大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

香典と葬儀費用の相殺、事務管理【Q&A №595】


【質問の要旨】
喪主と葬儀費用支払者が違う場合、香典は誰がもらうのか

記載内容 葬儀費用 香典 喪主

【ご質問内容】
母が死んで、葬式が終わり、私が喪主だったのですが、当然、香典は喪主である私がもらうと思うのですが、姉が香典は私がもらう、と発言をしました。
そして、香典をあずかっていた受付の人から、家の部屋で「代表者に渡します」といったにもかかわらず、私が喪主なのに、同席した姉が横から手を伸ばして、香典180万円を奪い取ってしまいました。
そこで、姉に対し、不法行為で180万円の損害賠償を請求しようとおもうのですが、請求できますか?
1 仮に、姉が葬儀費用を支払ったので、相殺する、と主張した場合不法行為の場合、加害者のほうから相殺できないと思うのですが。
2 仮に、姉が事務管理を主張した場合、私は姉に葬儀費用を支払ってくれ、とかいってないし、本人の意思・利益に適合しなければ事務管理は成立しない(通説。700条但書)と思うので、事務管理を主張できないと思うのですが。
3 香典が喪主に対する贈与であれば、贈与された金を何に使おうと、喪主の勝手であり、必ずしも葬儀費用に使う必要はないのでしょうか?

(outon510)


【香典と葬儀費用の法的な扱い】
今回は香典と葬儀費用の負担に関するご質問ですので、まず前提となる法律上の扱いから回答させていただきます。
まず、香典や葬儀費用について定めた法律はありません。
そのため、これらの金銭の扱いについては裁判所の判断や法律学者の見解が分かれているため、明確に「損害賠償を請求できる」とまでは断定できません。

ただ、その中でも次のような考え方が一般的です。
① 葬儀は喪主が主宰するものであり、相当と思われる規模や費用も喪主が決定する。
② 葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するので、相続債務ではない。
③ 葬儀は喪主が主催するので、その費用は喪主が負担し、香典も喪主に対する贈与と扱い、喪主が全部を取得するのが原則である。
④ ただ、家庭裁判所での扱いでは、他の相続人が葬儀に出席している場合であれば、葬儀費用はその出席した相続人全員で分担することを求めることができ、遺産から葬儀費用を差し引いて遺産分割を行うようにすることも多い。

このようにした費用分担する場合には、香典は葬儀費用の控除科目として組み込まれることになり、その分、葬儀費用が減少する。
(詳しくは、当ブログNo.538、424、401、308、140などをご参照下さい。)
以上の見解からすると、今回のご相談は次のように整理できると思われます。

【質問1 葬儀費用を支払った姉の行為は不法行為になるか】
喪主があなたであるにも関わらず、葬儀費用を負担したのはお姉さんのときにどのように考えるかというのが最初の質問です。
この点については、相続人のみなさんが出席した葬儀ではあったようですので、法的には③の考え方に基づいて相続全員で葬儀費用を負担し、香典も全員で分割するという処理が妥当と思われ、この見解ではあなたも香典を請求できます。但し、あなたの相続分(兄弟が2名なら180万円の2分の1で90万円程度)の限度にとどまります。
(ただ、この点については、事務所の弁護士間でも意見が分かれており、香典の性質とは親族や近隣住民が葬儀費用の一部に充てるという趣旨で支払うものである理解すると、今回のように喪主が葬儀費用を出さず、他の者(姉)者が費用を出した場合、香典は葬儀費用を出した者が取得することになる。したがって、今回の質問のようなケースでは喪主は香典をもらえない。その結果、お姉さんが香典を持ち去ったのはなんら不法行為にならないという結論になります。)
また、不法行為の加害者であるお姉さんから相殺ができないというのはご指摘の通りですが、裁判所は葬儀費用から香典を控除した額を相続人で分割する考え方を採用しているため、相殺されたに近い和解案で解決が図られる可能性が高いように思います。

【質問2 事務管理の主張について】
このケースで事務管理の主張というのはあまり考えにくいと思いますが、ご指摘の通り、事務管理は本人の意思と利益に適合する必要があります(民法700条ただし書き)。ただ、いくらあなたが「姉に葬儀費用を支払ってくれと頼んだ憶えはない」と主張しても、あなたも葬儀に出席している以上、あなたの意思や利益に反していたとは認められないでしょう。

【香典はまず葬儀費用に充当されるのが一般】
 最後に香典が喪主に対する贈与とされた場合の扱いについても回答しておきます。
 ご指摘の通り、贈与されたお金であればその使途は問われません。葬儀費用は別の資金から用立てしても構いません。

相続放棄する場合のお墓の延滞管理料【Q&A №572】


【質問の要旨】
墓の延滞管理料を払うと相続放棄できないか?

記載内容  相続放棄 お墓 延滞管理料  相続債務

【ご質問内容】
 義父に多額の借金があり相続放棄の申請を裁判所に提出中です。
 義父名義のお墓があり継承することになりました。
 お墓の管理料が1年分支払われておらず、継承者が払うようなのですが、延滞管理料を支払うと債務を支払ったことになり相続放棄ができなくなることはありませんか?
 どうしたらよいでしょうか?

(ネコにゃん)


【お墓と相続財産は別です】
 相続人は、原則として、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
 しかし、祭祀に関する財産―例えば、系譜(家系図など)、祭具(位牌、仏壇など)、墳墓(墓石、墓碑など)―は、例外になり、祖先の祭祀を主宰する者が承継することになっています(民法897条)。

【相続放棄との関係】
 そのため、あなたが相続を放棄した場合、遺産に属する権利義務は引き継ぎませんが、例外としてお墓のような祭祀に関する財産は祭祀を主宰する者が引き継ぐことになります。
 本件では、あなたがお墓を承継することになったということですので、あなたが相続放棄をしたとしても、お墓等の祭祀財産については、あなたが承継することになります。

【祭祀財産に関係する債務の支払と相続放棄の関係】
 遺産に属する財産、例えば不動産を売却したり、預貯金を引き出して使ったような場合、相続放棄の手続きをしても、その効果はなくなり、普通の相続をしたと同様に扱われます。
 問題は、被相続人の債務を支払った場合ですが、遺産の預貯金から引き出して債務を支払ったような場合には相続放棄は認められません。
 しかし、相続人自身の財産から債務を支払ったというのであれば、相続放棄は効力を認められます。
 又、祭祀の承継に関する財産は通常の遺産とは別扱いですので、それに関する債務―今回のような滞納している管理料―の支払いをしても、それは祭祀に関する財産の範囲内のこととして、相続放棄の効力に影響しないということになります。
 結局、お墓の管理料をあなたが自分の財産から払うということであれば、相続放棄の効果は認められ、あなたが被相続人の債務を支払う必要はないことになります。

(弁護士 岡井理紗)

亡父が連帯保証した姉の住宅ローンの相続【Q&A №551】


【質問の要旨】
姉の家の住宅ローンを父が連帯、相続で自分も負担するのは納得できない

記載内容 住宅ローン 連帯保証

【ご質問内容】
姉が結婚したとき二世帯住宅に建て替えました
土地・建物は姉の名義です(母が亡くなり名義変更/父婿養子)。
住宅ローンは姉が組みましたが父も連帯になっていました
相続になりその負債が1200万あり父の分が600万で相続人で割ると私の負担が300万と言われました。
今まで父は月々5万と年2回:各11万(ローン半額)支払ってました。
家は全て姉の物になり負債だけ私が負担するのは納得できません
父が支払っていた分、特別利益とかにはなりませんか。

(チョコ)


【ローン債務の承継】
被相続人であるお父さんの住宅ローン残債務が600万円あり、お姉さんとあなたのみが法定相続人であれば、あなたは300万円の債務を負担することになり、その点ではお姉さんの話は間違っておりません。
ただ、住宅ローンについては、債務者が死亡した場合には保険会社から残額を一括支払いするという保険に入っていることが多いです。
そのため、念のために金融機関に債務残高及び保険の有無等を確認することをお勧めします。

【建物資金の半額を出した点が特別受益になります】
質問を整理します。
お母さんが土地を持っていたが、これはお姉さんが相続した。
その後、お父さんが死亡した。
上記土地の上にお姉さんが単独名義の建物を建築したが、住宅ローンについては半額がお父さんであり、ローンの支払いが未了である。
以上の前提で回答を記載していきます。
お父さんは住宅ローンでお金を借りましたが、そのお金はお姉さんの単独名義の家の建築資金になっています。
そのため、その借入額が、生計の資本としてのお姉さんへの贈与と考えられ、この生前贈与額は特別受益になります。

【特別受益とした後の遺産分割】
特別受益になるお姉さんの生前贈与を受けた額については、遺産に持ち戻します。
そのため、お父さんの遺産は、《生前受益分+死亡時の財産》の合計額になります。
この額を前提に法定相続分で各人の取り分を計算し、もし、お姉さんの生前贈与額がこの各人取り分を超えている場合には、死亡時にあった遺産はすべてあなたが相続するということになります。
(当ブログQ&A №506などもご参照ください。)

(弁護士 大澤龍司)

亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】


【質問の要旨】
亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】
離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。
同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。
保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。
父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。
彼女は預金のことは知らないと言っています。
この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?
あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?
また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)


【生前の治療費・介護費は相続債務である】
お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。
まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります
ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。
もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。

【葬儀費用は相続債務ではない】
これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています
ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。
ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。
このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。

【押印のない遺言書は無効である】
さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。
遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。
ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。
本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。

【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】
さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。
そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。

【弁護士費用と勝率、和解について】
弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。
次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。
一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

電柱敷地料の相続【Q&A №543】


【質問の要旨】
登記名義が変更されていない土地にある電柱の敷地料について

記載内容 電柱 名義変更

【ご質問内容】
電柱敷地料を母が電力会社から受け取っていました
母が3月に死亡しました。4月に、結婚して遠方に住んでいる姉が勝手に電柱敷地料の承継届けを電力会社にだしました
6月に電柱敷地料が姉に支払われました
8月に母の遺言状で、すべての財産を私に相続させる、遺言執行者も私でした、との内容でした。(家裁検認済み)
それで、電力会社に電柱敷地料を私に払うよう請求したのですが、姉への支払いは停止する。しかし、電柱敷地料の土地の不動産登記名義が、私に変更されない限り、電柱敷地料の私への承継は認められない、との返事でした。
不動産登記名義は5年前、死んだ父の名義で母の名義ではありません。
しかし、父が死んでから5年間は、不動産登記名義を母に変更することなく、電柱敷地料の承継届けを出すだけで、電力会社は母に電柱敷地料を支払ってきてたのです。

1.電柱敷地料は不動産登記名義が変更されないと、支払われないのでしょうか?支払われないとすれば、父が死んでから5年間母に支払われてきたのと矛盾します。

2.母の遺言ですべての財産を私に相続させる、の中には、当然電柱敷地料も含まれると思うのですが、母に支払われた電柱敷地料は、相続で私にしはらわれなくてはならないのではないですか
私は相続人、遺言執行者として、どう法律的に対応すればいいのでしょうか?

(fhghfg)


【まず、電柱敷地料を受け取る権利(受給権)の内容を考える】
電力会社は、お父さんの所有していた土地について、お父さんとの間で電柱の敷地として使用する契約を結んでいました。
そのため、お父さんは、敷地使用契約の貸主であり、その契約の具体化として各時期に発生する使用料請求権を持っていたことになります。

【お父さんの死亡したときは相続人3人で権利を取得する】
お父さんが死亡したとき、特に遺言が無いのであれば、お父さんの敷地契約の貸主の地位は法定相続人全員が承継します。
次に使用料の支払いですが、敷地利用契約に特段の取り決めがされていない限り、各法定相続人が独自に法定相続分に応じて請求する権利を持つことになります。
今回の質問のケースではお母さんが2分の1、あなたとお姉さんが各4分の1です。
不動産の賃貸の場合、貸主が死亡したときには、その貸主の相続人がその法定相続分に応じて賃料を請求できるという最高裁の判決(参照最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)がありますが、今回の敷地使用料もこれと同じように扱っていいでしょう。

【お母さんの遺言があっても、使用料全額を取得することはできない】
今回、お母さんが死亡し、遺言書であなたが遺産をもらうことになったというのであれば(遺留分減殺請求の問題はややこしくなるのでふれないこととします)、あなたの権利関係は次のとおりとなります。
まず、貸主の地位ですが、お母さんの持っている、お父さんから相続した2分の1はあなたのものになります。
これに、元々、あなたがお父さんから相続した4分の1を加算して、あなたは貸主の地位の4分の3を持つことになります。
残りの4分の1はお姉さんが持つことになります。
次に使用料についても、お母さんの死亡後は、あなたは使用料の4分の3を電力会社に請求することができますが、残りの4分の1はお姉さんが請求できることになります。

【お姉さんとの関係は生前の分と死後の分とを分けて考える】
なお、お母さんは生前、敷地使用料全額を取得していたようですが、あなたやお姉さんがこのような受け取りに同意していないのであれば、あなたもお姉さんも各4分の1の返還をお母さんに請求することができます
ただ、お母さんが死亡したので、その返還債務がどうなるかですが、今回の遺言ですべての遺産をあなたが相続するというのであれば、このお母さんの債務はあなたが全部引き受けることになります。
そのため、お姉さんのお母さんに対する返還請求があれば、あなたが支払いをする必要があります。
次に、お母さん死亡後にお姉さんが単独で全額を取得したようですので、あなたとしてはお姉さんが無断で受け取っていた分の4分の3に相当する金銭をお姉さんに返還請求することになります。

【電力会社に対して全額支払いを請求するには】
電力会社としては法定相続人であるあなたとお姉さんとの間で、あなたが《単独で使用料を取得する権利がある》ということを明確にする必要があります。
そのためには、お姉さんがお父さんから取得するはずの4分の1の土地名義があなたが取得するような方策を考える必要があり、そのためにお父さんの遺産分割協議等でお姉さんに代償金を支払って、あなたに単独相続にして登記するのが一番望ましいですが、仮にそのような登記ができない場合にはお姉さんとの間で《あなたが単独で使用料を取得してよい》という合意をするしかないでしょう。
なお、お姉さんの同意が得られないということであれば、少なくとも、あなたの取り分である4分の3についての支払いを電力会社に請求することも考えていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】


【質問の要旨】
父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】
父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?

(yamatokarateman)


【葬儀費用に関するルールは不明確】
葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。

【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】
前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】
質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)

② 法事費用
法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】


【質問の要旨】
相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】
債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている
全て抵当権付きのオーバーローン。
相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。
父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。
その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。
相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。
待っていても競売は無いと思われる。
妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。
馬鹿にしています。
会社も個人も全て売却するのが筋です。
会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)


【事実関係の整理】
質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。
① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。
② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。
③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。
④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる

という話であるとします。

【訴訟を提起されたことについて】
相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります
今回の訴訟はその前提で提起されています。

【会社の財産を探す】
まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。
そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。
もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。

【賃料はどこに行ったのか】
お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。
そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。
賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します
その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。

【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】
次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。
通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。
ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。
仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。
そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。
このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう

【和解で注意するべき点について】
相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。
弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。
①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。
②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。
③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。
不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。
和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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