大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

再度の遺産分割協議と税金の扱い【Q&A №541】


【質問の要旨】
遺産分割調停とは異なる遺産分割協議書の作成は可能か

記載内容 調停 異なる 協議書

【ご質問内容】
 【前提】 過去に遺産相続を調停で土地の遺産相続をしたのですが相続人の一人は金銭のみの相続で土地の遺産分割を受けていません。(相続の無い事証明も受領済み)

【現在の問題点】
複数人が数筆を同一持ち分で相続した為(未登記)持ち分に応じた土地の単独所有をしようとすると諸税、免許登録税等が過大になり、土地を相続しなかった相続人を除いて新たに遺産分割協議書を作成して登記した場合、トラブルになる可能性は有りますか?

(NORURU)


【調停で成立すると権利関係は調停内容どおりに変わっている】
遺産分割の調停が成立した場合、権利関係はその調停調書のとおりに変更されます。
そのため、その調書に基づく不動産を取得した人は単独でその登記をすることができます。
又、代償金の支払を受けるとされた人はその金銭を請求できますし、もし、支払いがないのであれば代償金の支払いを求める強制執行ができます。

【調停成立後の「遺産分割協議」の扱い】
調停成立後に、法定相続人間の合意で異なる内容の「遺産分割協議」ができるかについては疑問があります。
相続人間で一旦、遺産分割協議が成立した後、その合意を解除し、新たな遺産分割協議をすることは可能であるとの判例があります(最判平成2年9月27日。判タ754号137頁)が、裁判所が関与する調停と当事者間での遺産分割協議とを同列に扱うことができるのかどうかという議論があります
もし、同列に扱えないのであれば、調停が成立後に、それと異なる内容の分割協議書を作っても、それは遺産分割協議ではなく、遺産分割とは関係のない財産交換あるいは譲渡契約となり、不動産譲渡益課税をされるということになります

【リスクは税務面にある】
遺産分割により不動産が法定相続人の一部に相続され、残りの人が代償金をもらった場合、それは遺産分割の仕方の問題であり、《代償金を受け取ることについては》不動産の譲渡益課税のような税務上の問題も発生しません。
しかし、遺産分割調停後に、それと異なる不動産の分け方をした場合、それを税務署が把握した場合、調停と異なる部分は、遺産分割とは関係のない不動産の譲渡であると理解され、贈与税や不動産譲渡益課税をされる可能性があります。
今回の質問のように、調停により共有になった物件を単独所有にする場合、無償であれば調停での共有者から単独所有者への 持ち分の贈与となり、単独所有者に対して贈与税が課税されます。
又、お金を支払うのであれば、調停による共有者がその持ち分を単独所有者に売却したとして、共有者に譲渡益課税がされることになります。
ただ、現在、未登記ということであれば、税務署としてはあらたに単独登記される内容しか知ることができないため、調停後に不動産が更に移動したことによる課税のしようがありません。
しかし、それは税務署に知られなかったから課税されなかったというだけの話です。
以上のようなリスクを了解された上で、法定相続人の間で協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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