大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★不動産の評価方法と家財道具の処理について【Q&A №139】


 母が亡くなり姉と私の二人で遺産相続することになりました。
 築35年の家・土地と預貯金があり不動産は私が相続することになっています。
 50年近く母が住んだ家ですので、せめて七回忌まで位はそのままにしておきたいと思っているのですがいずれは売る予定です。その不動産の評価で姉と話し合いがつきません。
 姉は固定資産税の評価額に倍率を掛けた額を主張していますが固定資産税評価額の三分の一は家屋の評価で、実際に売った場合その額で売れるとは思えません。そのうえ譲渡所得税を考えると私としては納得できません。姉は「売った時の税金まで私がみる必要はない。」と言います。不動産の評価額はどのように考えればいいのでしょうか。
 また、姉は家財道具も分けるように要求しています。テレビやエアコン冷蔵庫やタンスといった普通のものしかありませんが、姉はそれも分けるべきだと言います。私も姉が欲しい物があるなら持って行っても構わないのですが、祖父の代からの家で農家ですので古いタンスや布団、農機具など廃棄処分しなければならないものも沢山あります。そのことについて姉がまったく考慮してくれないことに不満が募ります。どのように対処すればいいでしょうか。

記載内容  不動産の評価 路線価 固定資産税評価額 公示価格

(ももたろう)


【土地の評価基準】
 遺産の中に不動産がある場合には、ほとんどの場合、その評価が問題になります。
 土地の価額には、
 ①公示価格(国土交通省が公示している標準的な価格・・・国土交通省 土地総合情報ライブラリーへ)、
②固定資産税評価額(市町村が評価するもので、公示価格の70%程度)、
③路線価格(国税庁が評価・公表するもので、公示価格の80%程度・・・国税庁 路線価図へ) があります。
 家庭裁判所の遺産分割調停などでは、土地の価額については、路線価格で算定する場合が多いです。
 路線価格は、国税庁が相続税等の算定の基準として、日本全国の土地について定めており、しかもインターネットで検索もできますので、大変使用しやすいです。
 また、公示地価の80%に設定されているというのも、譲渡益課税(譲渡益の約20%)や売却の手間・費用を考えれば、公示地価から20%程度の減額が相当だからです。

【家屋の評価基準】
 家屋については、調停などの場合には、固定資産税評価額を基準にして、その価額にするか、ある程度の倍率をかけて算定する場合が多いです(その価額にするのか、何倍かにするかは当事者の合意で決定する場合が多く、絶対という基準はありません)。

【不動産でとるか、現金でとるか】
 不動産は現金と異なり、売却しないと現金化できません。
 売却についてはご指摘のとおり、譲渡益があれば、その20%の税金がかかりますし、また、売り急げば売値は下がってきますし、仲介手数料も必要です。
 そのため、時価よりも低額で評価されるべきものでしょう。
 問題は、お姉さんを納得させる方法ですが、このような説明をしても、納得なさる可能性は少ないと思われます。

【お姉さんを説得するには・・】
 家庭裁判所に遺産分割調停の申立をされると、調停委員がお姉さんを説得してくれる可能性があります。
 また、調停に際して、あなたが弁護士に依頼すると、相手方も弁護士に依頼することが多く、その場合にはお姉さん方の弁護士が、お姉さんを説得する可能性もありますので、ご検討ください。

【家財道具について】
 家財道具などの動産は不動産とは別に考えるべきです。
 ただ、通常は貴金属や骨董品などの価値ある動産だけを相続人間で分割し、その他の家財道具などの価値のない動産は不動産を相続する人が取得する場合が多いです。
 家財道具の中に不要のものがあるのであれば、処分費用の見積もりを取り、その分をお姉さんに負担してもらう(それが嫌なら物件を引き取ってもらう)という対応も可能でしょう。
 ただ、動産についても意見が分かれているのであれば、やはり調停申立が望ましいと思われます。

使用借権の評価【Q&A №103】


 土地の相続問題です。相続人が甲と乙2名であり、乙は被相続人と23年前に被相続人の土地にその住居を取り壊し、新築して同居していました。
 相続協議において、乙は使用借権をかざして、地価額の2割は使用貸借権がある土地として評価額の低減を要求しています。
 甲は弁護士に相談し、第三者への売買目的でなく、自らが相続する土地に関し、その評価額を使用借権による低減するなどは無いと確認し、すすめもあって、家裁調停に持ち込みました。
 そこで、地価の公平なる算出に、土地鑑定士による評価を行おうと進めていましたが、調停員は、「裁判官の意見を聞いたところ、使用借権は有る程度認められ、土地の鑑定結果は使用借権相当額を引いたものになる」と言うのです。
 また、その使用借権に係わる評価減額率はどの様になるかを問うと、ハッキリ言いません。
 調停で言うこと、先に弁護士に聞いたこと、何故、食い違いが有るのでしょうか。もし、本当に使用借権が一定率認められるのであれば、それは、使用貸借権を無償で設定してもらっており、この権利に相当する額が特別受益といえると判断出来ませんか又、その場合特別受益の持ち戻し請求は出来ませんか。

記載内容  使用貸借 路線価 特別受益

(仁)


【土地の使用借権の評価について】
 相続人の一人(乙)が、遺産の土地上に建物を建て、土地を無償で使用しているので、その土地には乙の使用借権が設定されています。そのため、その使用借権の分だけ、土地が低く評価されます。
 賃料を支払っている借地権などがある場合、その土地の価額は借地権価額を引いた金額になります。
 借地権価額は路線価図に記載されている借地権割合を参考にして算定する場合が多いですが、使用借権については、路線価図にはなんらの記載もありません。ただ、1~3割程度と評価される場合が多く、その分、遺産である土地の価額が低く評価されます。

【弁護士と裁判所の見解の相違について】
 相談した弁護士からは、減価されないと説明を受けたようですが、現に、乙の建物が存在し、使用借権が認められることを前提にすれば、その分、土地の評価が下がるという裁判所の見解が正しいと思われます。

【使用借権による減価の回復】
 甲の立場で、調停で主張できそうな点を考えてみましょう。
① まず、ご指摘のとおり、乙建物の底地を無償で利用させたこと、すなわち使用借権を設定したことが、生計の資本としての贈与であり、特別受益にあたると主張することも可能です。その場合には、その受益分は遺産に組み入れ(もち戻し)されることになります。
② 乙が、23年前に建物を建築した際、被相続人が建築費を出したということであれば、その点からも特別受益の問題が出てくる可能性があります。
 さらに全額を被相続人が出し、しかも固定資産税も支払っているというような場合には、この乙名義の建物は実質的に被相続人の遺産だということも可能かもしれません。

【調停の話と、先に弁護士に聞いたこと、何故、食い違いが有るのでしょうか】
 遺産については民法に定められていますが、その条文はわずかに160条程度です。
 多くの事案で、条文に書いていないことが問題となります。
 また、関連する条文があっても、立場が違えば、違う解釈をするでしょう。
 さらに言えば、弁護士がすべてを知っているわけでもありません(相続に詳しくないのなら、正しい答えを出すことができないケースもあるでしょう)。
 これらのいずれか、あるいは複数があいまって、調停や裁判の結果と弁護士の見解が相違することがまま発生します。

遺産分割協議で失敗しないために【Q&A №67】


 昨年母方の祖父がなくなり、相続人は叔父(母の弟)、母が既に亡くなっているので私本人(成人)です。祖父の兄弟は既に他界しています。
 遺書はなく、相続の対象は、祖父の預貯金、祖父名義の土地家屋です。

叔父との関係について、叔父には以前私からの借金などがあり、その返却もまだ無いことから信用ができません。

預金に関しては葬儀代や墓購入などを叔父がしたため、話し合いの結果私への借金を差し引いた額を叔父が相続することになりました。特に借金を返済するなどの証書などはありません。

相談の内容ですが、
・祖父の預貯金から私への借金の額をきちんと返済してもらうことはこのままで可能でしょうか?
何か証書をつくるべきだったでしょうか。うやむやにされるのを避けたいです。

・また土地家屋については売却した分の額を2分割する予定ですが、現在全て叔父が不動産屋と話して進めています。離れた場所に住んでいることから私が話しに立ち会ったりすることは難しい状況です。きちんとした相続を行なうために、私が注意することや、確認しておくことなどはありますでしょうか?

記載内容  遺産分割協議 不動産 路線価

(tomo)


【共同相続人から貸金を回収する方法】
 遺産の預貯金から貸金を返済するという書面を作成する必要があるかという質問に対しては、その通りという回答になります。
 しかし、それだけでは不十分です。
 本当に返済してもらうためにどうするかを考えるべきでしょう。叔父さんが預貯金を払い戻した後に、あなたに借金を返済するという保証はないのです。
 遺産の預貯金のうち、あなたの借金分に相当する額の預貯金を、あなたが直接、相続で取得することを考えましょう。

 預貯金口座は一つではないと思いますので、あなたの貸金に相当する分に近い金額の預金口座を、あなたが遺産から取得するということを遺産分割協議書に記載するといいでしょう。
 なお、既に叔父さんが払戻しをしているのであれば、後に記載する不動産の売却代金から回収する手段(たとえば、借金を支払ってくれないなら売買契約に同意しない、登記関係書類を渡さない等・・)を考えるべきでしょう。

【遺産である不動産の売却で問題になる点】
遺産である不動産を売却する場合、問題となるのは次の点です。

①不動産の売却価額が妥当か?
②売買代金が本当に支払いされるのか?

 ②の点については、売買契約と代金の決済のときには、あなた自身が立会い、契約の時は手付けの半金をもらい、又、決済のときは代金を自分で直接受け取るのと引き換えで、登記に必要な書類を渡すといいでしょう。
 ①の売買代金の妥当かどうかの判断はむずかしいです。

 当事務所では、多数の業者(相手方の紹介の不動産業者も参加してもらいます)で競争入札させて値段を決定することにしていますが、このような方法を取れるのは、不動産業者を多数知っている弁護士だからでしょう。
 適正な価格を確保するためには、あなたも信頼できる不動産業者を選んでもらって交渉を任せ、又、税務署が公表している路線価などを参考に売却代金が妥当かどうかを判断するしかないでしょう。

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