大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★亡弟の預金を母が法事の費用に使ってしまった【Q&A No.466】


【ご質問内容】
 私の母のことで相談させていただきます。
 13年前に亡くなった弟の預金、約50万円を銀行で相続手続きをしないまま、弟の法事や、弟の友人の冠婚葬祭の費用に充てる為に引き出していたことが分かりました。
 約10万円を使い、残金は40万円の様です。
 このような場合、今後どのような手続きをすれば良いのか。
 また、母に対し罰則等はないのか心配しております。
 ご教示の程宜しくお願い致します。

記載内容  不正出金 法定相続分 親族相盗例

(ななこ)


【息子の死後にその預金を引き出した母は処罰されない】
 被相続人である息子(弟さん)の死亡した後に、そのお母さんが遺産である預貯金を引き出した場合、窃盗等の犯罪が成立しますが、刑法で親族間の窃盗は処罰しないと定められていますので、お母さんが処罰されることはないでしょう(この点については過去のブログ【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するかに詳しく記載していますのでご確認下さい)。

【今後、遺産分割協議をする】
 今回の質問では、相続関係が不明です。
 お弟さんに配偶者(妻)がいるのかどうか、また、子がいるのかどうかが明らかではありません。
 もし配偶者や子がおれば法定相続人になりますので、その人らの間で遺産分割協議をすることになります。
 法事の費用は相続費用ではありませんので、お母さんが相続人でないとした場合、他の相続人はお母さんが引き出した50万円の返還を求めることができます。
 ただ、そのうち、10万円は弟さんの法事費用ということであれば、その分を除外して残額を返還してもらうという解決もあり得ますが、この点も含め、法定相続人間で遺産分割協議で解決するべき事項でしょう。
 お母さんが法事費用に支出したということのようですので、弟さんには配偶者も子もいないということかもしれません。
 その場合には、お母さんが直系尊属として法定相続人になりますし、お父さんが生きておられるのであれば、お母さんとお父さんの間で遺産分割の協議をすることになります。

(弁護士 大澤龍司)

ご参考までに、私の経験からすると下のような解決がよくあるところのように思います。

【どのような方向での遺産分割にすればよいのか】
 お母さんが相続人ではない場合には、他の相続人はお母さんに対して、それぞれの法定相続分に応じて引き出したお金(50万円)の返還請求ができます。
 ただ、法事に使った分については厳密にいえば相続債務ではありませんが、弟さん関連のための費用として大目に見て、返還請求をせず、残額の40万円の返還を求めるのが妥当なところではないでしょうか。
 また、仮にお母さんが相続人であった場合には、遺産総額にお母さんの相続分を掛けて算出した額が50万円を超すのなら、その50万円を超過する分だけをお母さんに渡し、他の相続人で残りの遺産を分割することで足りるでしょう。

★親の預金を無断で出金することは窃盗か【Q&A №291】


 父の死後二年経過した時点で、相続行為がなされぬまま、父の名義で株のネット証券に口座を開設し、父の預金を移して株の運用をしていました。その後、遺産相続のため、そのお金を(損出はありませんでした)元の父の口座に戻したあと、自分の口座に全額振り込みました。一部は委任状を自分で作成、残りはATMで処理しました。
 以上は他の相続人の了解はもらっていません。これからそのお金を相続人と分ける予定ですが、私文書偽造、同行使、詐欺罪、窃盗罪に問われるでしょうか?親族相盗で許されますでしょうか?教えてください。

記載内容  不正出金 窃盗罪 親族相盗例 横領

(富士山)


【刑事問題になりにくい】
 遺産は各相続人の共有財産ですので、厳密に言えば勝手に自分のために浪費したり自分の預金口座に移し替えたりすれば刑法上、窃盗や横領などの罪に該当します。
 しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
 これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領、詐欺などは処罰されない(正確には《刑を免除する》という条文がある)ことから、警察も捜査をしないからです。
 警察としては、家族内の問題なので、よく話し合って解決するようにという立場をとるのでしょう。

【銀行に対する関係では犯罪が成立するが・・】
 そのほか、委任状を無断で作成したという点について、有印私文書偽造、同行使罪の成立の余地はありますし、これには親族相盗例というものはありません。
 ただ、問題の実質は結局のところ家庭内の遺産分割問題ということに変わりはありません。
 特に本件では、最終的にお金を持ち逃げしたわけではなく、遺産分割協議に応じるということであれば、他にかなり悪質な事情や銀行からの被害申告でもない限り、警察が動くことも考えにくいと思われます。

★母の預金を横領した長男の責任【Q&A №275】


 急死した母の生前、長く母と同居していた長男が、数年前、自力歩行が困難になった母から2000万円ほどあった預金通帳を託されたのですが、認知症の兆候が出はじめたときに、全額を引き出したうえ、自分と妻の口座に入れたことが判明しました。
 長男は「母がそうしろといったからだ」と主張し、自分と妻の預金通帳は見せる必要がないといいます。

①母に対する(業務上)横領罪が成立しているのではないでしょうか。(親族相盗例の準用の点などはさておき)
②長男夫婦の行為は他の共同相続人に対する(業務上)横領罪も成立するとは言えないでしょうか。
③不当利得返還請求はできますでしょうか。

記載内容  認知症 横領罪 親族相盗例

(bluegrass)


【横領罪の成否について】
 お母さんが長男さんに預金通帳を託した趣旨がどのようなものであるかによって、横領の成否が異なってきます。
 お母さんとしては、そのままの形で預かって欲しいという趣旨であれば、長男夫婦の払い戻し及び自己の口座への入金は横領罪を構成します(但し、業務上横領ではなく、単純な横領です)。
 但し、ご質問にも記載されているように親族相盗例(親族間の窃盗などについて刑の免除など責任を減軽する法律)があるため、処罰はされません。

【他の共同相続人に対する横領罪の成否】
 お金を預けたのはお母さんですので、お母さんに対しては横領になります。
 質問の場合、横領の時点では相続が開始しておらず、他の共同相続人としては、お母さんの預金についてはなんらの権利も有していませんので、他の共同相続人に対する横領ということは考えられません。

【不当利得返還請求について】
 前記したように、お母さんの意思に反して、お兄さんが預金を自分のものにしたのであれば、当然、不当利得が発生します。
 正確に言いますと、着服時点で、お母さんがお兄さん夫婦に対して不当利得返還請求権を持つことになります。
 この請求権は相続されますので、お母さんの死亡後は、その法定相続人がその法定持分の割合に応じて返還請求権を相続することになり、その相続分に応じた請求をすることが可能になります。
 なお、念のために言えば、親族相当例は刑法上の処罰の問題であり、民事上の不当利得請求を制限するものではありませんので、各相続人が請求可能です。

遺産を浪費した兄【Q&A №255】


 私の兄弟は4人で、H11年に父、H14年に二女、H25.2.6に母が亡くなりました。
 父の遺産は兄が自分が管理すると言って、遺産の預金の引き落とし同意書を全員に書かせ管理していて、遺産金額の全額を皆に知らせず、私が遺産の事で文句を言った所、H22年に400万を相続人の私と長女に分けてくれました。
 本人はのらりくらりとして総額を明かしません。
 兄が遺産を遊興費やマンション購入と女につぎ込んだ事は最近に成って分かって来たことですが詳細は不明です。
 先日母が亡くなり、ある金融機関に死亡届に行った所死亡17日後に預金の1千万近くの殆どが兄によってCDで引き出されていました。
 葬式の時の話しあいでは、兄は預金は殆ど無いと言っており葬祭費用も折半で出す話に成っていました。
 もしこのまま、のらりくらりと私達相続人の追及をかわし続けています、とにかく信じ切っていただけに、恨み骨髄に達する思いです。
 調停に持ち込んでも恐らく進展は見られない様な気がします。
 血族の犯罪は免責される様にも書いて有りますので、結局後の相続人がバカを見る事に成るのでしょうか。
 母は姉の遺産も引き継いでいると思われますので。
 母は認知症で10年程施設に入り他界しました。
 金銭の感覚は全くできず、子供も認知できない状態でしたた。
 兄が二度とお天道様の下を歩けなくするにはどの様にすれば良いでしょうか。

記載内容  遺産総額 親族相盗例 遺産調査

(A-POM)


【金融機関に落ち度はなく、同意書は有効である】
 お兄さんが預金の管理することを了解して、預金の引き落とし同意書を作成し、お兄さんに交付した以上、このような同意書があれば、金融機関としては、お兄さんが遺産である預金から出金することを拒否する権限も、義務もありません。

【親族間の横領は刑事問題にならない】
 遺産を勝手に使い込んだことは刑法上、横領の罪になる可能性があります。
 しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
 これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領などは処罰されない(正確には《刑を免除する》)という条文があることから、警察も捜査をしないからです。

【可能な遺産調査・調停による開示要求も】
 相続人であれば、他の相続人の同意なく、単独で遺産の調査が可能です。
 しかし、今回のようにお父さんが亡くなってから10年以上経過したケースでは、期間が経過しすぎて、金融機関としても取引履歴を破棄しているケースも多く、遺産調査も難しいでしょう。
 結局、お父さんの遺産については、現段階では打つ手がないということになります。

【お母さんに財産がある可能性があれば・・】
 最近、お母さんが死亡されたようですが、お母さんに遺産があるのなら、まず、お母さんの預貯金のある金融機関にお母さんの死亡したことを通知して、預貯金の引出を止めましょう。
 次に、お母さんの預貯金口座や不動産を調査して、それから遺産分割調停などの手続きを利用して、遺産分割することが必要です。

 なお、遺産である預貯金の調査については Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 の記事をご参照ください。

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