大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】


【質問の要旨】
父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】
父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?

(yamatokarateman)


【葬儀費用に関するルールは不明確】
葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。

【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】
前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】
質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)

② 法事費用
法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

★建築費用の負担等と特別受益【Q&A №506】


【質問の要旨】
次女夫婦が母名義の土地に家を建て、建築費用も一部負担してもらった

記載内容  同居 建築 負担

【ご質問内容】
父はすでに他界し、母と3姉妹という家族構成です。
母名義の土地に次女夫婦が新築で家を建て、母が同居することになりました
・土地名義は母のままで固定資産税も母が払い続ける
・建物は、次女夫婦の名義で、建築費用の3分の1程度を母が負担することになりそうです。
建築費用を援助する事が生前贈与にあたるのでしょうか?
また、同居する場合は、特別受益には該当しないのでしょうか?

(ゆずのん)


【次女夫婦名義の建物の建築資金補助は特別受益となる】
次女夫婦名義の建物を建築する際に、被相続人(お母さん)から建築資金の援助を受けたのであれば、それは「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、遺産に持ち戻す必要があります。
なお、特別受益は相続人にのみ生じる問題です。
そのため、次女ではない他人(配偶者も他人です)に贈与した場合には特別受益の問題にはなりません。
質問では、次女《夫婦》への贈与と質問に記載されています。
仮に建物が次女ではなく、その夫の単独名義になっており、その資金をお母さんが出していたらどうかという問題があります。
この場合には、実質上、夫婦は一体であるとして特別受益の主張をされるといいでしょう

【参考判例】
福島家裁白河支審 昭和55年5月24日 被相続人から共同相続人の1人の配偶者に対して贈与がなされた場合において、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質、これにより受贈者の配偶者である相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には被相続人から相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときは、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であっても、これを相続人の特別受益とみて遺産分割をすべきである。
【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)もご参照ください。)

【土地の無償貸与も特別受益になる】
お母さんの土地の上に次女夫婦が建物を建てるということになると、おそらく賃料の支払いはしないでしょうから、次女夫婦は他人であるお母さんの土地を無償使用で使用できるという利益を得ることになります。
この無償使用する利益を法的には使用借権といいますが、この権利を得ることも「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、その権利の価額が遺産に持ち戻されることになります(この点については当ブログQ&A №321もご参照ください)。

【同居の場合、特別寄与や生活費援助も問題となる余地がある】
法律的に言えば、次女夫婦がお母さんと同居し、その介護に尽くしていたとしても、次女の特別受益分として遺産に持ち戻される額が減額されることはありません。
ただ、次女がお母さんを介護することにより、ヘルパー代等が助かったというような事情がある場合には、その分が《特別寄与》となって、遺産から次女に支払いされることはありえます(当ブログQ&A №254をご参照ください)。
逆に、お母さんが同居する次女夫婦の《生活費を支給》していたようであれば、この支給分が特別受益になるかどうかが問題になります(当ブログQ&A №321Q&A №505等をご参照ください)。

(弁護士 大澤龍司)

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