大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★あるはずの父の預金が存在しない場合【Q&A №317】


 99歳の父が1ヶ月前に亡くなりました。10ヶ月前まで年収手取りで720万ありました。遺産放棄を前提にお墓の改葬を母、長兄に提案したところ、年金の通帳(600万)、他にはないので母の生活費に困る。またお墓はみんなで出し合おうとの返事。
 母の通帳を見せてもらったら1400万の預金書、他に700万あった普通預金が3ヶ月前に下ろされており妹の口座へ確認。父の年収と年齢からして生活費を考慮して少なくとも年4、500万残ってもおかしくありません。億の遺産があってもおかしくありません。相続人は母、子5人です。私以外、そのことを触れようとしない事と、妹の口座に一部贈与が確認されているので全員で何か隠していることが考えられます。公平な相続を求めるには、今後何から手を着けていけばいいでしょうか。訴訟も考えています。どうぞよろしくお願いします。

記載内容  不正出金 不当利得 事務管理 生活費 贈与 特別受益 遺産調査

(ありんくりん)


【まずは徹底した調査が必要です】
 ご相談のような不正出金が疑われるケースについては、最初に遺産調査が必要です。
 その際、最も重要なのは、金融機関の預貯金の取引履歴の確認です。
 そのほかにお父さんが株式の売買を行っていたのなら、証券会社に対する照会も必要ですし、この他、生命保険契約の有無及び内容の確認も必要でしょう(生命保険は遺産ではありませんが、それが多額になった場合には遺産になる可能性があります)。

【金融機関の取引履歴の照会方法】
 金融機関に取引履歴を照会する方法は過去のブログ(Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください。
 なお、金融機関への調査について、注意すべき点は次のとおりです。

①ゆうちょ銀行を除いて、銀行名だけでは照会はできません。
 どの支店であるかを確認して、その支店へ照会する必要があります。
 お父さんの利用していた支店がどこかは、お母さんやお兄さんに聞けばよいのですが、教えてもらえなければ、お父さんの住んでおられた自宅付近の金融機関に、軒並み照会を出さざるを得ないことになります。
②金融機関によっては、相続人全員の同意がないと照会に応じられないとの対応をする場合がありますが、平成21年の最高裁判例で、相続人の一人の照会であっても金融機関は回答する必要があるとされています。
③履歴が判明した場合は、その入出金を突き合わせて、多額の出金があったかどうかを確認していく作業が必要です。
④多額の出金がある分については、その出金が誰によりなされたかを判断するために払戻伝票の筆跡等を確認する必要があります。

【多額あるいは不正な出金が判明した場合】
 前項の④の調査で、お父さんが出金をしていた場合には、引き出された金銭が贈与として他の共同相続人に行ったことが考えられます。この場合には特別受益として、遺産に持ち戻すことになります。
 又、お父さん以外の人が引き出した場合には、その人に対して不当利得として返還請求をすることになります。この場合、あなたが返還を要求できるのは、その不当な使い込み額のうち、あなたの相続分(10分の1)に相当する額です。

【早い段階で弁護士に相談することも考える】
 今回の質問の場合、遺産を調査する必要があるのに加えて、多額又は不正な出金があった場合には、その返還を求めたり、特別受益として扱ったりする必要があります。
 あなたが訴訟も考えているということであれば、早い段階で弁護士に依頼し、遺産調査から入ってもらうことも考えていいでしょう。

★母の生活費負担と特別受益・寄与分【Q&A №254】


 被相続人は父の母親であり、現在遺産相続争いが起こっています。
 法定相続人は父と、その妹です。

被相続人について
・私の父(相続人1)と同居
・収入は年金のみ
・遺産は銀行口座に計1360万円
・要介護認定「要介護1」

父の妹(相続人2)について
・嫁入りしている
・被相続人に対して金銭的なサポートなし
・相続人1から個人的に300万円借金

 被相続人が死亡するまで食事や医療費をすべて父が負担していたため、これが寄与分に当たるのではないかと思っています。
 ただ、被相続人の同意のもと、固定電話・ガス・水道・電気料金を被相続人の口座から支払っていました。これが特別受益とあたるのか疑問に思っています。
 医療費は、直近の5ヶ月平均で4万円/月くらいで、病院一往復につき1000円、すべて父が負担しています。
 また、被相続人は生前、不注意などから鍋を焦がしたり水道の出し放しなどが月に2,3回ありましたのでその面でも金銭的に寄与したとはならないのでしょうか。

長くなってしまいましたが、
・寄与分はどのくらいになるのか
・本人同意の下でのインフラ料金負担は特別受益にあたるのか
ご回答よろしくお願いいたします。

記載内容  医療費 生活費 同居


【通常の寄与を超えた寄与が必要】
 まず、寄与分とは《被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした》場合に求められるものですので、通常期待される程度を超える貢献が必要とされています。
 そのため、なんらかの寄与をすればそれがすべて寄与分になるわけではなく、両親と同居したという程度だけでは、寄与分とは認められません。
 親子間であれば扶養義務(成人であっても)があり、通常の親子であればなんらかの寄与があるのが通常と考えられているからです。
 通常の寄与程度であれば相続分で評価されているものと考えてもよいでしょう。

【多額の医療費なら可能性はあるが・・】
 前記のような見解から言えば、同居していた高齢の母の食費負担程度であれば親子間の扶養義務の範囲内であり、寄与分とは認められない可能性が極めて高いと思われます。
 また、不注意で鍋を焦がしたり水道を出しっぱなしにしたりということについても、修理に数十万円や数百万円を要したなど、よほど高額でない限り、寄与分と認められる可能性はないでしょう。
 他方、医療費についても、風邪などで年に数回程度通院する費用程度であればこれも通常の寄与の範囲内と言えるでしょう。
 ただし、毎月数万円の医療費が継続的に数年間発生し、合計すれば数百万円にも上るというケースであれば、本来お母さんの年金収入から負担すべきものといえますので、通常の寄与を超えた特別な寄与として、お母さんの年金収入によって構成された預金の減少を食い止めたものと評価され、寄与分が認められる可能性があると思われます。

【水道光熱費負担は特別受益ではない】
 他方、特別受益は、そもそも贈与が対象ですし、遺産分割上、相続人間であまりに不公平になることを避ける制度です。
 そのため、多額の贈与や遺贈が特別受益とされることはあっても、月額数万円程度の生活費補助等については、特別受益の問題は発生しません。
 ましてや、光熱費については、お母さん自身も同居しているのなら、相当の光熱費を負担するべきものであり、特別受益と認められる可能性低いと考えるべきでしょう。

★預金の使い込みをどう立証するか【Q&A №216】


 不当利得返還請求訴訟について

 被相続人預金の預金使い込みで不当利得返還請求訴訟で、共有財産となる被相続人名義預金を配偶者相続人が利用権を行使し全て消費した場合は、他の相続人は法定金額分の返還はされないでしょうか?
 配偶者は被相続人が 入院中に預金を不当に使い込みをしており1年くらいで3000万円を生活費等に費消したと審判で主張しています。(遺産分割審判では特別受益とならないとされました)被相続人に許可なく不当に預金の引き出し、使い込みを立証できますでしょうか?ご教授の程宜しくお願い申し上げます。

記載内容  不当利得 生活費 預金 無断引き出し

(マリン)


【被相続人の預金の生前の不当取得について】
 被相続人に無断で配偶者が預金を引き出した場合、その配偶者は不当利得及び不法行為に基づきその引き出し分を被相続人に返還する義務があります。
 ただ、被相続人の医療費・介護費等に使われたことが明らかな分は返還する必要がありませんが、使途不明金や配偶者が生活費等とは無関係に費消したような場合には、その額を返還する必要があります。
 この返還請求権は、被相続人が生きている場合には被相続人自身が請求でき、被相続人が死亡した場合には、その相続人がその法定相続分に応じて返還請求できることになります。

【相手方の反論について】
 配偶者という立場であれば、ある程度の金額を生活費に使うと言うこともありえますが、それもせいぜい通常は10万~20万円程度の範囲であり、1年間で3000万円というのは多額すぎます。
 金額が多額であることや被相続人の預金通帳や印鑑を扱える配偶者という立場から考えて、配偶者が明確な使途を明らかにしない限り、配偶者が預金を取り込んだという点の証明はそれほど難しくはないでしょう。

【今後の手続きについて】
 今回の預金の引き出しは、被相続人の意志に基づくものであれば、特別受益の問題も生じますが、無断で引き出したのであれば、審判で言われているようにと特別受益にはならず、不当な引き出しとして返還請求するということになります。
 遺産分割審判をしているということのようですが、この手続きの中では、不当利得返還等を争うことはできません。
 そのため、今後、地方裁判所で不当利得等の返還請求訴訟をする必要がありますが、金額が多額であること、相手方の態度が悪質であること、手続きが素人では難しいことなどを考えれば、是非、証拠関係書類なども吟味してもらう必要があるので、早期に相続に詳しい弁護士に法律相談されるといいでしょう。

★月100万円の生活費は特別受益では?【Q&A №198】


 姉が母の預貯金を使い果たした。

 父が亡くなり1年半ほどして母が亡くなりました。父が亡くなったときに1500万円ほど有った預貯金が残高35万円になってました。
 母は姉と同居でしたが高齢の割に元気で亡くなる直前まで介護と言うほどの手間は掛かってませんでした。
 姉に通帳の出金の理由を尋ねると「おばあちゃんが自由に使って良いと言った、おばあちゃんの生活費がほとんどだ」との事でした。
 一年半で1500万円とは月100万円ほどの生活費なので到底納得できません。
 月30万円の生活費としても半分以上特別受益と判断できますでしょうか?

記載内容  生活費 贈与 不正出金

(カネゴン)


【そのような意思表示はなかったのでは・・】
 お母さん(おばあちゃん)がお姉さんに預金を「自由に使って良い」と言っていたということですが、通常の場合、そのような事実は認めがたいものです。
 もし、そのような発言があったとすると、今度は、お母さんの意思能力があったのかが問題となります。

【無断出金ではないか】
 当事務所に扱った事件のうち、短期間で多額の金銭が出金されている場合は、そのほとんどが被相続人(質問の場合にはお母さん)に無断で出金されたものでした。
 お姉さんが、お母さんから「自由に使って良い」と言われた、と言いながら、その使途がお母さんの「生活費がほとんどだ」というのも極めて不自然です。
 もし、無断出金の場合、お母さんはお姉さんに対して不当利得返還及び損害賠償の請求ができます。
 ただ、お母さんが亡くなっていますので、(相続人があなたとお姉さんだけなら)、あなたはこの請求権の半額分を相続しますので、お姉さんに返還請求ができるということになります。

【無断出金かどうかの判断は取引履歴でする】
 無断出金かどうかの確認のためには、お母さんの預貯金の取引履歴を金融機関から取寄せすればいいでしょう。
 一度に数十万円を超すような預金の払い戻しが度々あれば、ほぼ無断出金とみて間違いないでしょう。
 預貯金の履歴の調べ方は、過去の回答( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )を参照ください。

【特別受益について】
 なお、もし、お姉さんの生活費として使われている分があった場合で、しかもそれがお母さんの了解を得ていた場合、その生活費分が特別受益になる可能性があります。
 ご質問では30万円を超えてお姉さんが消費した金額が特別受益ではないかということですが、仮にお姉さんが生活費として消費した(支援を受けた)金額が毎月10万円程度なら、特別受益とは言えないという審判例もあります。
 しかし、それ以上となれば特別受益となる可能性も高いと思います(この点は、Q&A №164をご参照ください)

【弁護士に相談を】
 今回のケースは預金額が多額であり、しかもお姉さんがすんなりと返還する可能性は少ないと思われますので、できれば相続に詳しい弁護士に相談され、調査を依頼し、その結果によっては事件を依頼されるといいでしょう。

   埼玉県弁護士会 (URL:http://www.saiben.or.jp/)

質問する

当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。

事務所での有料相談はこちら

直接、お聞きして、的確に回答します。今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。

最近の相続ブログ

アーカイブ

カテゴリー

大澤龍司法律事務所

〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-25
梅田プラザビル別館7階A703号

お気軽にご相談ください!(電話要予約)
お気軽にご相談ください!(電話要予約)
FAX:06-6361-6043 メールでのお問い合わせはこちら 月〜金曜日(祝日を除く)
    • 大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅
      ...徒歩約7分
    • 大阪メトロ堺筋線・京阪電車「北浜」駅
      ...徒歩約10分
    • 大阪メトロ御堂筋線・京阪電車「淀屋橋」駅
      ...徒歩約15分
事務所ブログ 大原訴訟ホームページ

ページの先頭へ