大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

使途不明金問題の被告の反論について【Q&A №629】

【質問の要旨】

使途不明金の主張立証責任

記載内容   使途不明金 引き出し  返還

【ご質問内容】

亡くなった母の相続の際に、母と長年同居していた兄が通帳の開示を拒んでいました。

怪しいと思い、取引履歴を取り寄せたら予想通り多額の使途不明金の存在がありました。

その総額は、母が亡くなる5年前からで4000万にもなります。

引き出しは一度に20万~50万で、引き出し額の合計が100万になる月もありました。

ATMを使えない母でしたので、引き出し行為を行ったのは兄があっさりと認めました。

一方で、「母から頼まれて引き出した。引き出したお金は全部母に渡している。

その後、母が何に使ったのかは知らない。」と言っています。

先日、役所で開催された法律相談で弁護士に相談したら「兄が母親に渡したと言うのであれば、母親が受け取っていない事をこちらが立証しないと無理です。従って裁判では返還を求めるのは無理に近い。ほとんどの裁判で、被相続人に渡したと言って逃げることができてしまっている。」と言われました。

今回、初めて相続に強い弁護士さんの質問コーナーを発見し、ご質問させて頂きました。

 

(フルホビ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【訴訟で争われる典型的なケースです】

今回の質問のケースは、同居の法定相続人が被相続人の財産をカード出金していたということで、世間でよくあるケースです。

実は、当事務所が扱うケースのほとんどが、このような案件です。

【証明する責任は誰にあるのか?】

死んだ母の口座から生前に出金されていた場合、その出金を兄が取り込んでいたという事案では、取り込んだという点の証明はあなたがする必要があります。

具体的には次の2点の証明が必要です。

① 母の口座から出金があること。

② その金を兄が取り込んだということ。

上記の①は取引履歴を取れば簡単に証明できます。 問題となるのは②の証明ですが、今回の質問では、兄がカード出金をしたことを認めています。

役所で相談された弁護士が、証明責任はあなたにある言ったことは正しいです。

しかし、兄が自分がカード出金をしたことを認め、しかも母の口座に、カード出金した金銭の入金がないというのであれば、兄が勝手にその金銭を使ったのではないかと考えるのが妥当な結論です。

そこまで行けば、兄が取り込んだという証明、100%ではないにしても、かなりの程度できていると思われます。

このようなときには、今度は兄が、出金額は母に渡した、あるいは母のために使用したということを証明する必要があります。

【証明責任は天秤のようなもの】

裁判における主張や証明責任は上皿天秤のようなもので、ある程度、あなたが証明し、それが事実らしいということになると、今度は兄の方が反証(あるいは反論)することが必要になります。

兄は母に渡したというのであれば、その点の証明は原則として兄がする必要があります。

あなたの方が、母が受け取っていない事実まで証明する必要はありません。

【カード出金をした理由はどうしてか?】

観点を変えて説明します。

兄は母に依頼されてカード出金をしたのなら、母から委任を受けて出金をしたのであり、母にその出金額を返還する義務があります。

その義務を履行したかどうかは、当然、義務者の兄がするべきものであり、証明責任はあなたではなく、兄が負うという結論になります。

【裁判の見通しについて】

役所で相談した弁護士は、裁判での返還は無理に近い、ほとんどの裁判で被相続人に渡したといって逃げることができるという判断ということですが、私とは見解が異なります。

冒頭に述べたように、当事務所が中心に扱う相続案件は、このような生前の取り込み分がある場合がほとんどです。

被害者の立場で、どんどん訴訟を起こしていますし、依頼者の人にそれなりに満足のいく成果を上げています。

もちろん、裁判になれば、兄の方からは、いろんな隠された事実を言い出し、また、新しい主張をしてくるでしょう。

裁判のことですので、絶対に勝訴するというような断言はできませんが、最悪の場合でも和解という解決方法で取り込んだ金銭の一部でも返還させることも可能の場合が多いです。

【弁護士に相談することをお勧めします】

この相談はあくまで質問者の方がお書きになった事実の限度で、回答をしています。

弁護士としてはより詳しい事実を知り、正確な判断をしたい案件です。

何が問題で、今後、どのような対応をしていいのか、その回答を得るために、是非、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

★愛人の子にも相続権はあるか【Q&A №70】


 父が車の自損事故で亡くなり、損保会社から死亡保険金がおりると連絡がありました。母は健在で私は一人っ子ですが父に認知している子供がいると知らされました。
 損保会社の方は保険金の受取は相続ではないので保険金の受取割合は3人で話し合うようにと言われました。
 法定相続では母が1/2、私が2/6、認知した子が1/6になると思いますが、愛人から慰謝料を受け取っていないし、20年以上苦しめられているのでたとえ1/6でも持っていかれるのは納得できません。相手は代理人として弁護士をたてました。
 今後どの様に進めていったらいいのでしょう。。

記載内容  生命保険 慰謝料 時効

(大阪のおばちゃん)

 

(この回答は平成25年9月4日に出た最高裁の判例に基づき、それまでの回答内容に変更を加えております)
 夫が愛人を作った場合、妻はその愛人に対して、不法行為の損害賠償請求ができますが、この請求は不法行為の存在を知ってから3年以内に請求しないと消滅します。
 しかし、この請求は、あくまで、妻から愛人に対して請求できる権利であり、愛人の子自身が不法行為(不貞行為)をしたわけではありませんので、愛人の子に対する損害賠償を請求はできる余地はありません。
 したがって、慰謝料を理由に相続取り分を少なくするという主張はできないことになります。
 
 なお、参考までに言えば、妻の立場から不法行為(不貞行為)による損害賠償請求が可能ですが、その不法行為(夫の不貞行為)があったことを知ってから3年以内に請求しないと時効で消滅します。

 そのため、不貞行為が継続していたのであれば、現在(請求したとき)から遡って過去3年間の不貞行為については、損害賠償を請求する余地があるかもしれません。

【保険金は相続財産ではない?】
 保険で死亡保険金の支払いがされる場合、その死亡保険金は遺産とはならず、相続の対象とはなりません(生命保険は誰が相続できるのか【Q&A №26】)。
 そのため、保険契約で特定の保険金受取人が指定されている場合には、その指定された者が保険金全額を取得します(この取得は相続ではなく、保険契約の効果として受取人が取得します)。
 保険契約で受取人が定められていない場合の死亡保険金については、生命保険会社との契約書(取引約款)か、あるいは簡易保険のように法律で、誰が権利を取得するのかが定められているものと思いますので、念のため保険会社にどういう契約になっているのか確かめられた方がいいでしょう。

 もし、そのような定めがない場合には、法定相続分を参考にして支払を請求するしかなく、愛人の子から保険金の4分の1を請求されると、それを拒否することは難しいものと思われます。

 

【非嫡出子も他の子と同じ割合で相続します・・最高裁の判断が出ました】
 最高裁判所は、非嫡出子の相続分を2分の1とする民法の規定は、遅くとも平成13年7月時点で、憲法14条1項に違反するようになったと判断しました(最大決平成25年9月4日:判例コラム【非嫡出子の相続】)。
 そのため、現在では、非嫡出子(愛人の子)は、嫡出子と同じ相続分になるので、愛人の子からは保険金の4分の1を請求されることになるでしょう。

★預けたお金は誰の遺産か【Q&A №536】


【質問の要旨】
亡き妹にお金を預けたという念書は有効か?

記載内容 預ける 念書 筆跡

【ご質問内容】
先日、伯母がなくなりました。夫は故人で、子供はいません。
伯母は生前、万が一の事を考えて、実の妹にお金を預けていました。
ところが、その妹が伯母よりも1年前に他界し、妹の息子2人が伯母が預けていたお金を母親(妹)の遺産だと思い相続してしまったのです。
この時、伯母は既に認知症で、妹の死を理解できる状態ではありませんでした。
私の母は、伯母の弟(故人)の配偶者にあたりますが(実質的に伯母の面倒を見ていました)、まだ伯母が元気な時に、義姉(妹)にお金を預けた事を聞いて、万が一の為に、義姉(妹)から「預かりました」という念書を書いてもらっていたのです。そ こで、その義姉(妹)が亡くなった時に、2人の息子に念書を見せたところ「これは母の字では無い」と言われ、うやむやにされてしまいました。
その1年後、伯母は他界。
遺産相続の協議をしなくてはいけません。
この念書は有効となるでしょうか?
その為には筆跡鑑定等が必要でしょうか?
ご教示、宜しくお願いいたします。

(パンパース)


【相続関係の整理】
少し人間関係が複雑ですので、伯母さんのことを「被相続人」、伯母さんの妹を「妹」、妹の息子(2人)を「甥」と言います。
被相続人の配偶者が死亡しており、被相続人のご両親なども死亡されているでしょうから、相続人は妹と亡くなったあなたのお父さん(他に被相続人の兄弟姉妹がいないことを前提としています)になります。
ただ、妹及びあなたのお父さんが被相続人より先に死亡していますので、甥及びあなた(兄弟姉妹がいればその方も)が代襲相続しますので、相続人は甥2名とあなた(兄弟姉妹がいればその方も)になります。

【お金を預けていたことの証明が必要】
被相続人が妹にお金を預けていたということを主張するなら、
①被相続人から妹さんにお金が渡った ②そのお金は贈与ではなく、預けたものである との2点を証明する必要があります。
今回の質問の場合、妹の預かりましたとの念書が作成されているようですが、甥が争うようであれば、本当に妹が作成したものであることを証明するために筆跡鑑定が必要になる場合もあります。
ただ、念書に加えて、現実にお金が被相続人から妹に動いているということがわかれば、預り金だということがより強く証明できることになります。
被相続人の預貯金口座から妹の口座への送金があるかどうか、またそのような送金はないが、問題の時期に出金があるということであれば、お金が妹に渡ったことの証明が容易になります。
そのため、被相続人の預貯金の取引履歴を取り寄せは必要不可欠な作業と言っていいでしょう。

【弁護士に法律相談することも考える】
念書が有効かどうかは、前項に記載した事情に加えて、念書の記載内容と入出金履歴が合致するかどうか、また、妹の収入や資産状況から見て、妹自身の財産といえるかどうかなどを含む諸般の事情も考慮しての総合的な判断になりますので、質問の記載だけからでは判断しかねます。
今後、甥らと協議をしても、妹の遺産についての遺産分割が完了していること、甥らが預かり金を否定していることを考えると、甥らが被相続人の遺産とは認めないと頑張る可能性も高いでしょう。
そのため、場合によれば、訴訟も視野に入れる必要があるでしょう。
もし可能であれば、甥らと協議をする前に、相続に詳しい弁護士に予め相談され、念書や被相続人の取引履歴を見てもらった上で、訴訟になった時の勝訴の可能性を検討してもらうといいでしょう。
勝訴の可能性が少ないということであれば、適当なところで甥らと妥協するという選択肢も考えてもいいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

20年前に妻に名義変更された土地は遺産か【Q&A №529】


【質問の要旨】
20年ほど前に父から母へ名義切り替えした不動産は、父の遺産か

記載内容 名義 贈与 土地

【ご質問内容】
父が他界し、遺産相続について質問です。
実家は土地も建物も父がなくなる随分前に(20年程前)母名義に切り替えしておりますが、父の遺産に含まれるのでしょうか?
名義は母なので、父の遺産には含まれないのでしょうか?
教えていただけますか。
宜しくお願い致します。

(ふーちゃん)


【他人名義の不動産は被相続人の遺産に含まれないのが原則】
元々はお父さんの所有であった不動産が、生前にお母さん名義に移転されていた場合、その不動産は原則として、お父さんの遺産に含まれません。
ただ、債権者対策として偽装登記したとかいう事情があり、かつ、その事実を証明することができるのであれば、遺産に含めることが可能です。
ただ、現在の名義人としては、そのような偽装登記ではなかったのだと主張する場合が多いでしょうから、話し合いがつかなければ、最終的にはお母さん(登記名義人)を相手に、「この土地はお父さんの遺産である」という訴訟を起こして決着をつけざるを得ないでしょう。
なお、20年ほど前の移転ということですが、その時点でお父さんが認知症にかかっており、意思能力(判断能力)がないような状態であったというのであれば、(それも証明が必要ですが)その不動産の移転は無効であって、お父さんの遺産に属するということになります。

【夫から妻への不動産の移転の場合】
お父さんがお母さんに不動産を移転したとしか、質問には記載されていません。
何を原因とする移転なのかは、移転の際の事情をお母さんにお聞きになるとともに、不動産登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せて、登記原因を見れば判明しますが、おそらく、贈与で移転されたものと思います。
ご存知だとは思いますが、婚姻後20年間を経過した後の夫婦間での居住用不動産等の贈与はその不動産価額が2000万円以下なら贈与税が全くかかりません。
そのため、お父さんとしてはその制度を利用し、贈与税を支払うことなく、お母さんに不動産を贈与したのだと思われ、それ以外の売買などというのが原因となる可能性は極めて低いでしょう。

【特別受益等の問題が生じるが・・】
仮に被相続人であるお父さんからお母さんへの贈与があった場合、その贈与は特別受益になり、お父さんの遺産分割の際に、遺産に持ち戻して計算することになります。
この特別受益については当ブログQ&A №164Q&A №334をご覧ください。

(弁護士 大澤龍司)

他人名義の預金は遺産に含まれるか【Q&A №524】


【質問の要旨】
相続人の1人が生前に多くお金を受け取っている場合の遺産分割

記載内容 名義借り 遺産確認

【ご質問内容】
父と相続について話しました。
父は遺産分割協議書を作って、母、私、妹に財産を分割すればよい、ということでした。
ところが、父は株などで儲けた分をすべて母の口座へ入金しているようなのです
この状態で父と母の全財産をもとに遺産分割が可能なのでしょうか。
以上、ご回答願います。

(HY)


【将来の遺産分割協議の話と理解しています】
質問の時点ではお父さんもお母さんも生きておられるので、将来、お父さんが死亡して、その相続問題が発生したときの遺産分割協議書の問題として回答します。

【銀行では名義を基準とする】
銀行としては、名義を基準として取り扱いをします
名義がお母さんであれば、お母さんの預金であり、お母さんの自由な引き出しを認めます。
お母さん以外の法定相続人が、お父さんの遺産であるからと銀行に申し入れをしたところで、銀行がそれを認めて、お父さんの遺産として扱うことはまずないでしょう。

【判例では名義よりも実体を重視】
預金の名義人であるお母さんが「これは私のお金だ」と言い張り、お父さんの遺産であることを認めなかったときはどうなるのでしょうか。
そのようなケースが裁判で争われたことがあります。
事案の内容によって異なりますが、名義人のものではなく、口座に入金された金銭を出した人の財産と判断するという判決が多いです(末尾に参考判例1件を掲載しおりますのでご参照ください)。
ただ、裁判まで行くのは費用や手間から見て、大変でしょう。
お父さんやお母さんが生きている現時点で、将来のトラブルを防止する方策を考えておくべきでしょう。

【現在、法的に打てる手段は少ない】
現時点では、あなたの取れる法的な手段は少ないです。
あなたはお父さんが死亡した後には相続人になりますが、それは将来の話であり、現時点ではお父さんの財産について何らの権利も持っておられません。
以下に記載したようにお父さんとお母さんを説得するしかないでしょう。

【事前の対策(その1)・・お父さんらを説得する】
現在、お父さんとお母さんが生きているのですから、ご両親に相談してもらって、お父さんから出た分は、お父さん名義の口座に戻すのが、一番良い方策でしょう。
しかし、お父さんがなぜ、自分の名義ではなく、お母さんの名義に入金したのでしょうか。
その点をお父さんに確認する必要があります。
自分が死んだ後のお母さんの生活資金の前渡しというのであれば、それは生前贈与になる可能性もありますし、又、お父さんとしてもお母さん名義から自分名義の預金へ戻すことに賛成しないでしょう。
あるいは、税務対策などで、お母さんの名義を利用しているという可能性もあります。
このような場合には、名義をお父さんに変更した段階で税務調査が入るということにもなりかねませんので、その点も配慮が必要でしょう。

【生前の対策(その2)・・出所はお父さんである証拠を残しておく】
現在すべきことでもう一つ、大切なことがあります。
それは、お母さん名義の預金の出所がお父さんであることの証拠をちゃんと残しておくことです。
将来、訴訟になった場合にも役立ちますが、それよりも、ちゃんとした証拠を残しておれば、その証拠を見せるだけで相手方が納 得することも多く、紛争の防止に役立ちます。

【お父さんが死亡したときの対策】
お父さんが死亡した後、お父さんの遺産であることをお母さんが認めず、その預金を全部引き出しそうな場合には、お母さんが預金を引き出さないようにする手続きを取ることもできます。
仮差押えという手続きになりますが、裁判所に申立をして認めてもらえれば、あなたの法定相続分の限度でお母さんの出金をストップさせることも可能です。
ただ、裏付け証拠などを裁判所に提出しなければならず、又、迅速に手続きをしなければならないので、相続に詳しい弁護士に、早期の段階で相談されることをお勧めします。

【参照判例:東京高裁平成21年4月16日】
被相続人の妻名義の預金について、財産の出捐者や当該財産の管理及び運用の状況、妻名義にすることになった経緯等を考慮して、被相続人の相続財産であると認めた。
詳しくは【相続判例散策】被相続人以外の名義になっている財産を相続財産に含めることはできるのか?をご参照ください。
弁護士コメント:同趣旨の判例は上記以外にも他数ありますが、事案の内容によっては反対の判断をした裁判例もあります。

(弁護士 大澤龍司)

死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】


【質問の要旨】
死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】
平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました
ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております
財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)


【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】
お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。
そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう
ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。
お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。

【死因贈与と生前の使用】
 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。
仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです
そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。
ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。

【成年後見人と財産管理】
お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。
ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。
あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう
(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)

損害賠償請求権の相続【Q&A №512】


【質問の要旨】
回収できない損害賠償も相続財産となるか

記載内容  損害賠償 盗難 相続税

【ご質問内容】
父の預金通帳が盗難により不正出金され、警察の捜査の結果、犯人は逮捕されました。
裁判の結果、初犯のため執行猶予付の有罪判決が下されましたが、高齢の犯人に財産はなく、ギャンブル等で費消したため被害弁償の支払い能力は全くありません。
判決を前に父は亡くなりましたが、この場合、犯人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が発生し、それが相続財産になると聞きました。
犯人から全く弁償の見込みがないにも関わらず、請求権が相続財産になるのでしょうか。(被害額は数千万円になります)
また、相続財産となる場合、この請求権のみを放棄することは可能でしょうか

(鈴木)


【賠償請求権は相続財産になる】
お父さんの預金通帳が盗難にあったが、その犯人に弁済能力がないというケースでも、法律上はその損害賠償請求権は遺産になります
相続人としては、その債権を相続で取得しているのですから、その法定相続分に応じて、(実益はありませんが)犯人に対して損害賠償を請求することができますし、訴訟をすることもできます。

【一部の遺産だけを相続放棄することはできない】
法律上は相続放棄という制度があり、一定期間内に家庭裁判所に申述書を提出することで、相続財産を相続しない(正確には、相続人にならない)ことができます。
しかし、相続放棄はあくまで《全遺産を相続するか》、又は《全部を放棄するか》の二者一択であり、他の財産(預金や不動産)を相続しながら、賠償請求権だけを相続放棄するというようなことはできません

【相続税の課税対象は別問題】
ただし、上記の回答はあくまで法律の面からのものです。
法律上は相続財産でも、相続税上は相続財産にならないものがありますし、又、逆の場合もあります
例えば、生命保険金は原則として法律上は相続財産になりませんが、相続税の関係では相続財産として申告が必要です。
ところで、損害賠償請求権については、交通事故についてですが、末記のとおり、「被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償請求金は相続税の対象になりません」とする通達があります
税務上の問題として、この通達が本件のような《生前の盗難》という損害賠償にも適用されるのかということが問題になります。

【上記通達に対する弁護士コメント】
税務の問題であるので、最終的には税理士さんに相談されて結論を出されるといいでしょうが、参考として弁護士としてのコメントを付するとすると次のとおりとなります。
相続は、被相続人が《生前に取得した権利》を、相続人に移転させるものです。
これに対して、前記交通事故の場合の損害賠償請求権は、被害者である被相続人が《死亡後》に発生するものであり、生前に取得するものではありません。
そのため、《生前に発生した》盗難による損害賠償請求権については、《死亡後に発生した》前記交通事故の通達は適用されず、盗難の損害賠償請求権は相続財産になるものと考えられます。
ただ、この盗難の債権を全額遺産に入れるかどうかは別の問題です。
相続財産であるが、回収不可能で、実質的に価値がゼロであるとして申告する、そのような申告をどのように税務署に認めさせるのか、税理士の力の試されるところでしょう。
以上の記載はあくまで弁護士の見解です。
法律と税務とは異なりますし、税務署が私と同様な見解をもつかどうかもわかりませんので、より正確な意見を聞きたいのであれば相続に詳しい税理士に相談されるといいでしょう

【参考通達 タックスアンサーNo.4111 交通事故の損害賠償金

(弁護士 大澤龍司)

質問する

当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。

事務所での有料相談はこちら

直接、お聞きして、的確に回答します。今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。

最近の相続ブログ

アーカイブ

カテゴリー

大澤龍司法律事務所

〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-25
梅田プラザビル別館7階A703号

お気軽にご相談ください!(電話要予約)
お気軽にご相談ください!(電話要予約)
FAX:06-6361-6043 メールでのお問い合わせはこちら 月〜金曜日(祝日を除く)
    • 大阪メトロ堺筋線・谷町線「南森町」駅
      ...徒歩約7分
    • 大阪メトロ堺筋線・京阪電車「北浜」駅
      ...徒歩約10分
    • 大阪メトロ御堂筋線・京阪電車「淀屋橋」駅
      ...徒歩約15分
事務所ブログ 大原訴訟ホームページ

ページの先頭へ