大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★存命中の母の取引履歴を調査する方法【Q&A №370】


 夫の転勤の関係からずっと母親と妹夫婦が母親の家で同居して暮らしていました。
 5年ほど前から母親が認知症になり、私も働いていたことから面倒を妹夫婦にお願いしていました。
 先日、急に妹が癌でなくなり妹の夫から母親名義のわずかな預金通帳を渡されました。
(後から聞いたのですが1年ほど前から癌の宣告受け、余命1年と医者から言われていたそうです。)
 もともと郵便局に1000万以上の預金があり、母は、借家・駐車場や年金・父の戦争の恩給などもあったことからある程度収入もあり、通っていた介護施設等も安価であったことから明らかに預金の残高が少なくなっているようです。
 母の死亡保険の受取人も勝手に自分の娘に書き換えたりしていたことから、余命が短いので母の預金や財産を自分の娘に残そうとしたようです。
 まだ認知症の母がおり私が面倒を見る必要があるので、可能であれば母の口座履歴と妹家族の口座履歴から不正引き出し等がやり取りなどがなかったかを確認 したいのですが可能でしょうか。

記載内容  生存中 被相続人 預金調査 取引履歴 代理人

(ピトニオ)

【生存中の母の口座は他人の口座なので、調査はできない】
 まず、お母さんが存命であるという前提であれば、お母さんとあなたは親子でも別人です。
 そのため、金融機関や保険会社(以下、金融機関等といいます)としては、あなたの照会に対して、別人であるお母さんの口座の内容を開示することを拒否しますので、調査はできません。
 これは、あなたが弁護士に依頼しても同様で、お母さんの口座の調査はできないという結論になります。

【通常は代理人としての調査も考えられるが、本件では・・】

 ただ、金融機関によっては、お母さんの委任状があれば、あなたをお母さんの代理人であるとして、預貯金口座の取引履歴などを回答をしてくれる場合があります(ただ、全ての金融機関等が同じ扱いとはかぎりません。又、代理人からの照会に応じるとしても、必要書類としてどのような書類がいるかも金融機関により異なるので、事前に電話等で確認する必要があります)。
 しかし、本件ではお母さんは認知症であるとすると、あなたに委任するだけの意思能力はないという結論になり、結局、委任状による照会もできないという結論になります。

【後見人として調査するということも考えられるが・・】

 お母さんの認知症であれば、後見人になり、調査をするということも可能です。
 しかし、あなたが、お母さんの後見人選任申立をしても、あなたが後見人になることは難しいでしょう。
 その理由は、あなたが後見人予定者として裁判所に申し立てをしても、他の法定相続人が同意しない限り、裁判所はあなたを後見人に選任せず、第三者(司法書士や弁護士等)を選任する可能性が極めて高いからです。
 後見人は、お母さんのための財産管理をする役割ですので、仮にお母さんの金融機関の取り引き履歴を調べても、他人であるあなたに知らせることはできないからです。

【今、するべきことは・・】
 以上に説明したように、結局、現時点では金融機関に対して、お母さんの口座を調べる方法はありません。
 ただ、お母さんではない人が、預貯金を引き出しているというのであれば、該当金融機関等に《お母さんではない他人の行為での、預貯金の出金や解約に応じないよう申し入れをする》しかないでしょう。
 参考までにいえば、このような申入れは内容証明という形で証拠を残しておかれるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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