大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続人不在の葬儀代や香典の扱い【Q&A No.470】


相続人のいない従兄弟の葬儀を執り行いました。
従兄弟の財産は、国に没収されてしまいました。
葬儀代だけは戻りましたが、香典分を差し引かれてしまいました。
その後の法要などで、出費がかさみ納得できません。

記載内容  相続人不在 香典 葬儀費用

【ご質問内容詳細】
 身内が一人もいない従兄弟が急になくなり財産が国に没収されることになりましたが葬儀代だけは戻りました。
 しかしその時に頂いた100万円近い香典を申告したところその分を全部差し引かれてしまいました。
 この差し引かれた分の香典代はそのまま国に持って行かれることは理解できません。
 その後永代供養や墓の撤去費用や三回忌など費用がマイナス100万近くかかりました。
 裁判所の葬儀時の拠出金等清算完了してもう半年以上たちましたが取り戻せることはできますか。

(マロン)


【葬儀費用は相続債務ではないが・・】
 葬儀費用は相続債務ではありませんので遺産からの支払いはできないというのが原則です(なお、相続税の申告では葬儀費用は費用と控除対象として扱われますが、それは税務の扱いであり、民法上は遺産にかかわる債務とはされておりません)。
 この理由は、遺産から支払われるべき債務は生前に発生したものに限られるのに、葬儀費用は死後に発生するものだからです。
 そのため葬儀費用は原則として喪主が負担することになります。
 ただ、葬儀は①社会生活上で死亡に伴うものであること及び②その額がそこそこ高額であることから、喪主以外の他の相続人も葬儀に参加していたような場合には、公平の観点から法定相続人に負担させることも実務上、よく行われています
 そのため、財産管理人(国)としては、本来は遺産から支出するべきものではないけれども、葬儀費用程度は支出しても差支えないと判断し、あなたに支払いをしたのだと思います。

【香典の扱い】
 葬儀費用は本来、相続債務ではないのですが、公平の観点から遺産からの支出を認めたとすれば、同じく公平の観点から言えば、収入である香典は遺産に入れるべきだという見解になります。
 本来的には喪主が負担すべきとされる葬儀に関する支出である葬儀費用は相続財産から出してもらうが、喪主が受け取る葬儀に関する収入である香典は返さなくて良いというのはやはり公平に反するという結論になりますので、財産管理人があなたから香典分を回収したのはやむをえない処置だったというべきでしょう。
 次の図のような考え方です。

葬儀費用  本来喪主負担  しかし、財産管理人が支出

香 典   本来喪主の物  しかし、財産管理人の収入

元々、葬儀費用も当然遺産から出すべきものではなかったのだという前提にたてば、香典で回収を図るという財産管理人の判断もやむを得ないものと思われます。
 経済的あるいは金銭的には損をするような場合もありますが、葬儀に関連する事項は単に経済的に考えるのではなく、社会生活の上でやむを得ずする点もあります。

【法事費用の扱い】
 死亡直後の葬儀費用も原則は相続費用ではありませんので、その後の初七日や四十九日、一回忌等の法事費用についてはなおさら相続費用には当たらず、遺産から支出することは認められません。
 法事費用については、祭祀の承継者が負担するということになります。
 相続人ではないあなたが法事を行うのであれば、その点は予め承知されておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

分譲マンション 私死亡(ローン完済) 相続人兄相続放棄【Q&A №168】


①相続人である兄が仮に相続放棄をした場合、私が生前に所有していたマンションの管理費等(管理組合)は誰が何時まで支払う義務があるのでしょうか?
②マンション室内の私の所持品は兄が撤去する
③電気,ガス,水道料金等の公共料金を兄が支払う必要があるのでしょうか?
④マンション所有権(権利書)は国又は管理組合に移管されるのでしょうか?

記載内容  相続人不在 相続債務 相続財産管理人

(おみやさん278)


 今回の質問は、唯一の相続人であるお兄さんが相続放棄し、相続人がいなくなったら?というケースです。

【管理費等はいつ誰が支払う義務があるか】
 相続人がいない場合には、権利と義務を引き継ぐ人はいません。
 そのため、被相続人の所有していたマンションの管理費や電気代などの公共料金は誰が払うかといえば、払う義務のある人はいないという結論になります。

【被相続人に対する債権の回収手続きは相続財産管理人に対してする】
 管理費を回収できない管理組合だけではなく、被相続人に対してお金を貸していた人(債権者)などが困るではないかという疑問もありそうです。
 このような場合には、債権者などの利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をすることになります。
 但し、その選任申立をする場合、約90万円程度の金銭を裁判所に収める必要があります。

【相続財産管理人が選任されると】
 相続財産管理人は、被相続人の債務を支払うなどの清算手続きを行い、清算後余った財産があれば、国庫に帰属させます。
 あなたの場合、マンション以外に財産がなければ、相続財産管理人がマンションを売却し、管理費・公共料金の未払金などを支払い、余りが出れば、国庫に帰属させることになるでしょう。

【マンションの所有権はどうなるのか】
 マンションの所有権は管理組合に行くことはありません。
 最終的にはその所有権は国庫に帰属することになります。
 しかし、【Q&A141】にも記載したとおり、当然に国に登記が移るのではなく、相続財産管理人が手続きするまで、ずーと放置の状態(被相続人の登記のまま)が続きます。

【マンション内の動産について】
 マンション内の動産も遺産ですので、お兄さんが勝手に移動その他の処分は出来ず、相続財産管理人がマンションと同様に管理・処分することになります。

【相続人のいない相続財産の処理について】
 お兄さんが相続放棄する理由が明らかではありませんが、債務より財産の方が多いのであれば、遺言書で遺産を知人又は公共団体に寄付することも考えてもいいでしょう。

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