大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

生命保険 故人 父親が他界【Q&A №598】


【質問の要旨】
母が受取人となっている父の生命保険を貰う権利はあるのか?

記載内容  生命保険 受取人 財産分与

【ご質問内容】
  父親が他界しました。生命保険 受け取り人 母親ですが、 これは、財産分与。
私にも 貰える権利ありませんか?

(e.gaku)


 ※敬称略とさせていただきます

【原則として、生命保険金は遺産分割の対象ではない】
 保険金受取人として特定の相続人を指定した場合、生命保険金は遺産分割の対象の財産にならないとするのが裁判所の判例です(Q&A №298参照)。
 その理由は、生命保険金の支払いは、生命保険契約に基づいて支払われるものであり、被保険者の死亡と同時に指定された相続人の財産になるという性格を持っており、そのため、相続財産にはならないと考えられているからです。
 したがって、生命保険金の受取人が母になっていた場合には、保険金は母が単独で取得し、あなたがもらう権利はないですし、又、相続財産の中にも入らず、遺産分割の対象になりません。

【但し、著しい不公平な事情があれば、相続財産として扱われることもある】
 ただ、遺産総額と対比した場合、保険金を受け取る相続人と他の相続人間で著しく不公平となるような場合があります。
そのような場合には、特段の事情があるとして、例外的に生命保険を遺産の中に入れて遺産分割をすることになります。

この特段の事情としては、
① 保険金額と遺産総額とを比較して、生命保険金の金額があまりに多額である。
② 保険金の受取人が多額の保険金を受けるべき理由(同居していたか、介護等の貢献をしたかなど)がない。
というようなことが考えられます。
このような事情がある場合には、特段の事情として、生命保険金を遺産に持戻すということが認められる場合があります。

【著しく不公平かどうかの基準】
 過去の裁判例では、生命保険金の額が・・・万円であるのに、その他の相続財産が     万円であったケースで、生命保険金額が約59%(計算式:生命保険金額÷?生命保険金額+その他の相続財産額)を占めていたということで、生命保険金を相続財産にいれたものがあります。
 なお、単なる生命保険の割合だけで特段の事情の有無が判断されるのではなく、婚姻期間や同居の有無、介護等の貢献をしたかという事情も考慮して判断されますので、この点も注意が必要です。

【今回の質問の場合】
 本件では、生命保険金の受取人は母(被相続人の妻)ということですので、遺産総額と比較して生命保険額があまりに多額であり、かつ、父母の婚姻期間が短いとか、あなたが父と同居して介護をしてきたというような特段の事情があれば、生命保険金を相続財産にいれることもありえます。
それらの点を考慮して、判断されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

母の采配に任せるという遺言の効力【Q&A №476】


父が亡くなり、母宛の「遺産の分配などは任せる」という内容の手紙があります。
母は全ての財産を好きなようにして良いでしょうか?

【ご質問内容】
遺言書かの確認
父がなくなった後に、正式ではありませんが遺言状のような手紙がみつかりました。
自分の遺した資産の分配などは、母の采配に任せる・・との内容でした。
生命保険
固定資産はなく、全て現金と母が受取人の保険でした。
遺産の公開
最近、母に父の遺産の公開を求めたところ、総額は4000万円と聞いています。(母のメモしか残っていません)
母は父の手紙のとおり自分の采配で、私達(娘2人)には、内訳を公開せず、全て自分名義の口座にいれました。
その後、そこから2000万円を自分の名前で死亡保険をかけ、受取人を娘二人にしています。
それも、最近わかりました。
私達娘は、母が亡くなるのを待つのではなく、できれば今、その保険を解約し、現金をもらいたいと母に頼みました。
母は不本意なようで、私のお金だから、私の好きにすると言います。
父からの手紙に従っている母のこの権利は有効なのでしょうか。質問申し上げます。

記載内容 預金 相続手続 生命保険

(huruhuru-516)


【遺言書として有効であるかどうかを確認する必要がある】
 質問からいうと、お父さんが残されたのは遺言書ではない可能性が高いように思われますが、念のために遺言書になるかどうかを確認されるといいでしょう。
 遺言書として認められるための要件については【コラム】自筆証書遺言をご参照ください。
 次に遺言書として有効なものであったとしても、《ある特定の人に遺産の処理を任せます》という内容であったときに、その任された人が他の相続人の意見も聞かずに、勝手に遺産分割することができるのかという点も法的に問題なります。
 この点については、その言葉がお母さんに全部相続させるという意味なのか、または、文字通り遺産分割の仕方を任せるという意味なのかという文言の解釈の問題になります。
 仮に後の場合であるとすると、遺産分割は相続人がすることであり、遺言者がそのようなことまで指定できないはずだから、遺言のその部分は無効だと述べていると理解することができる最近の裁判例(本論ではない部分ですが)があることも知っておくといいでしょう(大阪高等裁判所判決平成25年9月5日:末尾参照裁判例をご覧ください)。なお、この裁判例では、亡くなった方の状況等からすると、全部相続させるという意味だと判断しています。
 ただ、質問の趣旨から言えば、遺言書ではないことが前提のようですので、以下においてはそのような前提で回答をしていきます。

【生命保険は遺産分割の対象ではない】
 生命保険は遺産ではありません(この点についてはQ&A №299をご参照ください)。
 従って、生命保険は遺産分割の対象にはならず、原則として保険で受取人として指定された人が単独で取得します

【お父さんの現金は遺産分割しなければならない】
 遺産の中に預貯金があれば、それは法定相続人がその法定相続分に応じて分割取得します。
 ただ、質問では預貯金はなく、現金ということですので、お母さんがその全部を手元に置かれており、それをお母さんの預金口座に入金したのでしょう。
 その現金がお父さんの遺産であることが明らかであれば、お父さんの遺産として分割の対象になります
 あなたとしてはその現金の法定相続分を分割してもらう権利があります。
 そのお金が生命保険の掛け金に使用されているかどうかは別として、あなたとしては法定相続分に該当する現金を支払うようにお母さんに請求されるといいでしょう

【預貯金の調査も必要不可欠です】
 預貯金口座がない人はまずいないでしょう。
 現金で4000万円もあったのなら、当然、お父さんの預貯金口座があったと思われます。
 お母さんが預貯金がなかったと主張されているかもしれませんが、信じがたいことです。
 死亡時の残高が少ないかもしれませんが、生前に無断で引き出された可能性もあります。
 金融機関の履歴照会が必要不可欠でしょう(Q&A №6をご参照ください)。

【弁護士に相談をした方がよい】
 今回の質問では、お父さんの手紙が遺言書として効力があるかどうか、また、仮に遺言書であると判断されたとしても、その内容がどの程度の効力を有するのかという法律問題があります。
 また、今後、お母さんにどのように対応していけばいいのかという問題もあります。
 弁護士としてはその手紙を見た上で法的な判断をするということになります。
 事件を依頼するかどうかは別として、早い段階で相続に詳しい弁護士の意見をお聞きになるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

《参照裁判例》
大阪高等裁判所平成25年9月5日判決から引用
(一般論としてではなく、本件の事情からすると)「全てまかせますよろしくお願いします」という本件遺言は、…遺産分割手続きを委せるという意味であるとは考え難く(本件遺言が遺産分割手続をすることを控訴人に委せる趣旨であるとすると、そもそもそのような遺言は無意味である。)、…遺産全部を控訴人に包括遺贈する趣旨のものであると理解するのが相当である。

第三者が支払った保険金掛金と相続放棄【Q&A No.469】


 Bが死亡して、Bの相続人Cが相続を放棄しました。
 Cは、Bの生命保険金500万円を受け取りました。
 その保険金の掛金約200万円は、BやCではなく、Aが支払いました。
 Aは、Cから200万円を請求することはできないでしょうか。

関連記事  相続放棄 生命保険

【ご質問詳細】
 債権者Aは、債務者Bの契約した生命保険について特約を結び、当初より死亡時まで保険料約200万円を支払った。
 受取人Cは相続放棄後、保険金500万円を死亡日に請求、14日後に受け取った。
 Aは保険証券を占有し質権も設定したが、保険会社には通知しなかった。
 保険会社には請求できなくとも、受取人から払い込んだ保険料200万円相当額は請求できないか。ご教示ください。

(asakatsato2)


【相続放棄と生命保険金の受け取り】
 Aは、本来の契約者であるBが支払うべき生命保険契約の掛け金を立替払いしているのですから、AはBに立替えて支払った分の金銭の返還請求ができるはずです。
 ところで、Bが死亡すると、Bの法定相続人はBの債務を引き継ぎます。
 しかし、相続放棄されると、債務を引き継ぐ人が不在になり、債権者Aはその債務の支払いを求めることができなくなります。

【相続放棄しても生命保険の請求はできる】
 生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の考え方です。
 保険金は、相続とは関係なく、生命保険契約に基づいてCが独自に取得するものですので、受取人Cとしては相続放棄をしても、保険金を受け取ることができます(Cとしては生命保険金を受け取ることはできるが、債務を負わないということになります)。
 不当利得ではないかと思われる方もおられるかもしれません。
 しかし、Cとしては保険契約に基づき、保険金の受領をする権利を有しており、不当利得にはなりませんので、債権者AにはCに対する返還請求権はありません。

【質権設定の通知等がない場合は打つ手がない】
 質権を設定した今回のケースであっても、保険会社に質権設定の通知をしてなかったため、今回はすでに生命保険金が支払われてしまっています。
 これによって、質権の目的物(目的債権)であった死亡保険金債権は消滅しています。
 したがって、現段階で、質権を受取人に対して主張することはできないという結論になります。

(弁護士 大澤龍司)

受取人が死亡した生命保険は誰のものか【Q&A №453】


受取人がすでに死亡している場合、生命保険は誰のものか?

【ご質問内容】
 質問いたします。
 先日亡くなった母の生命保険の受取人が父になっていました。
 父は、33年前に亡くなっています。
 基本契約の保険料払い込み期間(10年)が昭和58年5月17日で終了しました。
 父が亡くなったのは、その三か月後でした。
 以降、終身特約の保険料は平成27年4月分までの33年間、長男である私の銀行預金から支払ってきました。
 特約の保険料は年額11,550円で、支払い合計381,150円です。
 配当金は死亡保険金25万円を加えて2,139,645円です。
 この保険金は他の法定相続人と分割する対象になるのでしょうか。
 分割する場合、2,139,645円―381,150円=1,758,495円÷法定相続人数でいいのでしょうか。
 よろしくお願いいたします。

記載内容  生命保険 受取人 死亡

(ズボラマン)

【契約条項の確認が必要です】
 生命保険は保険会社と保険加入者との契約です。
 そのため、保険の受取人の方が被保険者より先に死亡し、受取人が変更されないままに被保険者が亡くなったような場合に、誰に保険金を渡すかについては、契約で決まることです。
 保険契約をした場合、小冊子を渡されますが、これは約款(やっかん)といい、この中に保険契約の内容が記載されています。
 この約款の中に今回の質問のような場合について、保険金を受け取る権利が誰にあるかということが記載されていますので、確認されるといいでしょう。
 なお、ほとんどの場合、死亡した受取人の法定相続人それぞれが《平等の割合》で取得すると定められているはずです。
 もし、その約款がないというのであれば、保険会社に事情を説明して、約款をもらわれるといいでしょう。

【原則は法定相続人が同じ割合で取得する】
万一、約款で決まっていない場合には、法律で決定することになります。
保険金請求権については最高裁の裁判例で遺産ではないとされています(【Q&A №298】生命保険が遺産に含まれる場合とは)ので、民法で定められた法定相続分に従って相続するということにはなりません。
保険法第46条には「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる」と定めています。
この条文では相続人にどのような割合で相続されるのかは記載されていませんが、最高裁の判決では各相続人が平等の割合で取得するものと判断しています(最高裁:平成5年9月7日判決。なお、この裁判例は旧法である商法676条2項に関するものですが、現在の保険法にも適用されます)ので、約款に何らの記載がない場合には、各法定相続人が平等の割合で取得するという結論になります。

【あなたが支払った分の扱い・・立替金返還請求】
あなたは33年間で計38万円を支払っています。
この支払いは、本来、保険契約者であるお母さんが支払うべき分です。
それをあなたが支払ったのであれば、お母さんの保険料を立替支払いしたということになりますので、お母さんに請求する権利があると主張され、他の相続人の同意を得て、保険金から相殺されることに同意してもらうといいでしょう。
ただ、このような請求権は10年で消滅しますので、他の人がこの点を知っておれば、法律的には10年分しか相殺できないことになります。
なお、特別寄与で請求できるのではないかという可能性もあります。
特別寄与なら時効は関係ありませんが、ただ、保険金は遺産ではありませんので、そもそも特別寄与制度が利用できるのかという大きな問題点があります。
いずれにせよ、あなたが掛け金を支払い続けていたことにより、保険金が出たということは事実ですので、相続人にその点を了解してもらい、その分を保険金からもらわれた後、残額を法定相続人で平等分配するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

相続税と生命保険の扱い【Q&A №428】


契約者:法人〇〇会社 被保険者:代表取締役社長 受取人:相続人の一人(固有名)
の生命保険で、被保険者が亡くなり、生命保険を受け取った場合、これは、みなし相続財産の扱いになるのですか?
それとも、所得税?贈与税?ですか?

記載内容  相続税 生命保険 みなし相続財産

(ゆきだるま)


【生命保険は、原則として遺産ではない】  遺産相続については民法で定められています。
 ただ、民法では生命保険についてはなんらの定めもしていません。
 そのため、生命保険が遺産に入るのかどうかが問題になり、訴訟になったことがあります。
 その裁判について最高裁判所は《特段の事情がない限り、生命保険は遺産ではない》という判断を示しています(相続Q&A №181ご参照下さい)。

【民法と税法とは異なるからみなし相続財産の問題が発生する】  民法は最初に述べたように、遺産が誰にどのような形で分配されるかということを定めているのに対して、税法は、遺産をもらったものがどのような相続税を納めるのかについて定めています。
 民法の相続は相続人間の問題ですが、一方は国が遺産をもらった相続人に課税する問題です。
 そのため、税金を取る立場の国としては税収を増やすために、(民法上は)遺産でないものであっても相続税の対象とすることもあれば、遺産ではあるが小規模宅地のように生活上に必要不可欠なものについては特例で評価を大幅に減少させるものもあります。

 前者の、民法上は遺産でない財産であるにもかかわらず、相続税法上で遺産として課税されるものを《みなし相続財産》と言います。
 死亡生命保険などは金額が大きいことから、民法上は遺産ではないのに、相続税法では相続税の課税対象となります。
 結論として、生命保険が《みなし相続財産》かという質問に対しては、そのとおりであるという回答になります。

【相続税と所得税、贈与税の関係】  被相続人の死亡により生命保険を受け取ったのであれば、それは相続税の対象として課税されるだけです。
 所得税や贈与税の問題は発生しません。

内縁の妻への受取人名義変更【Q&A №422】


 私は半年前に亡くなった父の娘なのですが、父は4年前に私の母と離婚してから一人暮らしをしており、その頃から付き合ったり、別れたりを繰り返していた彼女がいたみたいで、喧嘩をすれば私の母(父からすると前妻)のところへ戻ったり、仲直りすれば彼女の元へ行ったりというのを続けていました。そして、父が亡くなる1年前まではまだ私の母が生命保険の受取人だったのですが、亡くなる半年前くらいから急に住所だけを変えたりしていて、亡くなってから生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。私はその彼女が受取っているのではないかと勝手に思っているのですが、それを調べることは出来ないのでしょうか?また、もしも、その彼女が受取人になっていた場合訴えることは出来ないのでしょうか?

 葬式代も喪主も私がやりました。父が一人暮らししていた家の片付けも私と私の母がしました。その彼女は父が亡くなってから一切連絡はなく葬式にも参加していないし、お骨にさえ手を合わせておりません。本当に父は一人が嫌な人だったのでいつも彼女の言いなりのような状態でした。そんな彼女に生命保険を渡したくありません。
 何か方法はないのでしょうか?

記載内容  内縁 生命保険 無断 変更

(みるく)


【法定相続人なら生命保険の調査は可能】
 あなたは法定相続人ですので、被相続人であるお父さんの契約していた生命保険の調査は可能です。
 ただ、あなたの質問には「生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。」「何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。」と記載されています。
 電話だから教えてくれないというのかもしれません。
 あなたとしては、相続人であることを証明するあなたの戸籍謄本やお父さんの除籍謄本を用意し、文書で申し入れをしたとしても、回答してくれないのかどうかを、保険会社に再度、確認するといいでしょう。
 それでも回答してくれないというのなら、保険会社側に開示できない、何らかの事情があると思われますので、弁護士に生命保険の内容を調査するように依頼するといいでしょう。
 ある程度、弁護士費用が掛かりますが、弁護士に依頼すれば、お父さんの生命保険があるのかどうか、その受取人がどのように変遷したのか、又、保険会社が無効という内容など、プロである弁護士が保険会社に照会をし、確認をしてくれるでしょう。

【彼女を訴えることができるかはお父さんの意思能力次第】
 保険契約の受取人を契約者の意思で変更することは可能です。
 変更当時、お父さんが正常な判断能力(意思能力)をもっており、受取人を彼女に変更したのであれば、なんら法的に問題はなく、彼女を訴えることはできません。
 逆に、お父さんに正常な判断能力がなかったのであれば、受取人の変更の意思表示は効力がありません。
 そのため、変更前の受取人であったお母さんから彼女に対し、受け取った生命保険金の返還請求訴訟ができます。
 正常な判断能力があったかどうかについては、お父さんが生前に通っていた病院のカルテや介護施設の記録などを取寄せて判断することになります(相続Q&A №347、「【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)が、訴訟なしで解決するような問題ではないと思いますし、カルテ等の判断にも専門的な知識が必要になります。
 相続に詳しい弁護士に調査を依頼し、必要に応じてその後の手続きも依頼するといいでしょう。

死亡退職金と特別受益【Q&A №404】


  •  法律婚の妻より、遺留分減殺が特定記録であり。被相続人と私との未成年の子供三人宛の請求。
     法律婚は、生命保険、死亡退職金で3200万受取。
     二十年間別居、音信なし。

 財産分与として、別居期間中4200万支払い。
 離婚調停一回。弁護士による離婚交渉一回。

 居宅固定資産税による評価900万。時価評価2000万。私の持ち分3/40。
 37/40は相続による子供たち3人に均等持ち分登記済み。
 その他の相続財産は、預金等800万。

 特別受益持ち戻しが認められ、出来れば改めて子供たちに遺産分割される方法はないものか、お伺いいたします。

記載内容  別居 死亡退職金 内縁 特別受益 生命保険

(ハナ)


【相続で事実婚はどこまで保護されるのか】
 今回の問題は、婚姻(法律婚)をしていた男性(以下、Aさんということにします)と長年にわたり生活を共にし、しかもAさんとの間に3人の子供を出生されていた女性の方(以下、あなたということにします)からの質問です。
 今回の問題は、《相続において事実婚の方がどこまで保護されるのか》という問題を含んでいます。
 結論から言えば、事実婚である限り、保護は極めて薄いということです。

【妻に遺産が行かないのなら、遺留分を請求できるが・・】
 まず、あなた方が遺留分減殺請求を受けたというのですから、Aさんは遺言をし、あなたの子供らに不動産を相続させることにされたようであり、当然のことながら法律上の妻には何も相続させないという内容だったのでしょう。
 ところで、婚姻をしていた妻の立場からは当然遺留分減殺請求がされることが想定されるケースです。
 妻の遺留分は4分の1ですので、遺言により子供らに所有権移転された37/40は、4分の1の限度で妻に相続されることになります。

I’m 【財産分与分を特別受益で遺産にもち戻しはできないか】
 あなたの対場から言えば、別居しており、しかも多額の《財産分与》(離婚していないのでおそらく婚姻費用の支払いのことでしょう)をもらっている妻にそんな請求ができるのかという気持ちだと思います。
 しかし、相続の上では、戸籍だけの妻であったとしても、法定相続分2分の1ですし、遺留分減殺請求は4分の1であり、これは妻が長年別居していようが、関係なく認められます。
 《財産分与(婚姻費用)》も多額であっても、それは贈与ではなく、夫婦関係から発生する夫の扶養義務であり、特別受益にはならないでしょう。

【生命保険は特段の事情がない限り、特別受益とはならない】
 生命保険金を妻が受け取ったようですが、生命保険は特段の事情がない限り、相続財産にはなりません。
 ただ、遺産総額と比較して多額と思われるような場合(ある裁判例では遺産額の約60%が目途)なら、遺産に持ち戻される場合があるにとどまります(相続Q&A №298をご参照ください。)

【死亡退職金は相続財産かどうかについては意見が分かれている】

① 公務員の場合
 死亡退職金というのはさまざまな意味でつかわれますが、この回答では、Aさんが在職中に死亡したために支払われる退職金と理解して回答します。
 まず死亡された人が公務員の場合には、退職金の受取人は法律の規定で定められています(相続の一般法である民法とは異なる範囲及び順位の人が受け取れる)ので、死亡退職金が遺産でないということが最高裁の判例で確立されています。

② 公務員以外の場合
 今回の質問では、妻が死亡退職金をもらったということですので、Aさんは公務員ではなかったのでしょう。
 民間等の企業などで出される死亡退職金については、それが遺産になるか否かいついては見解がわかれており、一律に決定することはできません。
 具体的なケースごとに遺産に入るか否かを判断していくしかないでしょう。
 ただ、一つの判断要素を言えば、死亡退職金は、通常は勤務する支給規定に基づいて支払われるものですので、その規定で民法の定める順位や範囲と異なった規定が定められているようなら、遺産でない(ということは事実婚の方が死亡退職金を受給できる)とされる可能性が高くなるでしょう。

 参考までに言えば、退職金規定で《相続人に支給する》と記載されていたなら遺産になるが、単に《遺族に支給する》と記載されていたのなら、その退職金はあなたのようにAさんの収入により生活をしていた遺族の生活保障を目的とするものであり、あなたのような事実婚の立場の人が受給権を有するとした判例もあります《最判昭和60年1月31日 家裁月報37巻8号39頁》。

 しかし、いずれにせよ、裁判の最終結論は、退職金規定の条文のみだけではなく、諸般の事情を考慮して判断されることになりますので、簡単に結論を出すことはできないと言うしかありません。
 そのため、退職金や、前に述べた生命保険金などを妻が受け取ったのにつき、あなたが納得できないというのであれば、弁護士に具体的な事情を詳細に相談し、回収の可能性を判断して、必要に応じて、事件を依頼するしかないでしょう。

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