父が亡くなり、預金をおろしにいくつもりです。
 古く状態は良くないものの、父名義のマンションに住んでいたため、家賃こそありませんが、荒んだ暮らしだったようで、管理費や、公共料金の滞納があります。
 相続人として預金をおろした場合、それらの支払い義務、またサラ金に借金があった場合の返済義務は生じますか?
 マンションの資産価値は現金に換算して、相続税がかかるのでしょうか?

記載内容  借金 滞納 預貯金の引き出し 相続期間の延長 遺産調査事項

(桜餅)


【預金を下ろすと相続の承認となるか?】
 お父さん名義の預金は遺産です。
 そのため、お父さんの預金を引き出すと相続の承認をしたとされ(末記条文参照)、相続放棄ができなくなるというのが原則です。
 相続放棄ができないと、お父さんの借金等の債務は、法定相続人であるあなたに引き継がれ、あなたが債務の支払い義務を負います。
 ただ、過去の裁判例を見ると、遺産を墓代や葬式代に使用したり、死亡した人の荷物の引き取りのために使用したような場合には単純承認にはならず、相続分の放棄が可能(平成14年7月3日の大阪高等裁判所決定等)というものもあります。
 私的利用ではなく、被相続人の死亡に伴う支出で、社会的に非難されないようなものに出費した分は処分にあたらず、相続放棄を認めようというのが裁判所の考え方といっていいでしょう。
 なお、一旦は預金を引き出したものの、それを使用しておらず、その後に預金に戻した場合や手元に持っていただけの場合にも、相続財産を処分したとはみなされず、相続放棄が可能と考えていいでしょう。

【まず、遺産調査を確認しましょう】
 預貯金を引き出す前に、まず遺産調査をし、相続放棄をするべきかどうかを決断する必要があります。
 お父さんの遺産(財産)と債務の調査し、遺産の方が多い場合には相続放棄をせず、相続を承認するという決断をしてから後に、預貯金を引き出すという手順になります。

【遺産調査で確認すべき事項は次のとおりです】
1.遺産関係
① 預貯金額の確認・・金融機関で確認しますが、その際、預貯金とは別に借金等の債務がないか、又、保証人になっていないかどうかも確認するといいでしょう。
② 不動産の確認・・不動産があるのかどうか、あればどの程度の価額かを確認する必要があります。
 これらの点は市町村に確認するといいでしょう。
 もし、不動産があるのであれば、ついでに固定資産税の未納付がないかどうかも確認しましょう。
③ 株式等の確認・・預金通帳で配当などがある場合には、証券会社に株式の有無を確認する必要があります。

2.債務関係
① マンションの管理費や公共料金
 催告書の有無の確認やマンション管理組合への問い合わせをして滞納があるかどうか、滞納がある場合にはその金額を確認しましょう。
② 固定資産税の滞納
 この確認も必要不可欠ですので、市町村の固定資産税係に確認する必要があります。
③ 金融機関やサラ金などからの借り入れ
 お父さんのご自宅に届いている借入金や返済状況のお知らせといった郵便物により把握できるものもありますが、サラ金などからの借り入れの可能性があれば、お近くの信用情報機関などに問い合わせれば概ね把握できるでしょう。

【調査のために時間がかかる場合には延長願いを出す】
 相続放棄は原則として、相続開始を知った時点から3ケ月以内という短期間に家庭裁判所申し出する必要があります。
 しかし、調査のために時間がかかる場合もあります。
 その場合には、予め、裁判所に相続放棄の期間延長願い(専門用語では「相続放棄の熟慮期間伸長願い」と言います)を出すといいでしょう(【コラム】相続放棄期間の伸長参照)。
 遺産調査が難航しており、時間がかかるということを記載するだけで裁判所は簡単に3ケ月間の延長を認めてくれます。

【相続税について】
 平成26年内に相続が開始した場合には、基礎控除5000万円+法定相続人1人当たり1000万円の基礎控除が認められていました。
 そのため、法定相続人があなただけであれば、6000万円の基礎控除がありました。
 遺産(財産)から負債を控除して、6000万円以内であれば、相続税の申告は不要です。
 平成27年1月1日以降に死亡された場合には、基礎控除3000万円+法定相続人600万円の基礎控除ということに制度が改められましたので、法定相続人があなた一人だけであれば、3600万円の基礎控除になります。
 遺産(財産)から負債を控除して、3600万円以内であれば、相続税の申告は不要です。
 ただ、差額が3600万円以上あった場合でも、相続税特有の不動産価額の計算方法もあり、相続税の申告が不要となる場合もあります。
 詳しくは税の専門家である税理士さんに相談されるといいでしょう。

《参照条文:民法第921条 法定単純承認》
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

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