大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

生前の財産管理と相続対策【Q&A №485】


【質問の要旨】
施設にいる叔母の財産管理をすることはできるか

記載内容  老人ホーム 財産管理 成年後見

【質問の内容】
15年ほど前に有料老人ホームに入居し、その後、問題を起こした関係から叔母の財産管理を施設がすることになりました。
同じ系列の施設間移動は3回ほどしているようなのですが、直近の施設に移ってからは、以前の所では請求書が届いていたのですが、現状の施設に移ってからは数回のお願いもしているのですが契約書も見せて頂けていない状況です。
このたび、高齢でもあり重度の肺炎のため、その施設を退所して系列の病院に入院した関係から現状までに出納状況、出来れば私物、資産等の管理を私の方に変更依頼もかけたのですが、たらいまわし状態で何の返事も頂けなく困っております。
対処方法ございますでしょうか?
叔母は現状、意識もはっきりしておりません。

(たんちゃん)


【あなたの立場について】
あなたと叔母さんとは親族という関係にはなりますが、それだけでは、叔母さんの財産に関与できる立場にはなりません。
あなたが叔母さんのことを心配しており、これまでに面倒を見てこられたとしても、法律的には他人であり、叔母さんの財産に関与することができるということにはなりません。
施設から見ればあなたは他人であり、あなたからの要望に対して何らの連絡もしないというのは、法律的には当然であり、その点で施設の対応は間違ってはいません。
むしろ、他人であるあなたに安易に叔母さんの財産内容を明らかにし、あるいは財産を渡したような場合には、施設として責任を問われることも考えられるということになります。

【叔母さんの後見人になると財産調査ができるが・・】
現在、叔母さんが意識もはっきりしていない状況であれば、財産管理も十分にできないでしょう。
このような状態にある叔母さんについては、家庭裁判所に成年後見人の選任申立をすることができます。
成年後見人になれば、叔母さんの財産を管理しますので、施設に契約内容や費用の照会も可能ですし、施設に預けた物件などがあればその引き渡しを求めることも可能です。
ただ、成年後見人になるのは、通常の場合は叔母さんの推定相続人(もし現在叔母さんが死んだ場合に相続人になると法律で定められている人)です。
あなたが推定相続人でない場合には成年後見人になれる可能性は少なく、その場合には、施設でも、また、現在入院中の病院でも、これまでに施設がしたと同様の扱いをされるのはやむを得ないでしょう。
他の人が成年後見人に選任されたというのであれば、事情を話してその後見人から調査をしていただくしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

委任状で許される出金 【Q&A №460】


【質問のまとめ】
父は長男に全財産の現金を預けて、その管理処分について長男に委任しています。
長男が勝手に使ってしまうことが心配です。
相続が開始した後に、法定相続分を主張することができますか?

記載内容  委任状 処分 財産管理

【ご質問内容】
 三人兄弟です。
 15年前に母は他界し、その直後に父が長男に委任状を手渡した上で、全財産の現金を預けています。
 委任状は全て父の直筆で書かれ、預けた金銭の管理と処分の一切の権限を長男に委任する旨と、委任状の効力は父の死亡を以て終了とする旨が記載され、作成年月日と氏名、拇印と実印が押印され、印鑑証明書も添付されています。
 預けている金額は三千万円ですが、委任状の文面に金銭の「管理」のみならず「処分」まで書かれている場合、処分と題して、長男が勝手に消費してしまい、父の相続が開始された時点でその金額が目減りしていたとしても、その目減り分を長男に請求することはできないのでしょうか?
 要するに、「預けたお金はお前(長男)の自由に使って良いよ」と父が言っているような気がしてなりません。
 父に問い質しても、「長男に全て一任してあるから、口を挟むな」と言われる始末です。
 父は昔から長男を頼り、溺愛していたことから、その一切の権限を委ねたものかと想像しますが、あくまでも委任状であり、遺言書でない以上、遺留分等に縛られることなく、堂々と法定相続分を主張することはできますか?
 委任状の役割や効力の範囲がいまいちよく分からないため、処分の権限まで与えられたからと言って、兄が勝手に処分(消費)していた場合の対応が気になり心配です。

(カマちゃん)


【弁護士により回答が異なる可能性があります】
 今回の質問は弁護士により回答が異なる可能性があります。
 あくまで私(弁護士大澤)の見解ということで理解ください。
 まず、今回の質問ではお父さんが長男さんに「委任」したという前提になっています。
 ただ、委任内容が明らかではありません。
 具体的に言えば、何について委任したかが明らかではありまえん。
 例えば使途についていえば、お父さんの病院費や生活費についての出金の管理を依頼したのか、それ以外の事項も依頼したのかが明らかではありません。
 次に処分まで認めたということですが、現金の処分というのはどういうものでしょうか。
 預かり現金からの支払いを認めたというのか、それ以上に長男さんの個人的の使途に使ってもいいというのでしょうか。
 これらの点についてはより深く事情をお聞きした中で判断するべきことです。
 ただ、現在の質問で記載された限度で次項のとおり回答をします。

【委任であるという点を重視した場合の回答】
 今回は「委任」ということが前提になっていますので、その前提で考えます。
 委任であれば、長男さんとしてはお父さんのために預かり現金を利用するという制限があるので、自由勝手に処分した場合には委任の趣旨に反するということになります。
 ただ長男さんが自由勝手に処分することを認めるのなら、委任という言葉を選択することはないでしょう。
 預り金を私的に使用することを認めるのなら、それは委任ではなく、その分については「贈与」というべきものになります。
 委任という言葉にこだわる限りでは、お父さんのために必要な使途にのみ使うべきであり、それ以外に長男さんが自由勝手に使うことを認めるという趣旨ではないと理解せざるを得ません。
 なお、委任契約はお父さんの死亡した場合にはその効力を失うという内容になっています。
 法律(民法)の委任契約の条文では、委任者が死亡した場合には委任契約は終了することになっています。
 ただ、今回の委任契約では、そのような条文があるにも関わらず、わざわざ、お父さんが死亡すれば委任が終了するとされているのなら、その理由はやはり《私のために使ってほしい》とお父さんが考えたことによると推測できるのではないでしょうか。

【長男さんが勝手に使った場合の対応】
 長男さんが自分の私的目的に預金を使ったということであれば、お父さんは長男さんに対して、委任契約で指定した目的に反して金銭を支出したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求権を持つことになります。
 お父さんが死亡されたが遺言書がなかった場合、各相続人はその相続分に応じて上記請求権を相続することになります。
 あなたとしては相続したこの権利を行使し、相続分に応じた金額を長男さんに請求するといいでしょう。

【贈与の趣旨も含んでいるとした場合】
 仮に委任契約が、長男さんが私的に使うことも認めていると理解できるのであれば、贈与的な部分も含んでいるということになります。
 この場合、長男さんが私的に使った部分は贈与と同視していいでしょう。
 そのため、その長男さんの私的使用分は生前贈与になり、遺産に持ち戻して、遺産分割することになります。
 また、遺言書があり、遺留分を計算する場合には、遺留分の計算の基礎にその贈与金額を算入することもできるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大叔母から預金の引き出しを頼まれた【Q&A №427】


 私の母の叔母は高齢で一人で住んでいました。
 その叔母が脳梗塞で入院しました。
 私は今叔母の面倒を見ています。
 叔母は、私に私に委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしいと言います。
 叔母の脳梗塞はさらに進んでいます。
 普通預金と定額と合わせるとかなりの額です。
 叔母に何かあった場合、相続人は高齢で意識のはっきりしていない母になります。
 私が叔母の委任状で代理人としてその貯金を受け取り、病院の支払いや、叔母の葬儀に使ってお金が残った場合、母にそのお金を返さないと税金もかかってくるでしょうし、叔母が言うように受け取るべきか迷っています。

記載内容  代理人 財産管理 脳梗塞

(あきら)


【もらうのか、預かるのか?】
 「委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしい」とお母さんの叔母さん(あなたからすれば大叔母)が言っておられるようですが、大叔母さんは払い戻しを受けた金銭をあなたにあげる(贈与)気持ちなのか、それとも預かって欲しいというだけなのでしょうか。
 その点に関する大叔母さんの意志をはっきりと確認しておく必要があります。
 質問からははっきりとしませんので、場合分けして回答します。

【預かる場合の対処法】
 大叔母さんとしては、あなたに財産をあげるのではなく、管理してほしいということであれば、あなたは金銭の保管者になります。
 ただ、金銭についてはトラブルがつきものです。
 大叔母さんの預貯金を全部解約して、あなたの名義で預貯金するような場合には、《大叔母をだまして財産を取り込んだ》などという影口が聞こえそうです。
 法律以前の問題ですが、もしあなたの名義の預金口座を作るにしても、必要最小限の金額を移動するだけにするのがいいでしょう。
 どうしても預貯金全額を預からなければならない必要性があるというのなら、あなた自身の口座とは別に、大叔母さんから預かった分だけの独自の口座を作り、その分からは自分の用途に使わないようにする・・大叔母さんから預かった財産とあなたの独自の財産をはっきり区別する必要があります。
 なお、大叔母さんが認知症など、意思能力が乏しくて、《金銭の管理ができないような状態》だから預からなければならないというのであれば、成年後見人の選任を考えるべきでしょう。

【預かった場合の相続との関係】
 預かっている最中に、大叔母さんが死亡した場合には相続が発生します。
 その場合には、あなたが預かった金銭の残金は大叔母さんの相続人(あなたのお母さん)に渡すことになります。
 預かっているだけであれば、預かった金銭は相続人に渡すということになるだけですので、相続税の問題は発生しません。
 ただ、あなたの名義に移したということで、贈与があったのではないかと税務署から疑われることも考えておくといいでしょう。
 そのため、預かったということをはっきりとさせるために、金銭管理の方法や解約、返還等についてきっちりとした契約書を作成するとともに、あなたの分とは異なる独自の財産であるとして管理をしておく必要があります。

【もらう場合は贈与税がかかる】
 もし、大叔母さんの意志があなたにあげるというのであれば、贈与になります。
 病院の費用を支払うという負担付の贈与となりますし、更には大叔母さんの面倒を見るという負担付の贈与も考えられますので、その点についても大叔母さんの意志をはっきりと確認する必要があるでしょう。
 贈与の場合には贈与税の申告が必要ですが、法定相続人に対して金銭を渡す必要はありません。
 但し、法定相続人から遺留分減殺請求されることもありますので、ご留意ください。

長男が財産管理をはじめたら【Q&A №376】


 昨年9月に父が他界。遺産分割協議書などの処理も終わったとたん、兄が母親の家に行き、実印と通帳を預けろと言いに来たそうです。
 理由は年寄りの一人暮らしは危険だから、紛失したら大変だ。そうです。母が断ると「俺のことが信用できないのか?」と凄んで、実印だけは持って行っていまったそうです。
 このままでは、いつ通帳も母親のいない間に勝手に持ち出されるか不安でたまらないと母が困っています。
 兄は、母の家の40分くらいの距離、私(次男)は遠方です。
 特に兄は「自分は長男だから、処理は長男がする」と主張するようです。この兄の行動を止める方法はありますでしょうか?よろしくお願い申し上げます。

記載内容  成年後見人 財産管理 遺産調査

(麿)


【お母さんのことはお母さんが決める】
 お母さんの財産管理は、お母さん自身で決定することです。
 そのお母さんが、お兄さんの《要請》で通帳をお兄さんに預けるということになれば、それを防ぐ方法はありません。
 あなたとしては、お兄さんが預貯金を使いこんだ結果、相続開始時点では遺産が何もなくなっているということを心配されておられるのでしょう。
 しかし、現時点で(将来の)法定相続人であるあなたが、お母さんの財産管理をすることはできませんし、お兄さんがお母さんの財産管理をするのを防止することもできないという結論になります。
 ただ、以下に述べることも参考にされるといいでしょう。

【成年後見は使えないか・・】
 ただ、お母さんが認知症などで財産を管理できない状態(Q&A №249、№280)であれば、成年後見人の選任の申立が可能です。
 その申立をした場合、財産管理につき、法定相続人になる人の間で争いがある場合には、裁判所は第三者(司法書士や弁護士)を指定しますので、お母さんの財産の保全をすることができます。

【お母さんとの関係を密接にする】
 法律的はことではありませんが次の方法も考えられます。
 あなたとお母さんの関係が、お兄さんとお母さんとの関係より密接であれば、お兄さんの申し出を断るようにお母さんに言って、実行してもらうことができるかもしれません。
 結局、もっとも確実な方法は、(遠隔地におられるので難しいでしょうが)お母さんとあなたが同居し、お兄さんがお母さんを無理矢理説得することがないよう見守るという方法が有効です。
 あるいは、お母さんがお兄さんの言いなりにならないようお母さんを説得しておく、ということしかないように思います。

【将来の遺産争いに備えて、今、するべきことは・・】
 お兄さんの態度を見ていると、将来、お母さんの遺産紛争が発生する可能性がありそうです。
 その場合には、お母さんがどこの金融機関のどの支店を利用しているのか、又、株式を持っているのなら、どこの証券会社に口座を有しているのかを、現段階で調査・把握しておく必要があります。
 法定相続人は、遺産である預貯金の調査ができます。
 そのため、お兄さんがどれほどのお金を持ち出したのかを調査するために、調査すべき金融機関等を把握しておくのが、一番有効な方法かもしれません。

認知症の母の相続【Q&A №175】


 お忙しい所、申し訳ありません。お答えをお願い致します。
 先日、父が亡くなり公正証書の遺言には全ての遺産(土地家屋及び預貯金)を母に相続させると書いてあります。母はかなりの高齢で認知症です。父の遺言通りにしたいのですが司法書士の方に相談した所、私(長男)が「成年後見人」になる方法しかないと言われました。私の友人も親の成年後見人をしており、その友人から「成年後見人」の手続きやその後の家裁に対する事務報告などかなり煩雑な業務がありとてもとても大変だと聞き、腰が引けております。
 他に良い方法はないものでしょうか?
 宜しくお願い致します。

記載内容  成年後見人 認知症 財産管理

(ゆう)


【成年後見人の選任は必要です】
 お母さんが認知症ということですが、認知症は軽度から重度までさまざまです。
 もし、認知症が重度で、財産を管理するような能力が到底ないということであれば、成年後見人の選任が必要となります。

【成年後見人はだれがなるのか】
 現在、お母さんの財産管理や身の回りの世話は誰がしているのでしょうか。
 お母さんが施設に入っているのだとすると、その費用は誰がどのようにして出しているのでしょうか。
 もし、あなた以外の人がお母さんの財産を管理し、身の回りの世話をしているのであれば、その人に後見人になってもらうという選択肢もあるでしょう。
 しかし、あなたが、お母さんの世話をしているというのであれば、成年後見人となった場合の負担も、裁判所への報告が加わるだけであり、さほど大きな負担ではありませんので、お母さんのためにも是非、成年後見人になるべきだと思います。

【成年後見人は第三者になってもらうことも可能です】
 後見人はお母さんに代わって財産管理をしますし、家庭裁判所への報告も行わなければなりません。
 もし、どうしても苦手だというのであれば、裁判所に後見人を選任してもらうことも可能です。
 後見人選任申立をする際に、第三者を後見人として選任してほしいと申し出ると、裁判所は司法書士などを後見人に選任します。
 後見人の費用は裁判所が決定しますが、通常の場合、月額2~3万円程度が多いようです。

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