大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★相続放棄と葬儀費用【Q&A №440】


 母方の叔父が独身で、甥、姪に当たる人物が私だけです。
 母も叔父もまだ元気ですが、今のうちに知っておきたいので質問させていただきます。
 叔父の遺産は放棄するつもりです。
 母が亡くなり、その後叔父が亡くなったら葬儀代の負担はどのようになりますか?
 相続人が私しかいない場合、葬儀代は立て替えておけば、遺産を放棄しても葬儀代など請求できますか?
 その場合どんな手続きをしておいたらいいですか?
 領収書をもっておけばいいのでしょうか?

記載内容  葬儀費用 立替 相続放棄 相続財産管理人 代襲相続  

(はるか)


【葬儀費用は相続債務ので、遺産に立替分の返還請求をできない】
 叔父さんが死亡したとき、資産や債務は法定相続人に引き継がれます。
 この相続人に引き継がれる債務とは、叔父さんが生前に負っていた債務です。
 質問の葬儀費用ですが、これは叔父さんが死亡した後に発生する債務ですので、相続債務にはなりません。
 なお、相続税の申告では、葬儀費用は必要経費として遺産から控除されます。
 しかし、それは税務上の扱いにすぎず、法律では相続債務としては扱われません。
 そのため、葬儀費用を立替えたからといって、その立替分を遺産から支払ってもらえることはないというのが法律的な回答になります。
 なお葬儀費用の扱いについては相続Q&A №140Q&A №424を参照ください。

【相続放棄の後の請求には手続的に費用もかかる】
 お母さんが先に亡くなり、その後に母方の叔父さんがなくなった場合には、あなたはお母さんの代襲相続人として叔父さんの遺産の法定相続人になります。
 あなたが相続放棄をした場合、他に相続人がおらなければ、叔父さんの遺産を管理する人はいなくなり、相続財産は宙に浮くことになります。
 もし、あなたが叔父さんの葬儀費用を立替えたということで請求がしたいのであれば、あなたが家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をし、これを受けて裁判所が弁護士を相続財産管理人として選任します。
 但し、この選任をしてもらうためには約100万円の予納金を裁判所に納める必要があります(この予納金は相続財産管理人の報酬等に充てられます)。
 このように手続き的にもややこしく費用もかかります。
 しかも、相続財産管理人としては、あなたから葬儀費用立替分の返還請求があったとしても、前項で記載した理由により、支払いを拒否する可能性が極めて高いことを理解しておく必要があるでしょう。

【葬儀をしなければならないなら、生前にその分をもらっておく】
 以上のとおりであり、相続放棄をした場合、立替えた葬儀費用は返還される可能性は極めて少ないと覚悟しておくべきでしょう。
 解決策としては、現在、叔父さんが生きておられるようですので、将来の葬儀費用を予めもらっておくことを考えられるといいでしょう。
 葬儀費用に使用するとの前提で叔父さんからお金を預かり、それを保管しておいて、叔父さんが死亡されたときにそのお金と使って葬儀をされるといいでしょう。

共有持分と相続放棄の関係【Q&A №402】


 持分1/2の共有土地所有者がその土地を抵当に入れたまま死亡し、遺族が相続放棄しています。
 債権回収会社に私が代わりに支払い、抵当権抹消手続きをしたいのですが、可能でしょうか?
 抹消手続きに必要な書類一式はお金と引き換えにくれるとの事ですが、登記手続きの権利者は本人死亡なので、誰か代わりに手続きすることが可能でしょうか?   抵当が外れたら、相続財産管理人の選任を申し立てて、相続人不存在確定したら、共有者の自分に帰属するのを待つつもりです。
 他には債務も、遺産もないようです。よろしくお願いいたします。

記載内容  相続財産管理人 登記 共有 利害関係人 予納金

(みなみ500)


【共有持分と相続放棄】
 質問者の方は他の方(Aさんとしておきましょう)と土地を共有されていたが、そのAさんが死亡し、相続人が全部相続放棄したというケースです。
 このような場合、民法に《共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は他の共有者に帰属する(255条)》という条文があります。
 質問の場合は相続放棄の結果、相続人がいなくなったケースですが、この場合にも同条文が適用されると考えていいでしょう。
 その結果、質問者の方はAさんの共有持分を取得し、単独所有権者になっています。

【登記は相続財産管理人に対して請求する】
 質問者の方はAさんの借金を債権回収会社に支払い、抵当権の抹消書類をもらうようです。
 ところが、この抹消書類で抵当権抹消登記を申請できるのは持分権者であるAさんです。
 しかし、Aさんには相続人がいないのだから、一体、誰に抵当権抹消登記を請求するのか(登記義務者は誰か)という問題が発生します。
 次に、Aさんの持分が無くなり、質問者の方が単独所有になったのですが、この登記(所有権移転)もAさんに協力してもらう必要があります。
 しかし、Aさんの相続人がいない場合には、Aさんの持分移転登記を誰に請求するのだろうか(この場合の登記義務者は誰か)という問題も発生します。
 結論をいえば、遺産の管理をしてもらう相続財産管理人を選任してもらうことを家庭裁判所に申立する必要があります。
 選任された相続財産管理人がAさんの遺産の管理人として登記をすることになります。

【利害関係人なら相続財産管理人の選任申立を急ぐ】
 「利害関係人」であれば相続財産管理人の選任を申し立てることができる(民法952条)と記載されています。
 質問者の方はAさんの借金を支払ったのですから、借金支払分の返還請求権を有する債権者ですし、又、登記を請求できる立場にもありますので、利害関係人であることは間違いなく、あなた自身が申立することは可能です。
 Aさんの抵当権抹消も共有持ち分移転も財産管理人の関与が必要ですので、相続財産管理人の選任を急がれるといいでしょう。

【財産管理人制度についての補足】
 なお、相続財産管理人について簡単に説明しておきます。
 相続財産管理人の選任申立をするには裁判所にお金(予納金)を納付する必要があり、その金額は大阪家庭裁判所では約100万円で、かなりの多額です。
 次に質問者が財産管理人の選任の申立をした場合でも、財産管理人は相続人の関係の手続きのみをするのではなく、遺産の総整理をします。
 そのため、相続財産管理人の手続きが終了するまでにはかなりの期間がかかり、質問者の方の手続きだけが優先されるわけではないことも理解しておく必要があります。

分譲マンション 私死亡(ローン完済) 相続人兄相続放棄【Q&A №168】


①相続人である兄が仮に相続放棄をした場合、私が生前に所有していたマンションの管理費等(管理組合)は誰が何時まで支払う義務があるのでしょうか?
②マンション室内の私の所持品は兄が撤去する
③電気,ガス,水道料金等の公共料金を兄が支払う必要があるのでしょうか?
④マンション所有権(権利書)は国又は管理組合に移管されるのでしょうか?

記載内容  相続人不在 相続債務 相続財産管理人

(おみやさん278)


 今回の質問は、唯一の相続人であるお兄さんが相続放棄し、相続人がいなくなったら?というケースです。

【管理費等はいつ誰が支払う義務があるか】
 相続人がいない場合には、権利と義務を引き継ぐ人はいません。
 そのため、被相続人の所有していたマンションの管理費や電気代などの公共料金は誰が払うかといえば、払う義務のある人はいないという結論になります。

【被相続人に対する債権の回収手続きは相続財産管理人に対してする】
 管理費を回収できない管理組合だけではなく、被相続人に対してお金を貸していた人(債権者)などが困るではないかという疑問もありそうです。
 このような場合には、債権者などの利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をすることになります。
 但し、その選任申立をする場合、約90万円程度の金銭を裁判所に収める必要があります。

【相続財産管理人が選任されると】
 相続財産管理人は、被相続人の債務を支払うなどの清算手続きを行い、清算後余った財産があれば、国庫に帰属させます。
 あなたの場合、マンション以外に財産がなければ、相続財産管理人がマンションを売却し、管理費・公共料金の未払金などを支払い、余りが出れば、国庫に帰属させることになるでしょう。

【マンションの所有権はどうなるのか】
 マンションの所有権は管理組合に行くことはありません。
 最終的にはその所有権は国庫に帰属することになります。
 しかし、【Q&A141】にも記載したとおり、当然に国に登記が移るのではなく、相続財産管理人が手続きするまで、ずーと放置の状態(被相続人の登記のまま)が続きます。

【マンション内の動産について】
 マンション内の動産も遺産ですので、お兄さんが勝手に移動その他の処分は出来ず、相続財産管理人がマンションと同様に管理・処分することになります。

【相続人のいない相続財産の処理について】
 お兄さんが相続放棄する理由が明らかではありませんが、債務より財産の方が多いのであれば、遺言書で遺産を知人又は公共団体に寄付することも考えてもいいでしょう。

相続人不在の不動産はどうなるのか?【Q&A №141】


 本人は売れる見込みのない田舎の山林を所有。妻、妻の兄弟、本人の兄弟、直系尊・卑属一切なし。姉の子のみ存在。
 本人の死後、姉の子が、この土地の相続放棄をした場合、その土地は誰の所有になりますか。

記載内容  相続放棄 相続財産管理人 国庫 

(悩むネコ)


【最終的には国庫に帰属する】
 唯一の相続人である姉の子が相続放棄をすれば、相続人がいないことになります。
 相続人のいない財産は、最終的には国庫に帰属することになります。

【当然には国に登記が移転するわけではない】
 最終的に国庫に帰属するといっても、当然に国に所有権移転登記がされるわけではありません。
 国といえども、移転登記をするには、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらう必要があり、その手続きの中で相続人がいないこと等の確認手続きを経て、国に登記が移転することになります。

【特別縁故者がある場合】
 相続財産管理人が選任された場合、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者等、被相続人と特別の縁故があれば、その特別縁故者に対して相続財産の全部又は一部が与えられることもあります。
 そして、その残りが国庫に帰属することになります。

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