大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★亡父との共有名義マンションの使用借権【Q&A №539】


【質問の要旨】
亡父が出資して共有所有者となっているマンションに、姉が居住したり、賃貸に出したりした場合

記載内容 購入資金 持ち分 特別受益

【ご質問内容】
父親が亡くなり姉妹で財産を分けることになりました。(母はすでに亡くなっています)
姉は生前父にマンション購入資金として1200万円出してもらいました
残りのローンは姉が払いました。
しかし税金対策だったのでしょう、父が出した分を共有所有者として登記していました。
父は生前、姉に自分の持ち分を買い取ってほしいとの話もしていましたが、姉も買い取ることはできず、相続分として父の分が残りました。
姉は最初は自宅として使用し、後にマンションを賃貸に出して収入を得ています
姉から父に賃貸の代金を一部払った時期も1年ほどありましたが後に払った様子はありません。
今ではその所有分の価値も1/3程になっています。
共有の持ち分になると、特別受益が1200万円だとは言えないのでしょうか
言えないのなら、共有所有者の父がもらわなかった賃料の一部をみなし財産として算入できますか?
あるいは、使用借権を無償で得ていたことにはなりませんか
その場合の金額の算定は?
私は姉だけが住宅資金をもらっているのに、遺産が1/2づつというのはどうも納得できません。
不平等感をなくすいい方法があればご教授ください。

(tomo)


【今回の質問は《購入資金援助》と言う意味では、特別受益にならない】
通常の場合であれば、被相続人が法定相続人のマンション購入資金の一部を出した場合には、金銭の生前贈与として特別受益になります。
ただ、今回の案件では、お父さんが出した分はお父さんが自分の持ち分として共有登記されていますので、金銭の移動はありません
したがって《購入資金援助》としての贈与はなく、お姉さんの特別受益は存在しません
マンションのお父さんの持分は、お父さん自身の遺産となり、遺産分割の対象となります。

【お父さんの共有持ち分の使用は、居住用であれば特別受益にならない】
お姉さんがマンションを居住用にしていたとき、お父さんの持分を無償で使用している点では、お姉さんはお父さん持ち分につき、使用借権(無償で使用する権利)をもらったということになり、特別受益となる可能性があります
そのため、マンションの使用貸借について判断した裁判例を検索しましたが、発見できませんでした(参考までに言えば、土地の使用貸借は特別受益になるとの裁判例はあります)。
学者の意見では、建物使用貸借は遺産の前渡しという性格が薄く、又、財産権として強い権利ではないこと、更に被相続人の意思としては遺産分割の持戻し免除の意思が推定されるということから、特別受益にはならないとの見解が多いです。

【お父さんの建物持分をお姉さんが他人に賃貸している場合】
問題は、お姉さんが自ら居住するのではなく、他人に貸して賃料を得ている場合です。
これについても参考になるような裁判例も学者の意見もみつかりませんでした。
ただ、あなたの立場から言えば、使用貸借は他人に賃貸した段階で終了しており、その後にお父さんの持ち分相当の賃料分もお姉さんが得ていたのは特別受益になると主張するか、あるいはお父さんが賃貸に出すのを知らない場合には不当利得にしないと不公平だと主張されるといいでしょう。
このような主張をした場合に裁判にまでいけばどのような結論になるか、興味のあるところではありますが、お父さんの持ち分に相当する賃料分は特別受益として遺産に持ち戻される可能性もあるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

母名義の共有持ち分でも父の遺産となるのか【Q&A №295】


 母の再婚相手が亡くなり、その相手の子供と母とで、遺産分割協議の最中です。

 夫婦で暮らしていたマンションがあり、2分の1ずつの共有名義になっていますが、実際には母は出資していません。
 この場合、このマンションは「財産の持ち戻し」になってしまうのでしょうか。
 さかのぼって、贈与税(相続税)を支払うことで、半分の名義が改めて得られる(認められる)のでしょうか。

 母が資金を出さずに、どのような経緯で登記簿上2分の1ずつの共有名義になっていたのか不明ですが、現実として登記簿上そのようになっている権利というのは、どれぐらいの効力があるものなのでしょうか。

 相手方の子供側からは、確かに2分の1の資金を支払ったという証拠の提示を求められています。
 遺産分割協議には直接関係がないこと、と主張することは出来るでしょうか。

記載内容  共有持分 贈与 特別受益 借名名義 購入資金

(クルンテープ)


【登記名義があるという意味について】
 《現実として登記簿上そのようになっている権利というのは、どれぐらいの効力があるものなのでしょうか》という質問については、一応、お母さんがその持分をもっている(所有権がある)らしいという推定が働くという程度の力しかありません、という回答になります。
 相手方が、お母さんが資金を出していないということを明らかにすれば、登記名義があってもお母さんの持分は認められないということになります。

【登記がなぜ共有になったのか】
 お金を出していないのに、マンションの2分の1がお母さん名義になっている理由としては、

① 再婚相手がお母さんに贈与した。
② 再婚相手がお母さんの名義を借りていた(実質は全部が再婚相手の所有である)。

という2つが考えられます。
 本来はこの①か②かのどちらかを判断して、遺産分割に応じるべきものです。
遺産分割では、お母さんの持分が本当にお母さんのものか、それとも実質上は再婚相手のものであるかは、その財産が遺産に入るのかどうかという点で大事ですので、《遺産分割協議には関係ないことだ》ということはできないでしょう。
 ただ、現時点では再婚相手が死亡しているので、上記①②のどちらの趣旨であったかを明らかにすることは困難のように思います。

【どちらが有利かという観点から考える】
 観点を変えて、どちらの方が有利かという視点から考えてみましょう。
 上記①の贈与とした方が有利そうに見えますが、そうではありません。
 贈与とした場合、まず、贈与税の支払いをする必要があるのでは、という問題があります(過去の贈与について、税の支払いが必要かという点は税理士さんにお聞きください)。
 また、贈与であっても、お母さんが贈与を受けた2分の1の持分が遺産分けと全く関係のないものとされるわけではありません。
 贈与の場合、特別受益として、遺産計算では遺産に持ち戻されて、遺産分割で考慮されます。
 結局、贈与税を支払っても、お母さんの持分が遺産の中に入るので、わざわざ贈与とするメリットはないと考えるべきでしょう。

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