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大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続放棄した場合の高額療養費【Q&A №380】 0380


 母のかかっていた訪問診療クリニック、訪問看護、訪問薬局は、まず医療機関と家族が契約したうえでサービスが提供されるシステムでした。それで、娘である私が契約書に記入し、医療費は一か月分まとめて、私の口座から、翌月に自動引き落としになっていました。

 私の場合、医療費は私の口座から払うという契約になっており私が支払ってきたことは通帳記録からも証明できるのですが、そのような場合でも払い戻し金は受け取れないのでしょうか。
 三ケ所それぞれに限度額認定証を提示していますが、それでも合わせると月に20万程度支払っています。合算された払戻金が受取れないのはキツイです。

記載内容  高額療養費 還付金 被保険者 世帯主 健康保険法

(ぽんた)


【還付金返還請求権は誰のものなのかが問題です】
 年金については、特別に法律で、死亡した時点までの未支給分については、順位は、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」というように、民法の法定相続人の規定とは別個のもらえる順序が定められています。
 高額療養費は、健康保険法に基づく高額療養費制度に基づくものですが、この請求については、死亡までの未還付分がどのようになるかを直接定めた規定はありません。
 ただ、健康保険法では、この高額療養費を請求できるのは《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》と記載されています。
 お母さんが世帯主か、組合員健康保険の被保険者である場合には、お母さんが請求権者であり、その権利はお母さんの遺産になります。
 このようにその療養費請求権がお母さんのものである場合には、高額療養費請求権はお母さんの遺産になり、《相続放棄をすれば高額療養費は受け取れない》という結論になります。

【あなたが世帯主または組合員かどうかを確かめる】
 あなたの場合、まず、あなたが世帯主か、健康保険の組合員かどうかを確認しましょう。
 もし、どちらかであれば、先ほどの健康保険法の規定上からみて《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》であるあなたの独自の権利として請求できると理解してもよいでしょう。
 この場合、役所に出向き、あなたが《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》であったことを説明するとともに、現実にもあなたがお金を支払ってきたという証拠として通帳等を持参されるといいでしょう。

【最後は、ダメ元の精神で役所と協議する】
 なお、あなたが《世帯主》でもなく、又《組合員健康保険の被保険者》でもない場合でもない場合には、あなたには請求権がないように思われます。
 しかし、
① お母さんのかかっていた訪問診療クリニック等との契約はあなたがしていた。
② 医療費は、あなたの口座から自動引き落としになっていた。

という事実がありますので、あなたが返還してもらってもおかしくはないともいえます。
 役所と交渉して、支払ってもらったという話も聞いたことがありますので、あなたとしても、実質上の支払い者であるということを訴えて、療養費の振込み口座をあなたの口座にしてもらえるよう、努力されるといいでしょう。

参考条文:健康保険法第57条の2(高額療養費)
 保険者は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは特別療養費として支給される額若しくは第56条第2項の規定により支給される差額に相当する額を控除した額(次条第1項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、世帯主又は組合員に対し、高額療養費を支給する。ただし、当該療養について療養の給付、保険外併用療養費の支給、療養費の支給、訪問看護療養費の支給若しくは特別療養費の支給又は第56条第2項の規定による差額の支給を受けなかったときは、この限りでない。
2 高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。


父から名義変更を受けた保険契約【Q&A №350】 0350

 

【質問の要旨】

・父の保険名義が妹になっていた
・無職の妹には子供が2名いて、学費も父が出している
・妹に変更された保険金や生活費を父の遺産とみなせるか?

【ご質問内容】

長男の私は少し離れたところで自分の家族ですんでおり、父は妹と同居しています。
 30年ほど前、妹が子供を2人生み離婚して実家の借家に住んでいたところいつの間にか実家で同居(子供男2人と)するようになっていました。

 父の年齢が80半ばになり、実家の内情を確認したら、父が簡易保険をかけており、
契約者が父で被契約者妹、受取人が父、
契約者が妹で、被契約者孫、受取人が妹、
などバラバラで契約し全部父が払っていました。

 昨年の初め、300万円の簡易保険が満期になったときに、バラバラの簡易保険を満期分支払い、約1000万円分契約者と受取人が妹名義に変えてしまっていました。
 約1000万円は妹名義で証書は妹が持っていました。
 父は今も同居しているのでうやむやでしたが、最近は妹にやったと言い出し始めました。

 妹は10年以上無職で子供の大学までの学費を親に出してもらっていることも確認済みです。

 数年後の生活費や約2000万円の簡易保険分は、遺産相続に含むことはできませんでしょうか? また、今準備すべきことはどのようなことでしょうか?

(マッキー)

 


【生命保険金を遺産に持ち戻すのは例外的】

お父さんが生命保険(死亡保険金)契約をし、その受取人を指定している場合には、その受取人の受ける生命保険金は、原則として遺産には入らないというのが裁判所の扱いです(Q&A №298参照)。
 もっとも、保険金額と遺産総額とを対比して相続人間で著しく不公平となるような場合には、介護の程度などの事情にも鑑みて例外的に遺産への持ち戻しを認める判例もあります(Q&A №298参照)今回は遺産総額がわからないため回答できませんが、遺産総額との比較はぜひ検討されるべきでしょう。

【他人の保険料を支払っていた場合も特別受益になりうる】

但し、お父さんではなく、それ以外の人の名義で生命保険契約をし、その保険金をお父さんが支払っている場合には、お父さんが支払っている保険料が特別受益になる可能性があります。

【契約名義の変更も特別受益にあたりうる】

お父さんの名義の生命保険契約があり、お父さんが保険料を支払っていた場合、その解約返戻金はお父さんの財産です。
そのような保険につき、契約名義が妹さんに変更された場合、その名義変更の時点で存在していた解約返戻金額がお父さんから妹さんに行くわけですから、その分が特別受益になるものと思われます。
又、その後の保険料をお父さんが支払っていたというのであれば、その保険料支払い額が特別受益になる可能性があります。

【孫への学費と特別受益だが・・・】

今回の質問では、お孫さんの学費をお父さん(おじいさん)が支払っています。
まず、特別受益は法定相続人に対する贈与であることが必要です。
ところがお孫さんは法定相続人ではないので、贈与を受けても特別受益にあたらないのが原則です。
ただし、お孫さんへの贈与が実質的に妹さんに対する贈与であるといえる特別の事情がある場合、例外的に特別受益とされる可能性があります。これには、贈与の手配を妹さんがすべて行い、妹の口座を経由して孫に贈与されているなど、いくつかの事情がそろっている必要がありますので、ここは専門家に相談された方がよいでしょう(参照:リンク:【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益)。

【生活費と特別受益について】

生活費についても(生活水準により様々ですが)一般には月額10万円程度であればお父さんの扶養義務の範囲内であるとして、特別受益と認めない場合が多いでしょう。

【生命保険の経過を確認、記録する】

以上のとおりであり、あなたの方としては生命保険を中心にして、遺産分割の話を進めるのがベストだと思います。
そのため、現在するべき準備としては、簡易保険の贈与経過(保険料を支払った人物、関与した人物や日付、各種手続書類の確認等)をお父さんや妹さんから聞きだして確認し、記録に残しておくといいでしょう。


★受取人が死亡した生命保険金は誰のものか【Q&A №191】 0191


 受取保険金は誰のもの?

 弟が死亡しました。弟には、妻はおりますが子供はいません。
 その弟が被保険者、保険金受取人は母(母は十数年前に他界しておりますが、受取人の変更はしてませんでした。)のS社生命保険があり、ただ、母の相続時に兄弟(相続人は兄弟4名でした。)で話し合い、遺産は兄弟中の1人がすべて相続することで、話がまとまっていました。
 この場合、この保険金は弟の妻のものなのでしょうか、それとも母の財産を相続をした二男のものなのでしょうか。

記載内容  保険金 受取人の死亡 被保険者

(はじめ)


【受取人は誰になるのか】
 受取人が被保険者より先に死亡した場合に、誰が保険金を受け取るのかという質問です。
 この問題については、古くは商法にこれに関する条文がありました。
 しかし、現在では、平成20年に制定された《保険法》により、《受取人の相続人の全員》が保険の受取人となります。
 ただ、法律と異なる契約をすることも可能ですので、念のために保険約款(やっかん)を確認する必要があります。
 この保険約款とは、生命保険に入ったときに、保険会社から交付された細かな字で書かれた小冊子に記載されているものです。
 もし、約款に、前記条文と異なることが記載されているのであれば、原則として、約款の方が優先します。

【今回の場合では、お母さんの相続人が生命保険金を受け取るはずだが・・】
 今回の質問では、お母さんが相続人として指定されていたのですから、本来はお母さんの相続人が生命保険の受取人になるはずです。
 ただ、質問の中に「(保険契約者である)弟の妻が弟の死後、その保険金を受取ました」という記載があり、前記法律と異なる結果になっています。
 約款に法律と異なる記載があった可能性がありますので、念のために保険会社に確認されるといいでしょう(その際、受取人の相続人という立場を明らかにする必要があります)。

【保険会社が間違って支払っていた場合】
 保険会社が間違って支払っていた場合には、保険会社に保険金を請求する方法と弟さんの奥さんに返還請求する方法がありますが、いずれにせよ大変ややこしい問題ですので、法律の専門家 である弁護士と相談されるといいでしょう。
   埼玉弁護士会 URL:http://www.saiben.or.jp/

【遺産分割合意との関係】
 お母さんの相続人が保険金を受け取ることができるという前提が正しいとした場合、「すべての相続財産は二男が相続すると決めて」いるという合意との関係が問題になります。
 生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の見解です。
 そのため、相続人間の遺産に関する合意とは関係なしに、お母さんの相続人全員が相続することになります。


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