大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続人名義の通帳が遺産分割対象であることを主張したい【Q&A №641】 0641

 


【質問の要旨】

他人名義の投信が遺産であると立証する方法

記載内容  投資信託 名義 管理 

【ご質問内容】

現在遺産分割の話し合い中です。
銀行口座Aは相続人1の名義ですが、実際には被相続人が管理し被相続人自身の金銭を振り込んで投資信託を運用していました。
相続人1は上記を否定し自身が管理していたと主張しています。また相続人1は被相続人の家から口座Aの最新の通帳を持ち出してしまいました。
被相続人の家には口座Aの通帳のうち繰越済みのものが残されていますが、被相続人の筆跡で書き込みがありました。
口座Aは被相続人が運用していたもので、預金や投資信託利益が相続対象であると考えましたが、この主張は可能でしょうか?
また、上記主張をするのに
・被相続人の家で保管している
・被相続人の筆跡で多くの書き込みがある
・投資信託購入の履歴がある
だけで足りるでしょうか?必要なものがわかれば教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。

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(アメリカンショートヘア)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産と言いたい場合、誰が何を証明するのか?】
相続人名義の投資信託していた場合、被相続人の遺産だと主張するためにはどのようにすればいいのかという質問です。
相続人名義ですが、それは被相続人の遺産だというのであれば、その点は、遺産だと主張する人が証明する必要があります。

【どのような事実を証明する必要があるのか?】
裁判では投資信託にかかわるあらゆる事情(諸般の事情)が考慮されますが、特に重視されるのは次の2点です。
① その投資信託の購入資金は誰が出したのか、また、その解約して払い戻しした金銭は誰が取得したのか?
② その投資信託の管理運営(買付、売却の指示)は誰がしていたのか。
上記①を証明するためには被相続人の口座の履歴と投資信託の入出金履歴を対比して検討する必要があります。
また、相続人には投資信託を買うような経済的余裕はなかったという点の調査も必要不可欠でしょう。
また、前記②を証明するには、証券会社から来る報告書がどこ宛に送付されてきたのかなども調べる必要があります。

【具体的な検討をすると・・】
前記①の原資を出したり利益を得たりした人が被相続人であれば、その投資信託は遺産になる可能性が高いです。
特に証券会社への買付等の指示を被相続人がしていた、また、報告書も被相続人の手元に送られていたというのであれば、遺産である可能性はさらに高くなります。
逆に前記①で原資を出したり利益を得たりした人が相続人であれば、その投資信託は遺産でなくなる可能性が高いということになります。
今回の質問では《通帳》は被相続人が管理していたはずなのに、現在は相続人が管理していたということのようです。
そのため、あなたのとるべき対策としては
① 原資の点:投資信託の原資を出し、利益を受けたのが被相続人であることを調査する。
② 管理の点:口座の管理については、繰越前の通帳があることで、被相続人が管理していたことがある程度推測されます。
現在の通帳は相続人が管理しているようですが、証券会社などが被相続人宛に報告書を送付していたのなら、被相続人が管理をしている証拠として使えると思いますので、その点の手配もするといいでしょう。

【証明する場合に注意すべき事項】
裁判所は事実を重視します。
事実とは、銀行や証券会社の取引履歴などは客観的な資料であり、これを前提として、証明を展開していくといいでしょう。
このような客観的事実を無視して、《あの人がこう言った、ああ言った》という点は、裁判所はあまり重視しませんので、その点は十分に理解しておくと言いでしょう。
なお、参考例として私が担当した事件(解決例:控訴審から受任し、原審の12倍の6000万円を獲得した大逆転事件)をご覧ください。
ある程度共通するところがあり、参考になると思います。

委任状無しに多額の払い戻しをするのでしょうか【Q&A №636】 0636

 

【質問の要旨】

委任状なしに払い戻した銀行の姿勢

記載内容  委任状 払戻 不正出金 

【ご質問内容】

父の相続に際し、多額の使途不明金問題が発生しました。
相続人は、兄、私、妹の3人です。母はすでに亡くなっています。
父は生前、軽度の認知症がありましたが、兄一家と同居していました。
父の取引履歴を取り寄せたところ、一度に300万、400万、500万、600万という高額な払戻し(現金で持ち帰り)があり、全て一つの銀行です。
銀行に伝票をとりよせたら全てが兄嫁の筆跡でした。
そこで銀行に、父が引出しの際に同席したかどうかを確認すると「同席はしていないが、同居のお嫁さんだから問題ない。父には電話確認した。」と回答されました。
さらに引出しの際の委任状も開示を求めましたが、「同居のお嫁さんだから委任状の必要はない」と回答がありました。
私としては、数百万もの大金をたとえ同居人であっても口座名義人でない人に渡す銀行の対応に驚いているのですが問題ないのでしょうか?

636
(みい)

 ※敬称略とさせていただきます。

【基本は通帳と印鑑の一致で確認】

最近の金融機関は本人確認が厳格になってきているため、大口の金額を窓口出金する場合、本人確認や委任状を要求することが一般的になってきています。
 他方で、未だに同居の親族の出金について、本人の体調不良などを申し出れば、委任状がなくとも親族の本人確認証(免許証等)を確認して出金に応じるようなケースも相続案件で見られます。
 しかし、銀行が通帳と届出印鑑の一致を確認していたのであれば、よほど無権限であることを疑わせる特殊な事情がない限り、引き出しについて銀行の責任を認められることはありません。
もちろん、なにか疑わしい事情があれば裁判所も銀行の責任を認めることはあるでしょうが、やはり例外的と考えざるを得ません。
それくらい通帳と届出印鑑を持参した、という事実は重いのです。

【委任状ではなく「父の意思確認」の有無が重要】

しかも、銀行は「父には電話確認した」と一応の本人確認手続を行った事情があるようですので、本人の意思確認もしているようですから、これらの立証を崩さない限り、銀行の出金手続が違法であるとは言いにくいと思われます。
 厳密に言えば、重要なのは委任状の有無ではなく、「父の意思確認」の有無なのです。
本人の意思確認ができたのであれば、委任状でも、電話確認でも、あるいは本人同席の下で伝票記載を兄嫁が代行しても構いません。
 本件で銀行に対する責任追及、というのは難しいでしょう。

【問題は本人の意思が反映されたか否か】

仮に銀行の手続に問題があったとしても、結局のところ本人の意思が反映された出金であれば問題ありません。たとえば、父が兄嫁に対し「全額引き出して構わない。」とか「贈与する」などという意思を伝えていれば出金は権限に基づく適法なものということになります(実際上このような事態は考えにくいかもしれませんが)。
 そのため、今回は銀行に対する責任よりも、兄嫁(ないしその夫である兄)に対して引き出した預金をどこに移動させたのか、どのような使途に使ったのか、という点を問い質していくことが現実的な方策といえるでしょう。

(弁護士 北野英彦)


相手の説明の変更について裁判への影響【Q&A №635】 0635

 

 

【質問の要旨】

不正出金を追求する方法

記載内容  遺産分割 引出し 頼まれた 

 

【ご質問内容】

 昨年86歳で亡くなった母の遺産分割で、母と同居していた弟夫婦から相続放棄を求められています。

理由は「母の財産はほとんど無いから」との事です。

(父は他界しており、母の遺産の相続人は私と弟の二人だけです。)

そこで、弟夫婦に対して母の財産管理について確認すると「私達は母の通帳を管理していない。母が亡くなって初めて母の通帳を見たら残額が無くなっていた。」や「預金については母が自分で引出しをしていた。私達夫婦は関わっていない。」とメールで回答が来ました。

私としては、母が父から3000万円もの預金を相続したのに、わずか2年で使い切るなど考えられませんでしたし、母には比較的多額の年金収入もあり預金を崩す事も考え難いので、母の取引履歴と引出し伝票を取り寄せました。

すると引出しのほとんどが弟の勤務先近くのATMで月に数十万円も引き出されており、ATMで引き出せない額については弟の筆跡のある伝票が出てきました。

それを弟夫婦に伝えたところ、「全ての引出しは母の頼まれたからです。」とメールで回答が来ました。

今回教えて頂きたいのは、2点あります。

1)これだけの証拠で裁判で戦えるのでしょうか?

私が証明できるのは、①母の預金を弟が引き出した事、②それが多額過ぎる事(不自然だというとこ)だけです。

2)上記の通り、取引履歴を取る前と後で弟夫婦の回答が変わっています。

これは裁判で使える事なのでしょうか?

【補足】

ご質問させて頂いた内容について、お伺いしたい内容が明確でなかったかと思い補足させて頂きたく投稿致しました。

真にお伺いしたい事は、取引履歴の取得前と後で、相手の説明が変更となることについて裁判にどう影響するかどうかです。(まだ裁判はしていませんが)

〈取得前の弟の説明〉

母の財産管理については「関わっていない。残高も知らない。引出しも行っていない」という説明

〈取得後の弟の説明〉

「全て母に頼まれた。引き出したお金も全部母に手渡した」という説明

に変わりました。

この変化について裁判に影響はありますでしょうか?

 

(はって2344)

 ※敬称略とさせていただきます。

【弟が出金したことについては、ある程度証拠がそろっている】

出金状況については、すでにだいたい調査をされ、弟の勤務先近くのATMや、弟の筆跡の出金伝票でもって出金されたことが明らかになっているようであり、弟も自身が出金したことをメールで認めているようです。

他に母の有していた口座はないか、追加の調査が必要となる可能性はありますが、それを除けば、「弟が出金した」という事実については、証拠がある程度そろっているといえます。

 

【ただ、出金した金員を弟が取得したことの証拠は不十分】

ただ、使途不明金の返還を求めるためには、弟が母の預金を出金したという事実だけでは足りません。

現在、弟は「母に頼まれて出金した」という主張をしているようであり、「出金した金員は母に渡したから何に使ったかは知らない」といわれてしまえば、出金した金員を弟が取得した事実については、あなたが立証しなければなりません。

この立証はなかなか難しく、

1.出金金額が多額であるか(一般に月に十数万円程度なら生活費相当額と判断されやすい)

2.母が金員を必要とする理由があったか

3.それまでの母の出金態様と弟が出金を始めてからの出金態様に変化があるか

等の事実をうまく利用して、母が使ったとの弟の証言が不自然であることを主張していくことになります。

また、当時母に意思能力がなければ、弟に対して出金を依頼するということも不可能ですので、もしもその可能性があるのであれば、当時の母のカルテや診療記録を取り寄せして確認することが必要になります

 

【弟の説明が変わっていることも不自然さの証拠の一つにはなる】

最後に、あなたによる調査前と調査後で弟側の説明が変わった点ですが、事実を隠蔽しようとしている節が見受けられ、発言に信用性がないということで、他の証拠と合わせて、弟が出金した金員を取得したことの証拠の一つにはなりえます。

ただ、発言の変遷だけで、弟が取得したことの立証ができたとはいえませんので、あくまでも上記に述べたとおりの他の事実と合わせて、効果を発揮するものといえるでしょう。

(弁護士 岡井理紗)


相続後の不動産の遺産分配について【Q&A №633】 0633

 

【質問の要旨】

登記完了後の代償金請求

記載内容  遺産相続 登記 現金で要求 

【ご質問内容】

父はすでに他界しており、母が今年死亡しました。

相続人は私(長男)と姉(長女)です。 母の住んでいた実家の土地、家屋の遺産相続は長男の私の相続として、すでに登記が終了しております。

その時点では姉も納得していたのですが、今になって価値の半分を現金で要求されています。

法律的にこの要求は正当でしょうか?

尚、預金等は折半しています。

(ブラウン)

 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産分割協議書を作成しているか】

相続が発生すると、その相続人らは協議をし、遺産をどのように分けるか話し合います。

話し合いの結果、分け方が決まれば、その内容を「遺産分割協議書」という書面にし、相続人全員が署名及び実印での捺印をして印鑑証明書を添付します。

各相続人らは、この遺産分割協議書をもって、銀行手続や登記手続きを行うということになります。

今回、あなたはすでに、実家の土地建物について、登記を済ませたとのことですので、おそらく遺産分割協議書を作成しているのだと思われます。

【遺産分割協議書を作成していれば、その内容通りの分割になる】

お姉さんとしては、遺産分割協議の際に、「あなたに不動産は渡すけど、価値の半分を代償金として支払ってくれ」という主張をすることはできましたし、その主張はもっともなものといえます。

ただ、代償金をもらわない前提の遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしたとなると、その内容を理解し、納得していたとみなされますので、それに反した主張をすることは難しいです。

そのため、あなたとしては、遺産分割協議書ですでに合意しているのだから、それ以外の請求には応じることはできない、とお姉さんに伝えるとよいでしょう 。

(弁護士 岡井理紗)


連帯債務の住宅ローン支払い【Q&A №626】 0626

【質問の要旨】

子が支払った父の住宅ローン

記載内容   住宅ローン 立て替え 

【ご質問内容】

【ご質問内容】 (亡)父親を主債務者、連帯債務者、息子(相談者)で住宅ローンをくんでおりました。

ローンの支払いは私がずっとしていたのですが、父親名義の通帳に現金で入金しておりました。

私の記載はありません。

今回、遺産分割協議となり、立て替えたお金の返還請求をしたいのですが、どう立証すればよいのでしょうか。

生活費の入金10万ローンの支払い4万を同日入金しております。 年金暮らしの父親には、財産はなく、14万の入金は絶対に無理なのですが。

 

(コマッタ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【貸金の場合、何が問題となるか】
父名義の不動産だが、相談者がそのローンの支払いをしているという事案です。
父親に対する貸金の返還請求をしたいとのことですが、あなたが父親にお金を貸したという点の証明ができるかが問題になります。
あなたから父に銀行送金でされている場合には、金銭の移動は父の通帳の履歴で簡単に証明できます。
この場合は、その送金が返還を前提とした貸付けか、それとも贈与かという点だけが問題になります。
しかし、今回のように父に現金で渡して、父口座に入金され、そこから住宅ローンの引き落としがされているという場合には、その現金の入金は履歴でわかりますが、あなたがその原資を出しているということを他の相続人に納得してもらう必要があります。

【具体的に証明する必要があるのは・・】
他の相続人を納得させるには次のような事情を説明、証明する必要がありそうです。
① 父への現金入金が毎月されていること
 ・・この点は父の預金履歴で証明できるでしょう。
② あなたの口座から、父への入金の前(直前が望ましい)に、父への入金相当額が引き落としされていること
 ・・この点は、あなたの口座の履歴で証明できるでしょう。
③ 父は、住宅ローンの原資に該当するような毎月の収入がないこと
 ・・この点の証明はできるのか、検討が必要です。
④ あなた以外に父に住宅ローンの原資を渡す人はいないこと
 ・・この点もどのように証明するのか、難しいところです。
⑤ 父への金銭の交付は貸金である(返還を前提として渡している)こと
 ・・父が死亡している現在、その点の証明がどの程度できるかも難しい点でしょう。

【他の相続人が納得するかどうか・・】
もし、裁判であれば、前項の①から⑤を証明して、裁判所が納得してくれるように証明していくことが必要です。
今回の案件では、他の相続人が納得するような証拠を出す必要があります。
具体的な事実関係が不明ですが、証明に困難を感じる案件のように思います。
お近くの相続に詳しい弁護士に事実を詳しく説明をし、どのような方策があるかを聞き、交渉の参考にされるといいでしょう。

【連帯債務ということについて】
質問には、あなたが《連帯債務》と記載されています。
もし、あなたが《連帯債務》を負っているのなら、あなた自身が自分の名義で返済できたのではないかという疑問があります。
父が主債務者とあるので、おそらく《連帯保証》の間違いだと思われます。
また、仮に《連帯債務》であったとしたら、不動産名義は共有になっているのではないかという疑問も出てきます。
いずれにせよ、法律問題もありますので、弁護士に早急に相談される必要がありそうです。


相続放棄する代襲相続人の謝礼金【Q&A №610】 0610

【質問の要旨】

遺産を相続しない承諾料(ハンコ代)の相場

記載内容  ハンコ代 承諾料 放棄

【ご質問内容】

父方の叔父が亡くなり、叔父の書いた遺言書により叔母が家、土地、預貯金、生命 保険、を相続する事になりました。

司法書士事務所より父が他界しているため遺産分 割協議書が送られてきて、印鑑証明書とともに実印を押して、送り返して欲しいとの 事でした。

私の方には貰える現金は無く、謝礼として、商品券5千円が同封されてい ました。

謝礼金の相場としては適正なのでしょうか。

ちなみに私には叔母がいくら相続するのかは知らされていません。

(みーちゃん)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【兄弟には遺留分がないが、念のために遺言書の確認が必要】

配偶者や子のいない叔父が死亡したのであれば、叔父の兄弟である、あなたの父が相続人になります。

父が死亡しているのであれば、父の子(すなわちあなた)が代襲で相続人になり、叔父の遺産をもらうことができます。

ただ、叔父が遺言書を書いており、その内容が他の人に遺産を全部相続させるという内容であれば、あなたには遺産が来ることはありません。

これは兄弟には遺留分が認められない(民法第1028条、【コラム】遺留分とは)からです。

今回の質問の場合、遺言書に問題がないのであれば、あなたの同意や印鑑なしで登記ができるはずです。

にもかかわらず、あなたの印鑑が必要だというのはどうしてでしょうか、という疑念があります。

そのため、遺言書が本当に叔父の意思に基づくものか、あるいは遺言書作成人時に叔父に意思能力があったかどうかは念のために確認しておくといいでしょう。

なお、公正証書遺言であれば、原則として遺言書としての有効性については問題がないと思われますが、その場合でも遺言書の内容を確認しておく必要があるでしょう。

【承諾料の基準はこんな事情を考慮して決定する】

承諾料というのは、不動産登記をする場合や不動産からの立ち退きをするような場合に、登記をしたい人や立ち退きをさせたい人が出す金銭のことであり、登記などのときにはハンコ代ということもあります。

ハンコ代がどの程度が妥当かは、ケースにより異なります。 例えば借地権譲渡の場合のように借地権価格の10%程度という、ある程度の基準が決まっていることもありますが、多くの場合には金額が決まっていないと言っていいでしょう。

ただ、次のような点を考慮されることが多いので、金額決定の際に参考にされるといいでしょう。

① あなたの側に何らかの権利があるのか、ないのか。

もし、権利があるのなら、その権利を金銭的に換算した金額が承諾料になるでしょう。 冒頭に遺言書が有効かどうかを確認しなさいと言ったのはこのような観点からです。

② 手続きの手間を省くための承諾料なら、その手間を省くことにより得る相手方の利益   

相手方に権利があるとしても、その権利を実現するためにはあなたの印鑑が必要なケースがあります。  

例えば、遺言書があっても自筆の場合には、金融機関によっては、相続人全員の同意が必要というところもあります。

そのような場合、相手方としては、あなたの印鑑がとれない場合、裁判をせざるをえません。

裁判すれば時間や手間もかかり、又、弁護士(費用)も必要でしょう。 その手間や費用等を省くためにどの程度を出すべきかを考えることになります。

③ 相手方との人間関係も考慮要素である。

あなたと相手方とがどのような人間関係にあるかも承諾料に影響します。

いつもお世話になっている人なら、相手方の申し出た金額に反論はむずかしいかもしれません。

反面、そのような関係にない場合には、前記①または②も考慮した金額を請求してもいいということになります。

【今回の商品券は妥当か】

以下は私(弁護士大澤龍司)の私見ですが、参考にされるといいでしょう。

あなたに何らの権利がないとした場合、

① 遺産総額が10万円程度なら、今回の承諾料が商品券5000円でもやむを得ないとは思います。

② 遺産総額が100万円ということなら3~5万円という程度。

③ 遺産総額が1000万円ということなら2

0~50万円程度。

以上はあくまで長年の経験からくるものであり、これらの金額を基準にして具体的な事情で増減していくというのが私のやり方です。


遺産相続における話合いのでの合意の破棄【Q&A №606】 0606

【質問の要旨】

死亡後の不動産賃料の扱いはどうなるのか

記載内容  家賃 死亡後 承継

【ご質問内容】

2年前に父が他界し、兄と妹の兄弟3人で相続の手続き中です。

3人の話合いの際、実家の2世帯住宅に家賃を払って住んでいた兄夫婦を当座の実家の管理者として住み続けてもらうことに一旦合意したものの、その後話し合いがこじれ、現在、家裁での家事調停中です。

そこで、当初の合意を破棄し、亡くなった父と兄との賃貸契約が継続しているとみなし、父の死後の家賃を遺産分割に反映させたいと考えているのですが、可能でしょうか。

また実家の隣の父が所有していた空地を兄の妻の会社の駐車場として父と賃貸契約を結んでいたのですか、そちらも父の死後も契約が継続しているとみなし、遺産分割に反映させることはできますでしょうか。

 
(John)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃料は相続分で分割する】

今回の質問では、遺産の中には、亡父が、①兄に賃貸していた物件と②兄の妻の会社に賃貸していた物件の2つがあります。

遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃貸物件から上がる収益(賃料)を誰が取得するのかについては最高裁の裁判例(リンク:最一判平成17年9月8日)があります。

同裁判例は、賃料をもらう権利は遺産分割とは別であること、遺産分割が完了するまでは、賃料は法定相続人がその法定相続分に応じて取得すると判断し、その後、裁判は全て、この判例に従って判断をしています。

そのため、あなたは今回の上記①及び②の賃料の3分の1をもらう権利がありました(この点は本ブログQ&A №593をご参照下さい)。

なお、念のために言えば、この賃料をもらう権利は、あなたが相続人になったことにより、亡父の賃貸人としての地位をあなたも3分の1の限度で引き継いだということから発生するものであり、他の相続人(例えば兄)の同意はなくとも、当然に請求ができます。

【兄に対する請求について】

まず、兄が居住している①の物件ですが、既に賃料は請求しないという《合意》が成立したのであれば、その合意は有効です。

したがって、今更、その合意を撤回することはできません。

ただ、合意の内容やその合意した時の状況に応じて、合意が無効だといえる場合があるかもしれませんが、質問にはそのようなことは記載されていません。

もし、そのような状況があるのであれば、一度、お近くの弁護士と法的対処が可能かどうかを相談されるといいでしょう。

ただ、兄のする管理の手間と賃料とを比較して、賃料の方が多額でバランスが取れないということであれば、あなたとしては《賃料の免除》という大幅な譲歩をしているので、その点を考慮して、兄は遺産分割の取り分を少なくするべきだと主張するしかないでしょう。

【駐車場の賃料は、遺産分割合意までは請求できる】

前記②の駐車場の賃料については、父死亡後の賃料の3分の1を請求されるといいでしょう。

この請求は遺産分割とは全く別ですので、分割の合意ができなくとも請求可能です。

なお、念のために言えば、遺産分割の合意ができ、その駐車場を相続する人が決定した段階から、その人が単独で賃料を取得することになります。


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