大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺言に従って預貯金を相続する際の手続【Q&A №678】

 

 

【質問の要旨】

・銀行にある遺産を相続人二人で分割したい。
・公正証書遺言には「二分する」とだけ記載があり、具体的な口座の指定等はない。
・遺産分割協議書は、司法書士に「必要ない」と言われたので作成していない。
・相続人のうち一人が不在の時は相続手続きできないのか?

 

 

【回答の要旨】

・具体的な分け方については遺産分割協議が必要
・銀行によって手続きに必要な書類は異なるので確認が必要

 

【ご質問内容】

銀行にある資産を相続人二人で分けるのですが、公正文書には二分するとだけの記載がありいくつかある銀行のうちどの銀行からどうするとか具体的な記載はありません。
司法書士さんは分割協議書は必要ないと言われたので作っておりません。
もし銀行のある相続人Bの町に相続人Aが行くのが困難な場合、相続人A が委任状などを提出して相続人Bと司法書士さんで分割はやってもらえないのでしょうか。
相続人Aの銀行通帳などは相続人Bに預けてあります。
相続人は二人だけで、二人の間には相続に関して問題はありません。
司法書士さんは二人ともそろっていなければ銀行からの相続はできないと言われました。
A から委任状を出しても無効だと言われました。
Aが不在では全くできないのでしょうか。
あるいは銀行によってできるとかできないとかがあるのでしょうか。
では病気とか動けない場合などにはどうなるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

(相続銀子)



 ※敬称略とさせていただきます。

【具体的な分け方については遺産分割協議が必要】

「公正文書」というのが、公証役場で作成された公正証書遺言のことを指していると解釈して、回答させていただきます。
公正証書遺言に、「A及びBに2分の1ずつ相続させる」と書かれているのみで、具体的にそれぞれがどの財産を相続するのかについての記載がない場合、金融機関としては、だれに払い戻しをすればよいのかわかりません。
また、仮にそれぞれがどの財産を相続するのか明らかでなくても、解約する権限が誰にあるのかが明らかであれば、金融機関は権限を持つ者に払戻をすることができますが、上記の記載だけでは、それも明らかになっていませんので、金融機関としては払い戻しができません。
そのため、相続人らは、話し合い(遺産分割協議)をして、どの財産をどのように分割するか決める必要があります。
あなたが書いておられるように、相続人Aに手続きをすべて任せることも可能ですが、その場合には、相続人Aが信頼できる人であっても、「すべての財産をAとBがそれぞれ2分の1ずつ分割する」「相続人Aが代表して払戻手続をし、完了次第Bに2分の1相当分を支払う」というような内容の遺産分割協議書を作成しておくのが望ましいです。

【銀行によって手続きに必要な書類は異なるので確認が必要】

実際に払戻手続をする際に、銀行に提出しなければならない書類は、銀行によって異なります。
遺産分割協議書が必要な金融機関もあれば、金融機関ごとに独自の「相続手続依頼書」というような書面に相続人全員が署名押印することを求める金融機関もあります(一般的な「委任状」ではなく、金融機関ごとに必要な書面は異なりますので、各金融機関に確認する必要があります)。
そのため、相続人Aに病気などの事情があって銀行まで行くことができないのであれば、ABそろって銀行へ行かなくとも、上記「相続手続依頼書」などの書面で相続人Bを代表相続人と指定すれば、相続人Bがすべての払戻手続などをすることが可能です。
この場合、金融機関から払い戻された預貯金は、相続人B名義の口座に一旦振り込まれ、相続人Aとしては、相続人Bから2分の1相当額を振り込んでもらうことになります。
なお、遺産分割協議書であれ相続手続依頼書であれ、実印での 押印が必要となり、印鑑登録証明書も添付しなければならないことが通常です。
また、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)や住民票除票、相続人全員の戸籍謄本などの戸籍関係については、どの金融機関でも必要になります。

(弁護士 岡井理紗)


遺産分割協議を無効にできないか【Q&A №676】

 

 

【質問の要旨】

・長男の発案で、マンションを建設。ローンは父名義。
・父の死亡後は、母が相続。
・母の死亡後、長男が「ローンの返済にすべての財産がいる」と言ったため、
遺産分割協議書にサインしたが、ローン以上の遺産があったことが判明。
・遺産分割協議を無効にできるか?

 

 

【回答の要旨】

・遺産分割協議書にサインをすると、その内容が有効となる
・遺産分割協議を無効にするのは非常にハードルが高い
・ハードルは高いが、錯誤があったことの証拠を探してみる

 

【ご質問内容】

相続人の両親が生前、長男が固定資産税・相続税対策のために、マンションを建設することを考案した。
何十年後に元が取れると言って説得し、建設土地の名義人である父親にローンを組ませ、その後、母親が相続し、10年前母親が亡くなった後、長男がローンの返済に全ての財産がいると言って、長男がすべてを相続するという遺産分割協議書にサインをさせられる。
分割協議後の長男の贅沢な暮らしぶりやローン以上の資産が財産としてることが判明。
遺産分割協議を無効としたいのですが、可能でしょうか。

(syu)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産分割協議書にサインをすると、その内容が有効となる】

たしかに、あなたには母の遺産のうち、自分の相続分に相当する分を相続する権利を持っていました。
それが、「長男にすべて相続させる」という内容の遺産分割協議書にサインをしたことにより、相続できなかったことになります。
ただ、あなたが既に遺産分割協議書にサインをして実印を押してしまったのであれば、その内容が有効であり、その内容が相続分からして妥当な分け方になっていなかったとしても、対外的には、「長男にすべて相続させる」という内容が有効になってしまいます。

【遺産分割協議を無効にするのは非常にハードルが高い】

とはいえ、遺産分割協議を無効にすることがまったく不可能というわけではなく、遺産分割の重要な事実について錯誤があった場合には、錯誤による無効が認められる場合もあります。
たとえば、白紙の遺産分割協議書にサインをさせられ、後で長男が内容を埋めて完成させた、という場合、白紙の遺産分割協議書にサインをしたということを立証できれば、無効になる可能性があります。
それ以外にも、長男から「相続財産はこれだけしかない」と虚偽の報告をされたために遺産分割協議書にサインをしたが、実は他の財産の存在を隠されていて、後で他の財産があることがわかったというような場合にも、無効にできる余地はあります。
ただ、この場合には、あなたの方で、長男の虚偽報告内容を立証する必要がありますし、あなたが遺産内容の確認を怠った場合には、あなたに重過失があると判断され、錯誤無効が認められない場合もあります。

【ハードルは高いが、錯誤があったことの証拠を探してみる】

以上の通り、いったん署名をして実印を押した遺産分割協議書を無効にするのは、非常にハードルが高いです。
今回のケースでも、長男が遺産に関する情報を独り占めしてあなたに確認できないような状態にし、遺産内容についてあなたに虚偽の事実を述べた事実を証明しない限り、無効にすることはできないと考えるべきです。
そのため、当時長男にどのような情報を与えられていたのか、当時知らなかった新しい財産としてどのような財産があったのかを踏まえ、上記の点を証明できる資料(当時のメールや遺産分割協議にまつわる書面など)があるかを確認すべきでしょう。

(弁護士 岡井理紗)


遺産分割の話し合いが難航した場合の手続【Q&A №663】

 

【質問の要旨】

・亡父名義の土地・家屋を相続登記しないうちに、母死亡。
・母の遺言書は「相談者にすべての財産を相続させる」という内容。
・姉と遺産分割協議がまとまらない。
・固定資産税を相談者が支払っているが、姉にも支払わせる方法はあるか?
・税未納で競売になった場合、競売代金は相談者に全額支払われるか?

【ご質問内容】

父が死んで、(土地、家名義は父親)、相続登記しないうちに、母が死にました。
母の遺言書は(検認済み)は、私(長男)にすべての財産を相続させる、との内容でした。
それで、他の相続人である姉(結婚して遠方に住んでいる。)との話し合いがつかなかったので、市から送られてきた固定資産税の代表者を放置しておいたところ、勝手に市が職権で私を代表者にして、固定資産税の納入書類を送ってきました。
それには、○○(私の名前)外、と書かれていました。
1、それで、姉に連帯債務だから、固定資産税の相続分を支払ってくれ、といっても、応じてくれません。
それで、差し押さえされると困るので、私が全額支払っている状態です。
年間10万円ぐらいですが、5年間払っているので、姉にも支払わせたいのですが、何か方法はありませんか?(代表者の変更にも応じてくれない)
訴訟しても、金額が低いので、訴訟もできません。
2、このまま、しはらわないで、固定資産税が未納の状態であったため、市が債権者代位により法定相続分で相続登記をしてしまって、差し押さえ、競売と進んでいった場合、競売代金は、相続人代表者である私に全額支払われるのでしょうか?
受け取って、後で、姉に相続分をわたせばいいのでしょうか?

 

(nanba)


 ※敬称略とさせていただきます。

【現段階での不動産の帰属と固定資産税の負担について】

母はあなたに遺産全部をくれるという遺言書を作成しています。
ただ、父の遺産分割が終わっていませんので、父の遺産分割の手続きが必要になります。
そのため、遺産である不動産は
あなた 合計4分の3(父から4分の1+母から(遺言で)2分の1)
 姉   父から相続した4分の1
の割合で所有していることになります。
そのため、あなたは姉に固定資産税の負担を請求することができます。
現在、既に請求されているようですが、姉には4分の1の負担を求めるのが相当でしょう。
ただ、あなたがその不動産に居住しているようであれば、あなたが全額を負担することになるでしょう。

【姉が支払いをしない場合は調停を申し立てる】

姉との話し合いが難航しており、遺産分割協議がまとまらないのなら、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てるのが解決への近道です。
調停はあくまで双方の合意を成立させるための手続にすぎず、裁判のように一刀両断に判決を下す手続ではありません。
調停では、主として不動産をどのようにするのか、あなたが全部取得し、代償として姉に不動産の4分の1に相当する金銭の支払いをするのか、などの解決を目指すことになります。
その過程で、姉の未払い分の固定資産税も精算され、問題も解決するものと思われます。
なお、調停が不調になれば、裁判所が審判(家裁でする裁判)で結論を出します。

【滞納固定資産税の扱い】

行政としては、固定資産税等が未払いの場合、滞納処分として問題の不動産を公売することがあります。
この場合、売却代金ですが、全額があなたに配当されるわけではありません。
この代金は、固定資産税のような租税債権や公売費用などの必要経費が控除され、残額は相続分に応じて配分されます。
その結果、売却代金残額の4分の1は姉にも配当されることになります。
なお、あなたが立て替えた固定資産税5年分の金額は、別途姉に対し請求するほかなく、公売代金から直接差し引いてあなたが受け取ることはできません。


相続人名義の通帳が遺産分割対象であることを主張したい【Q&A №641】 0641

 


【質問の要旨】

他人名義の投信が遺産であると立証する方法

記載内容  投資信託 名義 管理 

【ご質問内容】

現在遺産分割の話し合い中です。
銀行口座Aは相続人1の名義ですが、実際には被相続人が管理し被相続人自身の金銭を振り込んで投資信託を運用していました。
相続人1は上記を否定し自身が管理していたと主張しています。また相続人1は被相続人の家から口座Aの最新の通帳を持ち出してしまいました。
被相続人の家には口座Aの通帳のうち繰越済みのものが残されていますが、被相続人の筆跡で書き込みがありました。
口座Aは被相続人が運用していたもので、預金や投資信託利益が相続対象であると考えましたが、この主張は可能でしょうか?
また、上記主張をするのに
・被相続人の家で保管している
・被相続人の筆跡で多くの書き込みがある
・投資信託購入の履歴がある
だけで足りるでしょうか?必要なものがわかれば教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。

641


(アメリカンショートヘア)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産と言いたい場合、誰が何を証明するのか?】
相続人名義の投資信託していた場合、被相続人の遺産だと主張するためにはどのようにすればいいのかという質問です。
相続人名義ですが、それは被相続人の遺産だというのであれば、その点は、遺産だと主張する人が証明する必要があります。

【どのような事実を証明する必要があるのか?】
裁判では投資信託にかかわるあらゆる事情(諸般の事情)が考慮されますが、特に重視されるのは次の2点です。
① その投資信託の購入資金は誰が出したのか、また、その解約して払い戻しした金銭は誰が取得したのか?
② その投資信託の管理運営(買付、売却の指示)は誰がしていたのか。
上記①を証明するためには被相続人の口座の履歴と投資信託の入出金履歴を対比して検討する必要があります。
また、相続人には投資信託を買うような経済的余裕はなかったという点の調査も必要不可欠でしょう。
また、前記②を証明するには、証券会社から来る報告書がどこ宛に送付されてきたのかなども調べる必要があります。

【具体的な検討をすると・・】
前記①の原資を出したり利益を得たりした人が被相続人であれば、その投資信託は遺産になる可能性が高いです。
特に証券会社への買付等の指示を被相続人がしていた、また、報告書も被相続人の手元に送られていたというのであれば、遺産である可能性はさらに高くなります。
逆に前記①で原資を出したり利益を得たりした人が相続人であれば、その投資信託は遺産でなくなる可能性が高いということになります。
今回の質問では《通帳》は被相続人が管理していたはずなのに、現在は相続人が管理していたということのようです。
そのため、あなたのとるべき対策としては
① 原資の点:投資信託の原資を出し、利益を受けたのが被相続人であることを調査する。
② 管理の点:口座の管理については、繰越前の通帳があることで、被相続人が管理していたことがある程度推測されます。
現在の通帳は相続人が管理しているようですが、証券会社などが被相続人宛に報告書を送付していたのなら、被相続人が管理をしている証拠として使えると思いますので、その点の手配もするといいでしょう。

【証明する場合に注意すべき事項】
裁判所は事実を重視します。
事実とは、銀行や証券会社の取引履歴などは客観的な資料であり、これを前提として、証明を展開していくといいでしょう。
このような客観的事実を無視して、《あの人がこう言った、ああ言った》という点は、裁判所はあまり重視しませんので、その点は十分に理解しておくと言いでしょう。
なお、参考例として私が担当した事件(解決例:控訴審から受任し、原審の12倍の6000万円を獲得した大逆転事件)をご覧ください。
ある程度共通するところがあり、参考になると思います。

委任状無しに多額の払い戻しをするのでしょうか【Q&A №636】

 

 

 

【質問の要旨】

委任状なしに払い戻した銀行の姿勢

記載内容  委任状 払戻 不正出金 

【ご質問内容】

父の相続に際し、多額の使途不明金問題が発生しました。
相続人は、兄、私、妹の3人です。母はすでに亡くなっています。
父は生前、軽度の認知症がありましたが、兄一家と同居していました。
父の取引履歴を取り寄せたところ、一度に300万、400万、500万、600万という高額な払戻し(現金で持ち帰り)があり、全て一つの銀行です。
銀行に伝票をとりよせたら全てが兄嫁の筆跡でした。
そこで銀行に、父が引出しの際に同席したかどうかを確認すると「同席はしていないが、同居のお嫁さんだから問題ない。父には電話確認した。」と回答されました。
さらに引出しの際の委任状も開示を求めましたが、「同居のお嫁さんだから委任状の必要はない」と回答がありました。
私としては、数百万もの大金をたとえ同居人であっても口座名義人でない人に渡す銀行の対応に驚いているのですが問題ないのでしょうか?

636
(みい)

 ※敬称略とさせていただきます。

【基本は通帳と印鑑の一致で確認】

最近の金融機関は本人確認が厳格になってきているため、大口の金額を窓口出金する場合、本人確認や委任状を要求することが一般的になってきています。
 他方で、未だに同居の親族の出金について、本人の体調不良などを申し出れば、委任状がなくとも親族の本人確認証(免許証等)を確認して出金に応じるようなケースも相続案件で見られます。
 しかし、銀行が通帳と届出印鑑の一致を確認していたのであれば、よほど無権限であることを疑わせる特殊な事情がない限り、引き出しについて銀行の責任を認められることはありません。
もちろん、なにか疑わしい事情があれば裁判所も銀行の責任を認めることはあるでしょうが、やはり例外的と考えざるを得ません。
それくらい通帳と届出印鑑を持参した、という事実は重いのです。

【委任状ではなく「父の意思確認」の有無が重要】

しかも、銀行は「父には電話確認した」と一応の本人確認手続を行った事情があるようですので、本人の意思確認もしているようですから、これらの立証を崩さない限り、銀行の出金手続が違法であるとは言いにくいと思われます。
 厳密に言えば、重要なのは委任状の有無ではなく、「父の意思確認」の有無なのです。
本人の意思確認ができたのであれば、委任状でも、電話確認でも、あるいは本人同席の下で伝票記載を兄嫁が代行しても構いません。
 本件で銀行に対する責任追及、というのは難しいでしょう。

【問題は本人の意思が反映されたか否か】

仮に銀行の手続に問題があったとしても、結局のところ本人の意思が反映された出金であれば問題ありません。たとえば、父が兄嫁に対し「全額引き出して構わない。」とか「贈与する」などという意思を伝えていれば出金は権限に基づく適法なものということになります(実際上このような事態は考えにくいかもしれませんが)。
 そのため、今回は銀行に対する責任よりも、兄嫁(ないしその夫である兄)に対して引き出した預金をどこに移動させたのか、どのような使途に使ったのか、という点を問い質していくことが現実的な方策といえるでしょう。

(弁護士 北野英彦)


相手の説明の変更について裁判への影響【Q&A №635】 0635

 

 

【質問の要旨】

不正出金を追求する方法

記載内容  遺産分割 引出し 頼まれた 

 

【ご質問内容】

 昨年86歳で亡くなった母の遺産分割で、母と同居していた弟夫婦から相続放棄を求められています。

理由は「母の財産はほとんど無いから」との事です。

(父は他界しており、母の遺産の相続人は私と弟の二人だけです。)

そこで、弟夫婦に対して母の財産管理について確認すると「私達は母の通帳を管理していない。母が亡くなって初めて母の通帳を見たら残額が無くなっていた。」や「預金については母が自分で引出しをしていた。私達夫婦は関わっていない。」とメールで回答が来ました。

私としては、母が父から3000万円もの預金を相続したのに、わずか2年で使い切るなど考えられませんでしたし、母には比較的多額の年金収入もあり預金を崩す事も考え難いので、母の取引履歴と引出し伝票を取り寄せました。

すると引出しのほとんどが弟の勤務先近くのATMで月に数十万円も引き出されており、ATMで引き出せない額については弟の筆跡のある伝票が出てきました。

それを弟夫婦に伝えたところ、「全ての引出しは母の頼まれたからです。」とメールで回答が来ました。

今回教えて頂きたいのは、2点あります。

1)これだけの証拠で裁判で戦えるのでしょうか?

私が証明できるのは、①母の預金を弟が引き出した事、②それが多額過ぎる事(不自然だというとこ)だけです。

2)上記の通り、取引履歴を取る前と後で弟夫婦の回答が変わっています。

これは裁判で使える事なのでしょうか?

【補足】

ご質問させて頂いた内容について、お伺いしたい内容が明確でなかったかと思い補足させて頂きたく投稿致しました。

真にお伺いしたい事は、取引履歴の取得前と後で、相手の説明が変更となることについて裁判にどう影響するかどうかです。(まだ裁判はしていませんが)

〈取得前の弟の説明〉

母の財産管理については「関わっていない。残高も知らない。引出しも行っていない」という説明

〈取得後の弟の説明〉

「全て母に頼まれた。引き出したお金も全部母に手渡した」という説明

に変わりました。

この変化について裁判に影響はありますでしょうか?

 

(はって2344)

 ※敬称略とさせていただきます。

【弟が出金したことについては、ある程度証拠がそろっている】

出金状況については、すでにだいたい調査をされ、弟の勤務先近くのATMや、弟の筆跡の出金伝票でもって出金されたことが明らかになっているようであり、弟も自身が出金したことをメールで認めているようです。

他に母の有していた口座はないか、追加の調査が必要となる可能性はありますが、それを除けば、「弟が出金した」という事実については、証拠がある程度そろっているといえます。

 

【ただ、出金した金員を弟が取得したことの証拠は不十分】

ただ、使途不明金の返還を求めるためには、弟が母の預金を出金したという事実だけでは足りません。

現在、弟は「母に頼まれて出金した」という主張をしているようであり、「出金した金員は母に渡したから何に使ったかは知らない」といわれてしまえば、出金した金員を弟が取得した事実については、あなたが立証しなければなりません。

この立証はなかなか難しく、

1.出金金額が多額であるか(一般に月に十数万円程度なら生活費相当額と判断されやすい)

2.母が金員を必要とする理由があったか

3.それまでの母の出金態様と弟が出金を始めてからの出金態様に変化があるか

等の事実をうまく利用して、母が使ったとの弟の証言が不自然であることを主張していくことになります。

また、当時母に意思能力がなければ、弟に対して出金を依頼するということも不可能ですので、もしもその可能性があるのであれば、当時の母のカルテや診療記録を取り寄せして確認することが必要になります

 

【弟の説明が変わっていることも不自然さの証拠の一つにはなる】

最後に、あなたによる調査前と調査後で弟側の説明が変わった点ですが、事実を隠蔽しようとしている節が見受けられ、発言に信用性がないということで、他の証拠と合わせて、弟が出金した金員を取得したことの証拠の一つにはなりえます。

ただ、発言の変遷だけで、弟が取得したことの立証ができたとはいえませんので、あくまでも上記に述べたとおりの他の事実と合わせて、効果を発揮するものといえるでしょう。

(弁護士 岡井理紗)


相続後の不動産の遺産分配について【Q&A №633】 0633

 

【質問の要旨】

登記完了後の代償金請求

記載内容  遺産相続 登記 現金で要求 

【ご質問内容】

父はすでに他界しており、母が今年死亡しました。

相続人は私(長男)と姉(長女)です。 母の住んでいた実家の土地、家屋の遺産相続は長男の私の相続として、すでに登記が終了しております。

その時点では姉も納得していたのですが、今になって価値の半分を現金で要求されています。

法律的にこの要求は正当でしょうか?

尚、預金等は折半しています。

(ブラウン)

 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産分割協議書を作成しているか】

相続が発生すると、その相続人らは協議をし、遺産をどのように分けるか話し合います。

話し合いの結果、分け方が決まれば、その内容を「遺産分割協議書」という書面にし、相続人全員が署名及び実印での捺印をして印鑑証明書を添付します。

各相続人らは、この遺産分割協議書をもって、銀行手続や登記手続きを行うということになります。

今回、あなたはすでに、実家の土地建物について、登記を済ませたとのことですので、おそらく遺産分割協議書を作成しているのだと思われます。

【遺産分割協議書を作成していれば、その内容通りの分割になる】

お姉さんとしては、遺産分割協議の際に、「あなたに不動産は渡すけど、価値の半分を代償金として支払ってくれ」という主張をすることはできましたし、その主張はもっともなものといえます。

ただ、代償金をもらわない前提の遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしたとなると、その内容を理解し、納得していたとみなされますので、それに反した主張をすることは難しいです。

そのため、あなたとしては、遺産分割協議書ですでに合意しているのだから、それ以外の請求には応じることはできない、とお姉さんに伝えるとよいでしょう 。

(弁護士 岡井理紗)


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