大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

詐欺・脅迫による遺言の無効【Q&A №322】

I’m? 
 公正証書遺言の遺言執行者とその代理人弁護士との間で遺留分減殺請求の交渉をしていますが共同相続人の一人である遺言執行者Aが強気の為、交渉が難航しています。
 この公正証書遺言を無効に出来れば一機に遺産分割の進展が望めると思い相談いたします。民法891条(相続人の欠格事由)では、遺言を無効とする5項目を定めておりますが4項の脅迫や詐欺により遺言が無効とされた判決事例を教えて下さい。

記載内容  詐欺 脅迫 欠格事由 受遺者 公正証書の取り消し

(キギ)


【当事務所の使用している判例検索システムでは参考判例は見当たらない】
 民法891条は「相続人となることができない」者(相続欠格者)を列挙していますが、その4号に、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が記載されています。
 ご相談の内容は、詐欺・脅迫によって遺言がなされた場合、その詐欺・脅迫をした者を相続欠格者として遺言の効力を否定するような案件が問題となった判例はないかというものです。
 結論から申し上げれば、当事務所が使っている第一法規の判例検索システムで検索しても、詐欺・脅迫と相続欠格が問題となった判例は出てきませんでした。
 また、当事務所でも同種の争点が問題となる案件を扱ったことはありません。

【参考までに】
 今回の質問では《公正証書を無効》にする手段として、相続の欠格事由が使えるかどうかを検討されています。
 しかし、相続の欠格とは、ある相続人の相続資格を否定するだけであり、公正証書遺言自体を無効にするものではありません。
 もし、公正証書自体を無効にしたいのであれば、相続人として(被相続人が有していた)詐欺・強迫による取消権を相続で取得したとして、その取消権を行使するという方法も検討の余地があります。
 参考までに付言しておきます。

※本件には直接関連しませんが、相続欠格については昭和63年の仙台地裁の判決がありましたので、「【判例散策】昭和63年5月31日 仙台地裁判決」で解説しています。

遺産土地に住み続けるには【Q&A №297】


  •  母が亡くなり、1年が経過しようとしています。
     その間、遺産分割協議を月に一度のペースで開催しているのですが、折り合いがつきそうにありません。私は母と同居しており、亡くなる前の数年間は母は入院状態でした。
     その間に母の名義の土地に家を建てたのですが、分割協議がまとまらずこの土地からの立ち退きを迫られております。1年以内にどかなければ、暴力団に金を払ってでも住めなくしてやると言われました。どの様に対処したらよいでしょうか?お知恵をお借りしたく分割協議の際、毎回ここに住めなくなるぞ的な発言を先方がされます。

記載内容  暴力団 脅迫 使用貸借

(たし)


【お母さんの同意があったかどうかで結論が分かれる】
 遺産である土地上に建物を建築することについて、お母さんの了解を得ていたのかどうかが問題になります。
 お母さんの了解を得ていたのであれば、お母さんはあなたにその土地を使用させる義務があり、相続人はその義務を引き継ぎますので、あなたが建物を撤去する必要はないでしょう。

 しかし、もしお母さんの同意がない場合には、無断で建築をしたことになり、お母さんとしてはあなたに対して、家屋を撤去して土地を明け渡せという権利があります。
 相続人はその権利を引き継ぎますので、あなたは建物を撤去せざるを得ないでしょう(なお参考までにいえば、この場合の明け渡しは、相続人の一人でも請求ができます)。
 あなたとしては、建物を建築することについて、お母さんが同意をしていたのだという証拠を集めておくといいでしょう。

【脅迫に対する対処】
 相手の方は暴力団に依頼して追い出すということを話しているようですが、これは立派な脅迫行為に当たりうる言動です。
 このことは、たとえあなたが法的に立ち退きを迫られる立場であったとしても変わりません。
 とはいえ、警察に相談しても、親族間の遺産に関するもめ事ではそう簡単には動いてくれません。
 一度お近くの弁護士に相談し、必要に応じて交渉を依頼することをお勧めします。

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